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個人再生
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シリーズ 個人再生⑨

 今回は書面決議を無事に通過した後の流れについて説明しましょう。

 書面決議を無事に通過すると認可決定書という書面が裁判所から送られてきます。めでたく再生計画案が認可された訳です。(この時から、案の文字が取れて「再生計画」になると考えられます) 

依頼人は認可決定が出ると「先生、ありがとうございました。これで終了ですね。」と言われる場合が多いのですが、実はまだ終わってはいません。認可決定が出た後、約1ヵ月後くらいに確定通知が裁判所から送られてきます(ちなみに確定通知を送るのは裁判所の義務ではないようです。名古屋の場合はサービスで送ってくれます。送ってくれない裁判所では忘れずに請求する必要があるでしょう)。

 この確定通知が送られたら、司法書士または弁護士は、各債権者に向けて振込口座を知らせてくれるように通知を出します。債権者は、いつ確定したか分かりませんから待っていても振込口座は教えてくれません。こちらから聞きにいかなくてはなりません。

振込口座が全ての業者から知らされたら、それをまとめて依頼人に知らせます。これで、ようやく個人再生の終了となります。(弁護士の場合、手数料を取って振込の代行を引き受ける場合もあります)

 いかがでしたか。結構、大変だったでしょう。うまくいけば、メリットも多いので、自分が当てはまると思ったら経験のある専門家を探してトライしてみて下さい。

個人再生|2008年9月 2日

シリーズ 個人再生⑧

 お久しぶりです。今回は2回目の面談についてです。

 2回目の面談をむかえるにあたって、前もって再生計画案と言う書類を裁判所に出しておかねばなりません。面談は、この再生計画案について審査するのが目的です。再生計画案とは個人再生のルールに従って減額された金額を、各債権者に対して、どのように支払っていくかを定めた書類です。

では、再生計画案における支払方法について説明しましょう。まず、支払年数は基本的には3年です。特別の事情がある場合は、最長5年まで認められる場合があります(常に認められる訳ではないので、3年と思っていた方が無難です)。支払回数は毎月払いか、3か月おきかを選べます。支払忘れを防ぐ為にも、私は毎月払いをすすめています。あと、少額債権(他の債権者に比べて特に少額の債権)には特例として一括払いが認められています。これは義務ではありませんから、同じように分割にしても構いません(ただ、月払いの金額が数百円になるような時は一括にした方が良いでしょう)。以上のような原則をふまえて再生計画案を作成します。

2回目の面談は、再生計画案が適法に作成されているかどうか、支払いに無理がないかどうかをチェックされます。実際には、計画案は事前に提出してありますので、再生委員も目を通してきています。面談では、簡単な確認だけで5分~10分くらいで済んでしまうことが多いです。(正直、2回目の面談は、やる必要があるのかなと思います。書類審査だけで済ませても良いのでは、というのが私の意見です) 前回に説明しましたが、裁判官の面談の場合は、再生計画案は書類審査になります。支部裁判所や地方の裁判所では、そもそも面談自体がありません。再生委員がついた時だけ2回も面談をするのは、あまりにも負担に違いがありすぎると思うのは私だけでしょうか。

 2回目の面談でも1回目と同じように、再生委員のOKが出ると「この再生計画案で問題無い」という報告書が出されます。そうすると、裁判所は「書面決議に付する決定」を出します。

書面決議とは、各債権者に向けて裁判所が、再生計画案と、その計画案に反対するものは送り返すように書かれた決議用紙を郵送して、一定期間内に返送されなかった債権者は賛成したとみなされる一種の投票行為です。この場合、住宅ローン特則を付けた場合の住宅ローン債権者は投票から除外されます。

書面決議期間が過ぎた後に、返送された反対票をカウントして、以下の条件を満たした場合は再生計画案は否決され、不認可となります。要するに個人再生は失敗したことになるのです。

その条件とは以下の二つです。①再生計画案で示された債権総額(減額された後の金額のことです)のうち、金額にして過半数の反対があった場合 ②再生計画案で示された債権者数のうち、半数以上の反対があった場合(金額ではなく、頭数を問題にしています)

