司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

6月 26 2020

アパートの家財道具の処分を大家に頼まれたら 相続放棄⑮

亡くなった親族が賃貸アパートに住んでいた場合、その親族が部屋に残してあった家財道具(専門用語で残置物と言います)の処分を大家さんに頼まれることがよくあります。
しかし、相続人が相続放棄を考えている時は処分について注意が必要です。詳しく説明しましょう。

相続放棄をするには、全ての財産について相続してはいけない

相続放棄は借金を相続しないための手段として使われることが多い手続です。そのため借金にばかり焦点があたりがちですが、プラスの財産も相続することができません。もしプラスの財産を相続してしまったら「単純承認」とみなされ、後で相続放棄をすることができなくなります。(単純承認とは、プラスもマイナスも含めた全ての財産を相続することです。)

一度、単純承認すると後から撤回できない

ここで重要なのが「一度、単純承認してしまうと後から撤回することができない」ということです。例えば、プラスの財産を一旦相続してから、後で相続した財産と同じ金額を返還したとしても、単純承認した事実は変わらないということです。
少しでも借金の方が多くなる可能性があるならば、単純承認しないように気を付ける必要があります。

家財道具(残置物)はプラスの財産になるのか

では亡くなった親族が賃貸アパートに残した家財道具はプラスの財産になるのか、という点が問題になります。これを判断するのに重要なのが、家財道具に価値があるのかどうかです。例え低額でも価値がある場合はプラスの財産になると考えられます。

交換価値がある家財道具(残置物)は処分できない

注意すべきポイントは、「捨ててしまうのなら相続にはならないんじゃないか」という思い込みについてです。非常に多くの人が誤解していますが、価値のあるものは相続しないと処分できません。つまり「捨てる(処分する)」という行為は、価値があるものについては相続したことと同じになってしまうのです。そうなれば単純承認とみなされ相続放棄ができなくなる可能性があります。

一括で廃品業者に引き取ってもらうのは危険

大家さんに「残った家財道具を片付けてくれ」と頼まれて、廃品業者に一括で引き取ってもらうというのは誰もが考える方法だと思いますが、相続放棄を検討している場合は気を付けなければなりません。もし、その中に低額でも価値があるものが含まれていた場合、処分行為イコール単純承認とみなされてしまうかもしれません。

これを防ぐためには、処分する前に全ての家財道具について、きちんと査定してもらって、「価値が無い」という証明書を取っておくことです。価値が無ければゴミと同じですから処分しても単純承認にはなりません。

価値があるものが含まれている場合

残された家財道具の中に価値があるものが含まれている場合は難しい対応になります。価値があるものは処分できませんから、相続人の家に引き取るか、倉庫でも借りて保管することになります。
相続放棄をしない相続人がいる場合は、その相続人に後の処理は全て任せるのが正解です。相続放棄をする相続人は、なるべくかかわらないようにするべきです。

相続財産管理人を選任してもらう

未払いの賃料がある時で、相続人が保管することもできないし、全ての相続人が相続放棄をする場合は、大家さんに「相続財産管理人を家庭裁判所で選任してもらってください」と言うしかないでしょう。
全ての相続人が相続放棄をして相続人がいなくなった場合、債権者(未払い賃料がある場合は大家さんも債権者の一人です)は家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらうことができます。
相続財産管理人に残された家財道具を処分してもらえば最も合法的な対応になります。

ただし、この方法にも欠点があります。それは費用と時間がものすごくかかるということです。この負担を大家さんが嫌がって話が進まないということは良くあります。

放置するしかない場合もある

相続人全員が相続放棄をして、誰も保管する人がいなくて、更に大家さんも「片付けてくれ」と言うだけで何もしない場合、放置するしかない時もあります。

もちろん心情的には「放置するのは悪い気がする」と感じる人は多いでしょう。しかし、下手にかかわることで相続放棄ができなくなったら、それこそ大変です。

相続放棄の法的効果は「最初から相続人ではなかったものとみなす」ですから、「私は相続放棄をする(あるいはした)ので、処分行為にあたる家財道具の片づけはできません」と断るしかないでしょう。大家さんとの関係は悪くなるかもしれませんが、法律で決められている以上、仕方がありません。

