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事例-8
不況によりご主人が生活費を入れてくれなくなったというSさんの事例

Sさん 女性 40代 子供2人
主婦 パート
債権者数 5社 債務総額 約250万円

夫は元々、建設業の一人親方で、収入も多いときは50万くらい、少ない時でも20万くらいはありました。しかし、折からの建設不況で収入が減少し月に10万も稼げないことも珍しくなくなりました。

それで生活費が足りなくなり私もパートに出るようになりましたが、まだ小さい子供がいた為に、それほど多くの時間は働けません。だからといって子供を預けると、その為の費用がかかってしまい、結局、家計の足しになりません。

そんなこともあって消費者金融から借金をするようになりました。最初は抵抗もあったのですが、何度も出し入れをしているうちに借入限度額が何だか銀行口座の残高みたいに思えてきて、借金をしているという感覚が薄くなっていきました。

家計が苦しい時に限って何故だか悪いことが重なるもので、娘の携帯の代金が30万円という途方もない金額の請求が来ました。どうもパケット放題の契約になっていなかったようなのです。携帯会社に説明不足じゃないかと文句を言いましたが聞き入れてもらえませんでした。

また、同じ時期に私が車の事故を起こしてしまいました。自損事故で他人に迷惑はかけなかったのですが、車両保険に入っていなかったので、修理代に50万近くかかりました。田舎に住んでいたので、車がないとパートにも行けません。

ただでさえ苦しい時に、こんな臨時出費は痛すぎました。更に借金の額は増えてしまい、さすがに返せなくなるんじゃないかとあせり始めました。

建設不況は更に深刻になり、夫の仕事は、ほとんどなくなりました。たまに仕事があっても、生活費には入れてくれなくなりました。生活が苦しいと私が言うと、夫は「それなら自分は実家に、しばらく住むから」と出て行ってしまいました。

もはや、パートだけで借金を返しながら生活していくのは無理だと思い、ネットで探して司法書士に相談しました。法律家に相談に行くなんて人生で初めての経験なので、すごく緊張しました。こんなに借金してしまって、だらしがないと怒られないかと心配でした。

しかし、実際に相談してみると、「あなたみたいな人は珍しくない。借金の額も特に多いほうではない」と言われて少しほっとしました。

先生は、「あなたは収入が少ないし財産もほとんどないので、自己破産しかないと思う。ただし、ご主人が事業主なので、管財事件にならないかだけが心配だ」と言われました。管財事件になると、裁判費用がすごく高くなるそうで、到底、今の私には支払えそうにないからです。

破産書類を裁判所に出してもらって、しばらくすると、案の定、裁判所から管財事件の打診があったことを知らされました。私は裁判所に呼ばれることになり、そこで、前もって先生に言われたとおり、窮状を裁判官に訴えました。「管財事件になったら私は破産をあきらめなくてはならなくなります。何とかして下さい。」と。

しばらくすると、裁判所から同時廃止で処理するという決定が来ました。私は非常に喜びました。その後はスムーズに手続は進み無事に免責決定も頂きました。そして、先生のすすめもあって、結婚後に疎遠になっていた両親のところに行ったところ、しばらくは援助してもらえることになりました。親身になって相談にのってくれた先生には本当に感謝しています。

事務所からのコメント

ご主人が生活費を入れなくなったことで主婦が破産するケースは割とよくあります。この場合、主婦は被害者なので裁判所もスムーズに免責を認めてくれることが多いです。
その点は問題なかったのですが、この人の場合、ご主人が事業主だったので(と言っても一人親方なので、裁判所の取り扱いは厳しすぎると私は思いますが)、管財事件になるかもしれないということが唯一のネックでした。
しかし、現実問題として管財の預納金の支払能力は無い人なので、その事を積極的にアピールするように伝えた上で裁判所に行ってもらいました。
本人の必死の訴えが届いたようで、無事に同時廃止で処理されることになりました。本当に良かったと思います。

☆管財事件とは
破産管財人が選任される事件。破産者が事業主であったり、法人であったりした場合は基本的に管財事件になる。近年は判定が厳しくなり、配偶者が事業主の場合にも適用されるケースが増えてきている。
裁判費用に管財人の報酬が加算されるので高額になる。通常は40万くらい。裁判官の裁量で金額が下がることもあるが、それでも同時廃止事件と比較したら何倍も高額である。

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