司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

10月 17 2018

遺言⑰ 公正証書遺言の意外と知らないポイント

公正証書遺言については意外と知られていないポイントが、いくつかあります。
皆さんが勘違いしやすいポイントについて、お話したいと思います。

①自筆の署名が必要
自筆証書遺言と違って、公正証書なんだから自筆は一切いらないだろうと思っていると実は違います。公正証書であっても自筆の署名は必要です。

②実印は自分で押す
自筆証書遺言は認印でも構いませんが、公正証書遺言は実印が求められます。押印も遺言者が押すことを求められます。

③必要書類で原本が必要なのは印鑑証明書のみ
遺言者の体調が悪く急いでいる時など、必要書類をファックスで公証役場に送ることは良くあります。そんな場合でも、後ほど原本を要求されるのは印鑑証明書のみです。(ひょっとしたら他の公証人では異なる対応の場合もあるかもしれませんが、少なくとも私が良く担当してもらう公証人は書いたとおりです)

④公正証書遺言は証人二人が必要ですが、証人の押印は認印で構いません。

⑤遺言者と公証人がやり取りをしている間は、他の親族は入室が出来ません。もし病院に出張している場合でも、一旦、病室から出されます。

どうでしょう。意外と知らないことがあったのではないでしょうか。

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遺言

10月 09 2018

遺言⑯ 公正証書遺言は全て公証人が作ってくれるのか?

公正証書遺言は、公証役場へ行けば自分は何もしないでも、希望さえ伝えれば公証人が作ってくれるというイメージを持っている人が多いかもしれませんが、現実は違います。だいたいの文案は自分で考えてメモしていく必要があります。

そこで注意すべきなのは、明らかな法的な間違い以外は公証人は指摘してくれない、ということです。

法的な間違いを指摘してくれれば、それで充分じゃないか、と思われるかもしれません。しかし、実際の相続の現場に居合わせた経験から言うと、「法的には間違っていなくても、後で非常に面倒なことになった」という事例は数多くあります。

例えば、了解を取らずに親族の一人を遺言執行者にして記載したところ、相続が開始したら「私は遺言執行者になんて、なりたくない」と言って辞退してしまって、新たな執行者を決める時に揉めてしまった、と言う事例がありました。
このような場合、公証人は「遺言執行者に了解を取ってありますか」とはアドバイスはしてくれません。

他にも、「遺言執行者は、その業務を第三者に委任することが出来る」という一筆が入っていなかった為に、遺言執行者が専門家に依頼することが出来なくなってしまった事例もあります。(これも公証人は何も言ってくれなかったようです)

あと非常に印象に残っている事例としては以下のようなケースがありました。
遺言で指定した相続人が高齢だったため、遺言者よりも先に亡くなってしまって、その人の分だけ法定相続になったという事例です。
この事例が大変だったのは、法定相続人が16人もいたことです。当然、相談者が全く面識の無い相続人も複数いて、住所を探すのも一苦労でした。また16人に経緯を説明して各種書面に署名押印をもらわなくてはなりませんから、これも大変な作業でした。

実はこの事例のトラブルは、「遺言で指定した〇〇が、遺言者よりも先に死亡した場合は、△△に相続させる」という一筆が入っていれば(専門用語で予備的遺言と言います)、防ぐことが出来たのです。しかし何度も言うように、公証人はこのようなサービス的なアドバイスはしてくれません。(この一筆が無くても法的には問題ないからです)

この依頼を受けた時も遺言執行者の方が、「遺言を作る時にも依頼をしていれば良かった」と大変悔しがっていました。一筆入っていなかったために膨大な手間と時間が余分にかかることになったのですから無理もありません。

このように遺言には「法的に間違っていなくても、一筆入れておいた方が良いこと、あるいは注意しておいた方が良いこと」が他にもいくつかあります。

後々の手間と時間と余分にかかる費用を考えたら、やはり遺言の作成段階から専門家の意見を聞いた方が良いと思います。

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遺言

10月 03 2018

遺言⑮ 公証人に聞かれること

遺言による相続手続で最も揉めるのが、遺言者が遺言を残した時に認知症になっていなかったかどうか、という部分です。

日本では欧米に比べて、ぎりぎりまで遺言を残さない傾向があるため、どうしてもこのようなトラブルが起こりやすいと言えます。遺言に反対する相続人からすると、。遺言をひっくり返せる唯一の手段とも言えます。

実際に、「遺言作成時に認知症ではなかったのか」という訴訟は全国で起こっていて増加傾向にあります。(遺言の場合、他に争う手段が余り無いという実情もありますが)

