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臨時ニュース 武富士その後⑧

明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。

さて、新年の一発目が武富士から始まるとは今年も、お騒がせな会社です。

昨年末にスポンサー企業であった韓国A&Pファイナンシャルが急遽、資金繰りがつかないということでスポンサーを降りてしまう事件がありました。(更正決定が出た後にスポンサーを降りるなど、スポンサー企業側にも問題があることは間違いありません)

案の定、大混乱に陥った武富士側ですが、当初予定していた12月の配当金の支払いは中止となりました。

そこで、新たなスポンサー探しを始めた訳ですが、年の押し迫った12月28日に新しいスポンサーが決定したようです。Jトラストという会社です。

ところが、武富士の責任を追及する弁護士の団体が、この新たなスポンサーによる会社更生に対して取消を求める申立を東京地方裁判所に提出したようです。

理由は今回のスポンサーの変更によって、武富士に支払われる対価が30億円ほど減額になるらしいのです。これは文字通り過払債権者に支払われる分配金に大きな影響を与える可能性が大です。

従って、改めて関係人への説明集会の開催や、再度の書面投票が必要だと主張している訳です。

まあ、スポンサー企業の変更という会社更生の根幹に係わるような出来事が起こった訳ですから、「もう一度、債権者の信を問え」というのは説得力のある主張でしょう。

果たして、どういう結末になるのでしょうか。今年も武富士からは目が離せそうにありません。

 

債務整理一般|2012年1月 4日

民事訴訟の基本③ 被告の対応

さて久しぶりに民事訴訟の基本の続きです。本日は訴えられた場合の被告の対応について話しましょう。

訴える側の原告は準備万端整えて、いざという覚悟で訴状を出します。従って、心の準備は充分すぎるほど出来ています。これに対して被告は、ある日、突然、訴状が郵送されてきます。もちろん、その前に内容証明郵便が来たり、原告や原告の代理人から電話などで請求されていることが多いので、突然というのは言い過ぎかもしれませんが、大半の人が実際に訴えられるまでは、「いくらなんでも本当に訴訟まではしてこないだろう」と、たかをくくっていることが多いものです。そういう意味では原告に比べて心の準備が出来ていないと言えるでしょう。

そこで最も、やってはいけない対応が放っておくことです。前回でも言いましたが、被告が何もしないで放っておくと原告の主張を全て認めたことになってしまいます(民事裁判における自白)。結果は、原告の全面勝訴で判決書が郵送されてくることになり、更に放っておくと次に差押が来る可能性が高いです。

従って被告が取るべき対応は答弁書を書いて裁判所に2通送ることです(裁判所の分と、原告の分の合わせて2通。1通は裁判所が原告に送ってくれる)。

原告と被告の双方に弁護士や認定司法書士がついている場合は、直送といって裁判所に1通、相手方に直接1通送ることが多いです。しかし、一方が一般人の場合は裁判所に2通送ることが多いです。

答弁書の内容は、だいたいが定型の書式で決まっています。ここで書くと長くなりすぎるので省きますが、簡単に言うと、「原告の請求を棄却する旨の判決を求める」ことと、原告の請求原因をとりあえず全て否認しておくことです。

ここで大切なのは、例え原告の言うとおりだなと思うところがあっても、とりあえず全て否認して構わないということです。ある意味、時間かせぎです。

正直な一般の日本人の感覚だと、ウソをつくことになるけど、裁判でそんなことをして大丈夫か、と思うかもしれません。しかし、裁判実務では良く行われていることです。裁判官も特に気にしません。

そもそも、裁判とは、必ずどちらかがウソをついているか、勘違いしているかなのです。双方が正しいということは、ありえません。にもかかわらず、お互いに自分こそが正しいと思っているから裁判になっているのです。従って、相手の主張を否定するのは、むしろ当たり前で、全部、認めるなら、原告は訴える必要は無いはずだし、被告は裁判になる前に支払ってしまえば良かったはずです。

また、被告は原告に比べて準備が出来ていないことが一般的なので、大半の被告は一回目の口頭弁論には出てきません。簡単に言うと、答弁書だけ出して1回パスできる訳です。(答弁書が提出されずに欠席すると自白になりますので、答弁書が出ていることが欠席の条件です)

こうやって原告に比べて準備不足の点を、パスした時間で埋めるのです。この時間を使って、一生懸命、作戦を練りましょう。

以上のようなことは、弁護士や認定司法書士では常識ですが、一般の人は、ほとんど知らないでしょう。だから、訴えられると、ひたすら、あわててしまって失敗することが多いのです。

債務整理一般|2011年12月22日

臨時ニュース 武富士その後⑦

順調に行くと思われた武富士の会社更生に危険信号が灯り始めました。予想外の展開です。

名乗りをあげていた韓国のスポンサー企業からの買収予定額の追加の入金が、ここにきて滞っているらしいのです。

何故、韓国のスポンサー企業の入金が滞ったのか詳しい事情は分かりませんが、一説によると、スポンサー企業自体が韓国国内で問題を起こしていて、そのことについて韓国で追及を受けており日本企業のスポンサーになっているどころではないという話しも聞こえてきています。(真偽のほどは分かりません)

いずれにしても、武富士にとっては予想もしない展開になっています。賛成多数で会社更生が決定してからは12月中に配当金を支払うと公言していたにもかかわらず、スポンサーからの入金が無い状態では最早12月の支払いは難しく延期は必至の状況です。そもそも延期したから支払える保証も無いのです。

配当金を支払うことが会社更生の条件ですから、武富士は新たなスポンサーを見つけなくてはなりません。果たして今から見つけることが出来るのでしょうか。

私の個人的な意見としては他の消費者金融に与える影響も考えると(過払金カットによる逃げ切りを許してしまうから)武富士には破産してもらいたいと考えていますので、ひょっとしたら破産に向かう可能性もあるのかなと期待してしまいます。

武富士に関しては全く余談を許さない展開になってきました。しばらく、武富士から目が離せません。

債務整理一般|2011年12月14日

出会い系サイト被害

最近、出会い系サイト被害の相談を受けました。サイトを利用した後、確かに解約手続をして解約の画面も表示されたのに、その後もクレジットの請求が毎月、止まらないというものです。

一口に出会い系サイト被害と言っても内容は様々です。上記のようなケースもあれば、画面が「無料」と表示されていたのに後から料金を請求されたり、あるサイトに登録したら全く関係のない別のサイトに勝手に登録されていたり、退会したいと申し込んだら多額の違約金を請求されたりと色々です。

このようなサイトは、ほとんどが怪しい悪質サイトですが、かなり多くの人が泣き寝入りをして、お金を払って、そのままにしているようです。

特に問題を複雑にしているのが、クレジットの利用です。利用料金の支払は、ほとんどの人がクレジットを利用しています。この方がサイト運営会社も料金が取りやすいからです。しかし、クレジットには意外な落とし穴があります。それは、サイト運営会社とクレジット会社とは全くの別会社だということです。

これが原因で、被害を受けたサイト運営会社に対するクレームをクレジット会社に対して言っても取り合ってくれないことが多いのです。クレジット会社の言い分は「ウチは支払の代行をしているだけなので、文句はサイト運営会社に言ってくれ」ということになります。まあ、一応、理屈はとおっています。だから、やっかいなのです。

しかし、被害者からすれば、金を引き落とされるクレジット会社が一番、困るわけです。

今回のケースではクレジット会社と交渉することによって支払をストップすることが出来ました。しかし、いつも簡単に済むとは限りません。特に最近のクレジットは直接、加盟店と契約している訳ではないケースが多いので、やっかいです。では、実際に加盟店と契約しているのは、どこかと言うと、それを決済代行会社と言います。

決済代行会社はクレジットの明細に書かれている場合もありますが、書かれていない場合も結構あります。書かれていない場合は探すのが非常にやっかいですし時間もかかります。

このように、なかなか大変な出会い系サイト被害ですが、粘れば何とかできる場合も多いので困った場合は専門家に相談してみましょう。

債務整理一般|2011年11月29日

裁判所の特徴⑥ 名古屋地方裁判所民事第2部

前に名古屋地方裁判所は、いくつかの部に分かれているという話をしました。しかし今回、取り上げる民事第2部は他の部とは明らかに異なっています。それで単独でタイトルをつけて説明することにしました。

民事第2部は別名、民事執行部とも言います。他の民事部は訴訟を担当する部なので裁判官の考え方のクセのようなもので多少の違いはありますが、やっていることは訴訟の進行ということで共通しています。ところが、民事第2部に関しては、そもそも訴訟を取り扱っていないのです。

第2部で扱っているのは、強制執行に関する業務(差押のことです)と、あとは破産や民事再生に関する業務です。従って、債務整理に関わっている司法書士にとって民事第2部は非常に良く訪れる場所だということになります。

そして、民事第2部は、他の民事部とは建物自体が別棟になっています。これは、全く系統の違う仕事をしているのが一つの理由で、あとは他の民事部よりも取り扱っている事務の量が膨大であることも理由になっているでしょう。(職員も多勢います)

私の知る限りでは東京地裁と大阪地裁も同じように民事執行部が独立して他の建物になっています。名古屋は同じ敷地内の別棟ですが、東京や大阪は全く別の住所の建物に入っています。従って、東京や大阪で破産や差押の書類を持って、地方裁判所を探して行ってみたら、全然別の場所を指示されたということがありうる訳です。(もちろん、きちんと検索すれば、ちゃんとホームページに載っていますが、最初から同じ場所にあると思い込んでしまう人も当然いるでしょう)

ただ、名古屋でも建物が独立して別になっているのは本庁だけです。支部になると訴訟と同じ建物の中にあるのが普通です。

本庁の第2部の建物の最上階に破産係と再生係が入っています。仕切りを一つ挟んでいるだけなのですが、驚くほど交流がありません。情報交換のようなことも、ほとんど行われていないようです。

ですから似たようなケースでありながら破産係と再生係で取り扱いが違ったりします。(例えば、賃貸住宅の敷金が破産係では財産には含まれないのに、再生係では財産に含まれるとか) この辺りが、いかにも役所の縦割りという感じで、融通が利かないなあと思います。

 

債務整理一般|2011年11月21日

民事訴訟の基本② 要件事実

基本と言いながら「要件事実」という専門用語のタイトルで面食らった人もいるかもしれません。しかし、この要件事実だけは例え専門用語を使っても民事訴訟にとって避けては通れない部分なのです。

民事訴訟の訴状は要件事実に従って作成されます。要件事実が、きちんと書かれているかどうかで訴状の良し悪しが決まります。素人が訴状を書くのが困難な理由は、この要件事実が、よく分かっていないからである場合が、ほとんどです。裏を返せば要件事実を、きちんと理解できれば素人でも、そこそこの訴状を書くことは可能です。(もちろん、そんなに簡単なことではありません。だからこそ、法律家というものが存在するわけです)

ある出来事を訴状に書く場合、どのような法律を適用すべきかを考え、更に適用する法律が決まったら現実の出来事を法律に置き換えると、どのように表すことが出来るかを考えます。

その際、各法律によって、どのような事実があると権利が発生するかを表したものが要件事実と言います。

恐らく、抽象的で分かりにくかったと思いますので、具体的に、お金の貸し借りを例にして説明してみましょう。

お金の貸し借りのことを金銭消費貸借契約と言います(略して金消契約と言います)。よく銀行のローン契約書に金銭消費貸借契約書と書かれていますので、ご存知の方も多いと思います。金消契約は民法587条に記載されていますので、請求する根拠は、この法律になります。

では金消契約が成立する為の要件事実は何かと言うと、次の2つになります。

1 返還の約束が当事者の間にあったこと。

2 金銭が相手方に交付されたこと

何だ当たり前じゃないかと思われた方がいるかもしれませんが、これが実は当たり前ではありません。例えば売買契約の場合は、2番目の目的物の交付は要件事実にはなっていません。従って、売買契約の訴状を書くときは目的物を相手に渡したかどうかは訴状に書かなくても良いということになります。(相手方の反論を防ぐ為に書いておいても構いません。しかし、絶対に必要な訳ではないということです)

しかし、金消契約の場合は2番目の金銭の交付が訴状に書かれていなかったら、そもそも権利が発生する根拠が無いと裁判所に判断されて、門前払いの可能性が高いでしょう。

このように要件事実とは各法律によって異なっています。それぞれの法律に照らし合わせて適切な要件事実を見つけ出して、不足の無いように訴状に書いていく必要がある訳です。

そして、以前のブログにも書きましたが、要件事実が確かにあったということは、原告に立証責任があります。ここが非常に重要なことです。裏を返せば、要件事実以外のことは証明できなくても裁判の直接の負けの原因にはならないということです。

この立証責任があるからこそ、何が要件事実で、何がそうでないかを確実に把握しておく必要があるのです。

要件事実の立証に失敗した場合(証拠が足りなくて証明できなかった場合)、裁判は原告の負けとなります。この場合、被告は裁判所で否定するだけで構いません。要件事実に関しては原告に立証責任がある訳ですから、被告はただ否定しているだけでいいのです。だから、原告に充分な証拠が無いと分かっている裁判の場合、被告の立場は非常に楽なのです。

ただし、原告が証拠無しでも勝てるケースが少しだけあります。それは、被告が裁判に欠席した場合と、裁判所に出席しても被告が何も反論しなかった場合、あとは答弁書という被告の提出する反論の書面を出さずに放っておいた場合です。

このように被告が何も反論する気持ちが無いという態度を示した場合は、原告の請求を全て認めたものとみなされてしまいます(擬制自白と言います)。刑事裁判では自白が証拠にならない場合もありますが、民事裁判における自白は絶対です。自白をしたら自動的に認めたものとして判決が書かれてしまいます。だから、民事裁判では被告は絶対に放っておいてはいけません。必ず反論しなければならないのです。(放っておいたら、例え架空請求であっても原告勝利で判決が出ます)

さて要件事実と立証責任については分かってきたでしょうか。次は訴えられた場合の被告の対応について考えてみましょう。

債務整理一般|2011年11月17日

臨時ニュース 武富士その後⑥

ついに武富士の会社更生に対する投票結果が発表されました。残念ながら結果は、「会社更生認可決定」となりました。非常に落胆しております。これで3.3%という信じがたい配当率が決定されてしまいました。

発表によると、過払債権者の同意率(賛成した割合)は何と88.07%となっています。これは、弁護士・司法書士が代理人となった案件とは、かけ離れた数字となっております。

私の知り合いの同業者に問い合わせても、ほとんどが反対票の方が多く(別に強制した訳ではありません。普通に説明した結果、反対の方が自然に多くなるのです)、むしろ数多くの一般債権者(弁護士・司法書士に依頼しないで武富士に申請した人達)が、武富士からの電話等による強烈な説得を受けた結果であろうと容易に推測できるわけです。(武富士は投票にあたって、かなりの電話攻勢をかけていたと聞いております。恐らく、一般債権者などに焦点をしぼって電話をしていたのでしょう)

私の事務所でも9割の人が反対を表明してきて、むしろ私自身は意外な結果だと受け止めていたくらいです。要は普通に武富士の立場や条件を説明して意見を聞くと、自然に反対の方が多くなる訳です。

まあ、直接、担当者と話して、低姿勢に泣き落としでもされると転んでしまう日本人の性質もあるのでしょう。こういう性質は時には人情深くて良い場合もありますが、反対に物事の本質を見失う結論を出してしまう恐れもあり、諸刃の剣と言えるでしょう。

他には会社更生が失敗して破産になると配当は0円になると担当者が説得していた例もあると聞いています。これが本当なら虚偽の説明です。破産になった場合でも会社の財産調査をして(恐らく破産の方が徹底的な調査をされるでしょう)、明らかになった財産から分配はされる訳です。もちろんスポンサー企業が存在しない分、少なくなる可能性もありますが、0円になるとは限りません。

なにしろ元が低い金額ですから、少なくなったとしても、たかが知れていると考えることもできます。それなら武富士を破産させて、きっちり責任を取らせたいと考える人が実際には、もっと多かったであろうと考えるのが自然ではないでしょうか

今回の認可決定により、傍観していた他の消費者金融は、「武富士は、うまいことをやった。我々も同じ手口で過払金をカットできるのではないか」と考え始めることは火を見るより明らかでしょう。今後、続々と会社更生や民事再生のラッシュが起こるのではないかと心配になります。

特に気になるのが、銀行の支援を受けていない大型消費者金融であるアイフルの動向です。以前から武富士の次はアイフルと噂が絶えなかったので、武富士が会社更生で生き残ったという知らせは、アイフルにとって大きかったのではないでしょうか。

皆さんは、アイフルのカウントダウンの声が聞こえてきたような気がしませんか。

債務整理一般|2011年11月 7日

差押④ 動産の差押

差押には大きく分けて、債権、不動産、動産があります。

債権とは請求権のことで、代表的には給料(従業員から会社への請求権)・売掛金(売主から買主への請求権)・銀行口座(預金者から銀行への請求権)などがあります。

不動産は説明が不要でしょう。いわゆる、土地・建物のことです。

これらに対して動産とは、簡単に説明すると、債権でも不動産でもないものと考えると分かりやすいでしょう。具体的には家財道具・持ち物は全て動産に含まれます。

以上3つの差押のうち、動産の差押は最も人気がありません。よく、映画やドラマではイメージが分かり易いせいか、動産の差押のシーンが登場します。家中の家財道具に赤い紙を貼っていく例のシーンです。ところが現実の実務では、あんなことはめったに行われないのです。

その理由の最大のものは、回収率が非常に悪いという一点につきます。そもそも換金して価値のある動産など、ほとんどの人が持っていないというのが現実だからです。(そんなものを持っている人は大抵、資産家ですから、そもそも差押の対象になることが少ないです)

皆さんも自分のこととして思い返してみれば、自分の持ち物で換金して、まとまったお金になりそうなものは、なかなか思い浮かばないのではないでしょうか。(今は金が上がっていますから、女性なら金を使ったアクセサリーぐらいでしょうか)

もちろん、金庫やタンスに現金がある人は、現金は動産になりますから差押の対象になります。しかし、まとまった現金を持っている人が差押の対象になることが少ないのは、換金して価値のある動産の時と同じことです。

また、もし、以上のような現金や価値のある動産を持っていたとしても、どこか分からないところに隠されてしまった場合、動産の差押で見つけ出すことは、ほとんど不可能です。

恐らく知らない人のイメージだと差押の執行官は税務署員のような人だと思われているのではないでしょうか。実は私も差押の現場に付き添うまでは、そのように思っていました。税務署員のように徹底的に隠し財産を調べ上げて時間をかけて追求していくのだろうというイメージです。

ところが、実際の動産の執行官は、ざっと建物の中を見渡したら、一言、二言、住人に聞いて、一応、押入れや戸棚や引き出しの中を開けさせて確認はしますが、奥までひっくり返して全て調べるようなことは基本的にしません。非常に表面的で事務的なのです。

これは、税務署員と執行官の勤務評価にかかわっていると私は思っています。

税務署員は文字通り、隠し財産を見つけて税金を余分に取ったら、それは税務署員の成績になります。ようは勤務評定に反映される訳です。おのずと彼らは頑張って探そうとする訳です。

一方、執行官の方は見つかっても見つからなくても一切、評価には関係ないと聞いています。こうなると、人間あまり一生懸命やらなくなるのは当然で、一通り調べて見つからなければ、それで終了となってしまいます。

以上、動産の差押が何故、人気がないのかを説明しましたが、一つだけ意味があるとすれば、それは相手に対する嫌がらせの効果です。

動産の差押は、債務名義(差押の根拠となる書類)を持っている人が裁判所に申し立てれば必ず始まります。見つからなくても何回も申し立てることは一応、可能です。

いくら見つからなくても、裁判所の執行官が何回も家に来て見回られるのは誰だって嫌なものです。しかも、裁判所は、いつ調査に来るかを事前に教えてくれる訳ではありません。(これは当然ですね、教えたら差押の意味がありません)

ある日突然、執行官がやってきて調査を始める訳ですから、税務署に比べて大雑把であっても、何回もやられたらプレッシャーになるでしょう。

まして、相手が事業主であった場合、仕事場に突然、現れるので、仕事の支障になる可能性があります。お客さんがいるところに来たら、相手にはかなりの重圧になるでしょう。

このような方法で相手にプレッシャーを与えて支払を約束させるというやり方もある訳です。(他の方法に比べて遠まわりで面倒ではありますが)

 

債務整理一般|2011年10月31日

臨時ニュース 武富士その後⑤

武富士の更生管財人(会社更生を取り仕切る役目のこと)が、武富士の元役員と大株主を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたようです。

これは表向きは、武富士の元役員や大株主にも会社倒産の責任を負わせるというものですが、素直に、そのように評価してよいかは疑問が残ります。

何故かというと、今まで武富士の更生管財人は、過払金債権者よりも武富士に味方していると見られていて、過払金債権者側の弁護士達からは批判の対象になっていたからです。

そのように見られていた更生管財人が一転して武富士の責任を追及する訴訟を提起した訳ですから、「これは何か裏があるのではないか」と勘ぐってしまうのも無理はありません。

予想できることとしては、武富士の会社更生を成功させる為には過半数の賛成票を集めなければなりませんので、賛成票を投じてもらう為にパフォーマンスとして武富士に責任追及をしているという疑いです。

この予想どおりだと仮定すると、管財人は真面目に武富士を追求する気はなく、適当なところで訴訟を終わらせてしまう可能性があるということになります。あるいは非常に低い金額で決着を図るかもしれません。(私は個人的には、予想どおりである可能性が高いのではないかと考えています)

もし予想が当たっていたとしたら、腹立たしい反面、そこまで武富士は賛成票集めに苦労しているのか、という見方もできます。

前回の丸和商事の件でも書きましたが、武富士の会社更生が成功するかどうかは、全ての消費者金融が注目しています。武富士の過払金逃れが、うまくいけば、今後、畳み掛けるように消費者金融の倒産が次々と起こってくるでしょう。(何しろ過払金をカットして会社が存続するのですから)

従って、繰り返しになりますが、武富士の会社更生は、丸和商事の民事再生と同じく、失敗することが好ましいと考える訳です。

 

債務整理一般|2011年10月18日

差押③ 銀行口座の差押

差押の中で給料の次に、よく行なわれるのが銀行口座の差押です。何故、給料や銀行口座が狙われるのかと言うと、換金の必要が無いからです。

給料や口座を押さえてしまえば、直接、現金を獲得することが出来ます。しかし、不動産や動産に対する差押の場合は、不動産や動産を現金に換金する作業が必要になります。換金作業では、時期による価格の変動もありますし換金による手数料も発生します。最悪の場合は二束三文で換金できないという可能性もある訳です。

このように有利な点が多い銀行口座の差押ですが、給料に比べて人気が劣るのは、給料よりも確実性が低いからです。

給料の場合は勤め先が分かれば、ほとんど成功します。時間はかかっても、いつかは回収できます。ところが、口座の場合は差し押さえた時点で残高が無ければ空振りになってしまうのです。

裁判で負けた相手は、ちょっと法律の知識があれば次には差押の危険があることを知っています。そうすると、銀行口座から現金を引き出してしまうという行動に出ます。これを事前にやられると口座の差押は、お手上げになってしまうのです。(この点、給料の場合は分かっていても防ぐ方法がありません。強いて言えば会社を辞めるしかないことになります)

ちなみに銀行口座を知られていないから大丈夫と思っている人は大きな間違いです。口座の差押は銀行名と支店名が書かれていれば裁判所は受け付けます(口座番号は不要です)。また、複数の銀行や支店が書かれていても構いません(費用は余分にかかりますが)。だから、裁判で負けた相手の近所の銀行の支店を片っ端から差押をするということも可能なのです。その中の一つでも当たっていれば成功です。

はずれた支店に口座自体が無かったとしても、それは手続的な問題にはなりません。そもそも差押とは、そういうものなのです。だから、確実でない情報をもとに、予想をして差押をすることは許されているのです。

あと相手が会社であれば取引銀行が分かっていれば(会社のパンフレットやホームページに取引銀行が書かれていることが多いです)、目ぼしい支店に一斉に差押をかけるという手段もあります。

このように銀行口座の差押は、一種、賭けのような部分が存在します。うまく残高がある口座にヒットすれば丸ごと回収できますが、残高が無ければ全くの無駄骨に終わる可能性もあるのです。この辺りが給料に比べて優先順位が低い原因だと思います。

債務整理一般|2011年9月27日

裁判所の特徴⑤ 名古屋地方裁判所岡崎支部

地方裁判所は都道府県に一箇所ですが、面積が広い都道府県の場合は一箇所だと不便になってしまうので、支部というのを設けている場合が多いです。

支部は名称からのイメージでは子会社のように思われるかもしれませんが、実際には独立した裁判所として機能しています。従って、支部と本庁で全く取り扱いが違うということも普通に起こります。

