司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

過払金請求

5月 13 2022

貸付停止措置と過払金の消滅時効 過払金請求(70)

過払金の消滅時効

貸金業者に対して過払金請求をすると、できるだけ減額しようとしてきます(営利企業ですから、ある意味予想できる行動です)。その時に最も多く主張してくるのが「この部分は時効だから払わない」というものです。

最近の貸金業者における過払金の時効の主張には、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. 取引が途中で分断されているため、古い取引の終了時から10年以上経過している。だから古い取引で発生している過払金については消滅時効が成立しているので支払わない。
  2. 取引の途中で貸付停止措置が取られている。従って特段の事情に当たるので、貸付停止措置よりも前の取引で発生している過払金については消滅時効が成立しているので支払わない

1.の主張については、これまでも何回か取り上げてきたので、今回は2.の貸付停止措置による時効の主張について解説したいと思います。

貸付停止措置とは

貸付停止措置とは、貸金業者が「もうこれ以上は貸せない」と判断して、追加の貸付を停止する措置のことです。貸付停止措置がなされる理由としては、以下のようなものが考えられます。

  1. 信用状況の悪化(支払いが何度も遅れるなど)
  2. 仕事の退職
  3. 借りた当初からの支払延滞
  4. 高齢であること
  5. 新たな分割和解契約を結ぶ

などです。

貸付停止措置が取られると、「過払金充当合意がある取引であっても特段の事情に当たるので個別に時効が進行する」と貸金業者は反論をしてきます。

過払金充当合意とは(ちょっと難しいかも。分からない時は結論だけ読んでください)

最高裁判所の判断によれば過払金充当合意とは「発生した過払金を、その後の新たな貸付金に充当する合意」のことです。この合意は貸金契約書には書かれていませんが、貸金業者との取引内容を合理的に解釈すれば認められる、と判断されています。

例えば、過払金がある時点で5万円発生して、その後すぐに3万円借りたとしたら、借りた時点で過払金5万円は貸付金に充当されて2万円になりますよ、という意味です。

素人の方から見ると一見当たり前に思えるかもしれません。しかし、過払金充当合意が無ければ、過払金5万円と新たな貸付3万円は別個に存在していて、過払金5万円は独立して時効期間が進行することになり、債務者にとって非常に不利になります。

(最高裁判所は、例外的に「特段の事情」がある場合は、取引が終了する前に過払金の消滅時効が進行すると判断しています)

一方、最高裁判所の言う「特段の事情」が無ければ、過払金充当合意によって取引が続く限り過払金は確定せず、最後の取引が行われた時点から過払金全額の時効が進行することになります。これならば一部の金額が時効で減額されるということにはなりません。

最高裁判所の言う「特段の事情」とは

最高裁判所は、「過払金充当合意は新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金をその都度清算しないという趣旨を含む」と判断しています。

これは裏を返せば、「新たな借入金債務の発生が見込まれなくなったら」過払金は発生する度に清算することになるので、消滅時効も個別に発生した時から進行する、ということになる訳です。

貸付停止措置は特段の事情に当たるのか

貸金業者としては特段の事情が認められた方が過払金を減額できるので、「当社は〇年〇月〇日に貸付停止措置を行ったので新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった、これは最高裁判所の言う特段の事情に当たる。よって〇年〇月〇日以前の過払金は時効により消滅している」と強硬に反論してくるケースが多く見られます。

しかし実際には、この貸金業者の反論が特段の事情と認められる場合は、それほど多くはありません。

貸付停止措置があっても特段の事情とは認められない場合

単に「信用状況の悪化」や「仕事の退職」などで貸付を停止した場合などは、特段の事情に当たるとする根拠としては弱いと思われます。なぜなら、その後返済される見込みができた場合は新たに貸付を開始しているケースがほとんどだからです(停止は一時的なものと考えられるからです)。