これを防ぐ最も確実な方法は、遺言作成時に医師の診断書をもらっておくことです。医師が作成した「認知機能は問題ない」というお墨付きがあれば、後で万が一、訴訟を起こされても勝てる確率が高いでしょう。

後は出来るだけ公正証書遺言で残すべきです。公証人は面談の際、遺言者に対して質問をします。例えば以下のような質問です。
(1)本人確認として住所・氏名・生年月日を聞く
(2)どのような遺言を残したいかを聞く

(2)の質問では「はい」「いいえ」で答えられる聞き方をしません。遺言者自らが残したい遺言の内容の概略を答えなくてはいけません。認知症だったら、まず答えられないでしょう。

しかし、公正証書遺言ならば必ず裁判になっても勝てるという訳ではありません。公証人が当時の事情を忘れてしまっていて、しっかりした証人になってくれるとは限らないからです。

ですから相続人の中で遺言の内容に反対しそうな人がいる場合は、①公正証書で残して、更に②医師の診断書をもらっておく、という2段構えで備えておくのがベストな方法だと思います。

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遺言

9月 10 2018

遺言⑭ 公証人の交通費は、どの程度か?

公証人に支払う費用は、基本は遺言作成費だけを考えておけば良いのですが、事情があって、公証役場まで出向くことができない場合は困ったことになります。

けれど、安心してください。
病院や施設、あるいは自宅に公証人が出張してくれるサービスがあります。便利ですね。
体調が良くない遺言者にとっては大変ありがたいサービスですが、その際には、公証人に日当や交通費を追加で支払う必要が出てきます。
因みに、ベースとなる遺言作成料金も少し上がります。

>>>入院中に遺言を残すには?<<<

公証人の交通費ですが、基本は出張先までのタクシーの往復料金となります。
ここで「何でタクシーなんだ。公共交通で来ればよいのに」と思われた方も多いと思います。
実は私も、そう思っていました。

しかし、公証人というのは結構忙しくて、遺言の出張を受けると、タクシーの中でも書類のチェックをしていたりするので、基本タクシーで移動するんだそうです。

そしてもうひとつ、理由があります。
公共の交通機関ですと、万が一誰かに盗まれたりしたら困るからだそうです。
人の遺言を盗む人など、普通に考えればいないでしょうけれど、万が一、ですからね。
タクシーの中でも書類のチェックをしているということの方が、理由として大きいかもしれません。

ただ公証役場からの距離が余りに遠い場合は、最寄りの駅まで公共交通で行って、その後タクシーという場合もあります。
私の場合、名古屋市の葵町公証役場から日進市の病院に出張を頼んだ時、このパターンになりました。
具体的には地下鉄鶴舞線丸の内駅から米野木駅まで公共交通で来ていただきました。

名古屋市内で出張サービスを使う場合は、まずタクシーになると思っておいた方が良いと思います。

確かに若干、料金は高くなりますが、それ以上に公正証書遺言の出張サービスのメリットは大きいので、該当する場面では躊躇せずに利用した方が良いでしょう。

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9月 04 2018

生前贈与③ 贈与契約書に印紙は必要か

契約書に印紙は必要かどうかは、案外、悩むことが多いのではないでしょうか。

例えば、私は職業柄、依頼を受けた時に委任契約書(委任状)を交わすことも多いですが、これは通常、印紙は不要とされています。

他には、遺産分割協議書なども印紙は不要です。

では、不動産の売買契約書や贈与契約書はどうかというと、これは印紙が必要です。
不動産の売買契約書は売買代金によって印紙代が変わってきます。

一方、不動産の贈与契約書については、一律、200円と決まっています。
贈与ですから代金によって変わるということがありません。

契約書に印紙は貼るべきかどうか、もし貼るならばいくらなのか、というのは結構ややこしいので気を付けましょう。

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7月 28 2018

遺言⑬ 信託銀行の遺言書管理信託とは

信託銀行の商品の中に「遺言書管理信託」というものがあります。
一見、便利そうな名前が付いていますが、料金を考えると「?」と思える商品なので取り上げてみたいと思います。

例えば、ある信託銀行の遺言書管理信託のページを調べると、以下のような説明がされています。

  • 遺言書の保管
  • 当行がお預かりした遺言書は、ご相続の開始時まで安全に保管します。

  • 定期的照会
  • 当行から定期的に相続開始通知者、遺言書指定受取者の住所変更や異動の有無を照会させて頂きます。

  • 遺言書の返却
  • 遺言書指定受取者に確実にお渡しします。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認手続が必要になり別途費用がかかります。

