事例集

具体的な解決事例

相続登記を長い間やっていると出会う珍しい事例、または件数の多い代表的な事例を、いくつか紹介いたします。

事例-1 父親が亡くなった後、登記をせずに放置していたら母親が亡くなった場合

父親が随分前に亡くなったのだが、相続税の支払いが発生しなかったので、名義変更をしないで放置しておいた。そうしたら、しばらくしたら母親も亡くなってしまい、さすがに名義変更をした方が良いかなと思って司法書士に相談に行った。

司法書士からのコメント
相続登記は、相続税の申告のような期限がありませんので、まれにこのようなことが起こります。今回の場合、法律上は、父と母で2回相続が発生したことになりますので、本来であれば、父親の相続登記をした後で、母親の相続登記をすることになるのですが、遺産分割協議書を工夫することで、1回の相続登記で済ませることが出来ます。1回で済ませれば、何より登録免許税が安くなるのが大きなメリットです。ただし必要書類として、父親と母親両方の出生から死亡までの戸籍が必要になりますので結構大変です。このケースでは、上記の方法で無事1回で相続登記が完了しました。
ただし、この方法には、いくつか条件があります。いつも必ず出来る訳ではないので放置するのはリスクがあります。基本的には最初の相続が発生した時点で相続登記をしておきましょう。

事例-2 不動産と借金の両方を相続人の一人が相続する場合

父親が亡くなり、母親と子供3人の相続で、父親に借金があった。不動産には母親と長男が住んでいて、他の子供は家を出ていたので、長男が不動産を相続し、借金も引き受けることになった。

司法書士からのコメント
ここで注意して頂きたいのは、「借金は遺産分割協議では変更できない」という事実です。「長男が不動産を取得するなら当然に借金も負担して欲しい」と考える相続人が多いと思いますが、これはあくまで家族間での理屈で、お金を貸している金融機関には効果が及びません。遺産分割協議書を作って安心していたら、後から長男の支払いが滞った場合、他の子供二人に請求が行くことは充分に考えられます(実際に、請求されて大きなトラブルになることも多いのです)。
この時問題になるのは、「不動産に関しては遺産分割協議書は有効なので長男のもの」という点です。ようするに長男に関しては「権利はあるけど義務が果たせない」という状態になってしまうのです。
このトラブルを防ぐには、相続登記の時に、不動産を相続しない相続人(今回の場合は、母と子供二人)は全て相続放棄の手続をしておくことです。こうしておけば、後で借金の請求をされる心配はありません。
亡くなった方に借金がある場合でも、上記のようなアドバイスをしない事務所もあると聞きます。相談に行くときは充分注意しましょう。

事例-3 父と母の共有マンションで、事例1と同様のことが起こった場合

父と母の共有になっているマンションで、父が亡くなった後、相続登記をせずに放置していて、その後、母が亡くなった段階で相談に来られた。

司法書士からのコメント
事例1のケースと似ていますが、今回は不動産が父と母の共有になっています。この場合、父が亡くなった時点では、父の共有持分だけが相続されます。従って、通常のやり方だと、父の共有持分で2回の登記、母の共有持分で1回の登記が必要になりますが、遺産分割協議書を工夫することによって、父の共有持分の登記を1回で済ませることが可能となります。
従って、3回必要だったところを2回の相続登記で済ませました。

事例-4 子供二人で、障害者の兄が管轄の異なる不動産を全て相続する場合

母は先に亡くなっていて、今回、父が亡くなった。相続人は子供二人で、そのうち障害者である兄が不動産を相続した。

司法書士からのコメント
相続人は兄と妹で、兄には障害があります。妹の希望で遺産分割ではなく妹が相続放棄をすることになり、放棄の手続が終わった後、兄の単独所有の相続登記をしました。兄が各種の手続をするのが困難で、妹は遠方に住んでいた為、その後、預貯金や有価証券やゴルフ会員権の相続手続も全て引き受けました。
不動産は自宅の土地建物と、少し遠方の農地があり、法務局の管轄が異なる為、2ヶ所での申請となりました。
また、相続税の基礎控除を超えていた為、相続税の申告が必要となり、相続税に強い税理士を紹介しました。