名古屋地裁岡崎支部は西三河と呼ばれる地域を管轄する地方裁判所ですが、名古屋地裁本庁(名古屋市の中心部にあります)とは色々な意味で異なる裁判所となっています。

債務整理を申し立てる人にとって最も大きな違いは個人再生の取り扱いでしょう。

個人再生を申し立てる場合、本庁では、かなりの確率で再生委員が付きます。この為、申立費用が約8万円ほど高くなってしまいます。もともと再生を申し立てる人は生活が苦しい訳ですから、この金額の差は大きいです。

他にも岡崎支部の個人再生では裁判所に呼び出されることがありません。書面審査だけで進んでいきますので、申立人の負担が非常に軽いのです。それに対して本庁では最低でも1回、再生委員が付いた場合は2回も裁判所に呼び出されます。

これだけ大きな違いがあるにもかかわらず、本庁の管轄地域と岡崎支部の管轄地域は隣あっているのです。私の昔の事務所は日進市にありましたが、その頃はちょうど双方の管轄の中間に近い地域で、両方の依頼人が多く訪れていました。そうすると同じ個人再生という手続をやっているのに費用や時間が大幅に異なることに強い疑問を持つようになりました。正直なところ、本庁管轄の人が申し立てる場合は一時的に岡崎支部の管轄に引っ越した方が良いのではないかと思う時もありました。

これ以外にも、最近、本庁で流行っている過払金訴訟の調停移行の問題でも大きな違いがあります。はっきり言って岡崎支部では調停に強制的に移されることはありません。通常訴訟として申し立てれば、そのまま訴訟として扱ってくれます。

これらの違いは何を意味しているかというと、ようするに弁護士が余っている地域か、そうでないかの違いなのです。

本庁の個人再生の費用が高いのも呼び出しが多くあるのも全ては再生委員が付くからです。再生委員のほとんどが弁護士です。また、本庁の過払訴訟が調停に回された時に調停委員に登場するのも、やはりほとんどが弁護士なのです。ようは弁護士が多くいる地域にある裁判所と、弁護士があまりいない裁判所の違いが明確に現れているという訳です。読者の皆さんは、この事実を知って、どのように感じられるでしょうか。

債務整理一般|2011年9月21日

民事訴訟の基本① 原告と被告

最近は法廷に行くと、いかにも素人に見える人が原告席に座って裁判官の質問に答えている姿を目にすることがあります。やり取りを聞いていると、そのほとんどが過払金の訴訟だと思われますが、素人の人達にも訴訟に関する関心を高めたという効果も過払金訴訟にはあったのかもしれません。

以前は素人が法廷に来る場合は、ほとんどが被告席での登場でした。原告は貸金業者、クレジット会社、携帯電話会社などで、未払いの返済金や電話料金などを請求されて放っておいたら自宅に訴状が届き驚いて法廷に来たというパターンです。従って、原告側に素人が座っているというのは本当に珍しいケースだったのです。

民事訴訟の場合、訴えた方を原告といい、訴えられた方を被告といいます。この被告というのは刑事裁判での被告人と間違われることが多いのですが中身は全然違います。

被告人は犯罪に対する容疑者ですが、被告は単に訴えれただけの存在です。日本の裁判では刑事裁判の場合、90%以上の確率で被告人は有罪になります(これはこれで民主主義国家としては問題だと思いますが)ので、何となく日本人は被告人というと悪い人のイメージを持ってしまいます。

本当は刑事裁判で有罪になるまでは被告人といえども犯人扱いしてはいけないという原則があるのですが、実際にはマスコミも犯人であるかのように報道しているケースもしばしばあります。

この被告人のイメージに引っ張られて民事裁判の被告も悪いイメージでとらえてしまう人が多いのですが、こちらは犯罪とは関係ありません(もちろん刑事裁判の被告人に対して新たに民事の損害賠償を起こした場合は、同一人物が被告人であると同時に被告になるケースもあります)。

法廷では原告が裁判官席に向かって左側に、向かって右側に被告が座ります。原告は自分の要求を訴状に書いて、その要求がどういう法律に基づいて請求できるか、また当てはまる法律の要件を満たす事実が存在していることを明らかにしなければなりません。(これが結構、専門知識がいるので原告側に座る素人が少ない理由になっていると思われます)

更に被告が反対してきた時に、事実が存在していることを証拠によって証明するのは原告の役目です。厳密に言うと被告が証明しなくてはならない事実もありますが、ややこしくなるので今は置いておきましょう。とりあえず、最初に証明しなくてはならないのは原告の方だと考えておいて下さい。だからこそ、世の中のあらゆる契約の場面で契約書が作成されるのです。何の為に契約書を書くのかと言えば、後で裁判になった時に原告は契約があったことを証明しなくてはならないからです。

裏を返せば、もし原告が契約書を持っていなかったら、分かりやすい例で言えば金を貸した原告が借用書を持っていなかったらどうなるか考えてみましょう。

裁判になった時に被告が、「私は金なんか借りてない、原告はウソをついている」と言ったとしましょう。この時に金を貸したことの証明は原告の役目です。その時に最も強力な証拠は契約書です。印鑑が押された契約書が出てくればウソをついているのは被告の方だと裁判所は判断するでしょう。でも原告が貸し借りの事実を証明できなかったら、裁判で負けるのは原告の方なのです。

ここで、おかしいなと思われた人がいるかもしれません。例え原告が証明できなくても、ウソをついているのは原告とは限りません。どちらがウソをついているか分からない状態のはずです。では何故、原告が負けるのかと言うと、それが民事裁判のルールだからです。これを立証責任と言います。

この点については長くなりますので、またいつか説明しましょう。

 

債務整理一般|2011年9月12日

差押② 給料の差押

差押の中で最も良く使われるのが給料の差押です。何故、良く使われるのかと言えば最も成功率が高いからです。

差押①でも書きましたが、差押とは実際には成功率が高くありません。(理由は差押①をご覧下さい) そんな中で給料の差押は数少ない非常に成功率の高い方法なのです。何故なら給料は貯金と違って、会社が本人に渡す前に差し押さえてしまえば、隠すことも使ってしまうことも出来ないからです。差し押さえる側にとって、これほど有利な条件はありません。(逆に裁判で負けた側にとっては給料の差押は最も注意しなければならないものです)

貸金業者は、お金を貸す時に必ず勤め先を聞いて書類に記入させます。これは、いざと言う時に給料の差押を可能にする為です。会社名と住所が特定されていれば(最悪、会社名さえ分かれば住所は調べられますが)、給料の差押が可能になるのです。そして契約書には、たいていの場合、「勤め先に変更があった場合は必ず知らせること」という条項が書かれています。これは勤め先が分からなくなると給料の差押ができなくなってしまうからです。

そうは言っても給料を差し押さえられたら生活が出来なくなってしまうと思われた人もいるでしょう。しかし、そこは法律も考えていて給料全額の差押は禁止されています。その額は毎月の給料の4分の1と定められています。ようするに差し押さえられるのは給料の4分の1までで、4分の3は受け取ることが出来るということになります。もっとも、高額の給料を受け取っている場合は法律の例外として、4分の1以上の差押が認められています。しかし、高額の給料を受け取っている人は、そもそも裁判で負ける前に支払ってしまう場合が多いでしょうから、現実には4分の1が適用されると考えておいて、ほとんど問題ないでしょう。

給料の差押が実行された場合、まず裁判所から会社に(公務員の場合は国や地方自治体に)差押の通知が届きます。本人に届くのは、その後です。通知を受け取った会社は毎月の給料から4分の1を差し引いて本人に渡すことになります。

4分の1だと、給料によっては、かなりの回数を重ねないと請求されている金額に届かない時もあります。しかし、法律の規定で差押を1回すれば請求金額に届くまで、ずっと差押の効力は持続することになっています。ようは1回差し押さえれば、全額回収するまで会社は毎月、4分の1を差し引き続けることになるのです。

一見、長時間かかるので効率が悪いように見えますが、それでも、あらゆる差押の中で最も良く使われるのは何と言っても回収が確実だからです。相手の会社が倒産するか、本人が退社でもしない限り必ず、いつかは回収できることになります。

最初に書きましたように差押は、もともと、あまり成功率が高くありませんから確実に回収できるというメリットは非常に大きいということです。

債務整理一般|2011年9月 6日

臨時ニュース SFコーポレーション倒産

消費者金融の倒産ラッシュが続いています。今回は、8月26日東京地方裁判所にてSFコーポレーション(旧三和ファイナンス)が破産開始決定を受けました。

最近では、消費者金融の倒産は珍しくありませんが、今回の特徴は破産であることです。今までは、クレディア・丸和商事の民事再生、武富士・ロプロの会社更生など倒産したといっても、会社を存続させる手続でした。しかし破産となると話は別です。SFコーポレーションという会社は解散して消滅することになります。

実はSFと言う会社は非常に悪質だった為に、今までに何度も債権者破産の申立をされていました。債権者破産とは会社ではなくて、会社に債権を持っている側(SFの場合は過払請求者)が、「この会社は債権(過払金)を払わないのだから既に破綻している」という理由で破産を申し立てることです。

ところが破産を申し立てられたSFは、その度に、どこからか金銭の都合をつけてきて一時的に過払金を払うことによって破産を免れていました。そして、ほとぼりが冷めた頃には、再び払わなくなるということを繰り返していたのです。(全く、あきれるほど、ケシカラン会社です) それが、ついに自ら破産を申し立てて開始決定が出された訳です。

破産となると、スポンサーを見つけて会社を存続させる民事再生や会社更生と違って、今あるSFの資産を処分して配当金を払うことになります。当然、配当金は微々たるもので、ほとんど期待できないと考えた方が良いでしょう。(その代わりSFという悪質な会社は、この世からなくなりますが)

まだ情報が入ってきたばかりなので、詳細なことが分かるまでに、しばらくかかるでしょう。追って、このブログでも報告していきます。

債務整理一般|2011年8月29日

臨時ニュース ホームページ更新

ホームページを大幅に追加・更新しましたので、お知らせします。より充実した内容になりましたので、どうぞ、ご覧下さい。細かい更新も加えると、ほぼ全てのページに渡っていますが、特に大きく更新されたのが、以下のページとなります。

1 Q&A

Q&Aの数を大幅に増加しました。債務整理に関することでは、かなりの疑問に答えていると思います。増加に伴って、分野別に目次を分けて検索しやすいようにしました。知りたい項目に、すぐにたどりつけるようになっていると思います。

2 最近の業者の状況

過払金返還請求における最近の業者の対応について新規にページを追加しました。過払金返還請求のページからボタンをクリックして参照して下さい。各業者の対応の違いは興味を持たれている人も多いのではないでしょうか。参考にして頂ければ幸いです。

3 ブラックリスト             

債務整理を考える時に、どうしても気になるのがブラックリストに関することだという人は多いと思います。こんな人達の疑問に答える為にブラックリストに関しても新規でページを設けました。トップページの上部のボタンで閲覧できます。ブラックリストに関しての知識を深めて下さい。

4 家計相談

不景気が長引いています。家計が厳しい家庭も多くなっていると思います。こんな時に必要なのが家計の管理です。健全な家計に近づけるには、どうしたら良いのか。そんな疑問に、お答えする為に新しく家計相談の業務を始めました。ファイナンシャルプランナーの資格を持った専門家が、あなたの家計を診断して解決方法を探ります。詳しい内容はトップページの上部のボタンをクリックして参照して下さい。

他にも細かい改定をしておりますので、一度、ご覧になったページでも、もう一度、読んで頂ければ、きっと新しい発見があるでしょう。                  

 

債務整理一般|2011年8月24日

裁判所の特徴④ 名古屋地方裁判所

地方裁判所は訴額が140万円を超えた場合の第一審の裁判所ですが、他にも簡易裁判所の判決に不服な場合に第2審として裁判をするところでもあります。

名古屋地裁は大都市に置かれていますので、かなりの数の裁判官が配置されていて部署もたくさんあります。部署のことを名古屋簡裁では係と呼びましたが名古屋地裁では部と呼びます。この部が名古屋地裁の場合、民事だけで10部もあります。(民事2部は執行専門なので、通常訴訟は扱いません)

しかも簡裁と違うところは、この部が更にイ、ロ、ハなどと呼ばれる係に分かれており、それぞれに裁判官が違うのです。また、これらの係が更に担当する書記官によってA、B、Cと分かれています。ですから、名古屋地裁の係属先を表す場合は、民事3部イA係などと宛先を書くことになります。(とても、ややこしいですね)

これだけ部署や係が、たくさんあると簡裁以上に係属する部署によって取り扱いにばらつきがあります。特に最近、問題があると思えるのは過払調停に関してです。名古屋地裁の場合、係属する部署によって半強制的に過払金請求が調停に回されてしまうのです。(もちろん普通に通常訴訟で受けてくれる部署もあります。しかし、前にもお話したとおり、こちらで部署を選ぶことが出来ません)

過払調停は特定調停とは違います(読者の方は勘違いしないで下さい。特定調停では過払請求は出来ません)。これは訴訟をするつもりで過払金返還の訴状を出したにもかかわらず、裁判所の意向で半強制的に調停に回されてしまう制度のことです。この制度に関しては私の回りにいる法律家で評価している人は、ほとんどいません。みな早急に止めるべきだという意見が大半です。

何故、これほど評判が悪いのかというと、最近の業者の状況を全く反映していないからです。例えば、今やかなりの数の業者が判決を取らないと回収が困難になっています。だとすると、そのような業者相手では話し合いを前提にしている調停では全く解決することは出来ません。結局、調停が不成立に終わって通常訴訟に戻されることになります。それなら、調停を行う意味は全く無く、むしろ時間の無駄ということになります。

もっと深刻な問題も起こっていて、調停が不成立に終わることを嫌がる調停委員が一部いて、そのような調停委員に当たった場合、訴訟になったら回収できる想定金額よりも、かなり低い金額で調停を結ばされてしまうというケースも報告されています。

では何故こんな評判の悪い制度を続けているのかと言うと、過払金請求が増えすぎた為に裁判所の負担が大きくなり、少しでも裁判所の負担を減らす為、というのが表向きの理由です。(仮に、この理由が本当だったとしても、国家機関が忙しいからという理由で国民の意向を制限することが許されるのでしょうか。そんなことを言ったら警察が忙しいことを理由にして捜査をしないことが許されることになってしまいかねません)

私は、これ以外にも、調停委員の多くは弁護士がやっていますので、裁判所による弁護士の仕事の斡旋という側面があるのではないかと疑っています。(もし、そうだとしたら、過払金請求者の負担によって、仕事を斡旋していることになりますから許せませんね)

そもそも国民の裁判を受ける権利は憲法によって保障されている権利です。国民が訴訟でやってくれと訴状を出しているのに、裁判所が国民の意向を無視して半強制的に調停に回してしまうのは明らかに問題があるでしょう。この点、名古屋簡裁の方が、まだ良心的で、簡裁では事前に調停を拒否した場合は最初から通常訴訟で進めてくれます。しかし、考えてみれば、簡裁の取り扱いは、ある意味、当然で、訴状を出した人が通常訴訟で進めて欲しいと希望を出しても聞きもせずに強引に調停に回してしまう、一部の名古屋地裁の裁判官の方が常識に反しているのです。

こういう問題がありますから、名古屋地裁に過払訴状を出す場合は、どこの部署に係属するかで非常に大きな影響を受けることになります。このような差は、本来あってはならないことですから、一刻も早く、過払調停制度は廃止されるべきだと思います。少なくとも名古屋簡裁のように当事者が拒否した場合は通常訴訟で行われるように改めるべきでしょう。

 

 

 

 

債務整理一般|2011年8月17日

臨時ニュース 武富士その後④

武富士の会社更生手続の中で最も注目を浴びていた弁済率が先月発表されました。何とたったの3.3%です。かなり低いだろうと噂はされていましたが、現実に発表されると各方面で衝撃を与えているようです。(もっとも衝撃を受けたのは過払金請求者ですが)

この発表を受けて先月末頃から弁護士事務所や司法書士事務所、または個人で請求された人は個人の住所宛てに、続々と投票用紙が郵送されてきています。

この投票用紙に武富士の会社更生に対して賛成か反対か(厳密には投票用紙の記載は同意か不同意)を書いて返送することになります。そして、金額ベースで反対(不同意)が過半数になると武富士の会社更生は失敗に終わることになります。(反対した人の頭数ではないようです)

もし失敗になった場合、武富士に残された選択は破産しかなくなります。ようは武富士という会社自体が解散により消滅するということです。武富士が会社更生を申し立てたのは会社を存続させる為ですから、破産になるのは何としても避けたいでしょう。

ということで、投票用紙が送られてきてから間髪いれずに、武富士から各事務所に(恐らく個人にも)電話攻勢がかけられています。中身は、「破産になったら3.3%も受け取れなくなりますから、賛成に(同意)投票して下さい」というものです。また、投票用紙と一緒に同封されている書き方の見本にも同意の方に丸がうってあるという念の入れようです。(もっとも、この見本については弁護士有志からもクレームがついているようですが)

私の事務所にも複数の投票用紙が送られてきて、それぞれ依頼人に対し、「少しでも良いから回収したいのであれば賛成に、こんな低い金額なら武富士を懲らしめてやらなくては気が済まないという考えなら反対に、というのが投票の目安ではないでしょうか」と説明しました。

私は依頼人の回答は賛成の方が多いのではないかと予想したところ、見事に予想ははずれて何と9割以上の人達は反対と回答してきたのです。いかに武富士という会社が顧客から嫌われていたのかが、今回の投票で明らかになったような気がします。顧客との信頼関係を維持するような経営をしていたら、これだけ反対する人が多くはならなかったでしょう。

もっとも会社更生が決まるかどうかは金額の過半数だそうですから、今頃、武富士は高額の過払請求者にターゲットを絞って集中的に電話を架けていることでしょう。個人で請求している人は武富士からの電話に説得されてしまう人もいるかもしれませんので、最終的な結果に関しては未知数です。

武富士の結果は他の消費者金融も固唾を呑んで観察しているものと思われます。もし、成功した場合は、こんな低い弁済率で会社が存続できるのならと、追随する業者が出てくる可能性が高いでしょう。業者の倒産ラッシュに拍車がかかる恐れがあります。

一方、反対多数により武富士が破産に移行した場合は、他の業者も倒産手続に対して慎重になることでしょう。今後の貸金業界の動向に大きな影響を与える武富士の会社更生ですが果たしてどうなりますか、決定は秋頃の予定です。

 

 

 

債務整理一般|2011年8月 8日

差押① 差押は何故、必要か?

過払金請求に限らず、貸金請求や売買代金請求などの金銭を請求する訴訟を起こして勝訴判決を得たとしても、残念ながら全ての債務者(この場合、判決で負けた方を債務者と言います)が、おとなしく支払ってくれる訳ではありません。

多くの人は判決で勝ったら負けた方は支払うのが当たり前だと思っています。もちろん理屈では、その通りです。しかし、ここでちょっと考えてみて下さい。そもそも裁判になったということは、請求された側に素直に支払う気持ちが無いからこそ裁判にまでなったのです。それが判決で負けたからと言って、とたんに心変わりして素直に支払うようになるでしょうか。実際には、かなりの人が判決で負けた後も支払わないのです。

では、負けた方が支払わない場合、どうしたら良いのでしょうか。残念ながら警察が犯人を取り締まるように裁判所が負けた人から、お金を取って勝った人に支払ってくれる訳ではありません。判決で勝っただけでは裁判所は何もしてくれないのです。このまま放っておいたら泣き寝入りをしてしまうことになります。それを防ぐ為に強制執行、いわゆる差押という制度が用意されています。

判決で負けた人が支払わなかった場合、勝った人は裁判所に対して差押を申し立てることが出来ます。もちろん訴訟とは別の手続ですから新しく申立書などを書いて裁判所に手数料も納めなくてはなりません。しかし、この手続をすることによって負けた人の財産を合法的に差し押さえることが出来るのです。

それなら全ての人が判決を取って差押をすれば良いではないかと思った人もいることでしょう。実は、ここで多くの人が勘違いをしている重要なポイントがあります。それは、何を差し押さえるのかは裁判所は一切、考えてくれないし、探してもくれないということです。

もし、負けた人の住所と氏名だけを書いて差押の申立書を裁判所に出したら、裁判所から次のように質問されます。「この人の何を差し押さえるのですか」と。

要するに相手の財産の調査は判決で勝った人が自分で行う必要がある訳です。(調査に費用がかかったとしても、それはもちろん自腹です)ということは相手が、どこに財産を持っているかが分からない場合は、差押が出来ないことになります。こういう場合は、予測を立てて(簡単に言えば勘で)成功するかどうかは、やってみなければ分からないという前提で差押をすることも、よくあります。

ですから差押の成功率は決して高いとは言えません。裁判の多くが判決までいかず、和解で決着する最大の理由がここにあるのです。例え勝訴判決を取っても相手から全額を取れるかどうか分からない、それなら多少なりとも減額しても和解で終わらせようと考える訳です。裏を返せば、相手の財産が確実に分かっていて、いざとなったら、そこを差し押さえれば絶対に回収できると分かっている場合は、判決を取りにいっても良いということです。

差押の中で、よく使われるのが給料、銀行口座、売掛金などの債権執行と呼ばれるものです。一方、あまり使われないのが不動産執行、動産執行です。何故、そうなのかの説明は次にいたしましょう。

債務整理一般|2011年8月 1日

裁判所の特徴③ 名古屋簡易裁判所

名古屋簡易裁判所は大規模簡裁と呼ばれています。簡易裁判所の、ほとんどは裁判官が一人ないし二人で全ての事件の処理をしている小規模な裁判所です。それに対して、東京・大阪・名古屋などの大都市の場合、事件数が多いので通常の規模では、とても処理が出来ません。それで特別に規模の大きい簡易裁判所が設置されている訳です。

名古屋簡裁の場合、民事裁判を担当する裁判官の数は8人です。それぞれ係に分かれていて、名古屋簡裁に訴状を出すと1係から8係までの、どれかの係に係属することになります。

よく依頼人に質問されることで、「先生の経験上、債務者有利の判決を書いてくれそうな係に出したいのですが」というのがあります。残念ながら、この質問の回答は「無理です。こちらから係を選ぶことは出来ません」となります。

私としても係を選ぶことが可能ならば、過去に有利な判決をもらったところに出したいのは、やまやまですが、どの係に係属するかは全くの運になります。(係属した係が分かった段階で、喜んだり、がっかりしたりということは法律家ならば誰でも経験があることでしょう)

また前にも書いたことがありますが、係によって違うのは法律的な判断だけではありません。何と細かい事務手続まで違っていることがあります。

例えば、過払訴訟の最中に和解が成立した場合、過払金の入金日が次回の弁論期日の後だった場合、弁論期日を入金日の後にずらしてもらう(これを期日の変更と言います)という手続があります。これを簡単に認めてくれる係と、入金日が離れていると認めてくれない係があったりします。

認めてくれない係に当たった場合は、裁判所に出掛けていって和解決定という手続を取らなければなりません。この辺の事情は完全に事務手続の問題なので統一してもらいたいというのが私の強い希望でもあります。(このような事務的なことが、同じ裁判所の中の係によって違っているというのは、一般人からすれば結構、驚きなのではないでしょうか)

しかも、面白いことに(我々、法律家からしたら大変なことに)、人事異動で係の担当裁判官が変わると、また事務手続の処理方針が変わったりするのです。

先ほどの例で言うと、今まで期日変更が出来なかった係が、裁判官が異動した途端に出来るようになったというようなことが珍しくないのです。(もちろん裁判官が異動になった後も方針が変わらないこともあります)

従って、法律家に負担がかかる処理方針の係の場合、法律家同士で酒を飲みながら、「早く、あの係の裁判官、異動にならないかな」などという話題で盛り上がることになります。

ここまで読んできて、読者の方にも裁判所における裁判官の影響力の強さというものが分かって頂けたかと思います。(言い方は悪いかもしれませんが、ほとんど独裁者と呼んでも、当たらずとも遠からずというほどの力を裁判所に対して持っているということです)

ただ実を言うと、名古屋のような大規模簡裁の管轄の場合は、まだマシなのです。これが裁判官が一人しかいない簡裁(ほとんどの簡裁が一人です)の場合、その管轄区域で訴状を出したら必ず、その裁判官に当たってしまう訳です。避けることは出来ません。ということは債務者に厳しい方針の裁判官がいた場合、その裁判官が異動になるまでは、その簡裁に出された訴訟は他の簡裁よりも不利になることが現実にありえるのです。これは非常に困った問題です。(逆に貸金業者にとっては喜ばしい裁判所ということになります)