「信用状況の悪化」や「仕事の退職」などの理由で貸付停止措置が取られたのならば、貸金業者の反論をひっくり返せる可能性は高いと思いますから、あきらめてはいけません。(もちろん反論に反論をぶつけていくことになるので、交渉や裁判が長引くことは覚悟しましょう)

特段の事情が認められる可能性が高い場合

途中で新たな分割和解契約を結んでしまったり、貸金業者が貸付業務を廃止して回収のみを行うようになったりした場合は、新たな貸付が行われる可能性は無いと考えられるので、特段の事情に当たると判断される可能性は高いでしょう。この場合は貸金業者の時効の主張を受け入れた方が良いかもしれません。

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1月 12 2021

過払金の利率の変更 過払金請求(69)

民法改正による法定利率の変更

令和2年4月以前の法定利率は年5%でした。しかし民法が改正されて、令和2年4月以降の法定利率は3%になりました。この改正は過払金の利息の利率にも影響があります。

過払金の利率は民事法定利率になる

過払金は法的には不当利得と言います。この不当利得返還請求権の利息は、法律上当然に発生する利息(法定利息)であり、契約に基づいて発生する利息(約定利息)ではありません。従って、利率は法定利率が適用されます。

過払金の利息の発生時期

過払金の利息は、個々の返済により過払金が生じた時に発生すると考えられていますから、令和2年4月1日以降における返済によって発生する過払金利息の利率は年3パーセント、それ以前の返済によって発生する過払金利息の利率は年5パーセントと考えれば良いでしょう。

充当合意による考え方もある

一方、過払金は過払金充当合意を含む基本契約に基づいて、取引を一連計算することにより算出されるものです。従って、令和2年4月1日よりも前の時点で一度でも過払金の利息が発生した場合には、それ以降に発生する利息の利率はすべて年5パーセントになると考えることもできます。

ただし、この考え方には貸金業者の激しい抵抗が予想されますので、過払金の返金を急ぐ人には向かないかもしれません。
この問題は一部の弁護士が最高裁まで争って決着するまでは、新たな争点になるでしょう。

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11月 19 2020

オリコの過払金請求 過払金請求(68)

オリエントコーポレーション(オリコ)とは

メジャーなクレジット会社の一つで、利用者も多いです。略称は「オリコ」で、カードにはオリコカードと書かれていることが多いので、正式名称だとピンとこない人がいるかもしれません。
利率が高かった時期がありローンの利用率も高いので、クレジットの中では過払金請求の件数が比較的多い会社になります。

オリコの過払金の可能性

平成19年3月31日(2007年)以前からオリコに対して借り入れをしていた場合、過払金が発生している可能性があります。
亡くなった方の過払金も請求は可能なので、もし亡くなった方が平成19年以前からオリコと取引をしていたのなら、相続人は過払金請求を検討してみた方が良いでしょう。
(ご注意)
ショッピング取引については違法利率ではないので、もしショッピングだけで利用していた場合は、例え長い取引でも過払金は発生しません。覚えておきましょう。

オリコが発行しているカード

オリコが発行しているカードには以下のような種類があります。

  • オリコカード
  • UPty
  • オートウェーブカード
  • オートバックスカード
  • コジマカード
  • ヨシヅヤボナンザカード
  • (主なものをあげました。他にもあるかもしれません)

    以下はローン専用カードです。

  • アメニティカード
  • クレストカード
  • オリコの過払金の交渉

    オリコの取引で過払金が発生していた場合、任意で交渉することはオススメできません。
    理由は、任意交渉では減額を要求され、更に返金時期も遅くなるからです。
    最近では、「任意交渉だと返金できないから、裁判をしてくれ」とオリコ側から頼まれたこともあります。
    このような状況なので、オリコの過払金請求は基本的に裁判になると考えた方が良いでしょう。

