相続財産 : 不動産 不明 預貯金 不明
借金 : 約3200万円
被相続人 : 父(母と離婚している)
相続人 : 子ども1人
父親は随分前に母と離婚して、母に引き取られた方からの相談でした。離婚後は、ほとんど会ったことも無く、亡くなったことも知らなかったようです。
再婚後の息子さんから遺言書の存在を聞かされましたが、遺言書は後妻さんが保管していて、息子さんも見せてもらえないということでした。(後妻の実の息子なのに何故なんでしょうね。複雑な事情があるのでしょうか)
そこで、公証人役場から遺言書の謄本を取り寄せました(遺言書謄本は子どもならば請求できます)。すると、借金がかなりあることが分かりました。遺言書には預貯金の銀行名と口座は書かれていましたが金額は書かれていませんでした。
ただ、母親が噂に聞いたところによると、自営業をしていてかなり経営状態が悪かったということです。そこで借金の方が多い可能性が高い、という判断をされて相続放棄の相談に来られました。
遺言書には借金の相続人も書かれていましたが、実は借金の相続は遺言書に書かれていても債権者に対して効力はありません。この点は誤解されている方が非常に多いです。ですから、今回のケースで相続放棄の判断をされたのは正しいです。
遺言書や遺産分割協議書で借金の相続人を決めても、他の相続人に請求されてしまうケースは普通にあります。重要なことなので覚えておきましょう。