8月 05 2008
シリーズ 個人再生⑦
前回からの続きです。申立以降の流れについて説明します。
最初の書類審査がOKになると1回目の面談日が決められます。名古屋地裁本庁の場合、通常は再生委員が選任されますので、面談は再生委員と本人、それに司法書士が付き添うことになります。名古屋地裁本庁では司法書士の付き添いが認められていて同席することが可能です。個人再生のような複雑な手続を本人だけでやられては指導するのが大変だというのが裁判所や再生委員の考えなのでしょう。ちなみに面談の場所は裁判所です。当たり前だと思わないで下さい。東京では再生委員の事務所(要するに弁護士事務所)で面談をすることが多いと聞きます。
面談では、いろいろなことが聞かれますが、圧倒的に多くの時間を占めるのが「支払能力があるか」と言う点です。この辺りは特定調停と似ていますね。この面談で再生委員のOKが出ると、再生委員が裁判官に対して「問題無い」という報告書を出します。そうすると裁判官は事務的に開始決定を出すことになっています。
ちなみに運良く再生委員が選任されなかった場合は、1回目の面談は直接、裁判官とすることになります。この場合も司法書士の同席は認められています。質問の内容やその後の流れは再生委員がいる場合と同じです。ただ一つメリットがあって、裁判官と面談した場合は面談が1回だけで済みます。これは大きなメリットです。
あと、本庁以外の支部裁判所や地方の裁判所だと、そもそも再生委員がいないので面談自体がありません。裁判官が面談できるじゃないかと思われるかもしれませんが、何故か裁判官も面談しません(するところもあるかもしれませんので、事前に調べた方がいいですね)。要するに、これらの裁判所だと書類審査だけで手続が進んでいくのです。従って、個人再生に関しては裁判所によって、本人や司法書士の負担が全然違ってきます。故に裁判所によって費用を変えている司法書士が多いようです(当事務所でも、そうしています)。
開始決定が出ると、債権者一覧表が各債権者に郵送されます。各債権者は一覧表に記載された金額に文句がある場合は、債権届を出すことが出来ます。債権届が出された場合、申立人は二つの選択をすることが出来ます。一つは何もせずに債権届の金額を認めることです。届けられた金額が債権額になります。もう一つは、債権届の金額に対して異議を出すことです。
異議を出すと、どちらの主張する金額が正しいのか決めなくてはなりませんから、その為の手続である評価申立が行われます。しかし、現実には異議を出すことは、ほとんどありません。何故かと言うと、500万円を超えない限り債権届を出されても総支払額に変化は無いからです。500万円までの支払額の決め方は、100万円または清算価値の、どちらか多い方ですから、債権額が変化しても支払額に影響がありません。利息制限法の利率に引き直した後の債権額が500万円を超えることは、めったにありませんから、異議を出すこともほとんど無い訳です。
このようにして債権届出期間が終了した後は、いよいよ2回目の面談になります。続きは次回に譲りましょう。
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