事例集

事例-22死亡原因と日時が不明な相続放棄

相続財産 : 不明
借金 : 不明(恐らく多い)
被相続人 : 父
相続人  : 子2人
 
最初は、お母様からの相談でした。離婚した元夫が死亡したと警察から連絡があったそうです。元夫は事業を営んでいて多額の借金をして生活が苦しいと生前に聞いていたので、このままだと子どもたちに借金が相続されてしまうと考え、急いで司法書士を探したということです。警察は、はっきりとは死亡原因を言わなかったようですが、自殺の可能性が高そうです。
 
幸い行動が早かったので3カ月以内の通常の相続放棄で解決できそうでした。子どもは長男と次男の二人でしたが(他に再婚後の長女がいたようですが、ほとんど面識が無いようでした)、長男は母親に相談する前に専門家に相談して、先に相続放棄の手続を取っていたようです(推測ですが、長男は両親の離婚後も父親と話していたのかもしれません)。
 
それで次男の相続放棄の依頼を受けました。当初困ったのが、父親の戸籍を取っても死亡の記載が出てこなかったことです。親族が役所に死亡届を出していないことになります。警察がからんでいるので死亡届が通常よりも時間がかかったようです。しばらく日にちを空けて再度取得したら死亡の記載がありました。ただし、戸籍の記載は「推定死亡年月日」という書き方になっていました。こういう記載は私も初めて見ました。いつ亡くなったのか、はっきりと分からないということですね。相続放棄の家裁への申立書にも同様に書きました。
 
このような事情なので、財産額も借金総額も分かりません。このような場合、家裁の申立書には不明と書いて、別途、上申書と言う書類を追加して、不明の理由を詳しく説明します。これで無事に審査が通りました。
珍しい事例だったので、とても印象に残っています。

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