亡くなった親族の残された財産には気を付けよう

このように相続放棄を考えている場合は、亡くなった親族の残された財産には気を付ける必要があります。家財道具以外でも、例えば自動車があった場合は、勝手に廃車にするのは危険です。必ず事前に査定をして、値段が付くようならば家財道具と同様の選択になります。

相続放棄について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

相続放棄

6月 08 2020

死亡届では終わらない銀行の相続手続

相続が発生すると、死亡届や火葬許可申請書の提出、水道光熱費の支払の変更または停止、通信料金の支払の変更または停止、葬儀の手配、健康保険の手続などをすることになります。

そのうち手続にも慣れてきて、「だいたい同じやり方で、この後の手続もできるだろう」と考えてしまう方が多いのですが、銀行の相続手続になると途端にストップしてしまいます。それはなぜでしょうか。

銀行の相続手続は、事実の報告ではなく法律行為

水道光熱費や通信費の手続などは、名義人が死亡したという事実の報告です。ですから簡単な手続きで済む場合がほとんどです。
しかし、銀行の相続手続は相続財産の継承という法律行為になりますので、手続の厳格さが全然違います。法律行為である以上、法律にのっとった手続が求められます。

以前、「死亡届を持っていけば銀行の相続はできますか」という相談がありましたが、実際にはものすごく多くの書類を集める必要があります。必要な書類について説明したら、「そんなに大変なんですか」と驚かれていました。

最も大変なのは出生までさかのぼった戸籍

銀行の相続で最も大変なのは、被相続人(亡くなった方)の出生までさかのぼった戸籍の収集です。これがなぜ大変なのかと言うと、相続以外で取得することが無いため、ほとんどの人にとって初めての経験になるからです。

まず「出生までさかのぼる」という意味が通常は分からないと思います(私も司法書士になる前は分かりませんでした)。具体的に説明しましょう。

戸籍は転籍・婚姻・家督相続・法律改正などで増える

戸籍は転籍・婚姻・家督相続・法律改正などで増えていきます。「出生までさかのぼる」とは、これらの原因で増えていった戸籍を1通ずつ全てそろえていく作業です。かなり手間がかかるので相当に根気がいる作業となります。

転籍の場合

転籍とは本籍を変更することです。本籍の変更が同じ役所の範囲内ならば戸籍の通数は増えません。しかし、異なる役所に変更した場合は通数が増えます。転籍を繰り返した場合は、その分だけ取得する戸籍の通数が増えていきます。

また、遠方の役所に転籍している場合は、戸籍を郵送で請求しなければなりません。戸籍の郵送請求の時の料金は、郵便局の定額小為替による支払しか認められていないため、申請書・定額小為替・返信用封筒・身分証明書を同封して郵送することになります。

相続の場合、申請する段階では戸籍が何通になるかは分かりませんので、定額小為替は多めに送ることになります。それでも足りなかった場合は役所から電話がかかってきて、追加の定額小為替を要求されます。余った場合は定額小為替で返送されてきます。一般の方は定額小為替で返送されても使いみちがないので、再び郵便局へ行って現金化する必要があります。

婚姻の場合

戦後の戸籍法改正で、結婚したら必ず新戸籍が編製されることになりました。従って、既婚者の場合は必ず結婚前と結婚後の戸籍が存在します。これも戸籍の通数が増える原因です。結婚と離婚を繰り返した場合は、その分だけ取得する戸籍の通数が増えることになります。

家督相続の場合

一方、高齢者の場合は出生が戦前になっているケースも珍しくありません。この場合、出生までさかのぼると戦前の戸籍も取得することになります。
戦前は今とは全く戸籍のルールが違いますので注意が必要です。戦前の戸籍は家督相続の時代なので、結婚では戸籍の通数は増えません。しかし、戸主が隠居したり死亡したりで家督が継承されると新戸籍が編製され通数が増えます。(戸主という言葉は戦後には無いので分かりにくいかもしれません。戦前は戸主が全ての財産を相続しました)

