司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

自己破産

5月 10 2017

自己破産(32) 家計に余裕があると、管財になるかも

最近の名古屋地裁本庁(名古屋市と、その周辺が管轄)の破産係の傾向として、「出来るだけ管財事件に回したがる」というのがあります。これは、破産を検討している人にとっては重大なことです。

破産には、同時廃止と管財事件という2種類の手続があり、どちらになるかは裁判所が決めます。一応、今までは基準のようなものがあり、財産が40万円以内の場合は同時廃止、40万円を超えていたら管財事件というものでした。

ところが、最近では、財産が40万円以内に納まっているのに管財事件に回されるケースが増えています。

管財事件は同時廃止と比べて、裁判費用が高額です(司法書士や弁護士の報酬のことではありません。裁判所に支払う費用です)。同時廃止のほとんどが3万円以内で納まるのに対して、管財事件は20万円~40万円もかかります。債務者にとっては大きな負担です。

では、どういうケースで管財に回されるのかと言うと、家計に余裕がある場合が多いのです。

そこそこの定期収入がある場合、例え財産が無くても、裁判所は管財事件に回して、すぐには手続を始めずに、しばらく裁判費用の積み立てを命じるのです。半年なり、1年なりで積み立てをして、裁判費用が貯まった段階で手続を始めます。(正直、鬼だと思いますね)

従って、そこそこの定期収入がある人の場合、名古屋地裁本庁の管轄で申し立てなくてはいけない時は、最近では自己破産ではなく個人再生をすすめるケースが増えています。

どうせ自己破産でも積み立てが命じられるなら、個人再生できっちり支払いを終えた方が本人の自信にもつながりますし、小規模個人再生ならば7年の制限もありません(破産後7年間は、再度の破産は出来ないという制限)。それに最近の個人再生は再生委員の選任が非常に少なくなっているのに対して、管財事件の場合は破産管財人がほとんど選任され色々と聞かれることになります。

このような事情があるので、名古屋地裁本庁の管轄地域で、家計に余裕がある状態で債務整理を検討している方は、自己破産を選択する前に個人再生が可能かどうかを調べてみることを、おすすめします。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/jikohasan/
http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

8月 30 2013

エイワの催促(破産申立までの期間)

先日、エイワ(消費者金融)から以下のような電話がかかってきました。

「先生、この方、破産になるそうですが、いつ頃に申し立てるんですか。」(エイワ)

「まだ、全ての債権者から債権届が送られていませんので申し上げられません。」(私)

「いやあ、ウチはとっくに出していますので、あんまり待たされても困るんですよね。届いてない業者には、ちゃんと催促してますか。」(エイワ)

「もちろんしていますよ。もう少しかかるということです。お待たせして申し訳ありません。」(私)

「それで、債権届がそろったら、どの位で申し立てますか。ウチは半年も待てませんよ。訴訟させて頂きますから。」(エイワ)

「いや、当事務所の通常の申立期間は、債権届がそろってから2~3ヶ月ですから、そんなにお待たせすることはないと思いますよ。」(私)

「そうですか。半年とか1年とか平気で放置される事務所も多いんでね。ウチはそういうのは積極的に訴訟をしていくことにしてますので。」(エイワ)

「まあ、分割の報酬が払い終わるまで申立をしないという事務所が、いくつかあると聞いていますので、エイワさんの言うことも分かります。当事務所では、報酬の支払期間中でも準備が整い次第、申立はしますので、ご心配なく」(私)

「分かりました。じゃあ申立をしたら通知をよろしく。」(エイワ)

実は、この事件の総債権額は300万で、エイワの債権は何と7万円に過ぎないのです。わずか2%強の債権者が、この偉そうな態度。「たかが7万円でそんなにしつこく催促するな」という言葉が何度も声に出そうになるのを何とかこらえました。(もし言ったら、「債権者を差別するのか」とか何とか文句を言ってくるのは目に見えていましたので)

ここで重要なのはエイワのような業者が現実に存在する以上、あまり申立までの期間を長く取るのは得策ではないということです。理由は訴訟リスクが高まるからです。

現在は破産法が改正されましたので、申立をすれば強制執行は中断できます。しかし申立前は、そういう方法もとれませんので、訴訟に対しては早く申し立てるのが最善の策となります。