事例-5 夫が亡くなり、3人の相続人のうち妻が不動産を相続した場合

相続人は妻と子供2人で、特に揉めることも無く遺産分割協議がまとまり、妻が不動産を相続した。

司法書士からのコメント
典型的な事例です。二人の子供が同意しているのでスムーズに運びました。
唯一、特徴のある点と言えば、夫の出生まで戸籍を遡ったところ、1歳まで名古屋市で取得出来ましたが、0歳から1歳までは遠方の役所で取得する必要がありました。
しかし、相続登記の場合、原則は出生から死亡までの戸籍が必要ですが、生殖年齢に達していない場合は添付しなくても許されます。1歳ならば間違いありませんので取得しないで申請し、問題なく法務局の審査は通りました。

事例-6 夫が亡くなった後、遺言により妻が相続した場合

法定相続人は妻と兄弟姉妹5人で、妻に相続させるという遺言が見つかった。

司法書士からのコメント
貸金庫から自筆証書遺言が見つかり、それを持って妻が相談に来られました。封が空いていたので使えるかどうか自信が無かったようです。遺言としては有効なので、遺言どおりに相続手続を進めました。
ただし、自筆証書遺言なので家庭裁判所への遺言の検認が必要です。今回のケースでは兄弟姉妹が法定相続人で人数も多かったので、検認に必要な戸籍の取得に大変な時間と労力がかかりました。
検認が無事に済んだあとは妻への単独相続なのでスムーズに進めることが出来ました。
今回の場合、もし遺言が公正証書だったら家裁の検認が不要になりますので、費用も安くなったし、時間も早かったでしょう。つくづく遺言を書くなら公正証書に限ると思いました。

事例-7 父が亡くなり、母と子供二人の相続人のうち長男が相続した場合

法定相続人は3人で、特に揉めることも無く遺産分割協議がまとまり、長男が不動産を相続した

司法書士からのコメント
典型的な事例です。
法定相続人全員が親の家に住んでいたので、話し合いもまとまり易く、非常にスムーズに進みました。
唯一特徴のある点と言えば、未登記の物置が固定資産税の明細に記載されていたことです。
未登記建物の相続登記をする場合、土地家屋調査士に測量を頼んで表示登記を入れてからでないと相続登記が出来ません。費用も時間も余分にかかります。物置や車庫の為にそこまでしたくない、と考える人も多いので、未登記のままにしてある場合も珍しくありません。
この場合、問題になるのは固定資産税の名義です。役所で母屋の名義と一体になる処理がされている場合は、母屋の相続登記をすれば物置や車庫の名義も変わります。しかし、一体となる処理がされていない物件もたまにあるので、その場合は固定資産税の名義変更の申請を役所でする必要があります。
今回の場合は一体となっていましたので、固定資産税の名義変更は不要でした。

事例-8 店舗兼自宅の相続の場合

法定相続人は3人で、特に揉めることも無く遺産分割協議がまとまり、妻が不動産を相続した。店舗兼自宅だったので、特殊な登記がされていた。

司法書士からのコメント
奥様からの依頼で、子供二人との遺産分割協議で、自分が不動産を相続すると決まったので、協議書を作成して相続登記をして欲しいという内容でした。
めぼしい預貯金や有価証券は無かったので、遺産分割協議書には不動産のみを記載しました。
ただ、相続する不動産が店舗兼自宅だった為、少し特殊な登記がされていました。長屋風の他の店舗とつながった建物で、真ん中の部分が被相続人の所有になっていました。
こういう場合、土地は他の店舗の主と共有になっていることが多いのですが、今回の場合は、1棟に3店舗入っていて、土地もきれいにそれぞれの店舗の下の部分が3分割されていました。ようするに3つの土地の上に1棟の建物が建っている状態でした。結果的に土地に関しては通常の1戸建ての登記に近いと言えます。
ただ、建物は1棟を3人が分割して所有している状態なので、マンションと同じような区分建物の登記がされていました。
従って、建物は区分建物の相続、土地は単有の相続ということになりました。