法律改正

戸籍法が改正されると新しい様式の戸籍に編製替えが行われるので通数が増えます。主な戸籍法の改正は以下のとおりです。
①明治19年
②明治31年
③大正4年
④昭和23年
⑤平成6年(現在の横書きの戸籍は平成6年式です)
戦前に生まれた方は少なくとも大正4年式の戸籍まではさかのぼることになります。

出生までさかのぼった戸籍についての誤解

よく誤解されるポイントとしては、「相続人は親が子どものころはよく知らない」ということに気付かないことです。
相続の相談があると、「親は転籍をしていないので、一つの役所で全ての戸籍は集まるはず」と言われる方が非常に多いのです。しかし、実際にさかのぼってみると遠方の役所に戸籍を取るというのは珍しくありません。

なぜ、このようなことが起こるのかというと、「親が子どものころは祖父母の戸籍に入っていた」ということを忘れてしまっているからです。
出生までさかのぼるということは、親が祖父母の戸籍に入っていた頃までさかのぼることになります。親が結婚した後に転籍をしていなかったとしても、結婚前に祖父母は転籍をしていたかもしれません。そもそも最初から祖父母の本籍は遠方かもしれません(このパターンは非常に多いです)。

被相続人以外の出生までさかのぼった戸籍

他にも注意点があります。大変手間のかかる「出生までさかのぼった戸籍」ですが、被相続人だけでは終わらない場合があるのです。
例えば、子どもが親よりも先に亡くなり孫がいた場合、代襲相続と言って孫も相続人になります。この時は先に亡くなった子どもについても「出生までさかのぼった戸籍」が必要になります。

また子どもがいなくて被相続人の両親も亡くなっている場合、兄弟姉妹が相続人になりますが、この時は被相続人の両親二人についても「出生までさかのぼった戸籍」が必要になります。
更に兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっていて甥姪がいた場合は、甥姪が代襲相続人になりますが、この時は兄弟姉妹についても「出生までさかのぼった戸籍」が必要になります。

ここまでくると、銀行に提出する戸籍だけで30通くらいになることも珍しくありません。(私の事務所の最高記録は100通を超えたケースもあります。その時の相続人は15名を超えました)
ゆえに子どもが先に亡くなって代襲相続が発生している場合や、兄弟姉妹や甥姪が相続人に含まれる場合は、一般の方が手続するにはハードルが高いと思います。専門家に依頼した方が良いケースです。

相続人全員からの委任状または遺産分割協議書

戸籍の収集だけでも、かなり大変だということは分かって頂けたかと思います。しかし、銀行の相続手続は戸籍の収集だけではありません。相続人全員からの委任状または遺産分割協議書が必要になります。

遺産分割協議の前に銀行預金を相続で解約しようとすると、銀行は「法定相続人全員の委任状と印鑑証明書」を要求します。解約申請人が法定相続人の一人である場合は、申請人以外の相続人全員分が必要です。印鑑証明書が必要ということは、委任状の押印は全員が実印でなければなりません。

銀行は相続争いに巻き込まれたくないので、相続人全員の実印による委任状を預かることで、「全員が納得している」という証拠にしたいのです。

一方、遺産分割協議が終了して遺産分割協議書があれば、全員分の委任状は不要です。遺産分割協議書には法定相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添付していますので、委任状の代わりになるのです。

銀行の相続手続の真実

ここまで読んで頂いた方には、銀行の相続手続が想像よりも大変で手間がかかる、ということを実感して頂いたかと思います。自身で行われた方は、「こんなに大変だと思わなかった。最初から分かっていたら専門家に頼んだと思う」という感想を持たれる場合が非常に多いです。
銀行の相続手続は遺産の承継業務なので厳格なルールに基づいて行われます。死亡届や身分証明書の提示だけで済むような簡単な手続きではないのです。

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預貯金の相続

4月 14 2020

死後離縁で必要な書類 死後離縁②

死後離縁とは

死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなったとき、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には、亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。

亡くなった後で、縁を切りたいという理由は様々ですが、お話を伺うと、「縁を切りたいのも、わかります。」という場合が多いです。
今回の記事では、死後離縁に必要な書類についてお話します。

死後離縁の審判書

家庭裁判所に死後離縁の申し立てをして審査で認められた場合、審判書という書類が家庭裁判所から届きます。これは家裁の裁判官が死後離縁の申立に問題が無いと認めてくれた証拠になります。