実際に申立まで半年または1年以上かける事務所は珍しくありません。ご自身が依頼した事務所がそうだった場合は、訴訟リスクについては説明を受けた方が良いと思います。

8月 23 2013

自己破産解決事例⑤

浪費による借入が多かったので、開始決定が出るまでに時間がかかったケースです。

Eさん、男性、30代
借入先8社、借入総額約500万円

以前、勤めていた会社は残業や休日出勤が非常に多く、会社の空気が断れる雰囲気ではなかった為、毎日のようにストレスがたまって、そのうち体の調子が悪くなるようになりました。

それで医者にみてもらったら、「うつ病」と診断されました。それでも会社には行っていましたが、そのうち、ストレス解消のためならと思い、買い物に行って必要以上に物を買ったり、飲みに行ったり、カラオケに行ったりを頻繁にするようになりました。

そんなことを続けていると、お金が足りなくなって借金をするようになりました。その頃は、仕事が忙しすぎるくらいだったので、返済の心配はあまりしませんでした。しかし、途中から、体調の悪化が激しくなり、仕事に支障をきたすくらいになってしまいました。このままではマズイと思い、会社を退職しました。

すると、当然ですが借金の返済が苦しくなり、返済の為に借金をするようになりました。ストレスが無くなったので浪費は一旦おさまったのですが、生活はむしろ苦しくなりました。それで、次の会社を探して就職しました。

しかし、前の会社に比べて給料が下がってしまったので、思ったよりも借金が減りません。借金返済のことを考えていたら再び「うつ病」の症状が出てきたので、これは何とかしないとマズイと思い、司法書士に相談することにしました。

相談すると、「あなたの場合、自己破産が適切でしょう」と言われ、一瞬悩みましたが、「うつ病」を抱えた状況では、とにかく借金を無くさないとどうにもならないなと考え破産を決意しました。その後、手続をしてもらいましたが、浪費で使ったお金が結構あったので、裁判所の審査期間は通常よりも結構、時間がかかってしまいました。

それでも司法書士さんの助けもあって、無事に手続を終えることが出来ました。今では決断して良かったと思っています。

○司法書士からのコメント○
破産原因に浪費がある人は結構います。むしろ、全く浪費が含まれていない人の方が珍しいかもしれません。それでも、ほとんどの場合、破産の審査は通ります。浪費といっても、借金の大部分が浪費とかでない限り、結構、裁判所は認めてくれるものなのです。

しかし、Eさんの場合は借金のかなりの部分が浪費で占められていました。これが裁判所の審査に影響して、開始決定が出るまでに、かなり時間がかかりました。具体的には、申立をしてから開始決定が出るまで5ヶ月近くかかりました。

個人再生ならば借金の原因は関係ありませんので、こんなことは起こらないのですが、Eさんの場合、再就職の会社で給料が下がってしまったので、個人再生を使えませんでした。何とか破産で審査を通すしかありません。

それで、病院から診断書をもらって、「うつ病」が原因で浪費になったのだから、情状酌量をして欲しいと裁判所に訴えました。そもそも、無茶な残業や休日出勤をさせていた会社が「うつ病」の原因なのだから、Eさんはむしろ被害者であるということも強調しました。その辺りが功を奏したのでしょうか、時間はかかりましたが、開始決定を得て手続を進めていくことが出来ました。

最近は破産手続が厳しくなる傾向があります。今回のケースも5年前ならば、問題なく通ったケースだと思います。破産は最後の手段ですから、あまり厳しくしてしまうのは問題のように思いますが、裁判所がそういう扱いをしている以上、プロとしては対応していくしかありません。今回のようなケースだと、「どこの事務所に行っても同じ」ということにはならない可能性が高いと思います。やはり、ある程度の経験が必要なケースもあるということです。

7月 19 2013

税金の滞納について

滞納にもいろいろありますが、その中でも税金の滞納は非常に特殊なルールが適用されます。いくつか、ご紹介しましょう。

まず税金は、たとえ自己破産しても消滅することはありません。ということは、税金とは物理的に支払いが不可能になったとしても逃れることは出来ないという恐ろしい性質を持っているのです。