    そして、上記サービスの手数料として以下の金額が表示されています。
    基本手数料  公正証書   32万4000円
           公正証書以外 54万円
    遺言書保管料       年間6480円

    正直、この説明と料金を見た時、サービスの少なさと料金の高さに驚いてしまいました。
    これだけのサービス内容にしては、高額に思えます。
    特に公正証書遺言は、もともと原本は公証役場で保管されていて、謄本は本人が保管、そして正本を遺言執行者が保管するという、比較的万全な体制です。
    上記のサービスでは、正本を保管するということだと考えられますが、本当に必要なのかよく考える必要がありますね。

    と言っても料金設定やサービス内容は自由ですから銀行を責めるつもりはありません。
    ただ消費者の皆さまには、「サービス内容に比べて、かなり高額の料金である」という事実は分かっておいて欲しいとは思いました。
    (分かった上で、やはり銀行を選択するというのは、もちろん自由です。)

    たとえば、もし同様のサービス内容で私の事務所が依頼を受けた場合、年間5000円程度の保管料は頂きますが、それ以外の料金(銀行の基本手数料にあたるもの)は頂きません。
    実に数十万円の差が出てしまいます。

    しかも銀行のサービスは、遺言書の作成料金や家庭裁判所の検認料金は含まれていないのです。
    これを消費者の皆さまが知っていた場合、どのように判断するのでしょうか。
    費用を抑えたい場合、これからは特に情報を調べる力が必要になってきていると感じています。

    最近、信託銀行は相続に力を入れていて遺産整理業務も積極的に宣伝しています。
    遺産整理業務とは不動産や預貯金・証券などの解約・名義変更を一括して行うサービスです。

    銀行の遺産整理業務も値下げを予定していると新聞に報道されていました。
    消費者にとってはうれしいことではありますが、実は、元の料金が余りにも高額で(一般的な司法書士事務所の倍以上)、利用者が非常に少なかったので見直そうとしているのが実情なのです。

    銀行の遺産整理業務は、まず最低料金が高いです。
    現在108万くらいが現在の相場となっています。
    (見直しが入る予定)
    最低料金に該当しない資産額の場合でも、割合報酬(1.5%~2%が相場)は高めです。
    (一般的な司法書士事務所では最低25万~30万円で割合報酬は約1%)。

    他にも、不動産の名義変更をする場合、結局、銀行も司法書士に外注しています。
    銀行に遺産整理業務を依頼した場合、司法書士の外注費用は別途請求されてしまいます。
    しかし、司法書士に依頼した場合は、不動産の名義変更の費用は司法書士料金に含まれているのが普通です。

    ですから、遺産整理業務の場合でも、銀行と司法書士事務所ではトータルで数十万円の差が出てしまいます。
    消費者の皆さまには、こういうことを良く知った上で選択して欲しいですね。

    より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

    http://www.hashiho.com/inherit/testament/

    http://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/

    7月 18 2018

    相続放棄⑫ 3ヶ月経ってから借金の請求が来たら相続放棄できるのか?

    相続放棄には3ヶ月という期限があります。しかし、債権者(貸主)が債務者(借主)の死亡を知らなかったために、3ヶ月以上経ってから請求してくるというケースが珍しくありません。このような場合、相続人はどうすれば良いのでしょうか。

    まず覚えておいて欲しいのが、「3ヶ月以上経っているからといって、あきらめてはいけない」ということです。実際に私の事務所で手掛けた相続放棄事件で、3ヶ月以上経過しているにもかかわらず家庭裁判所に受理されたケースは何件もあります。

    受理されるかどうかで最も注意するポイントは、「単純承認をしていないかどうか」です。一部でも死亡した債務者の財産を相続した場合には、法的には「単純承認をした」と判断されます。

    従って、相続放棄をするためには、「死亡した債務者の財産を全く相続していない」というのが最低条件になります。債務者が亡くなってから借金の請求が来るまでの間、一部でも相続財産を換金したり消費してしまった場合は、「相続した」とみなされる可能性が大きいでしょう。

    もう一つのポイントとして重要なのは、「あとから来た借金の請求書」が残っている、ということです。家庭裁判所に対して、「いつ、借金の請求をされたのか」を証明する必要があるからです。

    以上の二つの条件を満たしている場合は、相続放棄が認められる可能性は充分あります。

    更に私が申し立てる場合は、より受理される確率を上げるために、家庭裁判所に「どういう経緯で3ヶ月以上経ってしまったのか」を詳しく説明する上申書と呼ばれる書面を提出します。これで今まで、ほとんどの相続放棄が受理されています。

    このように例え3ヶ月以上経過していても一定の条件が満たされていれば、あきらめるのは早すぎます。借金を相続するかしないかで、その後の生活に大きな影響を与えますので、専門家に相談に行きましょう。

    より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

    http://www.hashiho.com/inherit/renounce/

    7月 09 2018

    相続法改正 相続はどう変わるのか?