ここだけ読まれると不安になる人も多いかもしれません。しかし、実際には反対をする債権者は、ほとんどいません。たまにいたとしても、上の条件を満たすほどの反対票が集まることは、ほとんどありません。少なくとも私が今まで扱った事件では一つもありませんでした。それは何故かと言うと、個人再生を反対して、つぶしても債権者には何のメリットもないからです。仮に個人再生が、つぶれたとしたら、その債務者が次に考えるのは自己破産です。債権者からしたら、破産されたら一銭も取れない訳ですから、それなら個人再生を認めて、いくらかでももらった方が良い訳です。そのような背景があるので、反対する債権者は実際には、ほとんどいないのです。

 実は、個人再生には2種類の手続があって、今まで説明してきた手続のことを小規模個人再生と言います。これ以外に、給与所得者再生という手続がありますが、あまり使われていません。給与所得者再生には書面決議がありません。一見、有利な手続に思えますが、残念ながら大きな不利益が一方にあります。それは、給与所得者再生では大抵の場合、支払総額が小規模個人再生よりも大きくなってしまうのです。要はたくさん払うことになる場合が多いのです。先ほども説明したように、書面決議は実際には反対する債権者は、ほとんどいません。それならば、支払総額が低い方が債務者にとって良い訳で、結局、小規模個人再生を選択するのが圧倒的に多くなる訳です。

 では、次回は書面決議を無事に通過した後の流れについて話しましょう。

 

 

個人再生|2008年8月20日

シリーズ 個人再生⑦

 前回からの続きです。申立以降の流れについて説明します。

 最初の書類審査がOKになると1回目の面談日が決められます。名古屋地裁本庁の場合、通常は再生委員が選任されますので、面談は再生委員と本人、それに司法書士が付き添うことになります。名古屋地裁本庁では司法書士の付き添いが認められていて同席することが可能です。個人再生のような複雑な手続を本人だけでやられては指導するのが大変だというのが裁判所や再生委員の考えなのでしょう。ちなみに面談の場所は裁判所です。当たり前だと思わないで下さい。東京では再生委員の事務所(要するに弁護士事務所)で面談をすることが多いと聞きます。

面談では、いろいろなことが聞かれますが、圧倒的に多くの時間を占めるのが「支払能力があるか」と言う点です。この辺りは特定調停と似ていますね。この面談で再生委員のOKが出ると、再生委員が裁判官に対して「問題無い」という報告書を出します。そうすると裁判官は事務的に開始決定を出すことになっています。

ちなみに運良く再生委員が選任されなかった場合は、1回目の面談は直接、裁判官とすることになります。この場合も司法書士の同席は認められています。質問の内容やその後の流れは再生委員がいる場合と同じです。ただ一つメリットがあって、裁判官と面談した場合は面談が1回だけで済みます。これは大きなメリットです。

あと、本庁以外の支部裁判所や地方の裁判所だと、そもそも再生委員がいないので面談自体がありません。裁判官が面談できるじゃないかと思われるかもしれませんが、何故か裁判官も面談しません(するところもあるかもしれませんので、事前に調べた方がいいですね)。要するに、これらの裁判所だと書類審査だけで手続が進んでいくのです。従って、個人再生に関しては裁判所によって、本人や司法書士の負担が全然違ってきます。故に裁判所によって費用を変えている司法書士が多いようです(当事務所でも、そうしています)。

 開始決定が出ると、債権者一覧表が各債権者に郵送されます。各債権者は一覧表に記載された金額に文句がある場合は、債権届を出すことが出来ます。債権届が出された場合、申立人は二つの選択をすることが出来ます。一つは何もせずに債権届の金額を認めることです。届けられた金額が債権額になります。もう一つは、債権届の金額に対して異議を出すことです。

異議を出すと、どちらの主張する金額が正しいのか決めなくてはなりませんから、その為の手続である評価申立が行われます。しかし、現実には異議を出すことは、ほとんどありません。何故かと言うと、500万円を超えない限り債権届を出されても総支払額に変化は無いからです。500万円までの支払額の決め方は、100万円または清算価値の、どちらか多い方ですから、債権額が変化しても支払額に影響がありません。利息制限法の利率に引き直した後の債権額が500万円を超えることは、めったにありませんから、異議を出すこともほとんど無い訳です。