事例-9 借地上の建物の相続登記をした後、すぐに親戚に生前贈与をした場合

名古屋市の方が相続人で、相続不動産は岐阜県。借地上の建物で父と母の共有名義になっていて、母が先に亡くなっていたが相続登記をせずに放置していた。今回、父が亡くなって相談に来られた(この部分に関しては事例3と同様のケース)。
今回の場合、相続登記をした後、すぐに姪に生前贈与を希望(既に姪が当該不動産に住んでいたため)。

司法書士からのコメント
借地上の建物と言うことで、一部、注意点がありましたので、ていねいに説明しました。
具体的には、借地上の建物の所有者が変わる場合、相続が原因の時は何も問題ありませんが、贈与や売買が原因の時は必ず地主の承諾が必要になるからです。幸い地主さんとの関係は良好で問題なく承諾されました。
母の相続登記が放置されていた件に関しては、事例3と同様の方法で通常3回の登記手続を2回に短縮して手続をしました。この点は非常に感謝されました。
あと、この事例ではちょっとあわてることがありました。
相続登記が済んだあと生前贈与の手続を進める前の段階で、依頼人(不動産の相続人)が抗がん剤治療で入院してしまったのです。電話で奥様から事情を聞いて、すぐに次の日に病院に行って生前贈与の書類に署名押印を頂きました。幸い病状は安定していて意思疎通もはっきりしていましたので、無事に依頼どおりの登記を完了することができました。

事例-10 遺産分割調停の後、調停調書によって相続登記をした場合

夫が亡くなった事例で、妻と息子二人で遺産分割調停をした後、自宅は妻が相続すると決まった調停調書により相続登記をするケース。

司法書士からのコメント
調停の内容は、妻(依頼人)が自宅を相続する代わりに金銭を息子二人に支払うというもので、いわゆる代償分割と呼ばれるものです。不動産以外にめぼしい財産が無い場合に良く行われる分割方法です。
ただ高齢の配偶者が老後の蓄えを減らすことになるので、不安な場合は夫または妻の生前に遺言を書いてもらった方が良いでしょう。子ども二人には遺留分がありますが、それでも遺言があれば代償分割で支払う金銭を減らすことは出来ます。(最近、相続法の改正案が国会を通過して配偶者居住権が新たに認められることになりました。その場合、遺言などで指定しておくことが条件になるようです。そうなると、今まで以上に遺言の重要性が増すことになるでしょう)
次に登記についてですが、遺産分割調停後の調停調書による相続登記は通常の場合と異なる部分がありますので注意が必要です。ただし、調停調書は裁判所の発行する書面なので信用度が高く、申請した後の審査は通常よりも早い傾向があります(申請書類に間違いが無いことが前提ですが)。
今回も法務局の審査はかなり早く、登記識別情報(昔の権利証です)も早く届きました。依頼人には、とても満足して頂きました。

事例-11 遺言どおりに分割しようと思ったら、遺言で指定されていなかった相続人から遺留分を請求された場合

父親が亡くなって相続人は子ども三人。長男が愛知県、次男が東京、三男が静岡県と離れている。遺言では長男と三男のみが指定されていて、父親とケンカ別れをした次男は指定されていなかった。
自筆証書遺言だったので家庭裁判所の検認の時に次男が遺言の内容を知って、しばらくしたら弁護士に依頼して遺留分の請求をしてきた。
長男と三男は遺留分請求自体は覚悟していて、請求されたら支払う予定だった。

司法書士からのコメント
遺留分請求自体は納得されていたので揉めることは無かったのですが、三男が不動産を生前に贈与されていたため、その分を特別受益とみなされて、いくらで評価するかで少し時間がかかりました。(三男は、その物件に住んでいたため売ることは出来なかった)
一方、相続開始時の父親所有の不動産は千葉県にあったのですが空き家になっていたため売却してから分割することになりました(専門用語で換価分割と言います)。この場合、一旦、一人の名義にしてから売却した方がスムーズに進むので、そのように遺産分割協議書を工夫して長男・次男・三男に署名押印してもらいました。
最初はシンプルな遺言による相続登記の相談でしたが、結果的に複雑なご依頼になりました。しかしその分、終了した時には大変に感謝されました。