死後離縁の確定証明書

もう一つ重要な書類として、家庭裁判所が発行する確定証明書があります。これは審判書の内容が確定したこと(覆されないこと)を証明する書類になります。注意すべきなのは、確定証明書は自動的に届くものではないということです。
審判書を受け取った後に死後離縁の申請者自身が新たに確定証明書の申請を家庭裁判書にしなければなりません。

二つの書類を持参して役所に行く

審判書と確定証明書がそろっても、まだ終わりではありません。
次に本籍地のある役所に二つの書類と一緒に離縁したことを申請します。この申請が終わって初めて戸籍の記載が変更になり離縁が公式に記録されることになるのです。

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死後離縁①

4月 07 2020

家屋の名義を子どもに移すのは注意してください! 生前贈与⑥

家屋の名義を子どもに移す場合

親が土地付きの一戸建てを所有している場合、相続対策として、生前に家屋の名義を子どもに移すケースが結構あります。
築年数の古い家屋だと評価額も安くなっているため、税金の負担もそれほど高くならない事が多いというのも理由の一つです。

将来、売却の可能性がある場合は注意

家屋の名義を子どもに移した場合、将来売却する時に税金面で不利になる可能性があるので注意が必要です。
具体的には、譲渡所得税の3000万円控除という制度が使えなくなります。非常に節税効果の高い制度なので、使えないとかなりの税金を請求される可能性があります。

譲渡所得税の3000万円控除とは

親が生存中に居住用不動産を売却した場合、3000万円控除の特例を使えば譲渡益のうち3000万円までは譲渡所得税がかかりません。例えば、売却して、そのお金で施設に入所する場合などは、この制度を利用すれば税金が少なくて済みます。

因みに、あくまで「譲渡益」なので、譲渡益が出ていない不動産の場合は問題になりません。ただし、譲渡益が出ていない事は書面が必要です。具体的には購入した時の正確な価格が分かるもの(売買契約書など)です。これが無いと譲渡益が出ていると判断されてしまいます。

譲渡所得税の3000万円控除には条件がある

譲渡益が出る可能性がある不動産を持っていて、将来売却する予定があるならば、節税効果の高い3000万円控除の制度は是非使いたいでしょう。しかし、家屋の名義を子どもに移してしまうと、この制度は使えなくなってしまうのです。
では譲渡所得税の3000万円控除を使うためにはどうすればよいのでしょうか。
それは、家屋の一部分でも良いから親の所有のままにしておくことです。たとえ10分の1でも親の所有になっていれば利用可能です。
※上記を満たせば必ず使える訳ではありません。他にもいくつか条件があります

親が死亡後の売却にも同様の制度がある

親が亡くなった後に住んでいた不動産を売却する場合にも、同じような制度があります。住む予定の相続人が無く、被相続人(亡くなった親)の空き家になった不動産を売る場合は、譲渡所得税の3000万円控除が使えます。ただし、いくつかの条件を満たす必要があります。詳細は国税庁のウェブサイトをご覧ください。
この時にも、通常の3000万円控除のときと同様に、家屋の一部が被相続人(亡くなった親)の名義になっていることが必要です。

売る可能性が少しでもあるなら、親の名義は残しておくべき

この制度を使うためには、家屋の名義の一部を親のままにしておかなくてはなりません。将来売却の可能性があり、3000万円控除の条件を全て満たしているならば、子に名義を移すときは、多くても10分の9くらいに留めておくのが良いでしょう。

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生前贈与

4月 07 2020

婚姻20年以上の夫婦の贈与の特例は注意してください! 生前贈与⑤

婚姻20年以上の夫婦の贈与の特例とは

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用の不動産を贈与した場合、2000万円までは贈与税がかからないという制度があります。これ以外に1年間に110万円までは贈与税の非課税枠がありますから、プラスして使えば2110万円分の不動産を贈与税無しで贈与することが可能です。

婚姻20年以上の夫婦の贈与の特例は得なのか

一見、「2110万円も贈与税がかからないなんて、何てお得な制度なんだ。早速、使わなければ」と思えてしまいます。実際に、この制度の人気は高く使う人も多いです。しかし、ちょっと待ってください。本当に夫婦の贈与の特例制度は誰にとってもお得なのでしょうか。