    オリコに対する過払金請求訴訟

    オリコに対して管轄の裁判所に過払金請求訴訟を起こした場合、次のような経過をたどることが多いです。
    (1)第一回口頭弁論期日の決定
    裁判所から候補日を伝えられて、回答して日付が決定します。
    (2)第一回口頭弁論期日に出頭
    第一回期日に裁判所に出頭します。一回目は被告の欠席が許されているので、ほとんどの場合オリコは欠席します。法廷では次回の期日を決めて終了です。
    (3)第二回期日の前にオリコから連絡が入る
    第二回期日の前にオリコから和解の電話が入るのが一般的です。法的に整った勝てる訴状が提出されていれば、この電話でオリコが満額の返金を伝えてくるケースが多いです。
    (4)利息・損害金の交渉
    あとは利息・損害金をどこまで請求するかの交渉になります。訴状がきちんと書かれていれば元金満額は問題ないでしょう。それに追加して利息や損害金を請求すると、たいてい支払時期が遅くなります。
    利息・損害金も満額請求すると半年以上先の支払いになることもあります。どの程度カットするかは、いつまで待てるかで決めることになります。

    オリコの過払金請求の結論

    オリコの過払金請求は、裁判をするかしないかで結果が大きく変わります。従って、必ず裁判で請求した方が良い業者と言えるでしょう。専門家に依頼する場合は、裁判を避ける専門家はオリコとの相性が悪いと思います。

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    過払金請求

    2月 20 2018

    ワイジェイカードの過払金 過払金請求(67)

    ワイジェイカードは、国内信販株式会社(KCカードまたは楽天KCカード)の会社分割の際にケーシーカードとして設立され、そのケーシーカードがソフトバンクグループに譲渡され、ワイジェイカードと商号を変更しました。本店は九州の福岡市博多にあります。いつもながら、金融業者の合併や分割、商号変更は本当にややこしいです。

    このワイジェイカードの債務整理の依頼がありました。
    取引履歴の開示請求をしたところ、約60万円ほどの過払金が発生していました。

    ワイジェイカードに対し60万円の請求をしたところ、最初は「85%で和解して欲しい」という回答でした。支払いは4カ月後だと言います。そこで、「85%は低すぎる、せめて90%で」と反論したところ、しばらく間があって、「では5か月後にして下さい」と回答してきました。

    そこで、依頼人に次の3つの中から選択をしてもらいました。
    (1)85%で4か月後にもらう
    (2)90%で5か月後にもらう
    (3)100%で裁判に訴える。支払いはいつになるか不明

    結果、依頼人が選んだのは「(2)90%で5か月後にもらう」でした。
    すぐにワイジェイカードの担当者に連絡して、(2)の条件で和解契約書を締結しました。

    しかし、この案件には、おまけがありました。
    和解契約書には5か月後の支払いと書かれていましたが、実際に振り込まれたのは4カ月を少し過ぎたあたりでした。業者によっては、こういうこともあります(いつもではありません)。結果的に「(1)にしなくて良かった」と依頼人はとても喜んでいました。

    より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

    http://www.hashiho.com/debt/kabarai/

    4月 06 2016

    セディナの過払金請求

    ≪どんな会社か?≫
    セディナは、セントラルファイナンス・OMCカード・クオークの3社が合併して出来たクレジット会社です。OMCカードは元はダイエー系カードでした。
    現在は三井住友フィナンシャルグループの一員となっていますので、破綻する可能性は低いと言えるでしょう。

    ≪過払金請求をした時の特徴≫
    (1)過払金の発生する確率が他社クレジットに比べて高い
    クレジット会社の中でも適正利率に変更した時期が遅かったので、他のクレジットに比べて過払金が発生している確率が高いのが特徴です(ようするに、ぎりぎりまで違法利息を取っていたということです)。また、適正利率に変更する前は、消費者金融レベルの比較的高い利率で貸し出していますので、過払金が高額になる傾向があります。具体的には、平成20年頃までは25%から29%の利率で貸し出しをしていました。平成20年以前から、セディナのキャッシングまたはローンを利用していた人は、過払金を疑ってみた方が良いでしょう。