    相続に関する民法の改正案が7月6日に参議院で可決し成立しました。これで以前から取り上げていた相続法の改正が現実化したことになります(まだ施行はされていません)。

    では今回、改正になったポイントをあげていきたいと思います。

    (1)配偶者が自宅に住み続けられるようにする配偶者居住権の新設

    (2)遺産分割前でも被相続人の預貯金を引き出せるようにする制度の新設

    (3)自筆証書遺言の要件の緩和と、遺言を法務局に預けられるようにする制度の新設

    (4)被相続人の介護などをした親族が、相続人に金銭を請求できるようにする制度の新設

    などです。

    詳しい内容については相続登記⑭で解説していますので、そちらをご覧ください

    http://hashiho.com/inherit/journal/archives/1054

    相続全般について、より詳しく知りたい方は以下をクリック

    http://www.hashiho.com/inherit/

    7月 02 2018

    遺産分割④ 不動産の割合が高いと相続でもめることが多いので注意

    相続財産で預貯金は最も分割が容易な財産です。法定相続分どおりに分ける時には、簡単に分けられるので問題が起こりにくいと言えるでしょう。しかし、相続財産に不動産がある場合は、そう簡単ではありません。

    一般的に不動産の価値は預貯金よりも高い場合が多いです(特に都会の場合)。しかし、不動産は分割することが困難な財産です。遺産分割協議で最ももめることが多いのも不動産の相続です。

    理由は既に特定の相続人が住んでいる場合が多いからです。その場合、当然その住んでいる相続人が不動産の相続を主張します。住んでいる相続人にとっては、自分が相続できなかったら家を追い出される可能性がある訳ですから必死です。

    話し合いがつかない場合、不動産を相続人全員の共有にすることになりますが、不動産の共有持分というのは住んでいない相続人にとっては何のメリットもありませんので文句が出ることが多いのです。

    こんな時、住んでいない相続人から、「不動産を売却してお金に代えて、それで相続分を支払ってくれ」という要求が出ることがよくあります。これを言われると住んでいる相続人は引っ越しをしなくてはなりませんから、関係が悪化して話し合いで解決できなくなることも珍しくありません。

    どうしても引越が嫌な場合は、住んでいる相続人が相続分相当の金銭を別に用意して他の相続人に支払うしかなくなります。このような遺産分割の方法を代償分割と言います。(相続法の改正で配偶者居住権と言う権利が新設されて、配偶者は自宅に住み続けられるように今後はなる予定です)

    相続人同士で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。

    このように相続財産に不動産がある場合は遺産分割協議がスムーズ進まないことが多いので、対策として遺言を残しておく人が増える傾向にあります。

    より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

    http://www.hashiho.com/inherit/divide/

    http://www.hashiho.com/inherit/testament/

    6月 25 2018

    遺言⑫ 遺言を変えたくなったら(遺言の撤回)

    「遺言を書いたけれど後から気持ちが変化して内容を変えたくなった」、こんな時はどうしたら良いのでしょうか。

    こういう場合、今ある遺言を修正するのではなくて、新しい遺言を残すのが法的に正しい方法です。新しい遺言によって、古い遺言は自動的に撤回されたことになります。

    日付の記載が無い遺言は無効になります。これは、新しい遺言が常に優先されるため、日付の記載が無いと、どちらが新しいのか判別できないために設けられたルールなのです。

    新しい遺言に「古い遺言は撤回する」と書いても構いませんが、例え書かなくても古い遺言は撤回されます。

    ただ注意して頂きたいのは、新しい遺言を自筆証書で残した場合、もし遺言の要件を満たしていなかったら、その新しい自筆証書遺言は無効になってしまいますから、当然、古い遺言は撤回されません。

    書いた本人は「これで古い遺言は撤回された」と安心しているかもしれませんが、場合によっては本人の新しい意志が実現されないかもしれないのです。

    従って古い遺言を撤回する場合は公正証書で遺言を作った方が確実でしょう。

    ちなみに古い遺言が公正証書だった場合でも、遺言の撤回は同じ方法で可能です。法律上は、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能となります。もちろん自筆証書遺言が有効に書かれていることが条件です。

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    http://www.hashiho.com/inherit/testament/

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