夫婦間には相続の時に1億6000万円もの控除がある

意外と知られていませんが、夫婦間では相続の時に1億6000万円までは相続税がかからないというルールがあります。ですから、ほとんどの世帯では夫婦間の相続では税金がかかりません。
生存中に2000万円分の贈与を急ぐ必要は、あまり無いのです。

生前贈与には贈与税以外の税金がかかる

「贈与税が無ければ得になる」と多くの人が考えてしまう理由として、贈与税以外の税金のことを気付いていない人が多いことがあげられます。
不動産を生前贈与すると、贈与税以外に登録免許税不動産取得税という2種類の税金がかかってきます。

登録免許税とは

登録免許税とは、不動産の贈与による移転登記(名義変更)をする際に法務局で請求される税金です。登録免許税を払わないと、登記申請自体を受け付けてもらえません。そして贈与の場合にかかる登録免許税は、固定資産評価額の2%です。評価額の高い不動産の場合は結構な金額となります。

不動産取得税とは

不動産を贈与や売買で取得した場合、取得した人に不動産取得税がかかります。金額としては、固定資産評価額のだいたい3%くらいが目安となります。だいたいと書いたのは、様々な軽減措置があるので、個別に検討しないと正確な金額は分からないからです。

相続の場合は税金が優遇されている

一方、不動産を相続で取得した場合は、かなり税金は優遇されています。
例えば登録免許税は評価額の0.4%なので、贈与の時の5分の1で済みます。また不動産取得税については相続で取得した場合は非課税となっていますので支払う必要はありません。
これらにプラスして相続税の1億6000万円控除がある訳ですから、夫婦間の税金に関しては圧倒的に相続で取得した方が有利です。

夫婦間の不動産の贈与は税金以外の理由が必要

このように税金面では例え婚姻20年以上の特例を使ったとしても相続で取得した方が有利ですから、夫婦間で不動産の贈与をするならば税金以外の理由が必要です。
人は合理的な考えだけで行動する訳ではありませんので、感情的な理由で贈与することがあっても構わないと私は思います。ただしその場合は「税金面で得する訳ではない」、ということは分かった上で贈与を行ってください。そうしないと後で後悔することになります。

古い家屋の場合は、それほど問題にならないかも

どうしても生存中に贈与したい、という希望をもっている人からの相談は実際にあります。特に築年数の古い家屋のみの贈与の場合は税金の額が小さいので、強い希望があれば贈与を選択しても良いかもしれません。
築年数の古い家屋の場合、評価額がかなり低いことが多いので、登録免許税や不動産取得税が安く抑えられるからです。
同じ理由で利用価値の低い土地の場合も評価額が低いので検討の余地はあるでしょう。

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生前贈与

4月 06 2020

リフォームローン控除のための親から子への名義変更

親の持ち家を子がリフォームする時の注意点

親の持ち家を子がリフォームするケースは珍しくないと思います。この場合、持ち家を親の名義のままで行うと、子から親への贈与と判断されて贈与税が課税されてしまいます(子が資金を出した部分が親の名義になるため)。

贈与にならないためには

贈与税を防ぐ手段としてよく使われるのが、持ち家の名義の一部を親から子に移して、親子の共有名義にする方法です。この際、司法書士に生前贈与の登記を依頼するのが一般的です。

共有持ち分の割合がポイント

この時、持ち家の名義のどれだけの割合を子に移すのかが重要なポイントになります。子が提供したリフォーム資金とバランスが取れるような持分割合にする必要があります。適切な割合を算出するのは素人ではなかなか難しいので、税務署に相談するのが確実でしょう。

リフォームローン控除とは

更に子がリフォーム資金を銀行ローンで工面した場合は、リフォームローン控除を受けられる可能性があります。リフォームローン控除の期間は長いので、節税効果が非常に高く、可能性があるなら受けた方が良いでしょう。