と言っても、現実に収入も財産も無い人からは税務署も、取立てをあきらめるしかありません。ただ、それで滞納税金が無くなった訳ではないということです。もし、後に成功して支払い能力がある状態になったら、再び請求される可能性はあります。その時には延滞税という遅延損害金のような金額が、たっぷりと加算されていることでしょう。(ただし税金にも時効はあります)

ですから、税金を支払いの後回しにするのは得策ではありません。税金は最初に支払っておきましょう。

他には、税務署は裁判手続を経ることなく、税金の差押さえをすることが出来ます。これを法律用語で滞納処分と言います。

裁判もやらないで、いきなり差押さえが出来る訳ですから、これは強力な権限です。「税務署はサラ金より怖い」と言われる所以です。知らないうちに不動産登記簿に差押さえの登記が入っていたとか、銀行口座が凍結されたとか、充分に起こりうる事態です。

あと、本当に生活が苦しい人が税金の減額を受けられるか、という質問を良く受けますが、原則としては受けられません。何故なら、例え今は払えなかったとしても、請求されている税金は収入があった時に発生しているものだからです。本当に収入が無い人は、消費税などの間接税以外は、そもそも税金が発生していないはずです。

すると、もし減額したら、収入があった時に税金分を取っておいて支払った人との間に不公平が生じてしまいます。サラリーマンの源泉徴収は、これにあたります。たいていは多めに天引きされていて、年末調整で戻ってくるパターンです。

しかし、実際には、債務整理などの仕事をしていると、「税務署から電話がかかってきて、これから自己破産する旨を伝えたら税金をまけてくれた」という話をたまに聞くのは事実です。これは担当者の裁量でやっているものと思われます。ですから、人事異動などで途中で担当者が変わったら再び請求されるかもしれません。

3月 26 2013

自己破産解決事例④

主債務者である夫が破産して、その保証人になっていた妻が相談に来られたケースです。

Aさん、女性、30代
借入先1社、 借入総額約1500万円

夫が事業をしていて、その事業が途中からうまくいかなくなったようで(私は別の会社で働いていたので、夫の事業については良く知りませんでした)、いろいろ相談した結果、離婚することになりました。

しばらくは親戚の家にやっかいになっていました。子供を引き取ったので子育てと仕事に夢中で夫のことは考える余裕がありませんでした。そんな時、銀行から人が来て、「ご主人が破産しました。奥様が保証人になっていますので、今後は奥様に請求することになります。支払計画を聞かせてください」と言われました。

いきなりだったので驚いてしまい、夫に連絡しましたが、つながりません。私は保証人になったことなど、すっかり忘れていましたが、そう言えば、そんな契約書を書いたかもしれないと思い出しました。

離婚したことを伝えましたが、銀行の人は「それは関係ありません。奥様が保証人であることは変わりません。」と言われました。ただ、私の様子を見て、「もし支払いが無理そうなら、早めに法律家に相談に行ってください」とも言いました。(今、考えると親切な対応ですね。払えないまま放置される方が、銀行としては困るということなのでしょうか)

金額は1000万以上で、今の私にはとても返済できるものではありません。観念して自己破産をすることを決意しました。

ネットで自己破産のできる事務所を探すと、割と近いところに経験のありそうなところが見つかりましたので、すぐに相談に行きました。事情を話すと、やはり自己破産しかない、あなたの場合は保証債務だから審査も通りやすい、と言われ、その場で依頼しました。

数ヵ月後、無事、手続は終わりましたが、それにしても、保証人にはなるものじゃないと、つくづく思いました。すぐに引き受けて頂いた先生には感謝しています。

○司法書士からのコメント○
保証人になった人は本当に気の毒だと思います。ご自身のために借りた借金なら、まだあきらめがつくでしょうが、保証人の場合、自分では1円も使っていない借金の肩代りをさせられるわけですから。

その代わり、裁判所も事情はくんでくれて、通常の借金よりは審査は通りやすいと言えるでしょう。

今回のケースでも、免責決定が出るまで非常に早く、特に追加書類や反省文などを求められることもありませんでした。(自分が使ったわけではないので、反省することも特に無いのは当然と言えば当然ですが)