事例-12 名古屋在住の相続人が東京の不動産を相続した場合

東京在住の母親が亡くなって、居住していた東京の不動産を名古屋の子が相続したケース。
最初は親戚のおじさんが相談に来て、後から相続人が事務所に来た。東京の不動産でも依頼できるか心配だったようだが、問題なく引きうけた。
また、東京の不動産を今後利用する予定は無いので、相続登記終了後は売却して換金することを希望していて、「売却も頼めるか」、と聞かれたので、こちらも問題なく引きうけた。

司法書士からのコメント
法定相続人は当初、子が一人のみということでした。ところが戸籍を調べた結果、母親が初婚だと思っていたところ、かなり若い頃に一度結婚していて1年たらずですぐに離婚していたことが分かりました(親戚も含めて誰も知らなかった)。相続の仕事を長くやっていると、このような事例にたまに当たることがあります。
しかし、この事例はラッキーでした。初婚の時に子がいなかったからです。前に似たような事例で子がいたことがあり、弁護士を巻き込んだ激しい争いになったことがあったので、子がいないことが分かった時はほっとしました。
その後の手続は順調に進み、相続登記終了後、提携している不動産業者に東京に行ってもらい査定書を作らせました(大手の不動産業者で東京にもいくつか支店があります)。査定書を依頼人に見せて、しばらく検討してもらったところ、OKが出て売却手続に入りました。

事例-13 元からあった共有持分の住所が変更になっていた場合

母が亡くなり相続登記の相談を受けたケース。相続人は長男一人。不動産が4つあり、最新の登記事項証明書を調べたところ、建物の一つの10分の1を元から相続人が共有持分として持っていたことが分かった(相続人は認識していなかった)。
ところが10分の1の共有持分の住所が現在と違っていたため、相続登記の前に住所変更登記が必要になるケースであった(住所が一致していないと同一人物とみなされないため)。

司法書士からのコメント
この事件では非常に珍しい事が起こりました。
住所変更登記と相続登記を連件申請で出して法務局から完了通知を受け取った後で、登記事項証明書で確認したところ、何と法務局がミスをしていることが発覚しました。相続人の記載が本来「所有者」であるところ「共有者」となっていたのです。(暑い日が続いたので法務局の役人も集中力を欠いたのでしょうか)
急いで法務局に連絡して間違いを指摘したところ、いつものお役所対応とは打って変わって、非常にていねいに謝罪してきて、「すぐに訂正して無料で登記事項証明書を送ります」と言われました。普段から、このくらい親切だと、ありがたいのにと、つい思ってしまいます。
事情を依頼人に説明したところ、「自分達では絶対にミスに気付かなった。頼んで良かった」と喜んでもらえました。

事例-14 区画整理で土地の表示が変わっていた場合

父が亡くなり母と子の遺産分割協議が必要な相談。子が全て相続するということで母が同意していたので、その点は問題ないケース。
ただ、持参された権利証(登記済証)に記載された土地の表示と、固定資産評価証明書の表示が違っていた。

司法書士からのコメント
早速、登記事項証明書等の書類を取得して調べたところ、土地区画整理があって表示が変わっていたことが分かりました(専門用語で換地処分と言います)。結局、依頼人の認識と実際の土地は一致していたので問題はありませんでした。
遺産分割協議もスムーズに進み、無事に相続登記が完了しました。

事例-15 母が軽い認知症、妹と仲が悪いため話し合いが出来ない状態での相続登記

父が亡くなり法定相続人は母と子ども二人(姉と妹)。姉からの相談で母が軽い認知症で、妹とは母の世話の件で揉めていて仲が悪い。話し合いが出来ない状態なので、相続登記ができないで困っていた。
そこで、法定相続分による登記ならば、姉一人からの申請でも出来る事を伝えると、そのまま依頼された。