名古屋の場合は裁判官が多勢いますので少なくとも、いつも必ず不利になるということはありません。この点は大規模簡裁の良いところだと思います。

債務整理一般|2011年7月25日

臨時ニュース 平成23年7月14日最高裁判決

最近、取引の途中で空白期間のある場合で、新しい最高裁判決が出ましたので紹介したいと思います。

この判決は相手がプロミスだったのですが、途中に最短でも約1年6ヶ月の空白期間がある取引が対象になりました。そこで契約書に自動更新規定があるから、この取引は一連一体で計算すべきと債務者側は主張していて、この主張が退けられたのです(要は裁判に負けたのです)。

最高裁ですから、判決は確定して全国に影響を与えることになります。今後は契約書に自動更新規定があることを理由に取引の一連一体を主張することは出来なくなります。

それよりも、より大きな影響を与えそうなのは取引の空白期間の長さです。今後は、1年6ヶ月以上の空白期間のある取引は分断された別の取引だと判断されるケースが増えるだろうと予想されます。

実は、判決では1年6ヶ月以上の取引がダメだと言っている訳ではありません。契約書の自動更新規定だけで一連計算を認める訳にはいかないから、第一取引の長さとか、空白時の業者と債務者の接触状況とか、空白期間の長さとか、契約書の返還の有無とか、以前の判決でも指摘された色々な条件を吟味した上で判断しろと言っています。だから、厳密には、この判決で1年6ヶ月以上が一律に認められないと言っている訳ではないのです。

しかし、残念ながら、理屈どおりには受け取られないのが裁判です。恐らく今後の下級審(最高裁以外の裁判所のこと)の判断は、1年6ヶ月以上の空白期間に対しては非常に厳しいものになるでしょう。

債務整理一般|2011年7月19日

裁判所の特徴② 簡易裁判所と地方裁判所

過払金請求訴訟などで最もよく登場するのが簡易裁判所です。でも、テレビや映画などの法廷シーンで良く見るのは地方裁判所の方でしょう。では、この違いはと言われた場合、一般の人は結構、知らないのではないでしょうか。今回は、この疑問にお答えする為、簡易裁判所と地方裁判所の違いについて取り上げます。(今回、取り上げるのは民事事件についてです)

最も簡単に言うと、簡易裁判所は金額の低い事件、地方裁判所は金額の高い事件を担当します。では、金額の高い低いは何を基準に決めるのかと言えば、一つの事件につき140万円が区分けのラインになっています。

140万円以内ならば簡易裁判所の事件、140万円を1円でも越えると地方裁判所の事件として扱われます。これは一事件あたりの金額なので、例えば過払金訴訟の場合は業者ごとに判断されます。Aさんが甲・乙・丙と3社から借りていて、3社とも過払いが発生していた場合、それぞれ3件の事件として裁判所に申し立てます。過払金が甲は50万円、乙が80万円、丙が150万円だった場合、甲と乙に対する訴訟は簡易裁判所に申し立て、丙に対する訴訟は地方裁判所に申し立てることになります。(たまに一部の弁護士が3社の合計額で判断するようなことを言っている場合がありますが、それは明らかにおかしいですね。そもそも裁判所が、そのような取り扱いをしていません)

地方裁判所は各都道府県に1箇所ずつ置かれています。支部も合わせると、もう少し多くなります。例えば、愛知県だと名古屋地方裁判所が一つあるだけですが、名古屋地裁の支部は、一宮支部、半田支部、岡崎支部、豊橋支部と4箇所ありますので、本庁と合わせると5箇所あることになります。

一方、簡易裁判所は全国に400箇所以上設置されており、非常に数が多いのが特徴です。これだけ数が多いと住んでいる場所の割と近くに一つは簡易裁判所がある計算になります。(ほとんどの人は、かかわりが無い為、近くにある簡易裁判所の存在を知らないでしょう)何故、これだけ数が多いのかと言うと、いわゆる業者事件と言われるものが、ほとんどが140万円以内だからです。

業者事件とは、裁判の中でダントツで数が多い事件で、消費者金融、クレジット会社、携帯電話会社などが滞納された未払いの貸金や商品の分割金、携帯の通話料などを請求する事件のことです。簡易裁判所に行って1日、傍聴席に座ってみれば分かりますが(傍聴は誰でも自由です)、びっくりするほど、入れ替わりたちかわり、金融業者の担当、クレジット会社の担当、携帯会社の担当が現れて原告席に座っています。

これらの業者訴訟は証拠も揃っていますし、滞納の事実も相手方が否定しませんので数は多いですが、もめることは余りありません。ただ数が多いので、事務手続きは膨大な量になるでしょう。

それに加えて最近、急激に増えてきたのが過払金訴訟です。過払金訴訟の8割から9割が簡易裁判所の管轄になりますから、地方裁判所に回る事件は少数派です。たまに過払金訴訟が増加して裁判所が人員不足で困っているということが言われますが、圧倒的に簡易裁判所に持ち込まれる数が多い訳ですから、地方裁判所が同じことを言うのは何だか違う気が私はします。

あと、債務整理に関して言えば、特定調停は簡易裁判所限定の制度です。ここは分かりにくい部分かもしれませんが、特定調停に関しては金額に関係なく簡易裁判所で行われます。300万円でも500万円でも特定調停ならば簡易裁判所になるのです。一方、過払金請求訴訟の場合は、先ほど説明したとおり、過払金の金額によって簡易裁判所か地方裁判所に分かれます。この場合の金額は過払金の元金のことで利息は含まれません。例えば、過払金元金が130万円で過払利息が20万円だとします。合計で150万円で140万円を超えてしまいますが、元金が140万円以内なので、この訴訟は簡易裁判所になります。

他には、自己破産と個人再生については金額に関係なく全て地方裁判所の扱いになります。ただし破産と再生を扱うのは地方裁判所と言っても過払金訴訟を扱うところとは違う部署になります。過払金訴訟を扱うのは民事部あるいは民事訴訟部というところですが、破産や再生は民事執行部というところが扱うのが一般的です。民事執行部は通常の民事部からは独立していることが多く(名古屋の場合は建物が別です)、専門部署のようなところです。ここは破産・再生の他、各種差押などの手続を行っています。判決を取っても過払金を支払わない業者に対して差押をしたい時なども、この部署のお世話になるわけです。

 

 

債務整理一般|2011年7月11日

裁判所の特徴① 一般論

一般の人は同じ種類の事件ならば、全国どこの裁判所でも同じ判決が出るんだろうと思いがちですが(私も法律家になる前は、そう思っていました)、ところが実態は全く違います。裁判所とは極めて特殊な役所で同じ種類の事件でも裁判所によって、もっと正確に言うと一人一人の裁判官によって異なる判決が出ることが珍しくありません。(信じられないかもしれませんが同じ裁判所であっても、異なる裁判官に当たると違う判決が出たりする訳です)

裁判所の、この特徴が一般の人にはなかなか分かりにくいらしく相談の時に、「この事件の結果を保証できますか。」という質問になりやすいのです。

しかしながら、この質問には、法律的な争点(法律的な解釈において相手方と意見が違うこと。例えば「借金を完済しているかどうか」で争いになった場合は、事実が正しいかどうかという問題なので、法律的な争点とは言いません)のありそうな事件の場合は、「保証はできません」というのが真実なのです。何故なら、先ほども説明したように、裁判官によって判断が異なるのが珍しくないのが裁判というものだからです。

もっとも、極めて単純で法律的な争点があまりなく、証拠が完璧に揃っている場合は、どこの裁判所でも、だいたい同じ判決が出ると考えて良いでしょう。代表的なのは、借主の署名・押印のある借用証書が存在している場合の貸金請求訴訟などです。これはもう圧倒的に貸している側が勝ちます。(だからこそ、借金の時には貸主は借用書を作るのです)

では法律的な争点が存在する単純ではない事件にもかかわらず、割と結果が予測できる事件とは何かと言うと最高裁判所で争点について判決が出たものと同じ種類の事件ということになります。最高裁判所の判断には全国の裁判所が影響を受けますので、割と正確な回答ができます。

実は過払金請求事件も最高裁判所で判決が出るまでは必ず勝てるとは言えない裁判でした。「みなし弁済」が成立するか、しないかは大きな争点だったのです。従って、その頃は過払金請求などを行なう法律家は少数派だったのです。(私の事務所では、その頃から過払金請求を扱っていましたが、当時は扱っている事務所は本当に少なかったです)

ところが最高裁判所で貸金業法43条の「みなし弁済」を一切認めないという判決が出るや否や、過払金訴訟は出せば必ず勝てる裁判になり、その後、雨後のたけのこのように過払金を取り扱う事務所が増加していったのは、ご存知のとおりです。

ここで言いたいのは、最高裁判所の判断が出ていない法律的な争点がある事件に関しては、いかなる腕利きの弁護士や司法書士といえども、裁判の結果を保証することは出来ないということです。(もし保証している法律家がいたとしたら、それは非常に怪しいと考えて良いでしょう) この部分は一般の人には非常に理解しにくいようなので繰り返し伝えたいと思います。

また一つ一つの裁判所が独立事業体のようになっているのも他の役所と大きく異なっている部分です。要は、裁判所によって、いろいろな事務の取り扱いが異なっているのが珍しくないのです。事務の取り扱いなど統一した方が効率的ではないかと私などは思うのですが、実際には驚くほど独自のルールで運用されているのが実状です。それこそ、同じ過払金請求訴訟でありながら使用する切手の金額が裁判所によって違っていたりするのです。

従って、裁判所の特徴やクセのようなものが存在するので、そういうことに詳しい法律家に依頼することも選択する場合の重要な決め手になるでしょう。

債務整理一般|2011年7月 4日

過去の特定調停と過払請求

 現在は取引履歴の開示が義務化された為、特定調停で取引履歴が途中までしか出てこないということは、恐らくないでしょう。ところが、昔は(5、6年以上前)取引履歴が全て出るということの方が、むしろ珍しかったのです。

この頃に特定調停をされた人は、取引履歴が途中までしか開示されていない状態で支払計画を決められたケースが少なくありません。場合によっては、実は過払いになっているにもかかわらず、それが分からずに、分割払いをしていた人もいるのです。

このケースに該当する人は今まで諦めていましたが、最近では、過去に特定調停を行った業者に対して新たに取引履歴の開示を請求して、自分の本当の債務額を確かめる人が増えてきました。当然、その中には、開示請求してみたら過払いになっていたという人が存在します。

そこで問題ですが、果たして、一旦、特定調停を結んでしまった取引に対して過払請求を改めて出来るのかということです。

結論から言うと、最近、認められるケースが少しずつ増えてきています。この場合、裁判所が認める根拠は「錯誤」というものが多いです。簡単に言うと、「過去の特定調停は取引履歴が全部出ていなかったのだから実際の金額が分からないまま思い違いをして結んでしまったものであるから無効である。無効なんだから、もう一度、正確な金額を明らかにして、やり直せ」という理屈になります。過払いの場合は、この理屈で過払請求訴訟を争うことになります。

まあ、取引履歴を出さなかったのは業者側の責任ですし、その結果として金額が分からなくなって間違った特定調停になった訳ですから当然と言えば当然かもしれません。いずれにしても、このような請求が少しずつでも認められるようになったのは喜ばしいことでしょう。

しかし、何分、訴訟ですから100%勝てるとは限りません。裁判官によっては、特定調停の訂正を認めないケースもあります。

しかし、物は考えようです。特定調停は既に終了している訳ですし、一旦は、納得して支払っていた訳ですから、仮に裁判に勝てなくても現状より悪くなることはありません。今までどおりになるだけです。一方、裁判に勝った場合は過払金が戻ってくる訳ですから、これは大きなメリットです。

負けた時のリスクは無いと言ってよく(特定調停の結果が維持されるだけです)、勝った時のメリットは大きい訳ですから、これは、チャレンジする価値があるのではないでしょうか。該当する人は一度、考えてみるべきでしょう。

 

 

債務整理一般|2011年6月27日

報酬規定

 現在、司法書士の報酬は弁護士と同様に自由化されています。ところが、一部の司法書士・弁護士と依頼人の間で債務整理に関する報酬のトラブルが増えていました。そこで、日本司法書士会連合会(日司連)という全国の司法書士を束ねている組織が「債務整理に関する報酬の上限規定」を発表しました。今後は定められた上限を破ったら規定違反ということになります。(もっとも内容を見ると、かなり余裕を持たせた規定になっていますので、今時、この上限を破っている事務所は少数派だとは思います)

私は個人的には報酬は自由である方が望ましいと思っています。依頼する側にとっても選択の自由はあった方がプラスになることが多いと考えています。しかし、日司連の規定として決まってしまった以上、司法書士は規定を守る必要があるでしょう。これから依頼を考えている人は頼もうとしている事務所が規定違反になっていないかどうかチェックした方が良いでしょう。以下、具体的に報酬基準を列挙します。(この報酬基準には消費税は含まれません。あと、印紙代や切手代などの実費も含まれません)

1 任意整理事件を受任したときは、定額報酬として債権者1社あたり5万円を超える額を請求し、または受領してはならない

2 減額報酬を受領するときは、減額され、または免れた債務を経済的利益として、その経済的利益に10%の割合を乗じた金額を超える金額を請求し、または受領してはならない

3 減額報酬における経済的利益とは、引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合(その金額を債権者が積極的に争わない場合を含みます)は、その引き直し計算により算出された金額から減額され、または免れた債務の金額を指す。(この規定は大変に重要ですが、要するに専門家に相談に来る前に貸金業者から請求された金額から、利息制限法に引き直して減額したとしても、その減額分から報酬を取ってはいけないと解釈できます)

4 過払金を回収したときは、その回収した金額を経済的利益として、その経済的利益に次の割合を乗じた金額を超える額を過払金返還報酬として請求し、または受領してはならない。

(訴訟によらずに回収した場合) 20%

(訴訟により回収した場合) 25%

と主なものを挙げておきました。(一般の人に分かりやすく書いています)

先にも書きましたが、現在、上記の報酬規定を超える基準を設定している事務所は少ないと思われます。ただ、ゼロではありませんので、ひっかかる事務所は今後は報酬基準を下げる必要があります。

上記の規定の中で最もひっかかる事務所が多いだろうと思われるのが、3番です。この規定では利息制限法による引き直し計算による減額は今や、ほとんど全てと言っていい貸金業者が争いませんので、経済的利益には含まれなくなります。要は、債務整理で減額報酬を取っている事務所は報酬基準を変更せざるを得ないということになります。(変更しなければ今後は規定違反ですから、依頼人は変更するように要求することが出来ると考えて良いでしょう)

ちなみに上記の規定は債務整理限定です。債務整理以外の業務には適用されません。他の業務を依頼している時に、この規定を振りかざして注意したら恥をかくことになりますので注意して下さい。また、この規定には5年間という期限も付いています。いわゆる時限立法というもので、「報酬自由化という大枠の規定は変更していない。あくまでトラブルの増えている債務整理に限って、しかも5年間という期限も決めて限定的に運用するものである」ということです。

 

 

債務整理一般|2011年6月22日

クレジットの現金化

今、クレジットの現金化が問題になっています。各地の消費者センターにも多数、相談が寄せられていて、ちょうど改正貸金業法が施行されて消費者金融が借手の審査を厳しくした頃から増加してきたようです。

現在は法律の規制が厳しくなり、専業主婦などは非常に借りにくい状況になっています。そこを狙って悪質な業者がクレジットの現金化を勧誘しているのです。(もちろん違法行為です。業者に指示されて行った人も違法行為の共犯となります。ただ、訳も分からず指示に従った場合は情状酌量の余地はあるとは思います。それでも、何回もやっていると後半は納得してやっていたと見られる可能性が高くなります)

クレジットの現金化とはクレジットカードで換金しやすい商品(例えば、商品券・新幹線の回数券・パソコン・ゲーム機など)を購入させて、それを指定した場所で換金させて現金を渡すものです。しかし、換金率は非常に悪いにもかかわらず、現金化した人には定価でクレジットの請求がきます(当然ですね)。要は商品を媒介にした高利の貸金と変わりないのです。こんなことを何度もやっていたら、いずれ破綻することは目に見えています。

では何故、指示されたとおり現金化に手を染めてしまうのか、ここで前に戻りますが、審査の厳格化により、「借りたくても借りられない」状況に陥っているからです。後は、長引くデフレ不況により給料が上がらない、いや、むしろ下がっているという経済状況も大きく関係しているでしょう。

しかし、良く考えてみて下さい。クレジットの現金化をしても状況は決して良くはなりません。むしろ、より悪くなると言い切ってもよいでしょう。手にした現金よりも、はるかに多額の請求が、いずれ降りかかってくるからです。まさに一時しのぎにしかなりません。必ず、いつかは破綻することになるでしょう。

しかも、もう一つ悪いことがあります。将来、破綻してしまった時に、あまりにも頻繁にクレジットの現金化をしていると、自己破産の際の免責不許可事由に該当する可能性があり、破産が難しくなってしまうかもしれないのです。

破産は最後の救済手段ですから、一度でも手を染めたらダメというような扱いにはなっていません。でも限度があります。裁判官から見て、「いくらなんでも、これは多すぎる」と判断されてしまうと破産免責に影響が出ることもありえますので覚えておいて下さい。(どこからが多いのかは裁判官の裁量にまかされていますので、正確には答えられません。)

いずれにしても、まだ現金化に手を染めていない人は、絶対に手を出さないようにして下さい。もう手を出してしまった人は今後は止めましょう。クレジットの請求が来て支払えないようならば真剣に債務整理を考えて下さい。破産が可能ならば、むしろラッキーです。破産が出来なくても個人再生などで債務を減らす方法もあります。ちなみにクレジットの現金化はキャッシングではなくショッピングになるので任意整理や特定調停は出来ません。

単純に金銭を借りるよりも解決の方法が狭くなってしまうのがクレジットの現金化です。くれぐれも手を出さないように注意して下さい。

債務整理一般|2011年5月31日

アイフル・ライフ・シティズの合併

 消費者金融のアイフル、クレジットのライフ、商工ローンのシティズの3社が合併するという情報が入りました。もう、手続は始まっているようです。

それぞれ分野が違う貸金業者なので相乗効果を狙ってのことでしょう。合併後の存続会社はアイフルになるという噂です。アイフルとシティズは供に、あまり評判の良くない業者なので、この2つが合併したら、どんなことになるか少々、心配です。

ライフに関しては、最近、クレジットの中では先駆けて過払金の支払いが悪くなっていましたので気になってはいましたが、こういう解決に至ったのかという感じです。

実は、もっと気にかかることが他にあります。アイフルは合併によって会社に営業力をつけた後で、民事再生や会社更生に踏み切って過払金を一挙に減額し、身軽になった状態で一気に会社の再生を成し遂げるつもりではないかという噂もあるのです。

アイフルは事業再生ADRという手法で既に特定の金融機関や過払い以外の有力な債権者に対して支払いを済ませているという情報があります。要は再生後の支援を取り付けやすくする為に今のうちに金融機関などには支払っておいて、会社にとって負担にしかならない過払債権者だけを狙い撃ちにして会社更生や民事再生で減額してやろうと企んでいる可能性がある訳です。こんなことをやられたら過払請求者は、たまったものではありません。

 まだ確実な情報ではありませんが、今後のアイフルの動向には注意が必要でしょう。

債務整理一般|2011年5月17日

クレジットのマンスリークリア(後編)

 さて、本題に入る前に前回、臨時で東日本大震災について被災地以外の人の過度の節約は良くないという話をしましたが、これについて一言付け加えたいと思います。

このブログは借金で苦労されている方が、ご覧になっている場合が多いと思いますので、あえて強調させて頂きますが、あくまで必要以上の節約が良くないと言っているのであって、家計にとって必要な節約は当然するべきです。

特に現在、借金で悩んでいる方にとっては、必要な節約を要求される場面は多いと思いますので、その辺りは誤解のないように、お願いします。

 では本題です。前々回、クレジットのマンスリークリアを複数申し込むことで利息の総額をリボルビングよりも低く抑えたにもかかわらず、翌月一括払いで大きな金額が動く為、ほんのちょっとの計算違いで支払い不能になり破綻してしまうケースもあると申し上げました。こういう場合、残債務の金額がリボルビングに比べて巨額になる傾向があります。

また、リボルビングよりもトータルの利息の支払額が低い為に任意整理を試みても、あまり残債務が減らない傾向もあります。

これらを合わせるとマンスリークリアで破綻した場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産につながるケースが多いということになります。

もちろん、マンスリークリアでも長期間の取引をしていて過払いになるケースもあります。ただリボルビングに比べると数は少ないです。何故かというと、マンスリークリアの場合、その性質上(後述します)、リボルビングのように長期間の取引を継続している場合が少ないからです。

従って、もしマンスリークリアでも5年以上、取引の切れ目が無く続けていたならば過払いになっている可能性は、もちろんあります。

 話は戻りますが、個人再生や自己破産になった場合、裁判所に家計簿を提出しなくてはなりません。これは普段つけているものを出すのではなく、裁判所用に決められた書式のものを新しく作って提出します。その時、マンスリークリアの人は直前まで毎月大きな金額が動いている為、裁判所から詳しい説明を求められることがあります。

これは、裁判所が家計を調査する時に大きな金額が移動しているところに注目するという習慣があるからです。マンスリークリアは一括払いなので、その点、どうしても目立ってしまう訳です。

もちろん、きちんと説明できれば問題は無いのですが、まあ余計な詮索をされる可能性があるという訳です。

 このように書くと、まるで私がマンスリークリアを批判しているように受け取られるかもしれませんが、決してそんなことはありません。むしろ私は多重債務を、これだけ増やしたのは間違いなくリボルビングの責任だと思っています。

リボルビングのことを「悪魔の契約」と呼んだ弁護士さんがいるくらいです。何故なら、本人は高い利息を取られていることに極めて気付きにくく、毎月少額を返済しているつもりが、ほとんどは利息に消えていき、元金はいつまでたっても減らず、気がついてみたら10年近く取引してしまったと言う人の何と多いことか。そもそも過払請求の大半がリボルビングにより発生しているのが何よりの証拠です。返還請求ができるほどの高い利息を長年支払っていた訳で、しかも何度も言いますが、本人が高い利息を支払っていたという意識を非常に持ちにくい構造になっているのです(毎月の支払いが少額だからです)。まさに「悪魔の契約」という言葉がぴったりだと思いませんか。一説によると最初に考案したのはアメリカの金融業者だと聞いています(私は確認していませんので真偽のほどは分かりません)。まあ本当だとしたら、きっとウォール街の人なんだろうと勝手に想像しています。(彼らなら、いかにも考え付きそうじゃありませんか)

その点、マンスリークリアならば元金利息込みの全額を毎月支払いますから、自分がいくら利息を支払っているかを認識するのはリボルビングよりは容易です。また貸金業者の数を増やしにくいという特徴もあります(一括払いで支払額が巨額なので)。リボルビングは毎月の支払いが少額なので、ついつい業者の数が増えていってしまうのです(貸金業者の方も、それを狙っています)。

 このようにリボルビングには一見、便利なように見えて実は貸金業者にとって有利な部分が(逆に言えば借り手にとって不利な部分が)いっぱいあります。目先の便利さに惑わされないように、それぞれの特徴を良く考えてみて下さい。

 次回はオリコの取引履歴についてです。

債務整理一般|2011年3月28日

東日本大震災についての考察

 本日は予定を変更してお届けします。本ブログは主に愛知・岐阜・三重の方に対して発信しているつもりで書いていますので、遅れてしまいましたが、もし東北・関東の方が読まれていたら、「このたびの東日本大震災により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます」。

 さて、未曾有の大災害が起こって、大事なのは、「これから、いかにして復興するか」です。先ほど、本ブログは主に愛知・岐阜・三重に向けて書いていると言いました。これらの地域の人が復興に向けて出来ることは散々テレビなどでも報道されています。でも報道では目を向けられていませんが、私が大事だと思うことを述べてみたいと思います。

 それは被災地以外の人が「してはいけないこと」です。答えは意外に思われるかもしれませんが、「個人の節約」だと考えています。

日本人的感覚では被災地の惨状をテレビで見てしまうと、自分たちも節約しなければと考えてしまいがちです。でも、ちょっと待って下さい。愛知県の人が節約したことで何か被災地の人の為になるでしょうか。むしろ個人の節約は回り回って被災地の復興を遅らせてしまう可能性すらあるのです。

例えば、愛知県の人が一斉に家計を節約した場合、当然、愛知県内の小売業、外食産業、製造業などは大不景気に陥ります。そうすると、それらの会社や事業主は不景気になることによって赤字になり税金を払わなくなってしまいます。

これだけの大災害の復興は個人の努力では限界があります。どうしても政府が財政出動しなくてはなりません。その場合、国債や政府紙幣を発行するという手段はもちろんありますが、ただでさえ国債発行に非難が集まっているご時勢ですから、税収が多いほうが良いに決まっています。

ようするに被災地以外の人が節約すると全国的に不景気が加速して税収不足になり政府が復興の為の臨時予算が組みにくくなる可能性があると言う訳です。結果的に被災地の復興を遅らせることになりかねません。