 このようにして債権届出期間が終了した後は、いよいよ2回目の面談になります。続きは次回に譲りましょう。

個人再生|2008年8月 5日

シリーズ 個人再生⑥

 6回目は、いよいよ個人再生申立以降の実際の流れについて説明しましょう。今回も名古屋地裁を例にして話をすすめます。

 申立の際に必要なのが、申立書類一式(家計簿・財産目録・陳述書・債権者一覧表・清算価値算出シート・住宅特則を利用する人は弁済許可申立書)、証拠書類(第5回で説明した各種書類のこと)、債権者宛名シール(裁判所が債権者に郵便を送る時の為に提出)、債権者一覧表のコピーを債権者数分(開始決定が出た後で裁判所が各債権者に送る為に提出)、予納郵券(切手の事です)、収入印紙、予納金になります。

この中で予納金は、金額が大幅に変わる可能性があります。通常、名古屋地裁では再生委員という役職が選任されることになっていますが、この再生委員の費用が高い為に、予納金が10万円近くかかってしまいます。(と言っても首都圏よりは、これでも安い方です。いかに首都圏の費用が高いかが分かります)

しかし、事件の内容が複雑でない場合、再生委員が選任されない時があります。こうなると、予納金は3万円以下になりますので、ぐっと安くすみます。では、事件の内容が複雑でない場合とは、どのような場合かが当然、気になるところですが、残念ながら明確な基準はありません。その時、その時で裁判官が個別に判断しますので、出してみなければ分からないというのが現実です。まあ、あまり期待するとダメだった時にがっかりしますから、通常は再生委員がつくものだと考えておいた方が良いでしょう。

ここでちょっと補足しておきますが、郊外の支部裁判所や大都市圏以外の裁判所においては再生委員が選任されないのが普通です。何故かと言うと、再生委員にはたいてい地元の弁護士が選任されることになりますが、大都市圏以外は弁護士の数が少ない為、再生委員のなり手がいないからです。従って、上記の裁判所においては申立費用は大都市圏よりも安くなります。弁護士の都市偏在が理由で申立費用に10万円近い差が生じる訳ですから、これは大変に不公平な制度ではないかと私は考えています。

 以上で申立は終了です。後は、裁判所が申立書類と証拠書類を審査します。名古屋地裁の場合だと1~2週間で審査の回答が送られてきます。郊外の支部裁判所だと審査期間はもっと短くて、早いところだと翌日のこともあります。

審査の結果、追加書類を求められたら追加書類を出すことになります。それで特に問題無いということになったら、いよいよ第一回の面談になります。

 では、この後の話は次回に譲りましょう。お楽しみに。

 

個人再生|2008年7月29日

シリーズ 個人再生⑤

 さて今回は、個人再生を裁判所に申し立てる際に最低限、必要になる書類について説明します。名古屋地裁の場合で説明しますが、三重県や岐阜県で申し立てた時の経験によると、それほど大きな違いはありませんでした。従って、他の裁判所の場合でも充分に参考になると思います。

 まずは、市町村役場で取得する書類からです。

①戸籍謄本

②住民票(世帯全員分が必要。本籍と続柄の記載が必要)

③課税証明書(最近2年分が必要。税務課で取得)

④公的手当証明書(児童手当等を受け取っている人は必要)

⑤固定資産税評価額証明書(不動産を所有している人は必要。土地と建物の両方。税務課で取得)

 次に他の役所で取得する書類です。

①不動産登記事項証明書(不動産を所有している人と、賃貸以外で他人の不動産に居住している人が必要。法務局で取得)☆例えば親の家に住んでいる人は、その家が自分の所有では無いということを証明する為に必要です。

②税金の滞納証明(滞納がある人は必要。税務署または県税事務所等で取得)

 次は役所以外で取得する書類です。

①給料明細と源泉徴収票(給料明細は最近3か月分、源泉徴収票は最近2年分です)

②同居人の収入証明(給料明細や年金給付証明などです)☆支払いの責任があるのかと勘違いされる人がいますが、同居人に支払義務はありませんので、ご心配なく。裁判所から同居人に通知が来ることもありません。

③不動産の時価証明(不動産を所有している人は必要。不動産業者の見積書を2通出す)

④住宅ローン返済表(住宅ローン特則を使う人は必要)