司法書士からのコメント
不動産の相続登記には、遺言による登記、遺産分割協議による登記、法定相続による登記の3種類があります。このうち最も多いパターンが遺産分割による登記で、これは法定相続人全員から署名押印をもらわなければなりません。
では、今回のように全員の協力が得られない状態で遺言も無かった場合は、どうすれば良いのかと言うと、法定相続分による登記をする方法があります。
法定相続分である母2分の1、姉4分の1、妹4分の1の共有持分になりますが、それで構わなければ法定相続人の一人から申請することが可能です。
ただ一つだけ注意するポイントがありますので気を付けましょう。(続きを知りたい方は、初回無料相談を予約して下さい)

事例-16 3人の子どものうち2人が亡くなっていて孫に代襲相続が発生した時の相続登記

最初に相談に来られたのは孫の一人で、祖母が亡くなって遠方の不動産(九州)を自分が相続することになったので依頼したい、という相談でした。
具体的には、祖父は先に亡くなっていて、被相続人の長男と次男も先に亡くなっていました。長男に子が二人、次男に子が一人いたので代襲相続が発生して、法定相続人は、長女と孫が3人の計4人です。

司法書士からのコメント
法定相続人の4名は東京・愛知県・九州とバラバラに住んでいたので、話し合いが出来ているのか心配でしたが、既に依頼人が相続するということで全員が納得しているようでした。
被相続人も含めて遠方の方が多かったので、書類の収集に時間がかかりましたが、書類が集まってからは比較的スムーズに手続が進みました。遺産分割協議書も問題なく署名押印して頂けました。

事例-17 相続人同士が揉めていたので、遺産分割調停のあとに相続登記

法定相続人は母と長女と次女で、母の名義にすることを長女が反対して遺産分割協議に協力しなかったため、相続登記がストップしていました。
不動産を売却して分配する予定でしたが、相続登記が出来ないと売却することが出来ません。仕方が無いので最後の手段として、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりました。

司法書士からのコメント
売却して分配するのだから、長女も協力した方が自分の得になることなので、当初は簡単に話がまとまると思っていました。しかし、しばらくすると考えが甘かったことを思い知らされます。
不動産売買の習慣として、複数の共有名義よりも単独名義の方が買い手が付きやすいというのが常識となっています。従って、売却した後に相続する(換価分割と言います)時も、相続人の一人の名義にしてから売って、その後に分配するのが一般的です。
ところが長女が「一時的でも母の名義にするのは反対。信用できない」と言い出したのです。どうも長女の夫が原因で反対しているらしいのですが、とにかく相続登記が進まず、結果として売却も出来ません(長女夫婦も分配金が入ってこないので困ると思うのですが、相続で一旦もめると感情が優先してしまって合理的な判断が出来なくなるのは珍しいことではありません)。結局、仕方が無いので家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりました。
結果、家裁の指示で3人の名義で相続登記をすることになり、売りに出しましたが案の定なかなか買手が付きません。最終的には当初の売出価格をだいぶ下げて決済となりました。長女夫婦は揉めたことで結局損をしたことになります。
合理的な理由がある時以外は、出来るだけ話し合いで決着させた方が良い結果を生むということが確認できる事例だと思いました。

事例-18 相続人の数が多かったので、事前に法定相続情報証明を取得してからの相続登記

相続人が甥姪18名という大変に人数の多い相続登記で、しかも被相続人の戸籍が古すぎて出生までさかのぼれないという珍しい事例でした。
戸籍には保存期間があるので、古すぎる戸籍は廃棄されているケースがあります。今回の場合、戸籍が途中までしか無いので兄弟姉妹の数が確定できず、このままで登記が通るのかが分かりませんでした。そこで、法定相続情報証明を取得してから登記を申請することにしました。