 もちろん節約をしないと言っても、注意すべき点はあります。一つは特定の品目だけを買い占めること(理由は必要ないですね)。もう一つは電力不足の地域において電力を大量に使う消費行動です(愛知・岐阜・三重は今のところ対象外です)。この二つに関しては、明らかに迷惑になる行為なので控えた方が良いでしょう。

しかし、上記に該当しない消費であれば、むしろ控えるべきではないと私は考えます。積極的に消費をして経済を活性化して政府の税収を上げてやることが結果的に復興を早めることになると思います(もちろん、政府が上がった税収を適切に復興に使うと言う前提ですが)。

 被災地以外の地域の経済が活性化してこそ、復興に余裕をもって望むことが出来ます。自分達の足元がしっかりしていなければ、他人を助けることなど出来ません。くれぐれも必要以上の節約をして日本全国大不景気などということにならないようにしましょう。

 

債務整理一般|2011年3月22日

クレジットのマンスリークリア(前編)

 クレジットカードのキャッシングには2種類の方法があります。(カードによっては1種類しかないものもあります)

 一つは、リボルビングと言い、消費者金融と同じ方法です。一定の限度額を設けて、その限度額内ならば、いつでも借入が可能で、それに対して返済は最低弁済額を超えていれば少額でも構わないというものです。

この方法は一見、便利で借りやすいように見えますが、実は借金の総額が、なかなか減らないという重大な欠点をもっています。しかも、返済額が少額なので気付きにくいのですが、利息は借金の総額に対してかかっているので、実は非常に高い利息を支払っていることに気付きにくいのです。

「高い利息を払っていることに気付きにくい」ということは貸金業者にとっては誠に都合が良い訳で、だからこそ消費者金融などは、ほとんどの業者がリボルビングを採用している訳です。これは裏を返せば借りる側は非常に損をしているということになります。(ほとんどの人は、最も損をする借り方であることに気付きません)

 一方、クレジットもリボルビング方式は主流です(理由は儲かるからです)。しかし、クレジットの場合は、もう一つマンスリークリアという借入方式を選べるカードがあります。多くは銀行系などの審査が厳しめなカードが多いようです。この方式は、まとまった金額を一度に借りて、翌月には一月分の利息を付けて全額返済するという方法です。

 意外なことに、マンスリークリア方式の方が利率が高いことが多いのです(私は、これはリボルビングに借り手を誘導する為の業者の作戦ではないかと思っています)。従って、目先の利率に惑わされてしまう人も多勢いて、利率が低いからリボルビングを選んでしまうことが良くあります。ところが、ここに落とし穴があるのです。

リボルビングは高い限度額が長期間ずっと維持されますので(長いときは10年以上)、トータルでは非常に高い利息を支払っています(だからこそ過払請求が起こっている訳です)。ところが、マンスリークリアの場合は短期間に精算が済んでしまいますので、実際にはリボルビングほど多くの利息を支払っていません。10年間マンスリークリアを繰り返した人と、リボルビングで借り続けた人を比較してみれば、利息の金額の差は一目瞭然の結果になるでしょう。(もちろんリボルビングの方が高くなります)

それが証拠にクレジット会社はキャッシングのリボルビングキャンペーンや、あとからリボルビングに変更できるプランを盛んに用意しています。何故、彼らがリボルビングを、こんなに勧めるのか、答えはリボルビングがクレジットに大きな利益をもたらすからです。

逆の見方をすれば、リボルビングを良く使う人はクレジットを儲けさせていることになります。どうでしょう。リボルビングを使っている人は、だんだん悔しくなってきたのではないでしょうか。

 なかには、そのことに気付いて、リボルビングでは借金は一向に減らないし、いつまで経っても利息ばかり支払っている、これからはマンスリークリアにしようと考える人もいます。

この考え方自体は間違ってはいません。借り手が少しでも利息を減らそうと考えるのは自然で合理的な行動です。むしろリボルビングの罠に良く気がついたと言うべきでしょう。ところが、なかには複数のマンスリークリアを綱渡りのように融通しあって毎月大きなお金が動くようになってしまう人もいます。そうなると、翌月一括払いなので、ほんの少し計算が狂っただけで破綻に追い込まれることもあるのです。

 次回はマンスリークリアを利用して破綻した場合の債務整理についてです。

債務整理一般|2011年3月16日

臨時ニュース アイフルの怪しい和解

 本日はクレジットカードのライフについて書く予定でしたが、緊急な情報が入ってきましたので予定を変更してアイフルについて書きます。

 アイフルは武富士が倒産してからは主要消費者金融の中では最も経営が悪化していると言われている業者です。次の大型倒産はアイフルだろうというのが業界での噂となっています。

以前にも書きましたが、武富士の倒産によって、隠れ過払いだった人が自分が過払いであることに気付くことが多くなりました。理由は、武富士がコマーシャルや電話、ATMの表示などで隠れ過払いの人に債権届けの必要性を大々的に訴えたからです。これにより武富士の訴えを聞きつけた人は他の業者についても自分は過払いになっているのではないかと疑いました。当然、次のステップとして他の業者に対しても取引履歴の請求をしてみることになりました。すると、案外多くの人が他の業者についても過払いになっていることが多かったのです。これによって、本来、武富士とは関係なかったはずの業者まで大量の過払請求を受けることになった訳です。(実際に主要業者に対する取引履歴の請求件数が武富士倒産後に急増したそうです)

ところが、ここでトンデモナイ手を打ってきた業者がありました。アイフルです。アイフルは何と取引履歴の請求を受けた相手に対してゼロ和解の書面を送りつけて、相手が何も分からないうちに和解を結び過払請求を封じ込めようとしているらしいのです。

ゼロ和解とは「お互いに債権債務なし」と書かれた書面で、簡単に言うと、「アイフルも今後、請求しないから、あなたもアイフルに対して請求しないように」という約束を交わすことです。

この書面をもらった人は、「今後はアイフルからの請求は無くなるのか、良かった」と思ってしまうかもしれません。(実はアイフルに対する過払請求を封じ込められることになる訳です)

これは非常に問題があります。もし、この和解書を返送してしまったら、後で過払いであることに気付いても請求できなくなる可能性があるからです(本人が認識していた訳ではないので、裁判を起こせば勝つ可能性もありますが、絶対ではありません)。

アイフルと長期間の取引をしていて取引履歴の請求をしたら、アイフルから書面が送られてきて、それを返送してくれと言われたら、絶対に気軽に返送しないで下さい。上記のゼロ和解書面である可能性もあるので、よく読んでからにしましょう。読んでも分からない場合は、専門家に見せましょう。それから返送しても遅くはありません。

 今や消費者金融業界は、どこの業者も青息吐息です。苦しくなってくると業者もなりふり構わなくなってきます。後で後悔しないように、しっかり情報収集をすることが肝心です。

債務整理一般|2011年2月22日

地方の裁判所

 本日のタイトルは、ちょっと紛らわしいのですが、いわゆる地方裁判所のことではありません。タイトルの意味は都心部ではない比較的人口の少ない地域の裁判所のことです。

 何故、地方の裁判所を取り上げるのかと言うと、最近、気がついたことがあるからです。それは過払訴訟をやっていると地方の裁判所の方が有利に決着することが多いのではないかということです。

具体的には、相手方(貸金業者)の出頭率が低いということが挙げられます。業者の方も経営悪化を受けて支店の数を減らしています。この場合、やはり人口の少ない地域から支店が減らされていきます。そうすると、そのような地域で裁判を起こされると、業者は遠方から従業員を派遣しなくてはなりません。当然、交通費がかさみますし、時間も取られてしまいます。仮に弁護士に頼んだとしても、遠方に出頭する場合は弁護士が交通費等を業者に請求してくるでしょう。やはり余分に費用がかかる訳です。

過払訴訟は業者にとって勝ち目のある裁判ではありません。勝ち目が薄い裁判で、わざわざ地方に費用をかけて出向きたくないという心理が働いているのでしょう。

過払訴訟は業者にとって勝ち目が薄いと言いましたが、そうすると業者の裁判での対策は、いかにして長引かせて過払請求者の嫌気を誘って金額を引き下げるかにかかっています。都心部の裁判所では(筆者の場合は名古屋の裁判所)、あらゆる長引かせる為の手を打ってきて、正直、うっとうしいくらいです。ところが、地方の裁判所(筆者の場合は三河地方、岐阜県、三重県など)に行くと、そもそも出頭してこないので、あっさりと判決が出たりします。非常にありがたい訳です。

和解で決着する場合も地方の裁判所に出した方が早めに決着する傾向があります。業者も判決が出るくらいなら和解した方が良いと思うのでしょう。だからと言って、裁判所の管轄は決まっていますから、地方の裁判所に出せるのは地方在住の人に限られます。

 実は過払訴訟に限らず、個人再生や自己破産でも地方の方が有利な場合が多いのです。例えば、個人再生は名古屋では再生委員が付く為に裁判費用が10万円以上かかりますが、地方では3万円くらいで済んでしまいます。自己破産の場合も、名古屋では最近、管財事件に回される事件が多くなってきていますが、地方では多くありません。そもそも管財人になる弁護士が地方には少ないというのが影響しているのでしょう。

正直、こんな差があって良いのかと非常に疑問に思いますが、これが現実なのです。だとしたら地方で債務整理を考えている人は都会よりも有利なことが多い訳ですから、是非、ためらわないで頂きたいものです。(残念ながら現実は逆で、有利なはずの地方の人が債務整理や過払請求をためらう場合が多く見られます)

 地方在住の方は、上記の事実を、良く認識して頂いた上で判断して頂きたいと思います。

債務整理一般|2011年1月24日

広告の変化

 最近、地下鉄に乗ると気付くことがあります。以前に比べると大手の弁護士事務所や司法書士事務所の車内宙吊り広告が減ったなという印象です。予想通り、全国展開して大量の広告宣伝で債務者を集めていた事務所の化けの皮がはがれてきたようです。

このような大型事務所は、今回の武富士の倒産で相当なダメージを受けた可能性が高いと思われます。大型事務所は依頼者の数が多いですから大手の武富士相手の過払請求は相当な数に昇っていたことは間違いありません。それが今回の倒産で一気に回収不能になったのです。恐らく驚くような売上の減少にみまわれたのではないでしょうか。

 効率だけを重視する方針の事務所にとって、最近の過払請求は以前ほど魅力的なものではなくなっています。相次ぐ貸金業者の経営悪化に伴い満額回収は日に日に難しくなっていますし、支払期日も延びる一方です。そればかりか、一度交わした支払いの約束を支払日直前になって、「やっぱり払えないので更に延期してくれ」と言ってくる業者まで現れる始末です。

ここ4~5年の間に経営効率のみで新たに参入してきた大型事務所は、もう撤退時期を考え始めているでしょう。既に撤退した事務所も少なくないと思います(だからこそ広告が減少している)。

おとなしく撤退している事務所は、まだ問題が少ないのですが、中には依頼者を抱えたまま事務所自体が破綻してしまったケースも出始めているようです。(私の地元の愛知県でも、そのような事務所が出現したという話を聞きました) 

このような破綻事務所が出た場合、依頼人は依頼の途中で放り出されてしまうことになります。急いで他の事務所を探し回らなければなりません。代理人がいなくなってしまう訳ですから、ぼやぼやしていると貸金業者から取り立ての電話がかかってくる可能性があるからです。非常に悲惨な状況が出現することになります。

 これだけ状況が変化して回収が以前よりも難しくなっている時に未だに大量の地下鉄広告とかテレビコマーシャルとかをやっている事務所は果たして経営状態は大丈夫なのでしょうか。宙吊り広告やコマーシャルはタダではありません。かなりの広告料がかかっているはずです。過払金の回収率が目だって減っている時に果たして広告料金を回収できているのでしょうか。私には、はなはだ疑問です。ひょっとしたら昔の広告料金を払う為に、新たな依頼者を新しい広告で強引に集めざるを得ないというような自転車操業に陥っていないとも限りません。(もし、そうだとしたら、依頼者と事務所、どちらが多重債務者か分からなくなりますね)

 これから依頼を考えている人は、こういうことも頭の隅に置いておいた方が良いかもしれませんよ。

債務整理一般|2011年1月17日

臨時ニュース 武富士 その後③

 さて、今年最後のブログとなってしまいました。年末が忙しくてブログの回数が減ってしまいました。申し訳ありません。今日は武富士の新しい情報です。(破産の続きは新年になります)

 前回の武富士のニュースでは、完済して確実に過払いになっている人が、債権届に気付かないで取りはぐれる恐れがあると書きました。ところが新しい情報によると、何と武富士は完済している人に対して債権届をするように電話をかけているそうです。

いや、少し武富士を見直しました。今回の武富士の対応は、全ての過払いの可能性のある人への周知徹底という意味ではやれることはやっていると言ってよいでしょう。正直、ここまでやるとは思ってませんでした。

しかし、さすがに契約の時に電話をかけないようにと債務者の方から武富士に通知していた人は除外されているようです。これは下手にかけると逆に債務者にクレームをつけられる恐れがありますから、まあ仕方が無いでしょう。あと、携帯電話などの番号が契約時と変わってしまって連絡がつかない場合も放置されているようです。(これも仕方が無いですね)

上記に当てはまる完済している人は、相変わらず債権届を忘れる危険性がありますから注意が必要です。もし、このブログを読んでいて当てはまっていたら、専門家に相談しましょう。

 実は、これらの武富士の徹底した過払金の知らせによって、思わぬ副作用が発生しています。それは、武富士のATMに行って過払金が分かった人、あるいは武富士からの電話で過払金を知った人などが専門家に相談することによって、他の業者の過払金まで分かってしまうということです。どうやら全国的に、このようなことが発生しているようなのです。

それによって、武富士以外の業者まで取引履歴の請求や過払金の返還請求の件数が増加してしまい、今、貸金業界は非常に忙しいことになっているようです。要は、今まで過払いの存在に気付いていなかった人達(眠っていた人達)を、武富士の倒産がきっかけになって起こしてしまったという訳です。

最近、武富士以外の業者に過払いの請求をすると、「武富士さんの倒産以来、請求が増えて事務が遅れています。」という返事を良く聞きます。もちろん今まで気付かなかった人が過払いに気付くことは良いことですが、一つ心配なのは、請求が同じ時期に集中することで他の業者まで倒産してしまわないかということです。

 今後も武富士の動向には目が離せません。

 それでは、みなさん、良いお年をお迎え下さい。

 

債務整理一般|2010年12月27日

臨時ニュース 武富士 その後②

 さて、業界に衝撃が走った武富士の会社更生ですが、概要が固まってきたようなので、お知らせします。

 まずは一番肝心な債権届出期間ですが、来年2月28日(月)までです。この日付までに武富士所定の債権届出書に過払債権額を記載して、期間内必着で郵送しなくてはいけません。過払いであるにもかかわらず、期間内に届出をしなかった場合は1円も戻ってこない可能性がありますから、是非とも注意しなければなりません。

私の聞いた情報によると、現在、武富士のATMで返済をすると、その人の取引が過払いになっていた場合は、過払いだから返済の必要が無いということを画面で知らされて、入れたお金が機械から戻ってくるそうです。これが本当なら画期的な仕組で、少なくとも現在、取引をしている人は自分が過払いで債権届が必要なことが分かるようになっていることになります。(もし本当なら、全ての業者がこの仕組を採用して欲しいものです。こんな仕組も、やれば出来るということになりますから)

しかし、上記のような画期的な仕組でもカバー出来ない人達がいます。勘の良い人は、お分かりでしょう。そうです、完済してしまって現在は取引をしていない人達です。これらの人達は完済していますから100%過払いになっています。要は債権届が必ず必要な人達なのです。にもかかわらず、取引が終わっている為、武富士のATMに行くことはありません。このことから、膨大な完済者が債権届の事実を知らないまま期間が過ぎてしまうのではないかと懸念されています。(実は武富士側も、それを狙っているのではないかと私は考えています。)

このような武富士側の思う壺にはまらないように、せめて、このブログを読んだ人は必ず債権届をしましょう。

 次に気になる弁済率ですが、正式に決まるのは来年の7月頃になるそうです。この頃に更正計画案が出されて、どのように弁済していくかが決まります。前のブログでも書きましたが、噂ではかなり厳しい弁済率になるのではないかと言われています。5%か10%くらいになる可能性も充分にありえます。20%以上だったらラッキーだと思っておいた方が良いでしょう。それでも1円も戻ってこないよりはマシですから、債権届は忘れずに。

 今は、司法書士が依頼を受けて武富士に通知を出すと、しばらくすると債権届が送られてきます。その届用紙が白い場合は過払いになっている人で債権届が必要な人、青い場合は引き直しても債務が残る人で債権届が不要な人となっています。何だか不謹慎ですが、まるで受験の合格票みたいだなと思ってしまいました。

 武富士の情勢には目が離せません。今後も新しい情報が入ったら、お伝えしていこうと思っています。

 

債務整理一般|2010年11月24日

臨時ニュース 武富士 その後

 主要消費者金融武富士の事実上の倒産で、激震が走った貸金業界ですが、やはり相当な影響を各方面に与えたようです。

 まずは武富士自身に関することでは、過払金の訴訟が全国的に中断しました。武富士が申請した会社更生法の規定によれば、更正開始決定後は訴訟が中断することになっています。要は過払金の請求は全て会社更生の手続に沿って処理されることになるため、抜け駆けで回収することは出来なくなる訳です。前回のブログにも書きましたが、現在請求されている全ての過払金に対して一律のカットがされることになります。

しかし、カットされても回収できれば、まだマシな方で、債権届出期間に過払金の請求を武富士にしないと、そもそも1円も支払ってもらえない可能性も出てきました。こんなことにならないように武富士と5年以上の取引がある人は、とにかく取引履歴の請求をして、過払いが判明したら必ず請求するようにしましょう。債権届出期間は武富士の担当者の話によると、11月下旬から3ヶ月間くらいではないかと言ってました。もちろん、この期間は、まだ確定ではありません。しかし、早く届けるに越したことはありません。

 ところで、武富士の影響は、むしろ他の貸金業者に波及していることが深刻な問題となっています。

武富士ほどの大企業が倒産したことによって、他の業者も一気に守りの姿勢に入って、今までよりも過払金の支払いに対して厳しい態度を取るようになっています。

例えば、アコムなどは今までは長くても半年以内に一括で支払っていましたが、最近では8ヶ月後、10ヶ月後などに延長してきています。それ以上、早く支払うように交渉すると、「それなら分割払いで、お願いします」、と言い出す始末です(今までアコムは過払金の支払で分割と言ってきたことはありませんでした)。

アコムのような銀行系の業者ですら、そんな態度ですから、次の倒産候補であるアイフルに至っては、もっと厳しい態度に変化しています。今や過払元金の3割で和解してくれと言ってきます。今までは少なくとも元金の55%と言っていたのが、更に下がった訳です。

アイフルに関しては、今後は難しい判断になってくるでしょう。正直、いつ倒れるか分からない状況ですから、どこまで請求していくべきかは悩ましい状態が続くと思われます。

 他の消費者金融にも影響は必ず出てくるでしょう。従って、せっかく、最近の状況として書いてきたシリーズですが、武富士の倒産をきっかけにして業界を取り巻く状況は、再び、がらりと変わったと言って良いと思います。今後は今まで通用していたことが通用しなくなるようなことが頻繁に起こってくるでしょう。落ち着くまでには、しばらくかかると思われます。また、落ち着いた頃を見計らって、このブログで状況を発表していきたいと思います。

債務整理一般|2010年10月13日

臨時ニュース 武富士 事実上の倒産

 本日、4大消費者金融の一つ株式会社武富士が東京地裁に会社更生法の適用を申請して事実上、倒産しました。(会社更生法は倒産法の一種です)

 今後は経営陣の総入れ替えと引き換えに債務カットが始まることになります。そして重要なのはカットされる債務の中に過払金が含まれるということです。

既に和解している事件や、裁判所で判決を取っているけど未払いの事件などもカットの例外ではありません。全ての過払事件がカットの対象になります。武富士は今まで倒産した金融会社とは会社の規模がけた違いですから、影響も半端ではないでしょう。多重債務者の中で武富士から一度も借りてない人の方が、むしろ少数派でしょうから。

 それにしても、このブログでも何回も武富士の危険性は言及してきましたが、やっぱりという感想です。最近では、過払金を規定どおりの期日に支払えなくなってきていましたから相当、資金繰りも悪化していたのでしょう。

今後は、裁判所の審査の過程で一体何割の配当がもらえるのかが焦点になってきます。まあ5割以下なのは覚悟した方が良いと思いますが、アエルのように5%というのも勘弁して欲しいです。せめてクレディアなみの3割から4割という線に落ち着いていればラッキーな方ではないでしょうか。

配当をもらう為には裁判所に申請をする必要があります。取り扱いによっては申請していない場合も配当をもらえるケースもあるようですが、申請しておいた方が確実です。申請について良く分からない人は専門家に相談しましょう。

 さて、我々としては武富士が倒産したことで、次に備える必要があります。武富士が倒産したということは全ての消費者金融に倒産の危険性があると言い切っても過言ではありません。比較的安全なのは、アコム・プロミスのような銀行系の業者だけでしょう。同じ銀行系でも新生フィナンシャル(レイク)やCFJなどは親会社の銀行の経営が悪化していますから安心できません。

このように全ての消費者金融が心配な中で、あえて一つ挙げるとすれば私はアイフルだと思います。アイフルも武富士と同様に危険だと言われ続けていました。武富士が倒れたことで、最早いつ倒れてもおかしくないと思います。アイフルに対して過払金の可能性がある人は一刻も早く請求をした方が良いと思われます。

 ちなみに質問が多いのでブログで回答しておきますが、武富士に対して法定利率に引き直しても借金が残る人は今までどおり債務の支払義務は残ります。支払義務が無くなる訳ではありませんので、勘違いしないで下さい。

 

債務整理一般|2010年9月28日

シリーズ 多重債務からの脱出⑦ ギャンブル

 本日はギャンブルについて考えてみましょう。

 世間では良く、「多重債務になる人の、ほとんどはギャンブルで借金を増やしてるんだろう」という思い込みがあります。もちろん、そういう人がいないとは言いませんが、実際に相談を受けているとギャンブルで多重債務に陥った人は、むしろ少数派です。大半の人は、急激な収入の減少に節約意識がついていかなかったというパターンです。しかし、少数派と言ってもギャンブルは、その人自身はもちろん、家族にも深刻な影響を与えることが多いので、やはり目立ってしまうのです。

ギャンブルが止められない人には、ギャンブルが、いかに勝つ確率が低いかを分かって頂きたいと思います。(と言っても、これを理解してもらうのが非常に困難なのですが)

 例えば競馬と宝くじを例に説明しましょう。まず、テラ銭の存在を意識していない方が大勢います。テラ銭とはギャンブルの主催者に対して支払う一種の手数料ですが、この手数料が他の業種と比べてギャンブルの場合、非常に高く設定されています。競馬の場合は約25%と言われています。ということは、購入された馬券の金額の総額から強制的に25%差し引かれた金額を当たった人で分け合っている訳です。

これを見て、「何だ75%も配当されるんだ」と思った人は中央競馬会の思う壺にはまっていると言えるでしょう。何故なら、競馬場に行って一つのレースだけで帰ってくる人は、ほとんどいないからです。通常、一日のうちに複数のレースに賭けるでしょう。ということは、競馬場に詰め掛けた人全体の持ち金が一つのレースが終わった後には、何と当たった人も含めて75%に減ってしまうことを意味します。これは一つのレースだけの現象ですから、次のレースが終わった後には75%の更に75%で、最初の金額から見ると56%に減ってしまいます(もちろん当たった人も含めてです)。これが3つ目のレースになると最初の42%と半分以下になっているのです。4レース、5レースと重ねていくとどうなるか、もうお分かりですね。

このように競馬というのは主催者(中央競馬会など)にお金を貢いでいるようなものだということが、お分かり頂けると思います。

 宝くじに至っては、競馬よりもひどい搾取の構造がまかりとおっています。ジャンボ宝くじのテラ銭は何と約50%にもなるのです。途端に買う気が失せてきた人も多いのではないでしょうか。要するに市場で販売されている宝くじを全て買い占めても、当選金は買占め額の半分程度にしかならない訳です。まさに消費者金融など顔負けの恐るべき暴利のシステムが宝くじなのです。

また当選確率が天文学的に低いのも宝くじの特徴です。1等が当たる確立は約1000万分の1と言われています。こんなものに当たってしまったら、これからの運を使い果たしていないか心配になりそうです。

 以上、見てきたように多くのギャンブルが、いかに主催者が儲ける為のシステムになっているかが、お分かり頂けたでしょう。ギャンブルの勝利者とは要するに主催者なのであって(彼らは一切のリスクを負わないで巨額の利益を上げています)、参加者は時間をかけて損をさせられる側になるのです。このことに気付くと、ギャンブルに対しても冷静に考えられるようになって頂けるのではないでしょうか。