反省文とは、借金の使い途に浪費やギャンブルなどがある場合、裁判所が債務者に書かせる書類です。本人が直筆で書くことが条件なので、司法書士や弁護士が代筆することは出来ません。裁判所としても、反省文くらいは本人に書いてもらわなければ、本人は何もしないで破産ができてしまうのは良くないと考えているようです。(逆に言えば、反省文で破産が認めてもらえるなら親切な対応だ、とも考えられます)

このように、保証人として請求されてしまった人は、気の毒ではありますが、自己破産を決断した時は割とスムーズに解決します。今の自分に無理な支払いだと思ったら、法律家に相談してみてください。

3月 05 2013

自己破産解決事例③

岐阜県から来られた方です。一度、岐阜の法律家に依頼したところ、任意整理で受任され、途中で無理だと言われ辞任されて(非常に無責任な対応だと思います)、探した末に相談に来られました。

Mさん、男性、20代
借入先14社、 借入総額約1000万円

入社した当初は会社の景気が良く、給料も割りともらっていて、まだ結婚もしていなかったので、派手にお金を使うくせがついてしまいました。

車にとても興味があって、前から自分の車が欲しいと思っていたので、社会人になって自分の給料をもらうようになったら、すぐにローンを組んで車を買いました。

そのうち、そのままの車では満足できなくなって、いろいろなパーツを買っては交換したり取り付けたりをするようになり、車のパーツは結構、高額なので給料日までにお金が足りなくなることも出てきて、社会人になってから作ったクレジットカードでキャッシングをするようになりました。(パーツもクレジットで買うようになりました)それでも、給料が順調に上がっていたので何とかなっていました。

ところが、会社の景気が悪くなってきて配置転換を命じれました。今までよりも給料が下がり、途端に返済が苦しくなりました。月末になると、返済のために新たなカードを作り、返済のための借入をするようになりました。

わりと有名な会社に勤めていたせいで新規のカードの審査は次々と通りました(貸出規制が始まる前のことです)。借金の総額はふくらんでいきましたが、返済は何とか出来ていたので、まだ危機感は感じていませんでした。

しかし、ある時から、新規のカードの審査が通らなくなりました。あまりにも借入額が大きくなりすぎたためのようです。一気に返済に行き詰まり、どうして良いか分からずパニックになりました。地元(岐阜県)の法律家を探して相談に行ったところ任意整理という手続きをすすめられ、取立てが止まるから安心してと言われ、着手金として10万円払いました。

ところが、しばらくして法律家から電話があって、「任意整理は無理だから辞任します。別の法律家を探して下さい」と言われました。「じゃあ、最初に払ったお金は返してくれるんですか」と聞いたら、着手金だからと言って返してくれませんでした。苦しい時に無理して工面したお金なのに無駄になってしまい、本当に落ち込みました。

もう地元はこりごりだと思い、多少遠くても名古屋の方で探しました。今度は、いろいろなホームページを見て少しは自分でも勉強して、自分は自己破産しかないんじゃないかと考え、自己破産をきちんとやってくれそうな事務所を探しました。

新たな事務所を探しているうちにアイフルから訴えられてしまいました。裁判所からの書類が家に届いて急がなければと思い、自分で探した名古屋の事務所に相談に行きました。

そこで自己破産の具体的な説明を聞き、ようやく安心しました。ただ、自分は訴えられているので、通常よりも急ぐ必要があると言われ、事務所の指示通り、必死になって書類を集めました。

一時はどうなるかと思いましたが、何とか自己破産の申立てをして、訴えられた裁判も取り下げてもらい、危機を乗り切ることが出来ました。その後、無事、免責決定も出て、ようやく本当の意味でほっとすることが出来ました。もう二度とこんな思いはしたくないので、今後は節約に努めたいと思います。

○司法書士からのコメント○
とにかく、業者の数が多いのと、借金の総額が高額だったのが印象に残っています。よほど与信が高かったのでしょう。相談に来られた時に一目で破産しかないと判断しました。

それにしても、こんな高額な借金で、しかもショッピングが多かった訳ですから任意整理で解決できるわけがありません。最初に受けた法律家は、あまりにも経験が無いか、それともひどく無責任かのどちらかでしょう。(あえて名前は出しませんが)

既に訴えられていましたので、申立が遅れると給料の差し押さえなどを受ける恐れがありましたから急ぎました。裁判は、なるべく引き伸ばして、破産予定だから取り下げるように業者にも裁判所にも説得しました。それでも申立までは取り下げてもらえなかったですね。