リフォームローン控除を受けるためには

リフォームローン控除を受けるには、自分の家のリフォームでなければなりません。親の名義のままリフォームしたらリフォームローン控除は受けられないのです。従って、親から子への名義変更はリフォームの前にやっておく必要があります(とても重要なポイントです)。
また、控除を受けるためには、子がリフォーム後の家に住む必要があります。
他にも細かい条件がいくつかありますので、詳しく知りたい方は税務署に相談しましょう。

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https://www.hashiho.com/inherit/seizenzoyo

4月 02 2020

遺産分割調停の当日の様子 遺産分割⑪

遺産分割調停では待合が別室になる

遺産分割調停では、「申立人」「相手方」で待合室が別室になります。調停を申し立てるくらいですから、申立人と相手方は争っている状態と考えられ、その人たちを同じ待合室にしてしまったら、調停が始まる前からケンカが始まってしまうだろう、ということで別室にしているのです。家庭裁判所の配慮と言えます。

初日は出頭時間もバラバラにしている

遺産分割調停の初日は、申立人と相手方それぞれから順番に言い分を聞くことになります。相続人全員で顔を合わせるのは、調停委員が「妥協できそうだ」という感触を得てからになります。

初日は最も感情的な対立が激しいので、家庭裁判所に出頭する時間もずらしてあるのが一般的です。

遺産分割調停は法定相続が基本

遺産分割調停では遺産の範囲を争うことはできません(遺産分割⑨のブログ参照)調停で話し合われるのは遺産の分け方です。そして、ほとんどの場合、法定相続分を元にして進められていきます。

従って、法定相続分よりも多い遺産を取得しようと思って遺産分割調停に参加すると、期待を裏切られることになるので注意が必要です。

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https://www.hashiho.com/inherit/divide

4月 01 2020

法定相続情報証明のメリット 預貯金の相続④

法定相続情報証明とは?

法務局で取得できる家系図のようなものです。
相続が発生した人が誰で、相続人が誰なのか、相続人の立場はどうなのか(子供なのか孫なのか、兄弟姉妹なのか甥姪なのか)、などを表した書面になります。

法定相続情報は自分で作る

法定相続情報は、戸籍のように役所が勝手に作ってくれるものではありません。家系図自体は申請する人が自分で作らなくてはなりません。しかも法務局が指定した細かいルールがあり、そのルールどおりに作らないと却下されてしまいます。法務局の審査を通過する家系図を作るのは結構大変なので、専門家に作成を依頼する人も多いです。

審査が通ると、自分で作って出した家系図に法務局が証明印を押してくれます。この証明印が押されたものが法定相続情報証明と言われ、公的な書類として通用します。

法定相続情報証明は何に使うのか

法定相続情報証明が最も使われるのは銀行の相続手続きです。銀行の相続手続きは、複数の銀行に行くことが多いので、その度に戸籍や住民票を持参するのは非常に手間がかかります。なぜなら相続における戸籍は一般的に通数が多いからです。

また、銀行の相続手続きは非常に時間がかかり、だいたい1時間近く窓口で待たされるのが当たり前になっています。これは相続人が正確かどうかを調べるのには専門知識が必要で時間がかかるからです。

この時、法定相続情報証明を銀行に持っていくと、かなり時間の短縮になります。法定相続情報証明は事前に法務局が審査しているので、銀行が改めて相続人の審査をする必要が無いからです。戸籍を銀行に提出する必要もありません。

兄弟姉妹や甥姪の相続にも良く使われる

兄弟姉妹や甥姪の相続手続きは非常に大変です。取得しなければならない戸籍の数も多いですし、家系図も複雑になります。書類の数が多くなりますから銀行の待ち時間も、より長くなります。
このような場合、法定相続情報証明を使えば、持参する書類も少なくて済み、時間も大幅に短縮できます。

今のところ無料で利用できる

法定相続情報証明の取得は、今のところ無料になっています。法務局が利用を促進したい、という希望を持っているからです(将来は有料になるかもしれません)。
その代わり、家系図の作成には法務局は手を貸しません。あくまで自分で作って持ってきたものを審査して、ルール通りに作られていれば証明印を押すというやり方です。

法定相続情報証明のよくある使い方

法定相続情報証明は一度作ってしまえば全ての銀行の相続手続きで使えますので、その後の銀行の手続は自分でやるけど、法定相続情報証明だけは専門家に頼むという人も最近増えてきています。