⑤賃貸借契約書(賃貸に住んでいる人は必要)

⑥本人名義の銀行預金通帳、郵便貯金通帳(過去1年分が必要。おまとめ一括記帳がある場合は、その分の明細が必要)

⑦自動車の車検証コピー(複数ある場合は、本人と同居人の両方が必要)

⑧自動車の時価証明(登録後5年以内の国産車で、かつローンが残っていない場合に必要。外国者の場合は5年以上でも必要)

⑨退職金見込額証明書(退職金規定及び、それに基づいて自分で計算した試算表でも可)

⑩本人名義の保険証券(失くした場合は再発行可能)

⑪保険の解約返戻金証明書(保険会社に請求)

 自分で作成して提出する書類

①家計簿(裁判所の書式に従って書く必要あり。基本的に手続終了まで毎月提出)

 以上が最低限必要な書類のリストです。あくまで最低限なので、後から裁判所が追加書類の提出を求めてくることがありますので、ご注意下さい。

☆最低限と言っても、相当多いと思われたのではないでしょうか。実は私もそう思います。しかし、裁判所が要求している以上、愚痴を言っても始まりません。頑張って集めましょう。

 

個人再生|2008年7月22日

シリーズ 個人再生④

 本日は清算価値の続きです。私の地元である名古屋地裁の場合を例にして説明します。

 まず自動車について検討します。地方だと自動車が無くては生活できないし仕事にも行けないという場合も結構あるので、なかなか悩ましい問題なのです。清算価値としては不動産の次に裁判所が注目する部分でもあります。

自動車もローンを組んでいる場合が多いので、このローンが問題になります。はっきり言うとローンが残っている場合、自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。住宅ローンのような特則は認められていないので、こればかりはどうしようもありません。自営業の方で仕事で使っている場合に特例が認められる時がありますが、必ずという訳ではありません。引き揚げられた後、ローンの残債から売却価格を引いた金額がローン会社の債権となり、個人再生の債権者の一つとなります。(自動車ローンの場合、車の残存価値がローンの残債を上回ることがほとんどないので、だいたい上記のような流れになります)

ローンが無い場合の自動車は、時価で清算価値に加えられます。民間業者で見積書を取って添付します。ただし、国産車の場合は特例があって、登録から5年以上経過していれば無価値とされ、見積書の提出は不要です。(軽自動車の場合は4年で無価値となります)従って、ローン会社に車が引き揚げられてしまった人は、生活にどうしても車が必要な場合は、5年以上の国産中古車を購入して頂くと良いかもしれません。(だからと言って高価な中古車を購入するのは、裁判所も黙っていないと思いますので注意して下さい。あくまで安い中古車を購入されることをおすすめします)

 次に証券について検討します。これは、一部上場企業などに勤めている人に多いのですが、会社の持ち株が社員に割り当てられている場合が珍しくないのです。積立と同じように本人が気付いていないこともありますが、やはり給料明細に表れることが多いです。この場合、申立直前の株価を基準にして清算価値を算出することになります。

 次に賃貸住宅の場合の敷金について検討します。破産の場合、敷金は部屋を出て行かない限り返還されない金銭と言うことで財産には含まれませんが、個人再生の場合は敷金も清算価値に含みます。注意すべきポイントです。

 最後に退職金について検討します。退職金は「申立直前に自己都合で退職した場合」を想定して換算します。しかし、全額が対象になる訳ではありません。8分の1が清算価値になります。

 以上が裁判所が注目する主な清算価値になります。気になる人は自分で計算してみましょう。

 

個人再生|2008年7月11日

シリーズ 個人再生③

 個人再生の3回目は清算価値について説明します。

清算価値とは個人再生独特の表現で、債務者の持っている財産の総額のことを指します。前回までのシリーズで、「清算価値が、債務額の5分の1または100万円よりも高ければ、個人再生で支払う額は清算価値の額になる」と言う話をしました。従って、清算価値がいくらになるかは支払額を決定する上で非常に重要です。清算価値を計算するには独特のルールがありますので、今回はそのルールを説明しましょう。