現在は貸金業法が改正されて貸出規制がありますから、ここまでの高額な借金はしたくても出来ないでしょう。そういう意味でも記憶に残る事例でした。

2月 14 2013

自己破産解決事例②

ご主人と別居状態になって、生活費が入らず借金に頼ったケースです。(このパターンの自己破産は結構あります)

Sさん、女性、40代、子供2人
主婦、パート
借入先5社、 借入総額約250万円

夫は元々、建設業の一人親方で、収入も多いときは50万くらい、少ない時でも20万くらいはありました。しかし、折からの建設不況で収入が減少し月に10万も稼げないことも珍しくなくなりました。

それで生活費が足りなくなり私もパートに出るようになりましたが、まだ小さい子供がいた為に、それほど多くの時間は働けません。だからといって子供を預けると、その為の費用がかかってしまい、結局、家計の足しになりません。

そんなこともあって消費者金融から借金をするようになりました。最初は抵抗もあったのですが、何度も出し入れをしているうちに借入限度額が何だか銀行口座の残高みたいに思えてきて、借金をしているという感覚が薄くなっていきました。

家計が苦しい時に限って何故だか悪いことが重なるもので、娘の携帯の代金が30万円という途方もない金額の請求が来ました。どうもパケット放題の契約になっていなかったようなのです。携帯会社に説明不足じゃないかと文句を言いましたが聞き入れてもらえませんでした。

また、同じ時期に私が車の事故を起こしてしまいました。自損事故で他人に迷惑はかけなかったのですが、車両保険に入っていなかったので、修理代に50万近くかかりました。田舎に住んでいたので、車がないとパートにも行けません。

ただでさえ苦しい時に、こんな臨時出費は痛すぎました。更に借金の額は増えてしまい、さすがに返せなくなるんじゃないかとあせり始めました。

建設不況は更に深刻になり、夫の仕事は、ほとんどなくなりました。たまに仕事があっても、生活費には入れてくれなくなりました。生活が苦しいと私が言うと、夫は「それなら自分は実家に、しばらく住むから」と出て行ってしまいました。

もはや、パートだけで借金を返しながら生活していくのは無理だと思い、ネットで探して司法書士に相談しました。法律家に相談に行くなんて人生で初めての経験なので、すごく緊張しました。こんなに借金してしまって、だらしがないと怒られないかと心配でした。

しかし、実際に相談してみると、「あなたみたいな人は珍しくない。借金の額も特に多いほうではない」と言われて少しほっとしました。

先生は、「あなたは収入が少ないし財産もほとんどないので、自己破産しかないと思う。ただし、ご主人が事業主なので、管財事件にならないかだけが心配だ」と言われました。管財事件になると、裁判費用がすごく高くなるそうで、到底、今の私には支払えそうにないからです。」

破産書類を裁判所に出してもらって、しばらくすると、案の定、裁判所から管財事件の打診があったことを知らされました。私は裁判所に呼ばれることになり、そこで、前もって先生に言われたとおり、窮状を裁判官に訴えました。「管財事件になったら私は破産をあきらめなくてはならなくなります。何とかして下さい。」と。

しばらくすると、裁判所から同時廃止で処理するという決定が来ました。私は非常に喜びました。その後はスムーズに手続は進み無事に免責決定も頂きました。そして、先生のすすめもあって、結婚後に疎遠になっていた両親のところに行ったところ、しばらくは援助してもらえることになりました。親身になって相談にのってくれた先生には本当に感謝しています。

○司法書士からのコメント○
ご主人が生活費を入れなくなったことで主婦が破産するケースは割とよくあります。この場合、主婦は被害者なので裁判所もスムーズに免責を認めてくれることが多いです。
その点は問題なかったのですが、この人の場合、ご主人が事業主だったので(と言っても一人親方なので、裁判所の取り扱いは厳しすぎると私は思いますが)、管財事件になるかもしれないということが唯一のネックでした。
しかし、現実問題として管財の預納金の支払能力は無い人なので、その事を積極的にアピールするように伝えた上で裁判所に行ってもらいました。
本人の必死の訴えが届いたようで、無事に同時廃止で処理されることになりました。本当に良かったと思います。