 さて、次回からはシリーズを改めて、変化が激しい債務整理の最新の状況について取り上げたいと思います。

債務整理一般|2010年7月22日

シリーズ 多重債務からの脱出⑥ 住居費(後編)

 本日は賃貸住居費について考えてみましょう。

賃貸住宅に関しては、分譲のようにコダワリのある人は少ないと思われますので、やはり生活が苦しくなった時には思い切って賃貸料の安い物件に移るべきでしょう。分譲に比べれば、気軽に移ることが出来るはずです。

注意したいのが、引越を、ぐずぐずと先延ばしにすると、移りたくても移れないという状況に追い込まれる場合があることです。

何故なら、引越にも、ある程度の費用がいるからです。まず家具の移動にかかる費用がいります。他には、新たな物件にかかる礼金・敷金などです。最近は礼金不要の物件も増えてきたようですが、それでも敷金はかかってきます。

これらの費用を考えると、本当にギリギリのところまで移らないでいると、いざという時に移りたくても移れない可能性が出てくるのです。従って、やばいなと思ったら引越費用のあるうちに決断しましょう。

あと、この決断をした人は収入が下がっているはずですから、民間の賃貸に住んでいるなら、公的な賃貸を検討してみて下さい。

公的な賃貸には、いろいろな種類があります。役所などで聞いてみましょう。インターネットが使える人ならネットで探すのも良いでしょう。

公的賃貸住宅は何と言っても賃料が安いところが多いので収入が下がっている時には助かります。多くの場合、入居者の収入によって賃料が決まるようになっています。要は収入が低い人ほど有利な条件で借りられる訳です。ただ、当然、人気も高いので必ず入れるとは限りません。とにかく、チャレンジしてみて下さい。

賃料というのは引っ越さない限り節約のしようがない固定費です。家計の中から毎月、強制的に出て行きます。だからこそ、この固定費を下げることが出来れば、大きな節約になるのです。

あと、実家が遠くて今の仕事に支障があるという人以外は、もし実家があるならば、実家に戻ることが何よりも節約になるということは覚えておいて下さい。何故なら実家は無料で住める訳ですから。もし、親が賃料を要求してきても、その相場は賃貸住宅の相場よりもずっと安いはずです。また、賃料が遅れたとしても追い出されることは、まずないでしょう。

親子関係がうまくいっていなくて、実家に帰りたくないという人は多いのですが、どうしても生活に困っている場合には最後の選択肢としては考えて頂きたいと思います。一方、親子関係が良好な人ならば、真っ先に検討してみるべきでしょう。実家は礼金も敷金も必要ない訳ですから。

 では次回は、多重債務と切っても切れない関係のギャンブルについて取り上げます。

債務整理一般|2010年7月15日

シリーズ 多重債務からの脱出⑤ 住居費(前編)

 本日は出費の中で最も大きな割合を占める住居費について考えてみましょう。

 住居費は確かに大きな割合を占めているのですが、だからと言って無くす訳にもいきません。人は住むところは絶対に必要だからです。ここが住居費の難しいところです。

 住居費については2種類に分けて考えてみましょう。まず今回は、住宅ローンを組んで購入した場合を取り上げます。

住宅ローンで多重債務になるのに代表的なパターンが、いくつかあります。順番に紹介していきましょう。

 一つは、ステップ返済になっていた場合です。ステップ返済とは返済の途中(5年後が多い)から返済額が急激に上がるタイプのローンのことです。最初のうちは返せていても優遇期間が終了して返済額が上がった途端に行き詰まってしまうのです。

 二つ目は、ボーナス払いを利用していて、途中で会社の業績が落ち込んでボーナスが減らされ、毎月の返済は出来ていても年2回のボーナス返済が行き詰まってしまうパターンです。

 三つ目は、無理のない返済計画を立てていたにもかかわらず、リストラ・減俸などで給料が激減し返済が出来なくなってしまうパターンです。

 このようにローンが払えなくなってしまった場合に最もやってはいけないのがカードローンを借りて住宅ローンを返すことです。まさに多重債務の入り口になってしまいます。

では、どうしたら良いかと言うと、まずはローンの組み換え(リスケジュールと言います)を金融機関に頼んでみましょう。支払可能なレベルまで月の返済額が減るようにローンを組み替えてもらうのです。

この方法は特に住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)でローンを組んでいる人は絶対に試して欲しいことです。何故なら住宅金融支援機構はローンの組み換えに割と積極的に応じてくれるからです。(ローンの組み換えに関しては銀行よりもはるかに親切です)

ローンの組み換えをしても尚、払えなかったり、そもそも組み換えに応じてもらえなかった場合は、残念ですが売却を考えた方が良いでしょう。せっかく買ったマイホームですから未練があるのは充分に理解できます。しかし、売却時期が遅れてローンの未払いが貯まったりしたら余分な利息を取られて大きな損をしてしまいます。早い決断の方が傷が浅くて済みます。

売却してもローンが残ってしまう場合は、潔く専門家に相談しましょう。多くの場合は債務整理をすすめられると思いますが、私も同じアドバイスをするでしょう。残ローンを抱えたまま引越後の生活をするのは多重債務になり易いからです。

 あと話は変わりますが、これを読んでいるあなたが、もし問題なく住宅ローンを払えているとしたら、是非、アドバイスしたいことがあります。

それは、お金に余裕が出来たら何よりもまず、繰上返済に回すべきだということです。この世の中に繰上返済ほど有利な金融商品はありません。特に返済初期の頃の繰上返済というのは支払った額の何倍もの利息軽減効果があります。これだけ得であるにもかかわらず、繰上返済はノーリスクなのです。世の中にノーリスクハイリターンの商品は無いと良く言いますが、こと繰上返済に限っては存在するのです。これを使わない手はないと思います。

従って、住宅ローンを組んでいる家庭では株や投資信託など目もくれずに、まずは繰上返済に回すことを、おすすめします。

 では次回は、賃貸住居費について取り上げる予定です。 

債務整理一般|2010年7月 5日

シリーズ 多重債務からの脱出④ 保険

 今回取り上げるのは日本人の大好きな保険です。前回のブログで生命保険と書きましたが、最近流行の民間の医療保険も含めて考えてみましょう。

 日本人は世界の先進国の中でも生命保険が好きな民族と言えるでしょう。1世帯の年間保険料の平均を取ると40万円以上になると言われています。これに医療保険も加えたら相当な金額になります。しかも、一旦、入ると長期間、支払が続きます。あまり長く払っていると固定費として意識の外になり、節約の対象から外れてしまいます。これが怖いのです。(途中で支払保険料が上がることもよくあります)。

保険に入っている人は何故か入ってから支払いが終わるまでのトータルの保険料を計算する人は少ないようです(保険会社もあまり教えていない気がします。教えると入る人が減ってしまうからではないでしょうか)。実は計算してみると莫大な金額を支払っていることに気がつきます。

今、生命保険に入りながら生活が苦しい人に考えて頂きたいのは、「生命保険というのは生活を犠牲にしてまでも払い続けるものなのか」ということです。頑張って生命保険を支払っているうちに多重債務になってしまったら本末転倒です。

それでも心配だという人には、もし世帯主が亡くなった場合、生命保険以外に何がもらえるかを冷静に見てみましょう。

まず、年金を納めている家庭なら遺族年金がもらえます。サラリーマンなら厚生年金に入っていますから結構な額がもらえるはずです。

自分は収入が低くて年金を真面目に払っていないという人は、生活保護がもらえる可能性があります。母子家庭で10歳未満の子どもが2人なら地域によっても金額は違いますが12万~16万円くらいでしょうか。

住宅ローンを組んでいる人は団体信用保険に強制加入しているはずですから、ローン債務者が死亡した場合は住宅ローンが完済されます。残された遺族は住宅に無料で住めるようになるわけです。このことを計算に入れていない人が結構います。(毎年1回の固定資産税は払う必要があります)

その他、母子家庭の場合、児童扶養手当、医療費補助、教育扶助資金給付制度などもあります。このように見てくると一般の日本人が心配する程ではないような気がしてきませんか。もちろん余裕がある時に保険に入るのは構いませんが、生活が苦しい時まで保険に入り続けるのは考え直した方が良いと私は思います。どうしても不安な人は都道府県の共済保険がオススメです。金額的にも非常に、お得になっていますし営利団体ではないので余剰金が発生すれば払い戻し金が期待できます。

 次に民間の医療保険については、生活が苦しい時には生命保険よりも優先的に解約すべきだと私は思います。何故なら、日本にはかなり充実した公的医療保険制度が既にあるからです。最近は負担割合が増えたとはいえ、それでも手厚い保険になっています。特に高額医療費の補助があるのが特筆すべき点です。

この制度は1月当たりに一定の金額以上の医療費がかかった場合は超えた部分が健康保険から支払われるというものです。意外に知らない人もいるので覚えておきましょう。ただ事前に手続をしないと一旦は請求額を支払ってから後に超えた分の還付を受けるという形になりますので注意が必要です。ただ、この場合でも請求額が払えない人には一時的な貸付制度があります。還付を受けたら貸付金を返還すればよいのです。

 では次回は住居費について取り上げます。

債務整理一般|2010年6月24日

臨時ニュース 貸金業法の改正

 明日(6月18日)に改正貸金業法が完全施行されます。既に新聞・テレビなどでも報道されているように今回の改正の目玉は総量規制と呼ばれるものです。現在、取引をしている人に影響を与える可能性がありますので、これについてコメントしたいと思います。

総量規制とは、ある程度以上の借り入れを法律で強制的に禁止してしまおうという制度です。(自由主義に反するという意見もあります。私も正直この点は微妙だと思います)

具体的には年収の3分の1以上の借入に関しては、貸金業者の融資をストップするという制度です。(細かく言うと例外もありますが複雑になるので、一般の人は上記の理解で充分でしょう)。

この規制が始まって、最も困るであろうと予想されているのが専業主婦の皆さんです。何故なら専業主婦の場合、本人に収入が無い訳ですから夫の収入証明を提出しなくてはいけません。ところが、専業主婦が融資を受ける際に、夫に借り入れの事実を秘密にしている場合が多いのです。

新たに必要になる書類は収入証明だけではありません。配偶者の同意書、配偶者との婚姻を証明する書類なども必要になってきます。こうなると秘密にしている人は、夫に打ち明けるか、新たな融資を諦めるしかなくなります。

しかし、複数から借り入れをしている場合、新たな借入で返済にあてているケースが多いので、新たな借入が出来ないと返済に行き詰まってしまう人が大量に出る恐れがあります。この点が全く解決されていないので、マスコミ等で騒がれている訳です。

返済に行き詰まった時に最もやってはいけないのが、ヤミ金融に走ることです。ヤミ金融は違法業者なので総量規制には関係なく融資します。だからと言って消費者金融よりも利率ははるかに高いのですから、いずれ必ず行き詰まります。その時は、ヤミ金融に手を出す前よりも、もっと悪い状況になっていることは間違いありません。このブログを読んでいる人は絶対に手を出さないようにして下さい。

融資がストップして、どうにもならなくなったら、まず考えることは専門家に相談することです。債務整理に多少の抵抗があったとしても、ヤミ金融に手を出すよりは良いと考えて下さい。

6月末から7月にかけて多くの専業主婦の方が今まで述べてきたような困難な事態に直面する可能性が指摘されています。くれぐれも間違った選択をしないように注意して下さい。

債務整理一般|2010年6月17日

シリーズ 多重債務からの脱出③ 自動車

 今回は家計の支出の中でも住居費と並んで大きな割合を占める自動車について考えてみましょう。

実は、自動車というのは想像以上に大きな支出になっています。車両本体が高額商品であることは、もちろんですが、それよりも家計に影響を与えるのが巨大な維持費です。自動車が他の商品と決定的に違うのは本体価格以外に維持費が、ばく大にかかってくることなのです。

だからと言って私は自動車を否定している訳ではありません。地域によっては自動車が無ければ生活出来ない場所もあるでしょう。仕事で自動車が必要な人も、もちろんいるでしょう。ここでは、自動車にかかっている費用について良く考えてもらって、少しでも負担を減らせるように参考にして欲しいのです。

では具体的に維持費が、どの位かかるのか分析してみましょう。ここでは愛知県で小型乗用車に乗っている場合で考えてみます。改めて見てみると驚いてしまう人も多いと思います。

まず、車検費用が2年ごとに約10万円かかります。1年で約5万円となります。(他に消耗品の交換などがあった場合は、追加費用が加算されます)

ほとんどの人が任意保険に入るでしょうから、これが毎年で約5万円です。(車両保険に入らなければ、もっと安くなるでしょうが、その時は、もし事故を起こした場合は大変な出費になることを覚悟しなければなりません。私はオススメしませんが)

次に駐車場代があります。都会の便利の良いところなら月に2万~3万円、郊外なら月に5000円~1万円でしょうか。これは毎月かかってきますから1年では、かなりの金額になってきます。

そして馬鹿にならないのが毎年納付する自動車税です。2リッター以下の小型車でも年間2万5000円~4万円支払うことになります。(車というのは税金の塊で主なものでもガソリン税、自動車税、自動車重量税と何段階にも分かれて取られています。最初にナンバーをもらう登録費用も役所に払うのだから利用者から見れば税金みたいなものですね)

他にオイル交換、バッテリー交換などの定期的なメンテナンス費用がかかります。年間に直すと1万5000円くらいでしょうか。

そして忘れてならないのがガソリン代と高速料金です。高速料金は今でこそ安くなってきましたが、ガソリン代は昔よりも高くなっています。走行距離の長い人なら月に2万円~3万円くらいかかるのではないでしょうか。

これらの維持費を1年にならしてみると、何とトータルで50万円近くかかっているのです。これは小型車の場合ですから大型車に乗っている場合は60万~70万かかっているでしょう。こうして計算すると、びっくりしてしまった人も多いのではないでしょうか。しかも、この維持費に加えて車両本体のローンも払っている人が多いのですから、以下に家計の負担が重いか分かって頂けたかと思います。

もし、都心の交通の便利な地域に住んでいる人なら思い切って自動車の無い生活を考えてみるのも良いと思います。その覚悟が出来れば、維持費とローンを合わせて年間で100万円近い負担が家計から消えるのです。この生活を10年続ければ自動車を持った時と比べて、何と1000万円もの余裕が家計に生まれることになります。どうでしょうか。考えてみる価値が出てきたと思いませんか。

ただし、この方法は郊外の交通の不便な地域の人は残念ながら使えません。これらの人の場合は、私は軽自動車への乗りかえをオススメします。理由は何と言っても維持費が安いからです。

それでも車好きな人は軽には抵抗があるという人もいるでしょう。そういう場合は次のように考えたらいかがでしょうか。「長い車人生の中で、一時くらい軽に乗ることがあっても良い。いつかまた収入が戻ったら好きな車に乗れば良い」と。このように考えれば、むしろ「いつかまた、好きな車に乗るぞ」と逆に励みになり頑張る意欲が沸いてきませんか。(是非、そうなって欲しいものです)

一方、家計が苦しい時に良く間違う方法に、「収入が減ったから中古車に買い換えよう。でも中古車なんだから前よりも、ちょっと良い車に乗ろう」というものです。これが何故、間違いかというと、中古車であろうと維持費は変わらないからです。むしろ前よりも大型車を選んでしまったら維持費は余計にかかってくることになります。本体価格を下げても家計の負担は大して変わらなかったり、それどころか負担が増える場合があるかもしれません。自動車という商品は常に本体価格と維持費の両方を念頭において考えなくてはなりませんので注意が必要です。

 では次回は生命保険について考えてみましょう。

債務整理一般|2010年6月16日

シリーズ 多重債務からの脱出② 固定費の削減

 久々のシリーズ再開です。今回は家計の支出の削減についてですが、その中でも固定費の削減について考えてみます。

家計には固定費と変動費と大きく分けると二つの支出があります。このうち固定費とは毎月(毎年かもしれません)決まった額が出て行く支出のことで例えば税金や保険、教育費、車検費用、駐車場代、住宅ローンや賃貸料、新聞代などが代表的なものです。しかし、これ以外にも、その人にとって必ず毎月支出することが習慣になっていれば、それは固定費と考えるべきでしょう。例えば、飲み代やタバコ代、子どもの習い事、旅行代なども事実上、固定費になってしまっている人が多勢いるのではないでしょうか。

不思議なもので、人は固定費だと認識してしまうと、その費用は聖域となってしまい、削減の対象からはずれてしまうという習性があります。(誰でも思いあたるところがあるのではないでしょうか)。実は自分が削りたくないという気持ちが先にあるのですが、いつのまにか、「これは固定費なんだから削ることは出来ない」と最初から除外してしまうのです。

そこで次に始まるのが変動費の削減です。変動費とは月によって支出の金額が大きく変わる、あるいは支出しない月もあるという費用です。

もちろん変動費も削らないよりは削った方が良いのですが、たいていの場合、たいした支出の減額にはならない事が多いのです。何故なら、その人にとって、あまりコダワリがないからこそ変動費になっているので、人はコダワリがないことには大きな支出はしないものだからです。

従って、収入が急激に減ったときの家計の絞り込みに最も効果があるのは固定費の削減だということに気付かれると思います。しかし、「言うは安く行うは難し」のことわざにもあるように、これがなかなか大変で覚悟がいる為に、多くの人が支出の削減に失敗してしまうのです。

 では次回は固定費の中でも最大の部分を占める、自動車について考えてみましょう。

 

債務整理一般|2010年6月 8日

臨時ニュース ゴールド逮捕

 私が受けた事件が先週の18日(火)にCBCの夕方のニュースで流れたので、報告したいと思います。

事件の内容は、私の依頼人が年金担保金融(悪質なヤミ金融の一種ですね)から借金をしていて、年金が振り込まれる通帳を業者が強制的に預かって、返済と称して勝手に通帳から引き出しているというものです。もちろん、通帳を返してくれと言っても返してくれません。

ちなみに年金を担保に取ることは違法行為であり、相当に悪質です。私は、この依頼を受けた後、最初は通帳の返還を要請しましたが、一向に応じないので、愛知県警に告発しました。

警察が調査したところ、依頼人以外にも同じ被害を受けている人が相当数いることが分かり、警察も本腰を入れて捜査に乗り出したようです。

かなり念入りに捜査したらしく、告発してから半年ほどかかりましたが、この度、逮捕となったようです。

それにしても、まさか自分が扱った事件がニュースになるとは思いませんでした。

債務整理一般|2010年5月24日

シリーズ 多重債務からの脱出① 多重債務のきっかけ

 さて、本日から新シリーズとして、多重債務から脱出する為には、そもそもどのように生活をしたら良いのかを考えてみたいと思います。

 多重債務を抱えてしまったら、まずは専門家に債務整理を依頼して債務自体を圧縮するか、あるいは無くしてしまうことが最初に取るべき方法です。しかし、それだけでは充分ではありません。そもそも何故、多重債務に陥ってしまったのか、その原因を探って家計の見直しを行わなければ再び苦しい状態に戻ってしまいます。この部分は専門家に頼るのではなく、自分自身が気がついて直す努力が必要です。気がつく為の手助けとして、このブログを役立てて下さい。

では何故、普通の人が多重債務に陥ってしまうのでしょうか。私が何人もの多重債務者を見てきた中で、最も多いと思われる原因は以下のようなものです。要は「急激な収入の減少に意識が追いついていかない」というものです。

意外に思われるかもしれませんが、もともと収入が低かった人は案外、多重債務にはなっていません。もし、なっていたとしても借りている業者の数は意外に少なかったりします。いわゆる、一般に知られている多重債務(5社~10社、あるいはそれ以上)から借りている人は、大抵、過去にある程度の収入があった人が多いのです。

これは、もともと収入が低かった人は余り無理をせず、低い収入の中で見合った生活をしている人が多いからだと思われます。ところが、収入が多い時期を経験すると人は、その収入に合わせて贅沢をするようになります。その収入が維持されていれば問題ないのですが、最近の不安定な景気の状況では突然、収入が激減することがあります。この急激な変化に意識がついていきません。今までの生活レベルを収入の変化と同じスピードでは変えられない人が多いのです。

その結果、収入が下がっているのに、支出が変わらない訳ですから必然的に家計は苦しくなります。こういう時に貸金業者の誘惑に負けてしまうのです。

この時の心理状態として考えられるのは、「収入が下がったのは一時的なもので、また元に戻る。その時に返せば問題無い」というものでしょう。この考え方自体は私は責められないと思います。もう二度と収入が上がらないと、あきらめてしまうよりは前向きだと思うからです。しかし、大事なのは、「今は収入が下がっているのは確かなのだから、次に収入が上がるとしても、それまでは支出を切り詰めなければならない」という発想を同時に持つことです。

 では、原因が分かったところで、どのように支出を切り詰めれば良いのでしょうか。次回から、支出の削減について考えてみましょう。

 

債務整理一般|2010年5月13日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方⑦ 面談(3)

 本日は面談の内容についての私の意見です。

 面談の内容で私が最も大切だと思っているのは、その時点で予想されるデメリット(マイナス部分)について説明するということです。依頼人と専門家の間の、ほとんどのトラブルは、このデメリットを説明していなかったことで発生していると思います。

例えば、よくあるトラブルとして以下のようなものがあります。

①任意整理で事故情報について聞いていなかった。(債務が残る任意整理では事故情報に載ります)

②過払金が必ず発生していると言われたが取引履歴が届いて計算してみたら過払いではなかった。

③処理スピードが早いことを強調していたのに頼んでみたら半年以上かかった。話が違う。

④過払金は満額取り戻すと言っていたのに、元金以下の金額で和解された。

以上が最近多いトラブルだと思いますが、いずれも事前に説明を受けていれば苦情にはならなかったでしょう。

中には、きちんとデメリットを説明すると、「そんなはずはない」とか、「それは、お前の腕が悪いからだ」とか言ってくる人が一部います。こういう場合は依頼する側にも問題があるケースですが、多数派ではありません。

もちろんデメリットを説明することで依頼を止めてしまう人もいます。これは仕方がないでしょう。デメリットの説明に消極的になる事務所は恐らく、これを嫌がっているのだと思います。しかし、一時的に気持ちの良い思いをしたとしても、結果として、どちらが信用できる事務所でしょうか。このブログを読んでいる皆さんも良く考えてみて下さい。

ただし、ここに書いたデメリットの説明は、あくまで予想できる範囲内のことです。デメリットの中には予想外のこともあります。特に最近は業者の経営状態が悪化している為に、業者が短期間に態度を変更してきます。2ヶ月前に通用したことが今月は通用しなくなったということが現実に起こっています。これは専門家の責任ではありませんので、どうか皆さん勘違いしないで下さい。(業者が倒産した場合も予想できないケースに含まれるでしょう。今や、ほとんどの業者が倒産しても、おかしくない状況なので、怪しいと言えば全ての業者が怪しいのです。しかし、正確に何月に、どこどこの業者が倒産するということを予測することは不可能です。)

いずれにしても、説明を聞いてみてメリットばかりしか言わない事務所は要注意だと思います。(これは、そのまま広告・宣伝にも言えることです)

債務整理一般|2010年4月30日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方⑥ 面談(2)

 さて本日は久しぶりに前のシリーズに戻ります。面談(1)では「面談は必要か」というテーマで話をしました。今回は面談のやり方に焦点を当ててみたいと思います。

 面談のやり方で最初に問題になるのは面談の時間でしょう。面談に、どれだけの時間をあてているかということです。これは、あくまで私の意見ということになりますが、債務整理の場合最低でも30分、出来れば1時間くらいはかけるべきだと考えています。

事務所の中には10分や15分で済ませるところもあるようですが(特に大量に引き受けている事務所に多い)、私の経験上、それだけ短い時間だと依頼人との信頼関係が築きにくく、結果的に依頼人に不満な感情が残ってしまう場合があるように思います。

もし30分以内で終わらせようと思うと、事務所の用意した必要事項の質問で終わってしまい、依頼人が自ら話す機会は、ほとんど取れないでしょう。そうなると、依頼人としては「自分の話を聞いてもらえなかった」という不満が、どうしても残ってしまうのです。

もちろん、長々と自分の話を続けて、いつまでも話が終わらない人も中にはいますので、長ければ良いと言っている訳ではありません。あまりにも解決に関係ない話を長くされる場合は、専門家の判断で時間を短くする場合は、あってよいでしょう。要するに長いのも短いのも極端は良くないということです。

ちなみに私の場合は、任意整理・過払請求の時は約30分~1時間、自己破産・個人再生の時は約2時間~3時間くらいを目安としています。

あと、面談の最中に、やたらと依頼人を怒る専門家がいるようですが、これも程度によっては問題ではないかと考えます。

どうも一部の弁護士さんに、こういう方がいるようで、その後で私の事務所に来られて、怒られた時の文句をさんざん聞かされたことが何回かあります。もちろん、温厚な弁護士さんもいますから全てという訳ではありませんが。(何故か、この手の文句は弁護士さんが相手のことが多いです。やはりプライドが高いんでしょうか)

