任意後見

「今は元気。でも、将来が心配。」

もしも、認知症などで判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。
そんなとき、支援してくれる人と将来の約束をして、支援して欲しい内容を決めて、 あらかじめ支援者(後見人)との間で契約書を作成しておく制度のことを任意後見と言います。
近年、増加している任意後見の最も大きなポイントは、「自分の希望する人を、あらかじめ将来の後見人として指定しておくことができる」という点にあります。
「認知症になる前に任意後見人を決めて、認知症になった時に備える」。これって何かに似ていると思いませんか。
「がんになる前に加入する保険を決めて、がんになった時に備える」。そうです、任意後見は保険によく似ているのです。任意後見を考える時には、「保険と同じようなものだ」と考えて頂くと分かり易いと思います。

なぜ、任意後見が必要なのか

多くの人が加齢に伴う能力の低下を心配していますが、実際には放置している場合が多いのです。それは何故でしょうか。
その理由は、「放置した場合に、どのような結果になるかがイメージできない」からです。ここでは実際に相談に来られた方の経験に基づいて、具体的に説明しましょう。

放置した場合に起こること

1. 銀行口座が凍結される

認知症と判断されると、本人の銀行口座は凍結され、そのままでは引き出すことは出来なくなります。例え本人の為に使う費用であっても銀行は引き出しに応じてくれません。

2. 施設の入所手続が出来ない

施設の入所には契約が必要ですが、本人が認知症になっていると、判断能力が無い訳ですから入所の為の契約が出来ません。

3. 役所の申請手続が出来ない

高齢になると、介護・医療・年金などで、いろいろと役所の手続が必要になりますが、本人が認知症の場合は申請が出来ません。本人の意思が確認できないからです。

その結果、家庭裁判所に成年後見人(法定後見)を選任してもらうしか方法がなくなります

家裁に成年後見人(法定後見)を選任してもらった場合に起こること

① 見ず知らずの第三者が後見人になることが珍しくない

現在、家庭裁判所は親族を後見人に選任しない傾向が強くなっています。申請の時に親族の名前を後見人候補者の欄に記入しても、それが認められずに第三者が選任されたという例が非常に多くなっています。
また第三者が選任された場合、一度選任された後見人は原則として本人死亡まで変わることはありません。「相性が合わない」などの理由では決して変更はしてもらえません。

② あらゆる出費や手続が家裁の判断で進められる

成年後見人は法定代理人なので、あらゆる判断を本人に代わってすることになります。ただし、「本人の利益の為にしなければならない」という法的な制約があります。本人の利益になるかどうかは家裁が判断し、成年後見人は家裁の判断には逆らえません。 この家裁の判断が非常に融通がきかないことが多く、親族とのトラブルが頻繁に起こります。いくつか具体例を紹介しましょう。

  • ⅰ)本人が入院していて、本人名義の自宅に親族が暮らしている場合に、本人が帰ってきた時のためにと思って自宅を改修して便利にしようとしても、家裁が改修を拒否する場合があります。 家裁の考えは、「本人が暮らしていないのに改修するのは、現在暮らしている親族の利益になるから許可できない」と言うものです。
  • ⅱ) 遊んでいる本人名義の空き地があって、放置していると毎年固定資産税を支払うだけなので無駄だと考え、親族が本人の財産を使って賃貸アパートを建てようとすると、かなりの確率で家裁は拒否します。 家裁は「直接に本人の利益になる行為ではないし、更地よりも土地の評価額が下がる行為なので本人の財産を減らしている」という考え方をするのです。本人の意識がはっきりしていたら、そんな考え方はしないだろうと主張しても、まず許可してくれません。
  • ⅲ)相続税対策と呼べるようなものは、ほぼ家裁の許可がおりないと考えて良いと思います。何故なら、家裁は「相続税対策は相続人の利益になる行為であって、本人の利益とは関係ない」という考え方をするからです。 通常、財産を多く持っている人は、なるべく相続税を安くして相続人に多くを残してやろうと考えるものですが、家裁は「本当にそう思っているかは認知症になってしまった以上、確かめようがない」と考えるのです。
③ 本人の財産の大半を強制的に信託銀行に預けられてしまう

数年前から全国の家庭裁判所が強力に推し進めている制度に「後見制度支援信託」というものがあります。これは、運よく親族が後見人になれたとしても、本人の財産が一定額を超えていると(だいたい1000万くらいと言われています)、 一時的に家裁の判断で第三者が後見人に選任され、当面の生活に必要な金額(300万円ほど)を残して、他は全て信託銀行に預けてしまうという制度のことです。 一旦、信託銀行に預けられると、親族が後見人に戻った後も、信託銀行からお金を臨時に引き出す場合は家庭裁判所の許可が必要になります。

なぜ、任意後見が必要なのか

ここまで読んで頂ければ、最初にイメージできなかった人も、だんだんと分かってきたのではないでしょうか。ここで、まとめてみましょう。

  • 反論の答弁書を出して解決

    (1) 家族が認知症になったまま放置することは極めて困難です。
    (理由は上記参照)