☆管財事件とは
 破産管財人が選任される事件。破産者が事業主であったり、法人であったりした場合は基本的に管財事件になる。近年は判定が厳しくなり、配偶者が事業主の場合にも適用されるケースが増えてきている。
裁判費用に管財人の報酬が加算されるので高額になる。通常は40万くらい。裁判官の裁量で金額が下がることもあるが、それでも同時廃止事件と比較したら何倍も高額である。

1月 23 2013

自己破産解決事例①

住宅ローンの滞納が半年くらいあり、住宅を任意売却した事例です

Nさん、男性、住宅ローン有り
50代、無職
借入先 5社、 借入総額 3500万円(住宅ローン含む)

勤めていた会社が倒産したことが、きっかけで、それまで支払えていた住宅ローンが払えなくなり、最初のうちは何とか住宅を守ろうと、以前からパチンコ代などを少額借りていた消費者金融から、限度額一杯まで借りて支払っていました。

しかし、年齢もあって、なかなか就職先が決まらず、そのうち生活費も足りなくなって、住宅ローンを滞納するようになりました。しばらくは銀行も何も言ってこなかったのですが、ある日、銀行から「このまま放置されると保証会社に債権が移転します。」と通知が来ました。

私は、あわてて銀行に電話して、保証会社に債権が移転すると、どうなるのでしょうか、と聞くと銀行は「保証会社は厳しいですから、近いうちに競売になるかもしれません」と言われました。

しかし、現状では、滞納分を支払える目処は全くありません。ここに至って、「どうせ住宅が守れないなら、もう破産してしまおう」と考えるようになりました。既に子供は独立しており、妻とも離婚していましたので、覚悟を決めたら、住宅ローンなど無い方が、むしろ身軽でいいかもしれないと思ったのです。

幸いに、以前、他の仕事でお世話になった司法書士さんがおりましたので、そこに破産手続きを頼むことにしました。聞くと、破産には2種類あって、費用が高くて期間も長い管財事件と、費用が安く期間も短い同時廃止事件があるそうです。当然、私は同時廃止にして欲しいと頼みましたが、どうやら条件があるようです。

その条件とは、不動産がある場合、固定資産税評価額(市役所の税務課で取れます)の土地の分を2倍、建物の分を1.5倍にして、両方の金額を足したものと、住宅ローンの残債務を比較して、住宅ローン残債務額の方が高ければ、同時廃止が認められるということでした。

私は祈るような気持ちで市役所に行き、固定資産税評価証明書を取って計算してみたところ、幸いなことにローン残高が上回っていました。借金が多くて、うれしかったのは、この時くらいです。すぐに司法書士事務所に報告して同時廃止手続に着手してもらいました。

無職だったこともあり、めぼしい資産は不動産くらいで、手続は割と順調に進んでいきました。ただ、不動産がいつ無くなるのかということは気がかりでした。引越しをする必要があるからです。銀行からは早く売却してくれと言ってきます。

司法書士に紹介してもらった不動産業者に依頼して売却先を探しました。どっちみち私に入ってくるお金はないので、どこに売っても構わなかったのですが、何しろ貯金が無いので、引越し代だけは確保して欲しかった。それだけを不動産業者には言いました。

しかし、不景気の真っ只中だったので、なかなか買い手がつきません。結局、破産手続きの方が先に終了してしまいました。銀行は最早、不動産の売却代金以外からは回収できないので、あまり相場より安い金額ではOKを出しません。

結局、破産手続きが終了してから3ヶ月近くたってから、ようやく売却が決まりました。私は引越し代も確保できて、以外に長い期間、元の住宅に住むこともできて非常に助かりました。

会社が倒産してからは本当に暗い気持ちで暮らしていましたが、今は借金も無くなり、意外とさっぱりした気持ちでいます。覚悟を決めて良かったと思っています。

○司法書士からのコメント○
住み慣れた住宅を失うのは誰でもつらいものです。その為、つい決断が遅れてしまう人が多いのですが、遅れれば遅れるほど事態が悪くなることが多いのも事実です。

今回のように失業して、早期の再就職の見込みが立たない場合、住宅ローンを返済し続けるのは正直言って難しいでしょう。やはり自己破産を決断されて正解だと思います。(無職の場合は個人再生は利用できません)

