
預貯金の相続手続や相続税の申告を自分で行いたい方は、
法定相続情報一覧図があれば、
手続が早く簡単になります。
相続手続で最も手間がかかる法定相続人の証明作業を、前もって一覧図を作成して法務局に証明してもらうことで代用することができるという制度です。
法務局が発行する公的な証明なので、様々な相続手続に使うことができます。
例えば、預貯金の相続・株式や投資信託の相続・不動産の相続登記などです。
一度、作成すれば、5年間は同じものを交付してもらえるので、後で発覚した相続財産がある場合にも便利です。
最も手間のかかる一覧図の作成と申請だけを専門家に頼み他は自分で行うことで、比較的安い費用で相続手続を行うことが可能になります。
自分で相続手続を行うならば、法定相続情報一覧図があった方が、はるかに早く簡単に手続ができます。

相続手続の必要書類の数はとても多く、用意するのも大変です。また、膨大な書類を銀行ごと、証券会社ごと、保険会社ごとに持参しなければなりません。
一方、法定相続情報一覧図があれば、持参する書類の数は大幅に少なくて済みます。

金融機関では、まず法定相続人の確定作業をします。たくさんの書類を点検しなければならないので、金融機関の職員であってもかなりの時間がかかります。窓口で1時間以上も待たされることが珍しくありません。
しかし法定相続情報一覧図があれば、既に法務局で確認を済ませているので、金融機関の職員は法定相続人の確認作業をする必要がありません。最も時間のかかる作業が省略できるので、待たされる時間が大幅に短縮できます。

法定相続情報一覧図は必要な分を必要な枚数だけ発行してくれます。従って、手続を行う銀行・証券・生保・税務署などの数分だけ発行してもらえば、何度も取り直す必要が無く非常に効率が良くなります。

法定相続情報一覧図の情報は法務局に5年間は保存されます。その間は再交付が可能です。
後から新たな相続財産が見つかった場合でも、5年以内なら利用することができます。
多くのメリットがある法定相続情報一覧図ですが、いくつか注意すべき点もあります。では、その注意点を紹介しましょう。

法定相続情報一覧図を取得するには法務局に申請して審査に通らなければなりません。公的な証明として各種の手続に使えるようにするために、法務局は厳格な審査をします。一般の方にはハードルが高いかもしれません。

誤解されている方も多いのですが、法務局は法定相続情報一覧図を作成してはくれません。一覧図は申請人が作成して必要書類と一緒に法務局に提出します。審査が通れば、申請人が作成した一覧図に、法務局が承認の印鑑を押して交付してくれます。
一覧図さえ取得できれば後の相続手続は大幅に楽になります。ただし、一覧図の作成は専門的な細かいルールがたくさんあり、審査に通るように正確に作るのは結構大変です。よって、一覧図の作成については専門家に依頼されるのをおすすめします。

利用する手続によって、法定相続情報一覧図の表記には注意が必要です。
例えば、相続人の住所が書かれていなくても法務局の審査は通りますが、利用する手続によっては住所が必要と言われる場合があります。
また、相続人の続柄についても、「子」と書けば法務局の審査は通りますが、利用する手続によっては長男・長女などの表記が必要と言われる場合があります。
せっかく法務局の審査が通っても利用する段階で使えなくては意味がありませんので、気を付けましょう。

法定相続情報一覧図は、法定相続人全員の情報が記載されます。従って、遺産分割協議や相続放棄などによって、法定相続人であっても相続しない相続人も記載されます。
法定相続ではない相続手続の場合、法定相続情報一覧図と一緒に遺産分割協議書や相続放棄申述受理通知書などの書類が必要になります。

数次相続とは、一度起こった相続の相続人の一人が、遺産分割協議を決着させる前に亡くなってしまった場合のことを言います。2回相続が発生しているので数次相続と呼ばれています。この数次相続は手続が非常に大変です。手間は単純に2倍ではなく、3倍~4倍というのが経験からくる印象です。従って、法定相続情報一覧図を利用する機会が多いケースだと思います。この数次相続を避けるために、最近では法律が改正され相続登記が義務付けられるようになりました。
数次相続の場合、法定相続情報一覧図は2枚作らなければなりません。法定相続情報一覧図の場合、1回目の相続が起こった時点では、まだ相続人全員が生きていたはずなので、1枚目はその状態を記載することになります。ですから2回目の相続で亡くなっている相続人も生きているものとして記載されます。当然、2回目の相続の死亡日の記載はしてはいけません。
次に2回目の相続についてだけの法定相続情報一覧図を作ります。2枚目には後で亡くなった相続人の相続関係だけを記載します。従って、1枚目と2枚目を合わせなければ数次相続が起こっていることは分からないようになっています。
法定相続情報一覧図は、このような仕組みで作られているので、記載されている相続人が現在生きているかどうかは証明されていないことになります。例え数次相続が起こっていても、法定相続情報一覧図の1枚目だけ提出されたら通常の相続に見えてしまいます。ですから銀行や法務局では手続の際に、法定相続情報一覧図以外に相続人の印鑑証明書や住民票を要求します。こうすることで、既に死亡している相続人がいないかをチェックしているのです。
あと、2回目の相続が起こった時の新たな相続人は、1回目の相続の法定相続情報一覧図の申出をすることができます。2回目の相続の相続人は、1回目の相続の法定相続情報一覧図に出てきません。ですから申出自体ができないように思えますが、2回目の相続で亡くなった相続人の地位を引き継いでいるので申出が可能なのです。

