



死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなった時、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。
死後離縁は実務上は圧倒的に、養親が亡くなった後で養子の側から申し立てることが多いです。養子からみて養親の家族と折り合いが悪いというケースが、よくある理由です。養親の家族との財産の問題、借金の問題、人間関係など離縁したくなる原因は様々です。
死後離縁をするには、まずは家庭裁判所に申し立てて許可を得る必要があります。申し立てる裁判所は、申立をする人の住所地に管轄がある裁判所です。
一般的な必要書類は、養親の戸籍謄本と養子の戸籍謄本です。
※事案によっては追加の書類を要求されることがあります。

家庭裁判所は死後離縁の許可を必ずだすわけではありません。離縁をするだけの正当な理由があると認められる場合に許可をだします。
では許可がもらえないのは、どの様な場合でしょうか。例えば、以下のようなケースでは裁判所の許可は出にくいと言われています。
「養子が養親またはその親族の遺産を相続しながら、養親またはその親族に対する扶養義務や祭祀を免れるために死後離縁を申し立てた場合」
このような理由は正当な理由とは言えないと裁判所は考えているようです。従って養親の財産を相続するのは、後に死後離縁を検討している場合はリスクがあるということは覚えておきましょう。
もし相続した後で死後離縁を考えている場合は、扶養義務や祭祀を免れるためではないと裁判所を説得するだけの理由が必要だと思います。

相続対策で養子縁組をすると、その後の死後離縁は難しい
相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人の数×600万円」で、法定相続人の数が多い方が基礎控除の金額は大きくなることが分かります。これを受けて「では養子縁組をして法定相続人の数を増やせば、相続税を減らせる」と考える人もいます。このような養子縁組は「相続税を払うくらいならば、ある程度の金額を養子に払った方がマシ」という考えで行われるため、相続発生時にいくらかの財産を受け取っていることが多いです。
従って、家庭裁判所が死後離縁を許可しない可能性が高くなります。家裁が離縁を認めてくれない限り、その人は養子であり続けることになるので、養子縁組をするかどうかは先のことも考えた上で決めた方が良いでしょう。
死後離縁をするには家裁の許可をもらった後、市区町村役場に届出をして始めて戸籍が変更されます。市区町村役場への届出には、家庭裁判所の「審判書謄本」と「確定証明書」が必要です。
審判書謄本は家庭裁判所の許可が出れば後日、郵送されてきます。一方、確定証明書は待っていても届きません。2週間経過した後で別途、家庭裁判所に申請しなければなりません。両方そろったら市区町村役場に離縁の届出をします。届出は許可ではありませんから、書類さえそろっていれば必ず受理されます。
死後離縁が認められると養子の氏はどうなるのでしょうか。原則は養子縁組前の氏に戻り、それに伴って養子縁組前の戸籍に入ります。尚、養子の子の氏は当然には変更しないため、親と同一の氏を称したい場合は家庭裁判所で「子の氏変更許可」の手続を取る必要があります。離縁のために親と子の氏が別になったから、それを同じにするためという理由なら、問題なく許可が得られるでしょう。
一方、夫婦共同縁組をしていた場合は原則とは異なります。夫婦共同縁組をした養親の一方のみと離縁した場合は、養子は縁組前の氏には戻りません。
他にも、養子が縁組の日から7年を経過した後に離縁をした場合は、離縁の日から3ヶ月以内に市区町村役場に届け出ることによって、縁組中の氏を引き続き称することができます。
※ご依頼期間中は何回でも、電話・メール等で質問に応じます。疑問に思った点は、 どんなことでも質問して下さい。
| 死後離縁 | 6万円(税込6万6000円) |
|---|


橋本司法書士事務所
〒468-0073
愛知県名古屋市天白区塩釜口二丁目1009番地
シャトーハルミ601
TEL 052-832-1565
受付時間:平日午前9時~午後7時まで
※事前に予約を頂ければ夜間または
土日祝でも相談は可能です。
地下鉄 鶴舞線 塩釜口駅
2番出口 徒歩1分