今は不動産の価値も下がっている時期なので、逆に言うと、債務者に有利な同時廃止事件で処理できる件数が増えています。ものは考えようで、価値が下がっている時には破産も、それほど負担にはならないということです。

破産して借金の不安を無くした上で就職活動をした方が、精神的にも安定しますし、良い結果をもたらすのではないでしょうか。(実際に、この人は、破産終了後の割と早い時期に就職が決まっています)

10月 03 2012

生活保護と自己破産

長引く不況のため、生活保護の申請をする人が増えています。最近、何かとマスコミで話題になっている生活保護ですが、もちろん、不正受給は非難されて当然です。これについては厳しく取り締まる必要があるでしょう。

しかし、一方で本当に必要な人には、きちんと受けられるようにするのも重要なことです。ようはバランスの問題ですね。「生活保護など無くしてしまえ」というのも極端で間違っていると思いますが、逆に、「審査を甘くして、片っ端から通してしまえ」というのも同じように極端で国民の理解を得られないでしょう。

ここでは借金と生活保護の関係について説明してみたいと思います。結構、知られていないのですが、借金をかかえていると生活保護が受けられないのです。これは、明確な理由があって、生活保護は、あくまで本人の生活のためにつかってもらう費用なので、借金の返済にあてることは禁じられているのです。

まあ、考えてみると、借金の返済とは金融機関に、お金が移転することですから、せっかく、生活保護を与えても、それが右から左へ金融機関に払われてしまったら、何のために国家は生活保護を払っているのか分からなくなってしまいます。この点は、ご理解頂けるのではないでしょうか。

では、借金がある生活困窮者は、どうすれば良いのかというと、債務整理をすることになります。実際に、役所の窓口では、申請に来た人に借金があると、法律家に頼んで債務整理をしてもらって下さい、と言います。まずは借金を無くしてから、改めて申請に来て下さいということです。

この場合の債務整理とは、完全に借金が無くなるような整理のことを指します。従って、多くの場合は自己破産になるでしょう。もちろん、過払金が発生していた場合も借金は無くなりますが、この場合は、新たに過払金が返ってくるので、生活保護を受ける必要がなくなる可能性があります。

このように生活保護と自己破産というのは、結構、切っても切れない関係にあるのです。

9月 12 2012

会社破産③ 取締役全員の同意

会社破産をするには取締役全員の同意が必要となります。会社には様々な手続がありますが、通常は取締役の過半数とか株主総会の過半数とかで決定することが多いです。全員の同意が必要というのは、かなり珍しいケースで、それだけ重要な決定ということでしょう。(まあ、会社を廃業するのと同じことですから、これ以上、重要な決定は無いとも言えますが)

ちなみに重要な決定ですが、株主総会の決議は必要とされていません。ようは株主には知らされずに破産の準備は行われることになります。前のブログにも書きましたが、会社破産は迅速さが求められます。同時に出来る限り秘密に進めていく必要もあります。この迅速と秘密を考えた場合、株主総会などやっていたら、とても破産など出来ません。株主は取締役と違って、会社によっては膨大な数がいますので、召集するのにも時間がかかりますし、召集の過程で多くの人間に知られることになりますから。
そして、何より、これから破産する会社の株を持っている人はいませんので、投売りが始まってパニックになってしまうでしょう。

従って、株主から見ると理不尽のように見えますが、株主には何も知らされずに会社破産は準備されるのです。

一つ疑問なのは、取締役の中に株主がいた場合は、その人は当然、知っていることになります。この人は合理的な行動としては、即刻、全株式を売るでしょうが、これは果たして許されるんでしょうか。何だかインサイダー取引になるような気がするんですが、どうなんでしょう。

現在の会社法では取締役会を設置する会社と設置しない会社の両方が存在します。設置する会社の場合は、単純に取締役会を開いて全会一致で決めれば良いのですが、設置しない会社の場合は、取締役全員の同意書が必要になります。これは、持ち回りでも構わないので、全員から同意した旨の書面をもらっておくのです。

現実には、突然、切り出された場合、紛糾して収拾がつかなくなる可能性が高いので、事前に根回しをしておくことが必要でしょう。一人でも反対したら破産は出来ない訳ですから、きちんと説得した上で必ず同意してもらう状態でのぞむことが重要です。

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