 まず代表的なのは現金と預貯金ですが、これは単純に残っている金額になります。注意すべきは給料からの天引きで積み立てている場合です。天引きなので本人が忘れている時があるのです。給料明細を見ればすぐに分かりますから、依頼した後で専門家が気付いて本人がびっくりするというケースが良くあります。天引きと言うのは確実に毎月実行されますから、意外に高額の積立が発見されたりするのです。

 次に裁判所が最も気にするのが不動産です。これは、時価からローンの残債を差し引いた金額が清算価値となります。オーバーローンの場合はマイナスになりますから清算価値は0円です。自分が住んでいる住宅にも、この法則は適用されますから、オーバーローンになっていなければ清算価値に含まれます。ちなみに時価に関しては不動産業者の見積書を2通用意して裁判所に提出しなくてはなりません。別々の業者から2通取って、その平均値を時価とします。

この時、注意するのは親の土地に子供が家を建てた場合です。このケースでは住宅ローンは家の建設資金だけですから、土地は関係ないと思ってしまう人が多いのですが、実は違うのです。何故なら例え家の建設資金であっても、住宅ローンの担保には家と土地の両方が入っているからです。家と土地はセットでなければ誰も買いませんから、銀行は必ず両方担保に入れます。その結果、清算価値を計算する時には、家と土地の時価の合計から住宅ローンの残債を差し引いて、残った金額を家と土地の時価の割合で比例配分することになります。具体的には、家の時価が500万円で土地の時価が2000万円、住宅ローンの残債が1000万円だったとします。この場合、家と土地の合計2500万円から住宅ローン1000万円を差し引いて1500万円になります。次に家と土地の時価の割合が1対4ですから、1500万円を1対4で配分した結果、家の分の清算価値は300万円になります。

このように親の土地の上に子供が家を建てた場合は清算価値が残る場合が多いので注意が必要です。

 次に生命保険について説明します。生命保険は「掛け捨て」の場合と「貯蓄型」の場合があります。当然、清算価値に含まれるのは貯蓄型の場合です。貯蓄型の生命保険には解約返戻金というものが発生します。生命保険会社に電話して解約返戻金証明書を取得して裁判所に提出する必要があります。

この時、注意して頂きたいのが、契約者貸付の有無です。契約者貸付とは貯蓄型の生命保険から一定額を借りられる制度のことです。契約者貸付がある場合は、解約返戻金から貸付分を差し引いた金額が清算価値になります。ちなみに契約者貸付は借入とはみなされないので、個人再生や自己破産の債権者には含まれません。理由はちょっと複雑なので、ここでは書きません。債権者にはならないとだけ覚えておいて下さい。

少々長くなりましたので、今回はこれで終了です。次回は引き続き清算価値について説明します。

個人再生|2008年7月 8日

シリーズ 個人再生②

 さて、今回は個人再生が、「どんな人に向いているのか」 の続きです。

 個人再生を選択する人で圧倒的に多いのが住宅ローンを抱えているサラリーマン・OLです。そもそも個人再生の主要な目的の一つに、「破産では自宅を取られてしまう人を何とか出来ないか」というのがあります。ですから、「住宅ローンを維持しながら他の債務を減額できる」のは個人再生の売りの一つと言えます。もちろん、シリーズ①で示した条件に当てはまっていることが前提です。

住宅ローンを維持する為には住宅ローン特則という手続きを使います。これを使う場合も、いろいろ条件があります。例えば、「自分の住まいとして使用している住宅に限る」という規定です。要は投資目的で購入した不動産まで保護する必要は無いという考え方です。ただ、サラリーマンが家族を残して単身赴任している場合は特則が使えますので安心して下さい。もともと住まいとして購入したのに会社の都合で他で暮らしている訳ですから、こういうケースは保護しようという訳です。

あと、住宅ローン以外の抵当権が住宅に設定されている場合は特則が使えません。分かり易く説明すると、住宅ローン以外の目的で借り入れた借金があって、住宅をその借金の担保に入れている場合です。個人再生で除外できるのは住宅ローンだけなので、他の借金は減額されてしまいます。そうすると、減額された債権者は担保の競売をしてきますので、住宅ローン特則を認めても意味が無いというのが理由です。