もちろん時と場合によりますから、依頼人を叱ることを100%否定する訳ではありません。例えば、「あなたは今のままで放っておくと本当にマズイことになるよ」と説得したい時や、「それは法的には無理です」と言っても全く聞かずに違法行為でも「やってくれ」と迫ってくるような場合は、多少きつい言い方になっても仕方がない場面はあるとは思います。しかし、債務整理に来る人を見下したような怒り方をする専門家のいる事務所は、避けた方が良いでしょう。

 次回は面談(3)として、面談の内容について説明します。

債務整理一般|2010年4月16日

事務所移転のお知らせ

 長らく、お待たせしました。久々のブログ再開です。移転作業で、しばらく、ばたついていましたが、ようやく落ち着いてきました。新しい事務所でも、今後とも、よろしくお願いします。

という訳で、本日は新事務所の宣伝をさせて頂きます。

 まず、交通の便が格段に良くなりました。今までは、公共交通で来訪される方には不便をかけていましたが、これからは地下鉄で簡単に来れるようになります。一度、来て頂ければ分かりますが、本当に駅から至近距離です。塩釜口の2番出口の階段を上がって左を向けば目の前にセブンイレブンが見えます。そのビルの6階になりますから文字通り徒歩1分です。(現実には1分もかからないかも)

塩釜口は鶴舞線の駅ですが、鶴舞線は東は名鉄豊田線、北は名鉄犬山線と、つながっています。要するに乗りかえ無しで豊田線や犬山線から来ることが出来ます。今までも豊田・三好方面からの依頼は比較的に多かったのですが、今後は小牧・江南方面からも来やすくなりました。

 また、今まで通り車で来訪される予定の方は「名古屋市内で駐車スペースがあるのか」と心配されるかもしれませんが、その点は安心して下さい。ビルの真横にコインパーキングがあります。依頼を受けた方、これから依頼を受ける方に関しては、駐車料金のサービスも行っております。

住所だけを見ると日進市から名古屋市ですから三河方面の方には遠くなったようなイメージがあるかもしれませんが、実際には、国道153号線から余り離れていません。153号を名古屋方面に走っていると途中に「植田一本松」という交差点があります。角にマクドナルドがある交差点と言えば思いつく人も多いのではないでしょうか。その交差点から車で5分くらいの場所になります。153号を通ってくる場合は、日進市の事務所と時間的には余り変わりありません。

 より便利になった橋本司法書士事務所を今後とも、よろしくお願い致します。

 

債務整理一般|2010年3月30日

臨時ニュース プロミス有人店舗全面廃止

 主要消費者金融のプロミスが全国にある有人店舗を全て廃止して、今後は自動契約機かまたはネットでの取り扱いになることを発表しました。更に従業員を3割カットすることも発表しています。

プロミスは不審が続く消費者金融業界の中では、三井住友銀行と提携していることもあって、比較的、経営が安定していると思われていました。今回の発表はプロミスでさえも金融不況の影響からは逃れられなかったという象徴的な出来事になりそうです。

銀行と提携していることもあって、倒産するという噂は流れていませんが、裏を返せば、プロミスでさえも、この状況ならば他の消費者金融は相当に危険という考え方も出来そうです。

果たして3年後には、いくつの消費者金融が残っているでしょうか。

債務整理一般|2010年2月 1日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方⑤ 面談(1) 

 本日は面談について私の意見を述べてみます。

 まず、やり方について考える前に、そもそも面談が必要かという問題を考えてみましょう。何故ならば、東京に本部がある一部の大型事務所の中には、電話と書類の郵送だけで一度も面談をせずに処理してしまうところもあるからです。果たしてこれは良いことなのでしょうか。

結論から申し上げると、このような面談無しの引き受けは、現在は許されておりません。昨年、日本弁護士連合会(日弁連)及び日本司法書士会連合会(日司連)が出した通達によれば、「債務整理の際に、依頼人と直接、面談をすること」という規定が入っています。少なくとも、面談無しの債務整理は、この規定には違反することになります。

 では、私の意見はどうかと言うと、債務整理を引き受ける場合は、やはり面談は必要だと考えます。

私がそう考える理由は二つあります。一つは依頼人に対する本人確認の必要性です。例えば次のような依頼があったと考えて下さい。遠方の方で(私は愛知県ですから、ここでは九州辺りを想像して下さい)自分の家族に10年以上、消費者金融と取引があって最近、完済した人がいたとしましょう(このケースでは間違いなく過払いになっています)。この人が引き出しから家族の書類を、こっそり出して、あたかも自分が過去に取引をしていたように偽って愛知県の司法書士に過払金請求の依頼をしたとするとどうでしょう。郵送と電話だけで果たして見破れるでしょうか。直接会わない本人確認とは、やはり危険が伴うのです。

私が面談不要論に否定的な、もう一つの理由は、依頼人の方からも司法書士を確認できないということです。

そもそも電話や郵便で対応しているのが本当に広告や宣伝に登場している司法書士なのかどうかは分かりません。会ったことが無い訳ですから確認する方法がありません。ひょっとしたら資格を持っていない、ただの従業員かもしれないのです。

 以上のような理由から私は、引き受ける場合は面談は必要だと考えています。皆さんは、どう思われるでしょうか。

 では、次回は「面談」の続きとして、面談のやり方に焦点を当てて話をしましょう。

 

債務整理一般|2010年1月22日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方④ 仕事の選り好み

 本日は、「仕事の選り好み」について話しましょう。

 債務整理と言えば大きく分けて「任意整理」「過払金請求」「自己破産」「個人再生」という種類があります。「過払金請求」を「任意整理」に含める時もありますので、その場合は3種類になる訳です。ところが事務所の中には債務整理に強い事務所を宣言しておきながら、上記3種類の仕事に、きちんと対応していないところがあると聞いています。こんな事務所は、私は警戒した方が良いと思っています。

最も良く聞くのは、「任意整理」、特に「過払金請求」だけに特化して他は受け付けない事務所です。実際に、個人再生や自己破産の案件だと分かった時点で断られて、私の事務所に回って来た人が何人かいます。このような取り扱いは、やはり誠実とは呼べないでしょう。

それでも任意整理だけは受け付けるのならば、まだマシな方で、もっとひどい事務所になると、取引履歴を計算して過払いになったところだけ引き受けて、債務が残ったところは引き受けないという事務所もあるそうです。(ここまでいくと、最早、不誠実を通り越して問題のある事務所と言った方が良いでしょう)

このような取り扱いが何故、問題かと言うと、依頼を受けた段階では「過払金請求」だけで解決するかどうか分からない場合があるからです。その場合、一旦、引き受けてもらったにもかかわらず途中で放り出されることになってしまいます。 

やっかいなのは、このような実態が広告宣伝からは分からない場合があることです。一応、広告宣伝には全ての債務整理業務に対応すると書かれていて、それを信用して訪問したら前述のような問題が発生したということが、ありうる訳です。

 全ての債務整理業務に対応しているかどうかは、真面目に取り組んでいる事務所かどうかを判断する有力な目安となりますので、注意してみて下さい。

では次回は「面談のやり方」について話をしましょう。

 

債務整理一般|2010年1月15日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方③ 料金

 皆さん、明けましておめでとうございます。さて、本日は司法書士事務所の料金について私の感想を述べてみます。

 現在、司法書士と弁護士の料金は自由化されています。事務所ごとに料金が違っていても構わない訳です。私は個人的には料金の自由化には賛成の立場です。事務所ごとに法的サービスの内容が異なっていれば料金が違うのは、むしろ自然でしょう。もちろんサービスの内容が同じでも事務所の方針で料金を変えるのは認めるべきでしょう。そうしないと安く提供する自由が無くなってしまいますから。一方、他の事務所には無い付加価値を持っている事務所は高い料金を取ることも許されるべきでしょう。

従って、料金で問題が起こるのは高いか安いかでは無いと私は思っています。では何が問題かと言うと、それは「料金の透明化」だと思います。

要するに事前に自分の受けるサービスの内容と、それに対する料金の説明をしっかりと受けていれば、ほとんどの場合トラブルは起こりません。(これでトラブルが起こる場合は依頼人の側にも何らかの問題があると思われます)。

ところが、一部の事務所には料金の説明を事前に、しっかりとしていなかったり、あるいは広告宣伝に書かれている料金と実際にかかった料金が異なったりする場合があるようです。

依頼人にとって関心があるのは依頼が全て終了するまでのトータルの料金です。料金の説明を受けたり、広告の料金表を見たりした時に、依頼人は自分が支払う費用は全部で、これだけだと思って依頼を決めるのが普通の感覚でしょう。

ところが、依頼の途中で最初には聞いていなかった料金、広告に書かれていなかった料金を請求してくる事務所があるようです。こういう時にトラブルが発生しやすい訳です。

もちろん、法律サービスの場合、相手(債務整理の場合は業者)の出方によって依頼内容の変更や追加の依頼が必要になることはあります。その場合でも、変更や追加になった事情を説明した上で追加料金を請求していればトラブルは起こりにくいでしょう。問題になるケースの大半は説明不足の後で追加料金が請求される時だと思います。

それならば、依頼する側から料金トラブルを避ける最も有効な手段は、面談の際に依頼が終了するまでのトータルの費用はいくらなのかを必ず聞くということになるでしょう。

ただし依頼の内容によっては結末が、はっきりと示せない場合があります。こういう場合は予想される結末を、いくつか示した上で、この場合はいくら、こちらの場合はいくらと説明してくれる事務所が良いのではないでしょうか。

料金トラブルは非常に後味の悪いものになりがちなので、これから事務所を選ぶ人は充分に注意をして下さい。

 では次回は「仕事の選り好み」について取り上げます。

債務整理一般|2010年1月 5日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方② 担当は誰なのか

 さて今年最後のブログになりますが、本日は依頼をした時に実際に自分の依頼を処理してくれる担当について考えてみましょう。

 担当の問題を考える時には、一つは広告宣伝と担当の問題、もう一つは面談と担当の問題の二つを考える必要があります。

 まず一つ目の広告宣伝と担当の問題について考えます。誰かからの紹介で無い限り、最初に司法書士事務所を知るきっかけは広告宣伝になるでしょう。依頼人にとっては最初の情報源になる訳です。しかし、広告宣伝で得られたイメージと実際の処理が違っていると依頼には不満が残る訳です。この不満の中でも代表的なものが「担当が広告宣伝と違う」というものでしょう。

広告宣伝に写真が載っていて、その下にプロフィールが書いてあったりする広告を良く見かけますが、こういう広告を見て事務所を訪れる依頼人の大半は、その写真やプロフィールで自分の担当をイメージしていると思います。ところが出かけてみると全く違う人が出てきた、というパターンですね。これは大型事務所で起こりやすい傾向があります。

もちろん広告宣伝と違う担当が出てきたからと言って、その人の能力が低いとは限りませんから、一概に悪いとは言えません。しかし、依頼人に安心感を与えるのも重要な事なので、その点では問題があると言えるでしょう。(やはり広告どおりの人が面談に現れれば安心する人が多いのではないでしょうか)

 次に面談と担当の問題について考えてみましょう。こちらの方が、より重要かもしれません。これは要するに面談をしてくれた人と実際に仕事を処理している人が違うという場合に起こってくる可能性があります。

これは一人事務所の場合は問題になりません。一人事務所ならば面談する人と仕事を処理する人は必ず同じになるからです。しかし一人事務所でない場合は例え二人や三人の少ない人数であっても問題が発生する可能性があります。だから、この問題に関しては個人事務所だから安心だとは限らない訳です。

もちろん全てが問題と言う訳ではありません。例え違う人が処理していたとしても、上がってきた仕事を常に面談した人がチェックして間違いがあれば訂正して最終的に面談した人の目を通して処理されていれば何の問題もありません。

問題になるのは面談した人の手を離れて勝手に処理されていて、その事についてチェックがされていない場合です。

こうなると依頼人としては、「自分が信頼したのはAさんだったのに、話したこともないBさんが処理しており、Bさんと仕事の経過について話してみると自分が伝えたことと食い違う点がある。それについて再度、Aさんに確認するが、Aさんは、今はBさんが処理しているから経過はBさんに聞いてくれと言われる」ということになりがちです。要するに依頼人からすると非常に無責任な状態に見えます。

このようなトラブルを無くす為には、まず面談を受ける際に自分の仕事を処理してくれるのは実際には誰なのか、他の人が処理しているならば、責任は誰が取るようになっているのかを聞いておくことが重要になってきます。特に大勢の人がいる事務所では説明を聞くことを、おすすめします。

 では次回は来年です。テーマは「料金」についてです。

 

 

 

債務整理一般|2009年12月28日

シリーズ 司法書士事務所の見分け方① 認定番号

 さて、本日から新シリーズとして、司法書士事務所の見分け方のポイントを私なりに解説したいと思います。

依頼者の側からすると、司法書士事務所に訪れるのは非常に珍しい経験である人が多いでしょう。従って、始めて依頼をする時は、どの事務所に行ったら良いのか迷ってしまうのが普通だと思います。そういう時に判断する目安のような情報があると便利だろうと思って、このシリーズを書くことを思い立ちました。役立てて頂ければ幸いです。(しかし、あくまで目安ですから、判断の手助けとして活用して下さい。ここに書いてあることだけで100%の判断は出来ません。でも知らないよりは知っている方が良い判断に近づくことが出来るでしょう)

 では、まず1回目として認定番号による見分け方を説明しましょう。

債務整理を業務としている司法書士は二つの番号を持っています。(ここが弁護士と違うところですね) 一つは登録番号、もう一つが認定番号です。

まず登録番号から説明すると、この番号は全ての司法書士が持っています。(逆に言えば、この番号を持っていなければ司法書士の仕事はやってはいけないことになっています) それぞれの都道府県ごとに司法書士会という組織が置かれていて、司法書士の仕事をするには必ず、どこかの司法書士会に所属しなければなりません。ちなみに弁護士も同じ方式です。(余談ですが、医者にも医師会という組織がありますが、これは強制ではありません。従って、医師会に所属していない医師は存在します) 

これに対して認定番号とは司法書士独特のもので、簡易裁判所の代理権を行使できるのは認定番号を持っている司法書士だけなのです。この番号を持っていない司法書士は業者と和解交渉が出来ません(法律で禁止されています)。具体的には任意整理や過払請求などの仕事が出来ないことになります。要するに司法書士とは資格の中に、もう一つ資格があり、認定番号を持っている司法書士は、そうでない司法書士に比べて出来る仕事の範囲が広いということになります。

では、認定番号は、どのような経緯で取得するかと言うと、司法書士試験に合格した後、更に特別研修というものを受け、その研修終了後に行なわれる認定試験に合格すると認定番号が与えられます。

認定番号は6ケタになっていて、左端の番号が何回目の認定試験に合格したのかを表しています。(試験を受けた回数ではありませんので注意して下さい) 認定試験は第1回が平成15年に行われています。例えば、この第1回の試験で番号を得た場合は認定番号の左端が1から始まっています。

2回目の認定試験は平成15年の末頃に行われ、合格発表が平成16年です。この時に番号を得たら左端は2から始まっている訳です。(ちなみに私は、この時に合格しましたので左端の番号は2です) 

 何故、このような説明をしてきたかと言うと、よく広告やホームページで事務所の紹介や司法書士の紹介がされていて、その中で合格年度や開業年度は書かれているけども認定番号を取得した年度は書かれていないケースがあります。そういう場合でも番号のルールを知っておけば、いつ頃に認定を得たのかが分かりますから、知っておいて損は無いでしょう。

認定を得た後に開業した司法書士ならば、開業と同時に債務整理を始めることが出来ます(もちろん本当に始めるかどうかは司法書士によって異なります)。しかし、開業はかなり古いけど認定は最近だとしたら、その司法書士の債務整理の経験は古いとは言えない訳です。随分と古くから開業しているから、経験豊富なんだろうと思ったら、とんだ勘違いをしてしまう可能性があります。

あと、大型事務所の場合、広告に載っている人と実際に担当する人が違う可能性があります。その場合は、実際に担当する人が、いつ認定を取得したのかは判断の材料となるでしょう。(もちろん取得が古いからと言って、それで全ての司法書士がベテランだと言ってる訳ではありません。中には古くても経験の浅い司法書士もいるでしょう。しかし、取得が最近ならば、少なくとも経験豊富とは言えないという予測は成り立つでしょう。)

 では、次回は「自分の担当は誰なのか」について考えてみましょう。

 

債務整理一般|2009年12月16日

臨時ニュース 武富士の貸出ストップと最近の過払事情

 ご無沙汰しておりました。年末にかけて大変、忙しかったので、しばらくブログをサボっておりました。定期的に読んで頂いていた方には申し訳ありません。

 さて本日は重要なニュースが飛び込んできたので、こちらから。

先月くらいから武富士が貸出を事実上ストップしているという情報が入ってきました。自社でかかえる優良顧客に対しても貸出を抑えているそうです。理由は格付けを下げられた為に資金繰りが苦しくなり、とにかく手持ちの現金を確保することに専念しているということです。アイフルのような私的整理に進む可能性も否定できなくなってきました。(好意的に見れば、そうならない為に貸出を抑えたという見方もできますが)

いずれにしても、武富士と言えば、かつては業界トップに君臨した貸金業者です。(ちなみにアイフルもトップになったことがありますね)。まさに貸金業界総崩れの様相を呈してきました。

 このような状況をふまえて最近の過払金事情を説明しましょう。

今年の夏頃から業者の過払金の支払いが急激に(本当に急激に)悪化しました。今までは支払いの遅れや減額は中堅業者に留まっていたのですが、それが主要業者(武富士、アコム、アイフル、プロミス)にも一気に広がってきたのです。これらの業者は顧客の数が中堅業者とは桁違いなので、与える影響は甚大です。具体的には以下のような悪影響が出てきています。

まず、訴訟をせずに任意での返還請求に応じる確率が極端に減りました。例え応じても、かなりの減額を覚悟しなければなりません。あるいは希望額を取れたとしても、かなり遅い支払期日になってしまいます(武富士は今、平均で半年後くらいになってきています)。それでも、一括で支払ってくれば良い方で、分割払いを要求されることも珍しくありません。(債務者の支払いではありませんので勘違いしないで下さいね。貸金業者が過払金を支払うのに分割にしてくれと言ってくるのですよ)

従って、現状では満額取ろうと思ったら、9割以上の確率で訴訟になります。だから裁判所が、かつてないほどに混雑しています。今まで訴訟前に終わっていた案件が、ことごとく訴訟になってしまうのですから無理もありません。裁判所が混雑すると裁判期日が後ろに押されていきますから、こちらの方も遅くなっていきます。まさに踏んだり蹴ったりの状況です。(そんな訳で私も毎日のように、どこかの裁判所に顔を出しています。だから忙しかったんですね)

今までスピードを売りにしていた事務所は、かなりの痛手を受けているのではないでしょうか。もし、現在でもスピードを売りにしていたとしたら、それは満額回収していない可能性が高いですから、よく説明を聞いた方が良いでしょう。

 どうやら、過払バブルと呼ばれた時期も終わりに近づいたようです。少なくとも、大型事務所が新人弁護士や新人司法書士を、たくさん雇ってベルトコンベアーのようにマニュアル通りの対応で大量に迅速に処理するというビジネスモデルは、もう成立しないように思います。(このモデルが成立する為には、各事件が簡単に早く解決できるというのが絶対条件ですから)。

今後、大型事務所は債務整理から手を引き始めるのではないでしょうか。顧客集めの為にかけた大量の広告費(TVコマーシャルや電車広告など)は、手間がかかるようになったら回収するのが難しくなります。こういうコストは大型事務所ほど大きな負担になって跳ね返ってきます。「環境が激変した時は大きなものほど対応が遅い」のは良く言われることです。

 また、依頼者の側から見た場合、今後は「早く回収したいならば減額もやむを得ない」という覚悟は必要だと思います。依頼する時に、その辺りの説明は事務所に、しっかり聞きましょう。

 

 

債務整理一般|2009年12月 8日

臨時ニュース ロプロ会社更生法申請

 本日、二大商工ローン業者の一つロプロ(旧日栄)が会社更生法の申立をして事実上倒産しました。

日栄と言えば、かつて「目ん玉売れ、腎臓売れ」でマスコミをにぎわした悪名高い商工ローン業者です。こんな業者ですから、中には倒産して当然、と考えている人もいることでしょう。世間の厳しい批判にさらされて、最近では強引な取立もマシになったようですが、評判の良い業者ではないことは事実です。

しかし、見かたによっては、こんな強引な商売をしていても倒産するほど、貸金業界は追い詰められているということでもあります。

日栄は商工ローンなので、借りては中小企業や個人事業主になり、事業資金や運転資金の貸付ですから、金額も消費者金融より高額になります。結果、過払金も高額になる傾向にあります。

恐らく、高額の過払金請求が殺到して今回の破綻につながったのでしょう。最近では、武富士が過払金の支払いが大幅に遅れるようになってきており、金額によっては分割払いになるケースもあります。

この点、アイフルの次は武富士が危ないと当ブログでも予想していましたが、現実になる日も近いという気がしています。

 今や銀行傘下に組み込まれていない金融業者は、どこも危ないと考えていた方が良さそうです。 

債務整理一般|2009年11月 2日

臨時ニュース 貸金業参入規制厳格化

 今月18日に貸金業者の参入規制が厳格化されましたので、お知らせします。

 具体的には、今までは貸金業を開業するにあたって、純資産額が500万円以上あれば良かったのですが、これからは2000万円以上必要になります。

この改正により、少ない資金で小規模の悪質業者が気軽に開業することが難しくなるものと予想されており、悪質業者の新規開業に歯止めをかけることが期待されています。

 更に新たな改正として、貸金業取扱主任者の資格試験制度が始まります。宅建業や旅行業にも同様の制度がありますが、営業所を設けるにあたって、各営業所ごとに一定数の資格試験合格者を配置しなければならないという制度です。

資格試験の合格者を営業所に配置させることによって、違法な営業に歯止めをかけることが期待されています。

債務整理一般|2009年6月19日

臨時ニュース GEコンシューマー社名変更

 「レイク」の名称で、おなじみのGEコンシューマー・ファイナンス株式会社が、4月1日をもって社名を変更しました。

新社名は、「新生フィナンシャル株式会社」となります。もともと新生銀行系列の消費者金融でしたが、今回の社名変更により、新生銀行系列であることを、より鮮明に打ち出したと言えるでしょう。

 新たな利用者の中には、この社名を聞いて、「ああ、銀行がやってるのか、それなら安心だ」と考える人が増えるかもしれません。もちろん、貸す方も、そういうイメージを狙っているのでしょう。名前だけ聞くと、消費者金融ではないように感じられますから。

しかし、まぎれもなく中身は消費者金融ですから、その点は、はっきりと認識しておく必要があります。

 ただ、親会社の銀行名を冠した以上、今後、何か問題を起こしたら、即、新生銀行のイメージダウンにつながります。そういう意味では、コンプライアンス(法律遵守)には今まで以上に気を使うのではないかという予想はつきます。まあ、この予想が当たってくれることを期待しましょう。 

今後、営業姿勢に良い意味での何らかの変化が見られるのか、しばらく様子を見る必要がありそうです。

債務整理一般|2009年4月 6日

臨時ニュース SFCG破綻

 臨時ニュースです。主要商工ローン業者であるSFCG(旧商工ファンド)が東京地裁に民事再生を申請して、事実上、破綻しました。

 SFCGはロプロ(旧日栄)と並ぶ主要商工ローン業者で、悪質な取立・請求で債務者とのトラブルも多く、昔から問題のある業者でした。

特に最近は、債務者が滞りなく支払っているにもかかわらず、突然、全国の債務者に宛てて一括返済の通知を出すなど、大きな問題となっていました。恐らく経営が苦しくなって、なりふり構わぬ措置を取っていたのでしょう。

しかし、こんな違法なやり方が通用するはずもなく、全国の法律家から、損害賠償の請求を出されていた模様です。

 私の個人的見解としては、消費者金融と比べても、あまりにも問題の大きい業者であったことは事実なので、あまり同情する気にはなりません。まあ、自業自得ではないでしょうか。

 SFCGから金を借りた中小企業は(商工ローンは基本的に事業主に貸します)、連帯保証人(それも悪名高い根保証)、不動産への根抵当権や所有権移転の仮登記、強制執行認諾の公正証書などをセットで取られているのが普通です。

早い話が最初から企業が存続して金を返せるとは思っていないのです。まあ、利率の高さを考えれば当然なんですが、業者がねらっているのは物的担保や保証人の財産ですから、返済が滞ったと見れば、あらゆる手段で担保の換金や保証人への請求をしてきます。消費者金融以上に手を出さない方が良い業者だと言って良いでしょう。