法定相続情報一覧図の必要書類の中に「被相続人の住民票の除票」があります。亡くなった人の住民票は生存者の住民票から除かれて別に保存されるため除票と呼ばれます。住民票の除票には保存期間があって、この期間を過ぎると廃棄されてしまい提出できなくなることがあります。
令和元年6月に法律が改正されて住民票の除票の保存期間が、それまでの5年から150年に延長されました。改正後は廃棄される可能性は当分ないでしょう。しかし平成26年6月以前に亡くなられた場合は既に廃棄されているので発行されません。
相続手続を放置してしまった結果当てはまる場合は、法定相続情報一覧図の必要書類を出せないことになります。
この場合、一覧図に被相続人の住所を書くことができません。その代わりに被相続人の本籍の記載を必ずすることになります。本来、法定相続情報一覧図の本籍の記載は任意なのですが、
住民票除票の廃棄の結果記載ができない時は必須となります。
法定相続情報一覧図は、以下の条件に当てはまる法務局が管轄となり申請することができます。
上記①・②.・③・④のうちのいずれかの管轄の法務局を選択し申請します。
以下のようなケースでは、法定相続情報一覧図を利用した方が良いでしょう。
預貯金や証券などの金融機関の相続手続は、できるだけ自分で行いたいと考える人が多いです。しかし、非常に手間と時間がかかるのも事実です。皆さん一度経験されると、二度とやりたくないと言われるほどです。
そんな場合、
最も手間がかかる法定相続人の証明作業の部分を専門家に頼んで、他は自分でやるという手段があれば、全てを頼むよりも費用が安くなり、手続のストレスも最小限で済みます。
※下線部が法定相続情報一覧図の作成と申請になります。
不動産の相続(相続登記)は専門知識が必要なので、一般の方が自分で行うのは向いていません。実際に、ほとんどの相続登記が司法書士の申請です。
そこで、不動産の相続登記は専門家に頼んで、預貯金や証券などの金融機関の相続手続は自分で行いたいという希望は多いです。
この場合、相続登記と一緒に法定相続情報一覧図の作成と申請も専門家に頼めば。預貯金や証券の相続をよりスムーズに進めることができます。
被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹や甥姪が法定相続人になる場合は、子どもが相続人になる場合に比べて、書類の数が大幅に多く複雑になります。金融機関に書類をそのまま持ち込まれた場合も、確認作業にものすごく時間がかかるので、場合によっては「日を改めて来てください」と言われる可能性があります。(金融機関によっては、「法定相続情報一覧図」を作って持ってきてくれと言うところもあります)
従って兄弟姉妹や甥姪の相続の場合は、法定相続情報一覧図は必ず作成した方が良いと言えるでしょう。
申請に必要な書類は以下のとおりです。被相続人の兄弟姉妹や甥姪の相続の場合は追加書類が必要になります。
亡くなった方の出生年までさかのぼった戸籍一式です。転籍や結婚で戸籍が変われば、その分通数が増えます。戸籍法が改正されて戸籍が変わった時も通数が増えます。70代以上の方だと祖父の戸籍までさかのぼるのが普通で、平均で5~6通、転籍や結婚が多い方だと8~9通になる場合もあります。
必要書類の中で最も集めるのが大変です。
当事務所では追加料金無料で戸籍の取得を代行しています。(最新の死亡時の戸籍のみは相続人様に取得して頂きます)
住民票は亡くなると除かれて除票になります。最後の住所を証明するために必要です。
法定相続人全員の戸籍謄本が必要です。
相続人の一人が代表相続人になって申請します。専門家に依頼する場合は代表相続人が委任することになります。申請人になる代表相続人の本人を確認する書類です。以下の3種類のうちの1つが必要です。
法定相続情報一覧図の相続人欄に住所を記載する場合のみ必要です。
※住所を記載するかどうかは任意ですが、手続によっては住所の記載が無いと利用できない場合があります。
| 法定相続情報一覧図申請パック | 5万円 |
|---|
以下のサービスが全て含まれています。
※必要書類のうち取得が困難な書類については、追加料金無料で取得を代行します。
※被相続人の兄弟姉妹や甥姪の相続の場合は、追加料金が必要です。







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