このケースに当てはまって住宅ローン特則が使えなかったというのは、自営業の人に多く見られます。自営業だと事業資金の担保に自宅を入れているケースが多いからです。

 次に検討したいのは、「何らかの理由で破産が出来ない人」です。本来、多額の借金があって目ぼしい財産も無い場合は破産が適切なのですが、破産が出来ない事情を抱えているケースです。

例えば、明らかな免責不許可事由がある場合です。借金の9割以上がギャンブルとか投資の失敗で出来てしまったような場合がこれに当たります。こういう場合、免責が認められない可能性があるからです。(破産で借金がチャラになることを免責と言います) 

他には、破産による職業制限に該当する職業に就いている場合です。代表的なのは、警備員・保険外交員・資格を持ってやる仕事(ただし、破産でも出来る資格もあるので調べる必要あり)などです。

ただ、免責不許可事由や職業制限に該当するからと言って、現実に支払能力が無い場合は個人再生は選択できません。では、そういう人は助からないのかと言うと実際には、裁判所は結構融通をきかせてくれます。裁量免責という制度があるからです。これは裁判官の裁量で本来免責が認められないケースでも認めてよろしいという規定なのです。

再生も出来ないし破産も出来ないでは、その人は助かる方法が無くなってしまいますから、現実には裁量免責が、かなり幅広く認められています。(裁量免責の中には一部免責と言って、全額チャラにはせずに一部だけ支払わせるという場合もあります)

一方、個人再生では支払能力審査は、かなり厳格にやられますから、支払能力が足りなければ無理して個人再生を申し立てるのは得策ではありません。個人再生を受け付ける裁判所にとっては、「自分たちが拒否しても、まだ破産が残っている」と考えていますから、容赦なく拒否できる訳です。

 

 

 

 

 

個人再生|2008年6月23日

シリーズ 個人再生①

 さて、今回からは新シリーズとして、個人再生を取り上げたいと思います。債務整理の中では最も複雑で、素人には難しい手続だと言われています。

例えば、専門家に頼まずに破産を申し立てる人は、数は非常に少ないですが一応存在します。(ちなみに東京地裁では、個人の破産申立を認めていませんので必ず弁護士をつけるように勧められます。ただ、この取扱は憲法の「裁判を受ける権利」に抵触するのではないかと問題にはなっています) あと、任意整理は専門家にしか出来ませんが、その代わりに素人が出来る特定調停が用意されています。

これらの手続きと比べて個人再生は、その複雑さ故に、素人が専門家の助けを借りずに最初から最後までやり遂げたという話を、少なくとも私は聞いたことがありません。私自身も、個人再生に関しては素人が自分で進めていくのは難しいだろうと思っています。従って、このシリーズでは、専門家に依頼する時に知っておいた方が良いことを伝えたいと思います。

では、「どんな人に個人再生は向いているか」、というテーマで考えてみましょう。

まず、大前提として任意整理や特定調停で処理できる人は対象外だと思います。任意整理や特定調停の方が自由度が高いので、これらの手続きで充分に債務が減額できるならば、わざわざ厳格な手続である個人再生を選択するメリットが無いからです。もちろん、過払いになっているような人は、そもそも債務が残っていない訳ですから、他の手続を考える余地はありません。このことから、任意整理や特定調停では充分に債務が減らない人が、当てはまる最初の条件でしょう。取引の年数が短い人と言い換えることも出来ます。

次に支払能力の問題があります。上の条件に当てはまって、尚、支払能力が無い場合(例えば失業中とか)は破産を選択するしかありません。ただ、次の仕事が決まっていて内定ももらっていると言う場合は認められる可能性があります。私が依頼を受けた人の中で、このような人がいましたが、裁判所の認可をもらうことが出来ました。

支払能力に関しては特定調停と同じで、裁判所は非常に厳しくチェックしてきます。では、どの程度の支払能力があれば良いのかを簡単に説明しましょう。

個人再生では、申立人の債務の総額が500万円以下ならば一律100万円に債務が減額します。500万円を超えた場合は5分の1に減額されます。例えば、債務総額が400万円なら支払額は100万円、600万円なら支払額は120万円になるということです。実は、これ以外にも1500万円を超えた場合の規定があるのですが、ほとんどの人が当てはまりませんから、ややこしくなるので無視して下さい。