 SFCGが破綻したと言っても、もう一つの主要業者であるロプロが、まだ残っていますので、よくよく注意して頂きたいと思います。

債務整理一般|2009年2月23日

臨時ニュース 最高裁判決について(消滅時効)

 最近、過払金請求に関する重要な最高裁判決が出ましたので、本日はこれについてコメントします。

 今まで取引が10年以上続いている過払請求において、10年以上前の部分は、以下のように判決が分かれて争いになっていました。

一つは、「過払金は一回の取引ごとに消滅時効が進行するので10年以上前に発生した過払金は、例え取引が連続したものであっても時効で消滅する」というものです。まあ、貸金業者に有利な考え方で「消滅時効の個別進行説」と呼ばれています。

二つ目は、「過払金は発生した直後の借り入れに充当されるので、取引が連続している場合は時効は進行しない。従って、10年以上前に発生した場合でも時効消滅はしない」というものです。これは債務者有利な考え方になります。

この二つの説が裁判でも分かれていて決着がついていませんでした。今回の最高裁判決は、この論争に決着をつけたものです。

結果は、「取引が続いている限り時効は個別に進行しない」というものです。つまり債務者有利な判決が確定したことになりますので、このブログを読まれている方には喜ばしい結果と言ってよいでしょう。

 しかし、水を差すようですが、マスコミ報道を見ていると、次のように勘違いする人が出てくる恐れがあるので、ここで注意点を説明しておきます。

まず、この判決は「取引が続いていること、あるいは続いていると同視できること」が条件になっています。

要するに裁判所が「あなたの場合は取引は途中で分断されていて連続していない」と判断した場合は、この判決は適用されないということです。

このことを覚えておかないと、「自分の取引は10年以上続いているが、これで心配ない」と言って過払請求してみたら、実は取引の途中に空白期間が結構あって、裁判所に「分断されているので連続した取引ではない」と判断されてしまうかもしれません。その分断された時が10年以上前だったら最初の取引は時効消滅してカットされてしまうことになります。

残念ながらマスコミの中にも、よく理解していない人がいて、報道だけに接していると上記のように誤解してしまう可能性が充分あります。

 ぬか喜びにならない為にも、気をつけましょう。

 

債務整理一般|2009年1月30日

臨時ニュース レタスカード破産

 新年早々、臨時ニュースです。

 中小消費者金融のレタスカードが破産を申し立てました。この程度の規模の貸金業者は、もはや民事再生での再建も難しいようです。

主要業者の経営環境も苦しくなっているなか、今後は中小業者が生き残っていくのは、かなり厳しくなってくるでしょう。倒産件数も増加することが予想されます。

 昨年、沖縄県を地盤にした中小業者のオークスが破綻した時に、以下のような問題が発生しました。

交通機関が未発達の沖縄で、車は県民の必需品でした。車が無いと生活が成り立たないという地域も少なくありません。しかし、県民所得が全国的に見て低い沖縄県では通常の審査では自動車ローンが通らない。そんな時、県民の自動車需要を支えていたのがオークスだったそうです。

沖縄に合わせた審査基準で自動車ローンを通していたオークスが破綻したことで、今、深刻な問題が起きているようです。

 貸金業者は悪だから、全て無くなれば良いという人もいますが、どうも、事はそう単純には運ばないようです。

私も、この仕事をしていて貸金業者に問題が多いことは充分に分かっていますが、だからと言って、無くなったら困る人もいる訳です。

 今後も中小業者が次々と破綻していった場合、貸し渋りの問題が出てくる可能性もあります。

経済全体が不景気に突入している中、予断を許さない状況です。

債務整理一般|2009年1月 9日

新年のご挨拶

 皆さん、明けましておめでとうございます。

もっとも、このブログを読んでいる方は、生活が苦しくて、おめでたい気分にはなれないという人も多いと思います。

しかし、そういう時こそ冷静になることが重要です。あせっている時に取った行動は得てして失敗に終わることが多いものです。

その為にも、難しいかもしれませんが、新年くらい「明けましておめでとう」と他人に言えるように努力してみましょう。少しは、あせりが消えて冷静になれるのではないでしょうか。

 そして冷静さを取り戻したら、次には自分の苦境は債務整理をすることで何とかならないだろうかと考えてみて下さい。多くの場合は解決に向けて一歩を踏み出すことになると思われます。

もちろん、債務整理にはデメリットもあります。代表的なものは事故情報(ブラックリスト)に登録され、一定期間ローンやクレジットが使えなくなることです。

しかしながら、明らかに家計が破綻しているにもかかわらず、事故情報を気にしている人が何と多いことか、この仕事をしていると気付かされます。

最初に申し上げたように、あせっている為に冷静さを失っているのです。事故情報を気にしている状況は、もうとっくに過ぎていることが明確な人までも、ためらって事態をより悪化させてしまうケースが後を絶ちません。

こんな時こそ冷静になりましょう。一度、時間をかけて計算してみましょう。「自分は本当に自力で、残っている債務を返済できるのか」「出来るとしたら具体的に何年かかるのか」「その返済の為に支払われる金額の合計は正確にはいくらなのか」

これらの事実をきちんと把握した上で、債務整理をやるかどうかを再度、検討してみて下さい。

自分の状況を分析してみることは非常に重要です。是非、試してみて下さい。最初のイメージとは違った答えが出てくるかもしれませんよ。

債務整理一般|2009年1月 5日

今年(平成20年)の総括

 今年の最終営業日となりました。今回は1年の総括と来年以降の予測をしてみたいと思います。

 今年は何と言ってもアメリカから始まった世界同時不景気が印象的な出来事でした。

実は、今回の不景気は今までの景気循環型の不景気とは違うのではないかと、個人的に感じています。

まず、世界中見渡しても景気の良い国や地域が見当たらないことが上げられます。今までは日本が不景気でもアメリカや中国が好景気だったり、アメリカが不景気の時は日本が空前の好景気だったりと、世界のどこかは好景気の地域があったように思います。

ところが今回はアメリカもヨーロッパもロシアも中国も全てが不景気のどん底に苦しんでいます。石油価格が下落していますので、アラブの産油国まで不況に陥っています。要するに物を買ってくれそうな地域が見当たらない訳です。

 あと、アメリカが次に食べていく産業を今のところ見つけていないことです。これは不景気が長引く可能性を示唆していると思います。

アメリカは製造業を日本に追い抜かれてからは、もっぱら金融業とIT産業で飯を食っていました。ところが、ITバブルはブッシュ政権が始まったころには既に弾けており、その後の8年間は住宅バブルを中心とした不動産と金融業で好景気を演出してきました。

日本の80年代と、そっくりだと言う人もいますが、日本の場合は強かったのは不動産や金融だけでなく、製造業も世界レベルの強さを持っていましたから、不動産と金融が落ち込んだ後も製造業は頑張っていました。

しかし、アメリカの場合は製造業は、もはや見る影もありません。(ビッグ3の凋落を見れば分かります) このような状態でアメリカは次にどのような産業で雇用を生み出していくのか今のところは見えてきません。

 何故、長々と世界経済の話をしたかと言うと、日本の景気は今や世界を抜きにしては語れないからです。そして日本の景気が良くなるかどうかは多重債務に深く関わってくるからです。

今後、日本の不景気が長期化、深刻化した場合、多重債務者が増えることが予想されています。しかし、貸金業者は目前にせまった総量規制をにらんで貸し渋りに走っています。このような状態が続くと、いずれ大きな社会問題になる可能性があり、そうなれば政府は改正貸金業法の見直しをせまられることになるかもしれません。

 多重債務の解決法としては、今後、任意整理が減少して破産や再生が増加することが予想されます。

これは、改正貸金業法でグレーゾーンの見直しが行われますので、グレーゾーンを前提にした手続である任意整理が減少するのは、ある意味、必然と言えるでしょう。ただ、急激に減少するとは考えにくいので、徐々に減っていくという形になるでしょう。

 グレーゾーンが無くなると借金は、そのままの金額が残るようになるので、これを何とかするには破産や再生といった手段で強制的に減額するしかありません。来年以降は、このような解決法が増加してくると思われます。

 以上、来年の予測も含めて総括してみました。

 では、このブログを読んで頂いている皆様、良いお年をお迎え下さい。

 

 

 

債務整理一般|2008年12月26日

臨時ニュース 主要クレジット会社の合併

 今回は臨時ニュースです。

 オーエムシーカード、セントラルファイナンス、クオークの3社が近いうちに合併することになりました。

クレジット会社では、三菱UFJニコスに続く大型合併と言えるでしょう。これでまた、主要なクレジット会社の数が減ることになります。

 合併の日付は来年4月1日、新しい会社の名前はセディナとなるそうです。

現在、この3社と取引のある人達には果たして、どんな影響があるのか、今のところは分かりません。

 シリーズでは、まだコメントしていませんが、実はオーエムシーカードとセントラルファイナンスは、債務整理をする時に何かと問題のある会社だったので、合併を機会に、この点が改善されることを望みたいものです。

 

債務整理一般|2008年12月12日

臨時ニュース 4大消費者金融の協定

 本日は、また興味深いニュースがありましたので、臨時ニュースとして取り上げます。

 4大消費者金融(武富士・アコム・プロミス・アイフル)は今まで、それぞれ独自路線を歩んでおり、どちらかと言えばライバルであり、協力して何かをやると言うことはありませんでした。ところが、最近の貸金業界に対する逆風に耐えかねたのか、ここに来て一部、協力する動きが出てきたようです。

 具体的には、過払金返還請求の裁判において、重要論点に関しては簡単に妥協せず、徹底的に争っていこうという協定を組んだと噂されています。

その内容とは、①「途中空白期間がある取引の場合には、出来る限り分断の計算を主張する」、②「10年以上前から過払金が発生している場合は、出来る限り消滅時効の主張をする」、③「各地方ごとに担当弁護士を選任して、弁護士を使って徹底的に争わせる」というものです。

➂については、全国で弁護士を探すのは、そう簡単には達成できないとは思いますが、見つかった地域から優先的に進めていく方針のようです。(今、貸金業者側についてくれる弁護士は、なかなか見つからないようですから)

 いずれにしても、4大消費者金融の過払金返還請求に関するガードが今後、固くなってくるのは覚悟しておいた方が良さそうです。

 

 

 

 

債務整理一般|2008年10月17日

臨時ニュース 三和ファイナンス破産申立 その後

 三和ファイナンスの破産申立の件で、新しい情報が入りましたので、臨時ニュースとして取り上げます。

 今回の破産は債権者破産と言って、過払金請求をしていた元債務者が弁護士に依頼して申し立てたものです。従って、三和が承知していた訳ではないので、何とか破産を回避しようと懸命に動いたらしいのです。

その結果、開始決定が出る直前に三和を救済しようという会社が現れました。「かざかファイナンス」というクレディアの救済にも一役買った会社です。こんな、つぶれかかった消費者金融ばかり救済して何のメリットがあるのかと思いますが、かざかファイナンスは破産を申し立てた過払金請求者に過払金を順次支払っているそうです。過払金が支払われたということになると、破産の原因が無くなりますので、裁判所も破産開始決定を出すのを中断したようです。

 その後、判決が出ても支払われていないケースには、かざかファイナンスが資金を提供して順次支払っていくと噂されています。

これに対しては、確実に実行されるかどうかは不透明な段階です。しかし、実行されなければ、弁護団は第2・第3の破産申立も視野に入れていると言われていますので、本当に三和を立ち直らせる為には実行せざるを得ないように思います。もっとも、かざかファイナンスに、そこまでの資金力があるのかどうかが鍵になりますが。

 いずれにしても、三和ファイナンスの破産に関しては、新しい展開となりました。今後の成り行きを見守りましょう。

債務整理一般|2008年10月 8日

臨時ニュース 三和ファイナンス破産申立

 本日2件目のブログになりますが、重要なニュースが飛び込んできましたので、お伝えします。

 かねてから危険な噂のあった三和ファイナンスが、本日12日に、全国の過払金債権者600人から破産を申し立てられました。いわゆる債権者破産です。

破産には債務者(この場合は三和ファイナンス)が申し立てる自己破産と、債権者(この場合は過払金請求者)が申し立てる債権者破産の2種類があります。

過払金返還請求の判決を取っても支払わない三和ファイナンスに対して、全国の過払金請求者が怒りの声を上げ、その声を吸い上げた対策弁護団(団長、宇都宮健児弁護士)が東京地裁に破産を申し立てた模様です。

私がつかんだ情報によると、申し立てたのは約600人で、債権額は約3億2000万円だそうです。

 しばらくしたら、より詳しい情報も伝わってくるでしょう。三和ファイナンスに過払金請求権を持つ全国の債権者が配当に参加するように、呼びかけも行われるのではないかと思われます。ここしばらくは注意する必要がありそうです。

債務整理一般|2008年9月12日

シリーズ 特定調停⑤

 特定調停シリーズの最後になります。今回のテーマは「2回目以降の期日」です。

 第1回の期日が無事に切り抜けられたら、いよいよ業者との調停になります。しかし、あまり怖がる必要はありません。前回も話したとおり、調停で一番の難関は1回目の調停委員との面談ですから、これが通過できたら、2回目以降はスムーズに運ぶことがほとんどです。

 業者との調停では、建前は業者と申立人と調停委員の3者面談ということになっていますが、現実には9割がたの業者は裁判所に出てきません。では、どうやって進めるのかと言うと、調停室には電話が備え付けてあって、調停委員が申立人の目の前で、業者に電話をかけてくれます。後は調停委員に任せておけば、1回目の期日で確認した申立人の支払能力に合わせたプランで、分割払いの調停をまとめてくれます。(まともな調停委員に当たれば、このように進むはずです)

 ごくたまに調停に出てくる業者もいます。出てきたからと言って、調停の進み方に違いはありません。調停委員がまともであれば、業者と交渉して分割払いのプランをまとめてくれるでしょう。

 非常にまれですが、一部の大変わがままな業者が調停のルールに従うことを拒否する場合があります。調停は、あくまで話し合いが前提なので、強硬に拒否されると不成立となって、その業者に関しては元の状態に戻ってしまいます。

 こういう業者がいる場合、「17条決定」と言う方法で、裁判所の判断で調停の条件を決めてしまうことも出来ますが、業者が異議を出してきた場合は「17条決定」の効力も無くなってしまいます。

 しかし、実際にそのような場面に出くわしたら、「17条決定」を出してもらうように調停委員を説得しましょう。いざ、「17条決定」が出されると、異議を出さずに決定に従う業者も少なからずいるからです。最初からあきらめてはいけません。可能性がある限り、「17条決定」は出してもらいましょう。

 まあ、このような悪質な業者はごく一部です。大半の業者は調停のルールには従いますので、あまり心配しない方が良いでしょう。ただ、不動産担保を取られているような場合は、普段はルールに従う業者でも不動産担保を盾にして調停を蹴ってくることが多いので、気をつけましょう。

 最後に、もし調停の最中に過払いが発生していることが発覚した場合は、必ず調停調書(17条決定の場合は「調停に代わる決定書」)には、「債務無し」と記載してもらいましょう。

 この場合、あまり詳しくない調停委員に当たると「債権債務無し」と記載されるケースがあります。こう書かれてしまうと、後で過払請求をすることが出来なくなってしまいます。(過払請求権は債権になるので、債権が無いと書かれると過払いを放棄したとみなされてしまうのです) 後で気付いて泣かない為にも注意が必要です。

債務整理一般|2008年6月 6日

シリーズ 特定調停④

 今回のテーマは「第1回期日」です。いよいよ、裁判所に行くことになります。どのように手続きがすすんでいくかを、お話ししましょう。

申立がすんで、しばらくしたら裁判所から呼出状が届きます。1回目の期日が決まるわけです。では、1回目の期日では何が行われるのでしょう。

実は1回目の期日では業者は関係ありません。調停委員と申立人(債務者のことです)の間で話し合いが行われます。調停委員は名古屋だと通常、二人つきます。弁護士や役所を退官した人などが多いですが、困ったことに債務整理に詳しくない人が選ばれている場合があります。そういう調停委員に当たってしまったら、とにかく不当な処理をされないように申立人自身が注意する必要があります。

一回目の期日の一番重要なテーマは、「支払能力の有無」です。調停委員の質問も、このテーマに集中します。特定調停は圧縮した債務を3年間で支払っていく手続ですから、申立人の家計に3年間で払っていけるだけの毎月の余裕資金が出ているかがポイントになります。

意外に知られていないのですが、実は特定調停で最大の関門は第1回期日です。ここで、「あなたは特定調停で支払っていくのは無理」と判断されて調停が終了してしまう人が結構いるのです。あるいはもっとストレートに、「あなたは破産するべきです。専門家の事務所に行きなさい」と言われてしまう人もいます。全ては支払能力が無いと判断された結果です。

この判断が適切な場合もあるので、一概に厳しすぎるとは言えないのですが、先ほども挙げた債務整理に詳しくない調停委員にあたった場合、不適切な判断になるケースがあります。例えば典型的なのが、長期間の取引があるのに申立書に記載された残債務額で支払能力を判断してしまうことがあります。本来あってはいけないことなのですが、実際こういうトラブルは全国で起こっているようです。

従って、申立人としては、全ての業者の債務が利息制限法に引き直されて計算されているかどうかを確認する必要があります。期日までに取引履歴が裁判所に送られている場合が多いので、期日の直前に取引履歴の「謄写請求」を裁判所に対してすれば、取引履歴のコピーを持参して期日に臨むことが出来ます。期日になっても取引履歴が裁判所に送られていない時は、調停委員に対して取引履歴の請求を強く頼みましょう。取引履歴が無ければ正確な負債額は分からない訳ですから、正確な支払能力の判断も当然出来ないはずです。

このような関門をくぐり抜けて、第2回の期日が決定したら、特定調停の80%は成功したと言って良いでしょう。実は業者との交渉が始まる2回目の期日の方がスムーズに進むことが多いのです。

特定調停の最大の関門は、第1回期日の支払能力の判断である。今回は、これを覚えて頂いて、次回は2回目の期日について説明しましょう。

債務整理一般|2008年5月30日

シリーズ 特定調停③

 3回目のテーマは申立の方法です。

裁判所には初めて行く人がほとんどでしょうから、最初は不安でしょう。しかし、特定調停は「素人が申し立てる」ことを前提にした制度なので、いろいろと便宜が図られています。

例えば、私の良く行く簡易裁判所では、特定調停の申立書は鉛筆書きでも良いことになっています。これは素人が申立書を書くと書き直す場合が多いからです。全ての裁判所に適用されているかどうかは不明ですが、特定調停に関しては、このように素人のことを考えた取り扱いがなされている場合が多いのです。

申立用紙は裁判所に置かれています。用紙の形式は裁判所によって若干異なるようです。ここでは、名古屋を例にして説明しましょう。

だいたい裁判所の様式に沿って書いていけばよいのですが、いくつか注意点があります。

まず、申立書は業者1社につき1枚必要です。業者ごとに事件番号がつき、それぞれ別の事件として扱われるからです。

次に、権利関係者一覧表に業者をまとめて書くのですが、この時、調停を行う業者と調停を行わない業者を分けて書くことが認められています。特定調停のメリットの一つですね。

あとは申立人の家計の状況を細かく書く欄が設けられていますから、前もって自分の手取り収入と家計の支出の状況を把握しておく必要があるでしょう。これが後にとても重要な資料になります。

窓口に持って行くと担当官がチェックして多くの場合、間違いを指摘されて一部書き直しを命じられます。この時、鉛筆書きが許されている裁判所だと消して書き直せるので、非常に便利です。

書き直しがOKならば、申立が受理されて事件番号が業者ごとに付けられます。この時に受理証明書をもらっておくと良いでしょう。手数料がかかりますが、家に帰ったら、すぐに各業者に対して、この受理証明書を郵送すれば特定調停が決着するまでの数ヶ月の間、取立・請求を合法的に止めることが出来ます。しばらく落ち着いて冷静になる時間が得られるので、是非やりましょう。

債務整理一般|2008年5月20日

シリーズ 特定調停②

 特定調停シリーズ2回目のテーマは「どこに申し立てるのか?」です。

特定調停は簡易裁判所に申し立てます。簡易裁判所は、裁判所の中で一番多く設置されている裁判所です。では次に、どこの簡易裁判所に申し立てれば良いかを調べる必要があります。これを「裁判所の管轄」と呼びます。

特定調停における裁判所の管轄の原則は、「債権者の所在地」です。この場合、特定調停ならではの特例があります。普通、「債権者の所在地」と言ったら、業者の場合は本店の所在地になりますが、そんなことを言ったら特定調停のほとんどを東京の裁判所に出さなくてはならなくなり、これでは素人を対象にしている制度としては現実的ではありません。従って、特定調停の場合、「債権者の所在地」は支店の所在地で構わないという取り扱いがなされています。しかも、業者が複数ある場合(複数あるのが普通ですね)、最も多くの業者の支店がある所ならOKということになっています。

これで、たいていの人は自分の住まいの近くで申し立てることが出来るはずです。しかし中には、取引の途中で引っ越す人もいます。そういう場合、全ての業者の取扱支店が遠方にあるというケースも出てきます。こういう人の為に特定調停は更に特例を認めてくれる場合が多いのです。

もし、上記のケースに当てはまる人がいたら、取引の途中で引っ越した事情を裁判所に説明して、現在の住所の近くで受け付けてもらえないか、粘って説得してみて下さい。私の経験では、ほとんどの場合、認めてくれるケースが多いようです。「何事もチャレンジ」の精神で熱意をもって説明しましょう。

債務整理一般|2008年5月 2日

シリーズ 特定調停①

 最近、特定調停の質問を、よく受けるので、特定調停についてシリーズにして書いてみたいと思います。まず、1回目のテーマは「特定調停に向く人、向かない人」です。

特定調停の概要については、ホームページの本文を見て頂くこととして、そもそも特定調停は、弁護士や司法書士が行っている任意整理を素人でも出来るようにしようという目的で始められた制度です。従って、任意整理が向く人は特定調停も向く、と考えて良い訳です。

では、どのような人が任意整理や特定調停に向くのかと言うと、最も重要なのは「利息制限法で減額した後の金額を支払えるだけの収入がある」ということです。

一見、当たり前のように見えますが、意外に理解されていないと思います。「とにかく今より減れば良い」と考えている人も結構多いのです。実は、特定調停を裁判所に申し立てたにもかかわらず、この点で裁判所から断られてしまう人が多いのです。

「債務が減額される」ことと、「減った後の債務が支払える」ことは別の問題だということを注意して下さい。

多くの人が業者との交渉を心配されますが、実際には業者との交渉は調停委員がやってくれますから、ほとんど問題ありません。最も問題になるのは、調停委員から「あなたは特定調停では支払うのが無理」と判断されてしまうことです。(裏を返せば、調停委員を納得させることが出来れば、調停は7~8割は成功したようなものです)

 次に重要な判断材料は、「過払金の発生が見込めるかどうか」です。

現在の特定調停の制度では過払金の回収は認められていません。従って、「過払金を回収してから、その過払金を使って残りの債務を支払う」ということが出来ない訳です。これは「債務の圧縮」という債務整理の重要な目的からすると大きなマイナスです。

過払金の発生は、5年~7年だと5割くらい、8年以上だと8割~9割の人が見込まれると考えられています。故に、5年以上の取引がある人は任意整理を考えた方が良いかもしれません。8年以上の取引があるのなら、任意整理を選択するべきだと思います。

 

 

債務整理一般|2008年4月24日

アエル民事再生 その2

 消費者金融アエルが民事再生を申し立ててから約10日ほど経ちました。債権者説明会などが開かれて、少しずつ詳細が明らかになってきました。

先週のブログでも話題にしましたが、民事再生には債権届出期間というものがあります。債権者(アエルに過払金返還を求める人は債権者になります)が、アエルの残り資産の中から配当を受け取る為には、債権届出期間中に届出をしなくてはならないのです。この届出期間が6月30日までと決まったようです。

従って、アエルに対して長期間の取引がある人は6月30日までに届出をする必要があります。5年以上の取引がある人は過払いの可能性がありますので、急いだ方が良いでしょう。早めに専門家に相談して下さい。

尚、アエルは6月30日を過ぎても届出を受け付ける予定だと発表しているようですが、これはあくまでも特例です。届出期間を過ぎても認められるのは裁判所が認定した場合だけですから、全てが認定されるとは限りません。(全部が認定されない可能性もあります)

従って、現時点では6月30日に間に合うように届出をするべきでしょう。

債務整理一般|2008年4月 3日

アエル倒産

 中堅消費者金融のアエルが3月24日に東京地方裁判所に民事再生の申立をして事実上倒産しました。これで消費者金融の大型倒産はクレディアに続いて2件目となります。

クレディアの後、危ないと言われていた業者は、いくつかありましたが、ついにアエルが現実のものとなりました。アエルに対して過払金請求権のあった債務者は、これで返還が大変難しくなりました。しかし、東京地裁の定める期限内に申し出れば配当と言う形で若干受け取れるかもしれません。