司法書士からのコメント
法定相続情報証明は相続人が誰と誰で合計何名いるかを法務局が証明してくれる書面です。今回のように戸籍が途中までしか取得できない時に、事前に審査が通るかを確かめるのに良い制度なのです。何と手数料は無料です。
また取得した法定相続情報証明は、銀行などの金融機関の相続手続にも利用できるので一石二鳥です。(銀行に膨大な戸籍の束を持っていく必要がありません)
もちろん正当な理由があって出せない書類以外は、きちんとそろえる必要がありますので簡単な手続ではありませんが、使い方によっては便利な制度です。

事例-19 三重県の30筆以上の土地の相続登記

父が亡くなり法定相続人は母と子ども二人(兄と弟)。兄弟は名古屋在住で、母は三重県在住。しばらく放置していたが、一部の土地に買手が見つかったので、一緒に全ての土地の相続登記をすることになりました。

司法書士からのコメント
これだけ多くの不動産の所有者からの相続登記は珍しかったので印象に残っています。
全ての不動産について正確な記載が必要なので、遺産分割協議書の作成が結構大変でした。また、数が多いので登録免許税の計算も大変でした。
あと、事前に登記情報を取得して確認したところ、一部の不動産には休眠担保権が付いていました。休眠担保権とは、戦前のような大変古い時代に付けられた抵当権のことです。お金の価値が現代とは異なっているので、債権額が「数十円」とか「数百円」になっていることが多いです。それなら簡単に返済できて消せると思いがちですが、実は消すのは結構大変です。
何故なら、貸している銀行などが今は無かったり、当時の契約書なども残っていないことが多いので、法的に契約を証明することが難しいからです。従って、休眠担保権を消すのは、かなりやっかいな手続が必要で時間も費用もかかります。
しかし今回の場合は、売却予定の不動産には休眠担保権は付いていなかったので、そのまま相続登記を済ませました。休眠担保権が付いている不動産は、とりあえず相続登記だけしておいて、将来、売却の話があったら、その時に消すことを考えるということになりました。
今後も何かあったら、また相談に来たいと言って頂きました。

事例-20 管轄違いの3カ所の不動産の相続登記

夫が亡くなり、妻と娘からの依頼でした。3カ所の不動産がありましたが、いずれも法務局の管轄が異なる場所でした。あと、1ヶ所は更地にした後に売却を検討しているようでした。

司法書士からのコメント
法務局の管轄が異なる場合、相続登記は一度に申請することが出来ません。管轄ごとに申請して戻ってきて、再び申請してを繰り返すことになるので、時間と手間がかかります。まずは、その辺りの事情をていねいに説明しました。
通常よりも時間がかかりましたが、1件終わるごとに登記識別情報等の重要書類を送付したところ、満足して頂きお礼のメールを頂きました。
相続登記終了後に、当事務所では売却のサポートも行っていることを伝えると、更地にした後、また相談したいと言って頂きました。

事例-21 登記名義人の住民票が取得できない相続登記

妻が亡くなり、夫と娘が法定相続人で、最初は夫からの相談でした(娘は愛知県在住ではなかったので)。
土地が2筆で建物が1室の区分建物の相続で、娘が遠方なので夫が相続するという話でした。

司法書士からのコメント
権利証を拝見したところ、土地がもう1筆あることが分かりました。ゴミ捨て場に使っている空地をマンションの住人全員で共有にしてあったようです。ご本人は全く認識されていなかったようなので、見つけた時は大変感謝されました。
あと、亡くなった奥様の登記されている住所が古かったため、住民票の保存期間を経過していて、市役所でも取得できないというケースでした。住民票の保存期間は戸籍よりも短いので、こういうことはたまに起こります。
このような場合は、追加の書類として「当時の権利証」「上申書」「不在住不在籍証明書」が必要になります。
上記のような事情もあって時間が少しかかりましたが、無事に相続登記が終了しました。

事例-22 不動産を法定相続分で分ける相続登記

母が亡くなり(父は既に死亡)、姉と妹で法定相続分で相続登記をしたいという依頼でした。姉も妹も母の自宅には住んでおらず、相続登記が済んだらすぐに売却する予定でした。