  • 反論の答弁書を出して解決

    (2) 家族が認知症になった後で解決する方法は、家庭裁判所に成年後見人(法定後見)を選任してもらう以外にありません。
    事実上、選択の余地が無いのです。

  • 反論の答弁書を出して解決

    (3) 現状において成年後見制度は問題が非常に多く、親族からの評判は良くありません。
    (理由は上記参照)

  • 反論の答弁書を出して解決

    (4) 上記のようにならないようにする為には、判断能力があるうちに(重度の認知症になる前に)任意後見契約を締結して、あらかじめ本人が希望する人を後見人に指定しておくことが必要です。

  • 反論の答弁書を出して解決

    (5) 注意すべき点は、判断能力が無くなった後では任意後見契約は結べない、ということです。だからこそ、意識がはっきりしているうちに行うべきなのです。

任意後見とは保険のようなものです。重病にかかると生命保険は契約できなくなります。保険で備えておくためには健康な時に入っておく必要があります。任意後見とは、重度の認知症に特化した保険だと言えるでしょう。
※任意後見人に指定するのは、親族でも、親しい知人でも、司法書士等の専門職でも構いません。

任意後見の種類

診断表

(1) 移行型(財産管理委任契約から任意後見契約に移行する場合)

判断能力はあるが運動能力が衰えてきて、本人では各種手続が困難になってきた場合、財産管理委任契約を締結し信頼のおける人物を財産管理人に指定して各種手続のサポートをしてもらいます。
同時に任意後見契約も締結して同じ人物を任意後見人に指定しておくことで、将来、判断能力が衰えてきた場合は、財産管理人にそのまま任意後見人になってもらうことが出来るため、スムーズに移行することが可能になります。
希望によって、死後の葬儀・埋葬・納骨などの方法を定めておく死後事務委任契約を一緒に締結するケースも多いです。
任意後見制度では最も多く利用されている形式になります。

移行型図

(2) 将来型(将来の判断能力低下の時点で、任意後見契約の効力を発生させる場合)

将来の判断能力の低下(認知症)に備えて、あらかじめ信頼のおける人物を任意後見人に指定しておき、家裁が選任する成年後見制度を利用しなくて済むようにしておく形式です。
「他のことは何とかするつもりだが、認知症になった時に家裁が選任する成年後見人に代理されることだけは防ぎたい」、という方には将来型が適切でしょう。

将来型図

(3) 即効型(任意後見契約締結の直後に契約の効力を発生させる場合)

任意後見制度の中では例外的な形式なので、件数としては多くありません。軽度の認知症で完全に判断能力が失われている訳ではない場合に、すぐに任意後見人を付けることを目的にした形式です。
ただし、例え軽度であっても認知症を発症している状態で締結される契約になるので、後から「本当に契約締結の判断が本人に出来たのか」が争われる場合があります。安全の為に、契約締結直前に医師の診断書をもらって、判断能力が残っていたことを証明できるようにしておくのが良いでしょう。
このようにリスクがある形式なので、出来るだけ認知症になる前に移行型または将来型で契約を結んでおくのが得策だと思います。

任意後見に付加できる契約


任意後見契約は単独で結ぶこともできますが、様々な種類の契約を追加することも可能です。むしろ、追加できることが任意後見が増加している理由の一つにもなっています。
依頼人の希望に応じて、オーダーメイドで追加する契約を選び、その人の事情に合った内容にしていきます。
実際の事例でも、何らかの追加契約を結ばれる方が多くなっています。
よく追加される契約は以下の4種類になります。順番に説明していきましょう。

(1) 公正証書遺言

厳密に言うと契約ではありませんが、任意後見とセットで依頼されることが多いので取り上げました。
任意後見も公正証書遺言も両方とも公正証書で作成する必要があります。ならば公証役場に行く機会に一緒に作ってしまおうと考える人が多いのです。
任意後見も遺言も将来の備えですから、動機が同じで一緒に考えやすいということもあるでしょう。
※公正証書遺言について、より詳しく知りたい方は以下をクリック
遺言のページへ

(2) 見守契約

移行型や将来型の任意後見を選択した場合、任意後見をいつ開始するのかを誰かが判断しなくてはなりません。
近隣に親族や親しい知人がいて定期的に訪問されている場合は問題になりませんが、親族が遠方にいる場合や、めったに訪問する人がいない場合は困ってしまいます。
そのような場合に、司法書士等と見守契約を結ぶことによって、定期的に(月1回くらい)連絡や訪問をすることにより本人の健康状態を把握して、必要とあらば任意後見を開始する判断をします。

(3) 財産管理委任契約

高齢の為、あるいは病気やケガが原因で、判断能力はあるが運動能力が衰えてきて、色々な手続をするのが困難になってくることがあります。そんな時、本人が希望する人を指定して、本人に代わって財産を管理して各種の手続を行ってもらう為の契約です。
施設・病院・銀行・保険・役所などは、手続をする時、本人の意思を確認する為、本人同伴を求めるか、あるいは手続のたびに委任状を要求します。そこで、この契約を結んでおくと、その後は財産管理委任契約書一つで、あらゆる手続を代理してもらうことが可能になります。
また財産管理委任契約は本人の判断能力が残っている状態での代理契約なので、本人の希望で好きな時期に終了させることも可能です。