次に個人再生特有の清算価値というルールがあります。これは財産の総額と言い換えた方が分かりやすいでしょう。要は、その人が持っている主要な財産を金銭に換算して合計したものです。裁判所が考える主要な財産には、不動産・生命保険・自動車・退職金などがあります。細かい評価額の出し方については後ほど説明します。今、覚えておいて欲しいのは清算価値の総額と、前に出した支払額とを比べて清算価値の方が高かったら、支払額は清算価値の金額になるということです。例えば債務総額が400万円なら支払額は100万円ですが、清算価値が150万あったら支払額は150万円にアップするということになります。ここで注意して頂きたいのは、財産を換価する(売却してお金に換える)必要は無いということです。あくまで、清算価値と同じだけの金額を毎月の収入から支払っていけばよいのです。

以上のようにして算出した支払額を3年間で払うことになります。従って、支払額を36回に分割すれば一月の支払額が出ます。この支払額ぎりぎりだと裁判所も難色を示しますから、だいたい2万から3万上回るくらいの支払能力があれば、裁判所の要求に答えられる可能性が高いでしょう。

ここまで読んでいかがでしたか。難しかったかもしれないですね。最終的には専門家に依頼されると思いますから全部分かる必要はありません。ただ、専門家を判断する材料にも使えますので、知っておいて損は無いと思います。

それでは次回ですが、「どんな人に向いているか」の論点がまだ残っていますので、続きを書く予定です。

 

 

 

 

 

個人再生|2008年6月19日

個人再生の結果に一安心

 昨年ぐらいから、個人再生の3年間の支払いが終わった人から続々と事務所に知らせが届いています。

個人再生が始まったのは平成13年です。しかし、最初の頃は手続の勝手が分らずに、利用者も伸び悩んでいました。本格的に増えてきたのが2~3年後からだと思います。

私の事務所では平成16年~17年と大量に個人再生の申立がありました。その頃に引き受けた人達が、最近、続々と支払いが終了したのです。

電話をかけてきた人もいれば、手紙を送ってきてくれた人もいます。皆さん、自分の借金を払い終わって非常に喜んでいます。こういう知らせを受けるのが、この仕事をやっていて一番うれしい瞬間ですね。

個人再生は手続期間も長いので、依頼者との付き合いも長く、3年たっても、自分でも驚くほど良く覚えています。電話で話していると顔がうかんできます。

個人再生をやっても途中で頓挫する人も中にはいると聞いていますので、自分が手がけた人が、ちゃんと支払い終わったの聞くと、うれしい気持ちになります。

こういう知らせは、今後も一杯聞きたいものです。

個人再生|2008年2月 8日

裁判所の比較

さて、本日からブログを始めることになりました。
債務整理に関する新たな情報や、私の感想なども書いていきたいと思います。今後とも、よろしくお願いします。

では、第一回は裁判所の話題から。
皆さんは裁判所と言うと全国一律で同じ基準で運用されてるんだろうと思っていませんか。ところが、現実は全く違います。およそ裁判所ほど、地域によって運用が違う役所は無いと言っても過言ではないでしょう。

例えば、個人再生を申し立てた時の裁判所に払い込む費用は、同じ愛知県でありながら、名古屋本庁では約12万円もかかるのに対し、岡崎支部では約3万円で済んでしまいます。
異なるのは費用だけではありません。名古屋本庁では面談が2回(裁判所に本人が2回行くことになる)必要なのに、岡崎支部では一般的に面談はありません。(よほど問題がある場合は呼ばれるかもしれませんが)

このように同一県内でも取り扱いが大きく異なっています。はっきり言って、私はこれは問題だと思ってます。同じ申立をしても住んでいる場所によって有利・不利が出来てしまうからで、ある意味、地域差別になるように思います。

私は結構、裁判所にも運用に関してクレームはつける方ですが、今のところ改善の見通しはありません。本当に何とかして欲しいものです。

☆岡崎支部の管内に住んでいる人は個人再生に関して費用が安く有利になりますね。ちなみに岡崎支部のエリアは岡崎市・額田郡・安城市・碧南市・刈谷市・西尾市・知立市・高浜市・幡豆郡・豊田市・西加茂郡です。名古屋本庁と岡崎支部以外の裁判所については、近隣の事務所に問い合わせてみて下さい。

個人再生|2007年9月12日



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