司法書士からのコメント
売却が予定されている場合は、一般的には代表相続人一人の名義にすることが多いです。単独名義の方が買主を探しやすく売り易いと言われているからです。
この場合は、単独名義で売った後に売却代金を分配する換価分割と言う方法が取られます。
ただし、単独名義にすると他の相続人が不安を感じる場合もあります。このような時は法定相続分で相続登記をするのも一つの方法です。名義は共有になりますので、今回の場合は姉2分の1、妹2分の1と記載されます。売却する時は必ず共有者全員で売る必要があります。単独では売れません。
もう一つ注意点があります。法定相続分の相続登記をする時は、相続人のうち一人からでも申請できます(売買とは異なります)。しかし、一人から申請した場合には、他の相続人に登記識別情報通知が発行されません。
すると売却する時に、登記識別情報通知を持っていない相続人は、司法書士に本人確認情報という書類を追加で発行してもらわなければなりません。この書類の発行には追加の費用が約5万円ほどかかります(時間も余分にかかります)。
ですから、例え法定相続であっても一人からの申請は、あまりおすすめできません。できるだけ相続人全員から申請しましょう。

事例-23 戦前に亡くなった祖父名義の不動産の相続登記

母方の祖父名義のまま放置されていた不動産があり、今回、母が亡くなった機会に相続登記をしようと依頼された。

司法書士からのコメント
戦前に亡くなられた場合、戦前の法律が適用されますので難しい案件でした。戦前の法律を調べる必要があるからです。
戦前の相続は家督相続と言って、家督を継ぐ者(一般的には長男)が全ての財産を受け継ぎます。ただし家督相続が発生するのは戸主のみなので、戸主以外の家族が亡くなった場合は遺産相続と呼ばれます。今回は遺産相続に当たるケースでした。
言葉だけ見ると現代の相続のようですが、実はルールが微妙に異なります。例えば、子がいる場合は子どもだけが相続人になり、配偶者は相続人にはなりません。子がいない場合には配偶者が相続人になります。今回のケースは娘が二人いて、そのうちの一人である母が亡くなりました(もう一人は存命)。
相続登記には、中間の相続人(今回の場合は祖父の娘)が一人の場合は一回の申請で済むという特例があります。これを使うと登録免許税が一回分で済みますので、かなりお得になります。
これを利用するためには、亡くなった母一人に相続させるという祖父の財産の遺産分割協議が必要です。存命している母の姉と、母の相続人である父と依頼人と妹の4人が協議をして、母一人の相続に決めました。
その後、母の財産の遺産分割協議を3人で行い、祖父と母の2つの遺産分割協議書を添付して、一回の申請で相続登記をしました。かなり大変な事例だったので、とても印象に残っています。

事例-24 建て替えた建物が未登記だったので、表題登記を入れてからの相続登記

母が亡くなり、10筆の土地と5棟の建物の相続が発生しました。詳しく話を聞くと、母親以外にも祖母名義の土地もあり、更に建て替えた建物が昔のままで登記されていることも分かりました。

司法書士からのコメント
建て替え前の建物が登記されている場合、建物滅失登記をしなくてはなりません。その後、建て替え後の新しい建物の表題登記をする必要があります。これらの登記は権利の登記とは別に土地家屋調査士の仕事になります。
このようなケースは時々あるので、通常、司法書士には土地家屋調査士の知り合いがいます。今回も知り合いの土地家屋調査士を紹介して滅失登記と表題登記をしてもらいました。
表題登記は建物の状態を表しているものなので権利の証明にはなりません。権利者を特定するためには権利の登記をする必要があります。権利の登記は司法書士の仕事になります。この場合は所有権保存登記になります。

次に祖母の相続登記(名義変更)に取り掛かりました。祖母の相続登記は母親との数次相続になるので、1回の申請で済ませるには中間の相続人(今回の場合は母親)が一人である必要があります。幸い祖母の子は母親一人だったので一回で行いました。(相続人が複数いる場合は遺産分割協議で一人にしてもOK)