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https://www.hashiho.com/inherit/megihenko

3月 27 2020

相続放棄の後に訴えられた 相続放棄⑭

相続放棄の後に訴えられることがある

家庭裁判所で相続放棄が認められても、それで請求が止まる訳ではありません。あなたが相続放棄をしたことを知らない債権者は当然請求をしてきます。それどころか裁判をしてくることも実際にあります。

裁判をされても放置してしまった

「例え裁判をされても自分は相続放棄したのだから大丈夫」、このように考えて放置してしまう人がいます。これは大変に危険な行為です。後で取り返しのつかないことになる恐れがあります。

放置したら、どうなるのか?

多くの人が誤解していますが、実は相続放棄が裁判でひっくり返ることがあります。相続放棄は、水戸黄門の印籠のように完璧ではないのです。通常の請求に対しては拒否することができますが、裁判に訴えられたらきちんと反論しないと負けることもありえます。

裁判では、放置して何も反論しなかったら負けを認めた、と判断されるというルールがあります。従って、放置したら裁判は必ず負けます。しばらくすると負け判決が郵送されてきます。

裁判に負けたら、どうなるのか?

相続放棄と裁判の判決を比べた場合、裁判の判決の方が法的な力は強いのです。従って、負け判決が出た場合、例え相続放棄をしていても、裁判で負けた請求については支払わなくてはなりません。

相続放棄の後に裁判されたら専門家に相談しよう

相続放棄は家庭裁判所が審査した結果ですから、きちんと反論すれば裁判で勝てる確率は高いです。ですから放置して負けてしまうのは非常にもったいないと言えます。
相続放棄の後に裁判されたら、勝つためにも早めに専門家に相談するのが得策です。

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3月 18 2020

不動産の遺産分割審判 遺産分割⑩

遺産分割審判とは

遺産分割協議が相続人の間でまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。しかし、遺産分割調停をしてもなお、話がまとまらない場合もあります。

このような時に裁判官が相続人の話を聞いて最終的な判断を下すことを審判と呼びます。

不動産の遺産分割がまとまらない場合

家庭裁判所で遺産分割調停を行っても分割方法が決まらない場合、遺産分割審判に移行しますが、不動産の場合は少し注意が必要です。なぜなら、不動産は換価分割されることが多いからです。

換価分割とは

不動産の場合、残したまま分割しようと思ったら共有持ち分にするしかありません。しかし、住むつもりが無い相続人にとっては共有持ち分でもらっても、あまり意味がありません。
そこで、不動産を売却してお金に換えて、そのお金を各相続人に分配するのが換価分割という方法です。

審判は換価分割になることが多い

不動産の遺産分割でもめている場合、特定の相続人がまとまったお金が欲しいというケースが多いです。

例えば、A、B、Cと相続人がいて、Aが自分が住むために不動産を相続したいという希望を持っていたとすると、調停の段階では、AがBとCに金銭を渡して調整するという方法が取られることが一般的です(この方法を代償分割と言います)。

しかし、AがBとCに渡せる金銭が無い場合、話し合いがまとまりません。このような時に審判になることが多いので、審判では換価分割になることが多いのです。

審判では不動産は競売になることが多い

審判になるということは調停で話し合いがつかなかった、ようするに喧嘩している状態が続いている、ということです。こうなると、不動産の任意売却は難しくなります。なぜなら任意売却は相続人全員の同意が無いとできないからです。

すると、残された手段は裁判所による競売しかなくなります。ただし不動産の競売は一般的に任意売却の7割くらいの評価でしか売れないと言われています。

不動産がある場合は、調停で決着をつけた方が得

「任意売却の方が得になるなら、相続人全員が同意するのが普通なのでは」と思った人も多いかもしれません。しかし、そのような合理的な判断で納得できるようならば調停の段階で話がまとまっているはずなのです。

遺産分割の争いというのは得てして感情的なもので、だからこそ長引いていることが多いのです。だから「一見、損になるのになぜ」と思われるのに審判では競売になってしまうケースが珍しくありません。

遺産分割について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/divide

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