(4) 死後事務委任契約

任意後見契約は本人が死亡した時点で法的に終了します。従って、死亡後の各種手続について本人の希望を実現させたい場合に、追加で死後事務委任契約を結んでおくケースが増えています。(追加する契約で最も多いのが公正証書遺言、その次に多いのが死後事務委任契約です)

死後事務とは、大きく分けて2種類あります。
一つは、葬儀・納骨・埋葬・供養などを本人の希望通りにやってもらう為に、細かく取り決めておくことです。死亡時に連絡して欲しい人の指定や、葬儀会社や寺や墓地などを指定することも出来ますし、これらに使う費用の上限などを定めておくことも可能です。
二つ目は、死後の後始末に当たる部分で、死亡した時点での未払いだった各種費用(施設利用費や入院費、光熱費や通信費など)の支払い、家財の処分方法の取り決め、役所等への届出業務の代理、などを定めておきます。

また、死後事務委任をする場合に重要なポイントとして、死後事務の費用の問題があります。本人が死亡して相続が開始すると銀行はその口座を凍結してしまうので、親族は死後事務の費用を立て替えなくてはならない可能性があるからです。これは親族にとって大きな負担になります。(遺産分割協議を経て相続人が確定するまで銀行の口座凍結は続きます。通常、死後事務の費用は遺産分割協議よりも前に発生します)。死後事務委任契約は、この費用の問題も解決してくれます。
良く行われる方法としては、死後事務の費用として一定の預り金を本人の生前に死後事務の受任者に渡しておいて、その旨を契約書に記載して、預り証を別途作成して契約書と一緒に閉じこんでおきます。預り証は法的にきちんとしたものを作成しないと贈与税がかけられる可能性がありますので、専門家に作成を依頼するのが良いでしょう。
あるいは、他人に渡すのが心配な場合は、本人名義の預り金口座を別途開設して、死亡後は死後事務の費用として、受任者がその口座から引き出すことが出来るように契約書に記載しておく、という方法もあります。

  • ※(2)・(3)・(4)の契約に関しては、公正証書でなくても作成することが可能です。
  • ※上記の各契約を、任意後見契約を結ばずに単独で締結することも可能です。

任意後見契約締結までの流れ

1.初回無料相談

将来、認知症になってしまった場合、どのような問題が起こるのか。その為の有効な対策として、任意後見契約の詳しい説明。希望により付帯できる各種契約の説明。トータルでかかる費用などの説明をさせて頂きます。
この段階で、ご自分またはご家族の状況に合わないと思われた場合は断って頂いて構いません。

2.契約書文案の打ち合わせと作成

任意後見契約及び付帯する契約を希望された場合は、個別の事情を聞きながら契約書の文案の作成に取り掛かります。契約の中身をどうするのか、付帯する契約を追加するのかについても、打ち合わせをしながらオーダーメイドで作成していきます。

3.公証役場との打ち合わせ

任意後見契約は公正証書で作成する必要があります。従って、事前に司法書士が公証役場に行き、公証人に契約書の文案を見せて最終的な打ち合わせをします。

4. 日時の決定

公証役場へ行く日時を希望を聞きながら、公証人と調整して決定します。(病院等に入院されている場合は、公証人に出張してもらうことも可能です)

5.契約書の完成

司法書士が同伴して公証役場へ行き、任意後見契約書を完成させます。付帯する契約がある場合は同時に作成することが多いです。(公証人に出張してもらった場合は病院等で作成します)

任意後見の料金

任意後見契約は財産管理契約の一種なので、お持ちの資産額によって料金が変わっていく事務所が多いです。このタイプの料金設定の場合、資産額が上がるほど料金が非常に高額になってしまう傾向があります。
一方、当事務所では資産額にかかわらず定額料金になっていますので、このような心配も無く安心してご利用いただけます。
また、任意後見契約はオーダーメイドの契約なので、依頼人と何度も打ち合わせを重ねる必要があります。当事務所では定額料金を採用しているため、契約書完成までの間、何度打ち合わせをしても料金は変わりません。

※ 契約完成までに必要な、「公証人との事前の打ち合わせ」・「公証役場への付き添い」も全て定額料金に含まれています。

各契約を単独で申し込まれた場合の料金

任意後見契約 15万円
公正証書遺言 6万円
見守契約 2万円
財産管理委任契約 10万円
死後事務委任契約 8万円

複数の契約をセットで申し込まれた場合の料金

単独の場合の合計料金よりも安くなります

① 任意後見+遺言+見守+財産管理+死後事務 30万円
② 任意後見+見守+財産管理+死後事務 28万円
③ 任意後見+遺言+見守+財産管理 26万円
④ 任意後見+遺言+死後事務  22万円
⑤ 任意後見+見守+財産管理 20万円
⑥ 任意後見+遺言 18万円
⑦ 任意後見+財産管理 22万円
⑧ 任意後見+死後事務 20万円

※比較的希望の多い組み合わせを掲載しております。上記以外の組み合わせをご希望の場合は事務所にご相談ください。

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