何もしないよりはマシなので、アエルと長期間の取引がある人は相談を受け付けますので、事務所に電話して下さい。

尚、法定利息に引き直した後でも債務が残った人は支払義務は残ります。よく、「倒産したら債務が残った場合でも支払いが無くなるのでは」と質問される方がいますが、残念ながらそういうことはありませんので注意して下さい。

債務整理一般|2008年3月25日

外資系金融の動き

 消費者金融には外資系で有名な業者が二つあります。

一つはGEコンシューマー・ファイナンス(もともとレイクと呼ばれてました。今でもこの呼び方は使われています)で親会社はGEと言うアメリカの会社、もう一つはCFJ(アイク・ディック・ユニマットなどが合併して出来ました)で親会社はシティバンクというアメリカの銀行です。

ご存知のとおり、外資系は利益にうるさいですから、日本の消費者金融がもうかっている間は積極的に出資していたのですが、金利のグレーゾーンが認められなくなってからは、もうからない業種と判断されるようになってきており、今ではいつ引き上げてもおかしくない状況です。

最近、CFJの親会社であるシティバンクが日本での銀行業務から撤退するという記事を読みました。この段階ではCFJに対する出資には変化が無いようですが、今後どうなるかは分りません。

一般の債務者にとっての問題は外資が引き上げた場合、その業者はどうなるかということでしょう。クレディアのように事実上の倒産という形になると、長く取引をしていたり完済していたりする債務者にとっては最悪のケースになります。過払金の返還が受けられなくなるからです。

この外資系の2社に関しては、今後どうなるかはまだ分りませんが、最悪のケースも考えて注意をしておく必要があるでしょう。

債務整理一般|2008年3月18日

ホームページ事例の追加

 ホームページの各分野ごとに新しい事例を追加しました。

それぞれの分野(自己破産、個人再生、任意整理)のトップに掲げてありますので参考にして下さい。

尚、実際には一番依頼が多いのですが、過払金返還請求の事例は今回、追加しておりません。理由は最初から複数掲げてあったことと、過払請求の場合、戻ってきた金額に違いがあっても、それ以外は似たような事例が多いからです。(過払いで解決した場合は、依頼者に複雑な家庭の事情があったとしても、あまり影響を受けませんから)

 

 

債務整理一般|2008年2月28日

収入の高い人の債務整理

 皆さんは、収入の高い人は債務整理とは関係ないと思ってはいませんか。実は、そうでもないんです。今日は収入の高い人に特有の問題を取り上げてみましょう。

まず一つは、収入の高い人は借入額が非常に多くなるということです。500万円以上というケースも、めずらしくありません。これは貸金業者の限度額が高くなるからです。収入の高い人には業者も、たくさん貸そうとします。

次に、借入先に利率の低いところが多いという特徴があります。銀行系やリース系のローン会社や、比較的利率の低いクレジット会社がこれにあたります。利率が低いということは、任意整理を利用しても減額になりにくいということです。借りる時は有利ですが、債務整理になると一転して不利な要件になってしまいます。

三っ目は、収入の高い人は財産も多いということです。住宅ローンを抱えている場合も多いので、個人再生の比率が高くなります。運よく過払いになっていれば、任意整理で処理できる場合もありますが、二番目の特徴で指摘したように借入先の利率が低い場合は個人再生を考えた方が良いでしょう。

以上のように、収入が高い人が多重債務になると、低い人とは違った難しい問題が発生します。収入が低くて財産も無くて破産しか選択肢が無いという人の場合は、本人の覚悟さえ出来ていれば、後の処理は意外とスムーズに済んだりします。

収入の高い人は、苦しくなっても業者が貸してくれるので、相談が遅れる傾向があります。相談に来た時は、より深刻になっています。

一人で悩んでいる人は、一度、相談に行くことを、おすすめします。

  

債務整理一般|2008年2月21日

紹介者

 以前に比べて紹介で相談に来られる方が多くなっています。この変化について、私なりに考えてみました。

4~5年前には紹介で来られる方は非常に少ないものでした。この頃は、債務整理に対する偏見のようなものが、まだ世の中に強くあったように思います。依頼して助かった方も「自分が助かったことを容易に他人に話せる雰囲気では無かった」と言えるでしょう。昔の紹介と言えば、家族か親戚といった身内がほとんどでした。

その後、多重債務の被害や違法利息のことなどがマスコミでさかんに報道されるようになり、ついには政府が動き出して対策に取り組むようになりました。

これで状況は一変します。債務者が堂々と声を出すようになったのです。「違法な取立てを止めろ」、「払いすぎた利息を返せ」、などが、あたりまえのようになってきました。世の中の雰囲気が変化してきたのです。

今や、多重債務者は情報収集に熱心です。多重債務者同士での情報交換も、さかんに行われているようです。事務所に紹介が増えてきたのも、この流れが原因でしょう。

ただ、あまりにも情報が増えすぎると、今度は選択が難しくなったりします。中には信用できない情報も混じる可能性があります。今後は相談者の方で情報を見極めることが必要になってくるでしょう。このホームページが「情報の見極め」に少しでも役立てば、と思っています。

債務整理一般|2008年2月 7日

給料の差押え

 最近、相談の段階で給料の差押えが、されているという依頼が、いくつかありました。そこで本日は、給料の差押えについて注意点を書こうと思います。

まず、差押えがされた後で相談に来られた場合、何か方法があるのかという質問が多いですが、率直に言って任意整理だと方法がありません。

自己破産や個人再生の場合は方法があります。裁判所に申立をした後、「強制執行中止命令」というものを裁判官が出してくれれば、差押えは止まります。あるいは開始決定が出てしまえば裁判官に中止命令を出してもらわなくても、中止させることが出来ます。

ただ、中止されたから、即、給料が元通りに受け取れるかと言うと、そうではありません。会社は差し押さえられた分を破産や再生が完全に終了するまでプールしておくことになります。

このように差押えは、かなりの不利益を債務者にもたらしますから、むしろ差押えられないことを心がけることが大切です。では、何に注意すればよいのでしょうか。

まず、差押えは一部の例外を除いて、いきなり行われることは無いということです。一部の例外には公正証書を取られているとか、特定調停で決まった返済計画であるとかがあります。これらの場合は、いきなり差押えられる可能性がありますから、遅れないように返済するしか気をつけようがありません。

しかし、ほとんどの差押えは、事前に兆候があります。代表的な兆候は、訴訟を起こされることと、支払督促を申し立てられることです。

いずれの場合も、自宅に裁判所から書面が届きます。しかも郵便は特別送達という裁判以外ではめったに使わない配達方法です。何か特別な物が送られてきたと嫌でも意識するでしょう。しかし、差押えをされてしまう人達は、これを無視してしまうのです。

裁判では、何も反論しなかった人は、相手の言い分を100%認めたことになります。訴訟では負け判決が出て、支払督促では仮執行宣言が出されてしまいます。

こういうものが出てしまうと、もう差押えを防ぐのは難しくなります。だから、差押えを防ぐ一番の方法は、訴状や支払督促のような書面が裁判所から送られてきたら、まずは専門家に相談に行くことです。決して無視してはいけません。

差出人が裁判所で特別送達で送られてきたら、それは架空請求ではありません。仮に架空請求だったとしても、無視したら架空では無くなってしまいます。

くれぐれも裁判所から送られてきた書面には注意しましょう。

債務整理一般|2008年2月 4日

特定調停

 最近、特定調停が注目を浴びているようです。

近頃は裁判所に行っても明らかに素人と思われる人が多くなったように感じます。インターネットや本などで情報を入手しやすくなったのが原因でしょう。自分で何とかしようという人が増えているようです。

特定調停は、よく出来た制度で、費用が安いことや裁判所が間に入ることで強制力が得られるなど、評価できる点は多くあります。市販の特定調停をすすめている本は、このメリットを強調しています。

しかし同時にマイナス面もありますので、その点も充分に分った上で選択しないと後で後悔することになってしまいます。

では特定調停のマイナス面とは何でしょうか。以下に説明しましょう。

第一に、業者に債務名義を取られてしまうということが挙げられます。「債務名義」とは「裁判をしなくても強制執行が出来る権利を保証してくれる書面」と言えば分りやすいでしょうか。特定調停の後、支払いが滞った場合は非常に危険な状態になることを理解しておく必要があります。

第二に、手続中は過払金が回収出来ないという点です。これを「手続が終わった後で回収できるから問題ない」という人がいますが、はたしてそうでしょうか。手続中に回収できないということは、過払金を使って残った債務を払うことが出来ないことになります。これは大きなマイナスだと思います。特定調停では残った債務は分割払いにするより仕方がありません。

以上が、おおまかな注意すべき点です。よく理解した上で納得して利用する分には、良い部分もありますから、助けになることも多いでしょう。

ただし、あまり調停委員任せにしないことです。自分でも、ある程度は勉強して行かないと、不利なことをされていても気付かない可能性があります。本人でやる手続ですから、何事も自己責任になります。その点は自覚を持ってやりましょう。

 

 

債務整理一般|2008年1月30日

株式大暴落

 今年に入って、株式市場が大暴落しています。アメリカのサブプライムローン問題に始まって、どうも世界中が不景気になり始めているようです。特に日本の株価の暴落はひどいとニュースでは伝えています。

 最近は、引退した高齢者が、あまりの金融機関の預金利率の低さに嫌気して、虎の子の個人財産を投資信託に大量に預けています。昨年の銀行の投資信託での利益は莫大なものだったそうです。

 しかし、株価が暴落しているということは、株を組み入れて販売している投資信託も当然、下がっていることになります。財産が目減りしてしまった人の中には住宅ローンが、まだ払い終わっていない人もいるでしょう。これらの人が新たな多重債務の火種にならないとも限りません。

これだけ下がると株で大ケガした人も多いでしょう。中には借金して株を購入していた人もいると思います。こうなると、まさに事態は深刻です。

新年早々、暗い話題で申し訳ありませんが、多重債務を減らす為には、経済がしっかりすることが大前提だと思いますので、株の動向にも注意を向けてしまうのです。

債務整理一般|2008年1月22日

今年の抱負

 新年、明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。

 さて、私は一足早く1月4日から営業しておりましたが、めずらしく貸金業者から電話がかかってきません。いつもならば、昼間前後は業者からの電話が、あちこちからかかってきて仕事にならなかったりするのですが、1月4日はさっぱりでした。

 そうこうしてるうち、こちらから用事で業者に電話をかけると、ほとんどの業者が「新年は1月7日からの営業です。」のアナウンスが流れてきます。「あらあら、銀行は1月4日から開いてるのに、金融機関でもクレジットや消費者金融は大名商売だなぁ」とつくづく思ってしまいました。おかげで仕事がはかどったことは言うまでもありません。

 一転して、1月7日は電話の嵐でした。4日とは逆に、全く仕事になりません。4日に集中して、かたづけといて良かったと、内心、胸をなでおろしました。

 今年も多重債務問題に関しては激動の1年になりそうです。新しい法律や制度が次々と動き出しています。常に情報に対するアンテナを高くしておかないと取り残されてしまうかもしれません。

 きちんとした仕事をする為にも、新たな情報には敏感でいたいと思います。

債務整理一般|2008年1月 7日

今年の総括

 いよいよ今年も終わりに近づいてきました。この一年を振り返ってみたいと思います。

 何と言っても大きな出来事は昨年の年末に改正貸金業法が公布されて、今年の初めから部分的に施行されたことでしょう。(改正貸金業法は5段階に分けて施行されることになっています。今年1年で施行されたのは3段階までで、利率の引下げは施行されていません) 

 この影響で主要な貸金業者は法律施行の前から利率を下げてきていました。利率引き下げについていけなかった業者の中から破綻するところが出てきました。最も話題をさらったのが、東証一部上場の消費者金融クレディアでしょう。今年下半期の話題はクレディア倒産につきると言っても過言ではありません。

 改正貸金業法の影響もあって、マスコミでもグレーゾーン金利のことが連日報道された結果、一般の人にも「払いすぎの利息」のことが広く知られるようになってきました。これにより、今年に入って急激に増加してきたのが過払金の返還請求です。

 今や5年以上取引があれば、自分は過払いではないかと考える人は決してめずらしくありません。今まで一部の人だけが専門家に相談に来て発覚していた過払金が、一斉に多勢の人が請求し始めたのです。(クレディアの破綻も結局、これが原因です)

 過払金を沢山の人が自覚して返還請求できるようになったことは歓迎すべきことです。しかし、一方で問題も起こり始めていました。中小業者で過払金が払えないところが出てきたのです。支払いは半年遅れになるとか、支払いが1年以上の分割払いになるとか、そもそも会社に金が無いので払えないと開きなおるところもあります。

 このような状況のなかで、貸金業協会に加盟する業者の中で総量規制が始まります。これは利率引き下げと同じように、法律施行前に主要な業者の間で先に規制を始めてしまおうという試みです。

 すでに大手の業者では貸し渋りが始まっていますが、より法律に近い形で、審査の際に源泉徴収票や給与明細を確認して、一定額以上は貸し出しをしないという制度にするのです。より厳しい引き締めが行われるはずなので、かなりの影響が予想されます。

 今年の大きな変化を書いてみましが、これほど変化の激しかった年は今までに無かったと思います。改正貸金業法は、まだ一部の施行に留まっており、完全に施行されるのはまだ先になります。来年以降も変化の激しい年になるでしょう。そういった情報を、いち早く、このジャーナルで伝えていきたいと思っています。

債務整理一般|2007年12月27日

太平洋信販

 太平洋信販が、ついに廃業が決まったそうです。

 この会社の正式名称はタイホウホールディングスと言い、パチンコや遊技場などを多角経営する名古屋が本拠地の大きな企業です。本体のタイホウホールディングスは営業を続ける訳ですが、その中で貸金業を担当していた太平洋信販が無くなるようです。(ちなみに本体は存続しますので、過払金は取り戻せるのではないかと思われます。しかし、確実ではないので、しばらく様子を見る必要はありそうです。)

 クレディアから始まった貸金業の倒産・廃業が、ついに名古屋まで波及してきたか、という感じです。今度は、どこになるのか、危ないのは三和ファイナンス・アエル・ユアーズあたりと言われていますが、今後は貸金業の同行に目が離せなくなりそうです。

債務整理一般|2007年12月18日

倒産法研究会

 事務所紹介のページにも書きましたが、私は愛知県の青年司法書士会で倒産法実務研究会という会の会長をしています。この会は債務整理実務にかかわっている司法書士が多数参加しています。

やっていることは最新の改正法の研究、全国で出ている最新の判例(裁判所の判決のことです)の研究、最近の貸金業界の報告や各貸金業者の情勢の報告など、債務整理実務をやっているならば常に把握しておきたい情報を共有することです。

私たちの実務は、常に最新の情報に精通していることが重要です。その為には一人の力では限界があります。皆が情報を持ち寄って、その情報を共有することで、より適切な判断が下せるように努力していくことが研究会の最も重要な目的なのです。

私としては出来れば全員の司法書士に参加して頂きたいところですが、参加は強制ではないので、なかなかそうもいきません。

出来るだけ多くの司法書士が意識を高めて参加しくれるように今後も努力を続けたいと思います。

 

 

債務整理一般|2007年11月27日

貸し渋り

 最近、大手の消費者金融を中心に貸し渋りが問題になっているようです。ひと昔前は、銀行の貸し渋りが問題になっていましたが、今回の貸し渋りは明らかに改正貸金業法の影響です。

貸金業の利率が下がることは長期的に見れば良いことなのですが、現在、多重債務に陥っている人にとっては、急に借入が出来なくなるという厳しい事態に追い込まれてしまいます。

もし、このような事態に陥っている人がいたら是非とも早めに専門家に相談して下さい。

最近は中小の貸金業者がつぶれてヤミ金が増えています。NHKのクローズアップ現代という番組では新たに「ネオヤミ金」という業者が現れたと報道していました。「ネオヤミ金」とは、改正法前の消費者金融の利率で貸し出し、対応も消費者金融のようにていねいで、一見ヤミ金らしくないヤミ金のことだそうです。

しかし正体はヤミ金ですから、後から行き詰まった時は、大変な目に合う可能性があります。

貸し渋りで苦しくなった時に、他の借入先に目が行ってしまう気持ちは分ります。その時に勇気を出して専門家に電話して頂きたいと思います。

債務整理一般|2007年11月20日

最近の状況

 債務整理の業務を行なってきて随分と時間が経ちました。その間に、いろいろと状況が変化してきました。今回は、私が行なってきた業務を少し振り返ってみたいと思います。

私が開業した頃は、まだ債務整理と言えば「自己破産」という考えが主流でした。ようやく「特定調停」や「個人再生」という、自己破産とは違う手続が整備されてきたところでしたが、まだポピュラーなものではありませんでした。相談の時に、自己破産以外の方法が使えるかもしれないと伝えると、相談に来た人は大抵驚いた顔をしていたものです。

ましてや「過払い」などと言う言葉を知っている人も皆無でした。その頃は、司法書士や弁護士ですら、過払金の取り戻しについて詳しく知らない人が多かったのです。業者も今よりずっと過払金の支払いに抵抗していましたから、満額取れるケースは少なく元金の7割とか8割で和解することも珍しくありませんでした。

その頃は債務整理を専門に打ち出す司法書士は、愛知県には、ほとんどいませんでした。手前みそになりますが、愛知県で債務整理中心のホームページを立ち上げたのは、私が初めてだと思います。

それから、二つの大きな変化が訪れます。

一つは司法書士に簡裁代理権が与えられたことです。今でこそ当たり前になりましたが、昔は司法書士には任意整理を行なう資格が無かったのです。従って任意整理を司法書士がやり始めたのは、ごく最近のことなのです。

もう一つの大きな変化は、最高裁判所の画期的な判決が、ここ3年位の間に立て続けに出たことです。

これらの判決により過払金の返還請求が飛躍的に有利になりました。それとともに、「過払い」という言葉もポピュラーになり、今では過払いを見逃したら司法書士や弁護士の責任問題に発展します。

この二つの変化により、状況は劇的に変わりました。債務整理の仕事の大半は「任意整理」と「過払金請求」になり、「自己破産」と「個人再生」が急激に減少したのです。

最近になって開業した事務所の中には、開業以来、「自己破産」と「個人再生」は受けていないという事務所もあると聞きます。

しかし、こういう状況は重大な問題を、はらんでいます。要するに「自己破産」や「個人再生」の経験をつんでいない司法書士が増えてしまったということです。

それに対して、貸金業法が改正されてグレーゾーン金利が無くなることが決定しましたから、今後は「任意整理」と「過払金請求」が減ってくることは明らかです。

逆に増えることが予想されているのが「自己破産」と「個人再生」です。総量規制が始まると貸し出し基準が厳しくなり、返済の為の借入が出来なくなりますから行き詰まる人が増えてきます。金利水準は大手を中心に下がっていますから、利息制限法の利率に引き直しても支払えない場合が多くなります。住宅ローンの金利も先行き不透明で、今後金利が上昇した場合、支払いが厳しくなるケースが出てくる可能性もあります。

これらのことを考え合わせると今後は「自己破産」と「個人再生」が増えるだろうと容易に予想がつきます。しかし、あまりにも一時的に「任意整理」と「過払金請求」が増えすぎてしまった為に、技術的な経験が蓄積されていない司法書士が現場の仕事に携わるようになったことは新たな問題と言えるでしょう。

これから移り変わる状況に対して、司法書士業界が、うまく対応していけるのかどうか、司法書士業界全体の課題になるでしょう。

 

債務整理一般|2007年11月19日

時効について

 今回は時効についての、お話です。債務整理で注意しなければならない時効は二つあります。

一つは残っている借金の時効、二つ目は過払金請求権の時効です。それぞれについてコメントしましょう。

まず、残っている借金(利息制限法の利率に引き直しても、残っている場合のことです)は、いつから消滅するのでしょうか。これは相手方が貸金業者の場合は5年で消滅時効にかかると法律で決められています。相手方が一般人の場合は10年なのですが、貸金業者との取引は通常よりも短い時効期間となっているのです。

では、5年経てば、どんな場合でも時効により消滅するのでしょうか。残念ながら、いくつかの条件を満たす必要があります。

その条件とは、①5年の間、一度も返済していない。もちろん借りてもいない。(たとえ、10円でも本人の意思で返済した事実があっったら条件を満たしません)②5年の間、貸金業者から訴訟をされたり、裁判所からの支払督促を受けていない。(裁判所を通さない、ただの貸金業者からの請求は含まれません)

以上のような条件を満たして5年経っていれば、借金は時効により消滅している可能性が高いでしょう。しかし、時効には最後に、もう一つ忘れてはならない大事なことがあります。

それは、本人が時効を援用する(法律用語で「本人が時効だから払わないと相手方に主張する」ことを言います)必要があるのです。要は何も言わないで黙っていたら、借金を請求されても文句は言えないということです。5年経ったら自動的に消滅する訳ではありません。

次に過払金請求権の時効について考えてみましょう。過払金請求権が時効消滅する期間は10年です。

要は完済してから10年を超えてしまったら過払金の回収が出来なくなる可能性がある訳です。もし、もう少しで10年になりそうだと言う人がいたら、早急に専門家に相談に行くことを、おすすめします。

時効期間経過前に過払訴訟を提起すれば時効は中断されます。例え1日でも期間を超えていなければOKですから、ぎりぎりの人がいたら急いだ方が良いでしょう。

債務整理一般|2007年11月19日

業者から訴えられた時

 今回は業者から訴えられた時の話をしましょう。債務整理の相談をしていると、時々、訴状や支払督促を持って相談に来る人がいます。

更に深刻なのが「訴状や支払督促のようなものは過去に来ていたような気がする」と言う人です。こういうケースでは近いうちに給料の差押がされたり、あるいは既に差押えられていたという場合もあります。

裁判の仕組が一般の方に伝わっていないので、このような深刻な事態が生まれてしまうのです。そこで、裁判の仕組について簡単に説明しましょう。

業者から訴えられて訴状や支払督促が裁判所から届いたら、放置しておいてはいけません。何故なら裁判では「放置して何もしない人は訴えた人の言い分を全て認めた」と判断されて、原告100%勝訴で判決がでてしまうからです。従って、裁判では必ず何らかの反論をしなくてはいけません。理屈が苦手な場合は、とにかく呼び出された期日に出て自分の言い分を裁判官に主張してこなくてはいけないのです。

日本人は自分の言い分を主張することが苦手ですから、その時は迷わず専門家に相談して下さい。このタイミングを、はずしてしまうと後から給料の差押を受けたりして非常に面倒なことに巻き込まれてしまいます。

訴えられた時は、借金問題の中でも最も緊急を要する場合だということを覚えておいて欲しいと思います。

 

債務整理一般|2007年11月12日

親族からの援助

 債務整理をしていて、よく思うのですが親族からの援助は、あまり良い結果を生まないことが多いようです。特に問題が多いのが親族が残りの債務を一括返済してしまう場合です。

何が問題かと言うと、一括返済という事実によって債務者の与信が上がってしまい(一括で返済してくれた訳ですから業者にとっては優良顧客として扱われます)、ほぼ例外無く再借入のセールス攻勢がかけられるからです。複数の業者に対して一括返済した場合は、あらゆるところからセールスが来る訳で、親族から援助を受ける人は、もともと家計が苦しい人が多いので、つい誘いに乗ってしまい再借入をしてしまいます。

また、こういうケースでは与信が上がっている為に返済前よりも多額の借入が出来る場合が多く、より借金が増えてしまいます。親族の援助による返済は、援助する方も援助を受ける方も充分に注意する必要がありそうです。

親族からの援助を考え始めた時点で専門家に相談に行くことを、おすすめします。

債務整理一般|2007年11月 5日

クレジット

最近こんなことがありました。

「大手クレジット会社で取引履歴を途中からしか出さないところがある」と依頼人に話をしたら、クレジット会社で、そんなこと本当にあるんですか、と言うのです。

やはり先入観というのは怖いものだと思います。実情はと言うと、武富士やアコムよりも履歴が出てこないクレジット会社は少なくありません。日本人は権威に弱いので、「クレジットはサラ金とは違うだろう、サラ金のような、いい加減なことはしないだろう」と何となく思ってる人が多いようです。残念ながら真実はそうではありません。履歴が途中からしか出てこないなんてマシな方で、返済金額をごまかしてきた業者も過去にありました。今、社会的に問題になっている次々商法なども、年金収入しかないお年寄りに、悪質業者が何千万ものクレジットを組ませたもので、クレジット会社が顧客の収入をきちんと見ていれば間違いなく審査が通らなかったはずなのです。

このブログを読んでいる方は「クレジットだから信用できる」と言う考えは止めにしましょう。

 

債務整理一般|2007年10月15日



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