最後に母親の相続登記を申請すると完成となります。保存登記・祖母の相続登記・母親の相続登記は連件申請と言って、一度に連続で申請することができます(1つの申請ではなく、3つの申請を連続で出す)。
複雑な登記でしたが、無事に完了して、全て依頼人の名義になりました。

事例-25 未成年の二人の子どもが相続人だったので、家庭裁判所で特別代理人を選任してからの相続登記

夫が亡くなり、相続人は妻である私と未成年の子ども二人でした。最初は自力で相続登記をしようとしたのですが、法務局に行ったら、「これは、そのままでは登記できません。未成年の子がいるので、家庭裁判所で特別代理人の選任をしてから登記して下さい」と言われました。「ちょっと自分では難しいかな」と思い直して、専門家に相談しました。

司法書士からのコメント
親と未成年の子が相続人の場合、親が未成年の子の保護者として遺産分割協議書に署名押印することはできません(もちろん、未成年の子ども自身も協議書に署名押印することはできません)。何故なら、親だけが署名押印した協議書になってしまうからです。(これを法律用語で利益相反と言います)
この場合、家庭裁判所で未成年の子の特別代理人の選任をしてもらう必要があります。ただし、特別代理人の候補者を親が選ぶことは可能です。今回は、母親の叔父と叔母を候補者にして家裁に申立をしました。
特別代理人の選任で重要なのは、子が遺産分割で不利益を受けないようにすることです。今回のケースで言うと、最低でも子がそれぞれ4分の1の財産をもらえるような協議書を作らなくては、家裁の審査が通りません。もし、それ以下の財産にする場合は、家裁を説得する理由が必要になります。
今回の相談では、不動産を母、預貯金を子ども二人で分配ということにして、無事に基準をクリアしました。しばらくしたら家裁から選任審判書が届き、協議書には叔父と叔母の署名押印をしてもらって、相続登記が完了しました。

事例-25 役所から「相続登記をしてください」という通知が来たので相続登記

母が亡くなり、相続人は父と子ども3人の計4名でした。
母が亡くなったのが10年ほど前で、不動産の相続登記をせずに放置していたのですが、最近になって役所から「相続登記をしてください」という通知が来たので、司法書士を探して依頼しました。

司法書士からのコメント
最近、法務局では相続登記を長期間放置していた人には、登記をするように通知を出しています。これは、長期間放置していたことによって権利関係が複雑になり、「処分したくても処分できない」という不動産が問題になっていることから、政府が対策として打ち出したものです。登記をせずに放置していると、今後も通知が送られてくる可能性がありますので注意しましょう。
現在、政府では、相続登記を期間内に済ませない場合は罰則を設けようという動きになっています。近い将来に罰則が設けられるかもしれません。早めに登記をしておくことを、おすすめします。

今回のケースでも長期間放置されていたので、被相続人の住民票の保存期間が経過していて取得できないという問題が起こりました。この場合、特殊な手続きをしないと相続登記ができません。
依頼人さんは権利証もお持ちではなかったので(探してもらいましたが見つかりませんでした)、追加で提出する書類が多くなりました。
具体的には、「不在住不在籍証明」「相続人全員の上申書(司法書士が作成)」「過去3年分の固定資産評価証明書」などです。当然、時間もかかりますし、追加費用もかかります。
このように長期間放置されると時間も費用も余分にかかることが多いので、できるだけ早い時期に相続登記は済ませておきましょう。

無料相談受付中!(要電話予約)

052-832-1565

1人約1時間(相談内容により多少異なります。)

メールでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム

無料相談受付中

1人約1時間(相談内容により多少異なります。)

要電話予約

052-832-1565

お問い合わせフォーム
アクセスマップ

橋本司法書士事務所

〒468-0073
愛知県名古屋市天白区塩釜口二丁目1009番地
シャトーハルミ601
TEL 052-832-1565
受付時間:平日午前9時~午後7時まで
※事前に予約を頂ければ夜間または
土日祝でも相談は可能です。

大きな地図はこちら

地下鉄 鶴舞線 塩釜口駅
2番出口 徒歩1分