    (2)取引履歴の開示が遅い
    セディナに取引履歴の開示請求をすると非常に時間がかかります。早くて1カ月、遅くて3カ月以上かかることもあります。取引の開始時期が古く、過払金が高額になりそうな案件ほど、より時間がかかる傾向があります。これは、古い取引の場合、マイクロフィルムに保存してあるので、復元に時間がかかるからです。取引履歴が開示されないと過払金請求は始まりませんので、セディナに請求する時は、ある程度の時間がかかることは覚悟しておきましょう。ただし、セディナの場合、開示されてからの回収率は比較的高い業者なので、時間がかかるからと言って、あきらめてはいけません。粘り強く待ちましょう。

    (3)過払金の回収率は他社クレジットに比べて高い
    三井住友フィナンシャルグループの一員なので資金的にも余裕があり、過払金請求をした時の回収率は高いです。特に争点が無い取引の場合、訴訟をすれば満額回収の可能性が高いです。利息も含めて満額以上になることもあります。訴訟をしない場合は、司法書士や弁護士からの請求で7割から9割、本人からの請求で5割から7割が相場です。従って、開示されたら素早く訴訟を提起するのが、おすすめです。

    (4)裁判で、それほど争ってこない
    裁判では、それほど強硬に争ってこないタイプの業者です。特に、取引履歴が古い為に途中から開示されているケースでは、いわゆる「残高ゼロ計算」をしても、受け入れてくれる傾向があります。対応は比較的良いと言っていいでしょう。この点でも、任意交渉よりも訴訟がおすすめの理由になります。

    (5)取引履歴が読みにくい
    始めてセディナの取引履歴を見た人は、「これ、どうやって見たらいいの?」と感じてしまう人が多いでしょう。その位、セディナの取引履歴は最初は分かりづらいです。セディナの場合、利率が複数ある取引が多いので、利率ごとに取引履歴が分割して作成されて、最後に全ての利率を統合させた履歴があります。恐らく始めて見た人は、そのような構造になっていることが分からないと思います(私も始めて見た時は分かりませんでした)。そして、本人が開示請求をすると、引き直し計算をしていない履歴が開示されます(司法書士や弁護士が開示請求をすると、引き直し計算がされた履歴が開示されます)。従って、本人が開示請求をした場合は、過払金がいくらあるかは一目では分からないようになっています。

    ≪総合評価≫
    銀行系なので資金に余裕があるせいか、過払金請求に対する抵抗は、それほど強くはありません。また、かつては消費者金融レベルの高利率だった時代があるので、過払金が発生している確率が高く、しかも過払金が高額になりやすい業者です。従って、取引が古い人は過払金の発生を疑うべきで、過払金が発生していた場合は積極的に請求していった方が良い業者です。請求する時は、任意交渉で時間をかけるよりも、すぐに訴訟を提起した方が良い結果になる確率が高いです。

    1月 08 2013

    過払金請求への道⑤

    今回は過払金請求への道の最後、⑤「家族にナイショでずっと借りていた。ずっと借りていたので、ひょっとしたら過払いになっているかも。興味はあるんだけど、家族にばれるのが怖くて踏み切れない。」という理由でためらっている人への回答です。

    実は、この理由でためらっている人は非常に多く、そのおかげで倒産の噂が浮かんでは消えるアイフルなどの消費者金融は何とか持ちこたえています。消費者金融やクレジット会社の側から見たら、そのままためらっていて欲しい人たちということになります。でも、これって、ちょっと悔しくありませんか。

    私の今までの実務経験上、過払金請求で家族にばれたという例はありません。自己破産や個人再生だと家族にナイショで行うのは確かに難しいと思います。しかし、過払金請求は手続の性質上、司法書士と業者の間で済んでしまいます。そもそも、業者は司法書士が受任通知を出したら、直接、依頼人と連絡を取ったり接触したりすることを禁じられます。

    あと、現在は司法書士や弁護士が過払金請求の依頼を受ける時は面談が義務付けられています(これを守っていない事務所は、ルールを守っていない事務所ですから注意して下さい)。その際、事務所に出入りしているところを見られてしまうんじゃないかと気になるかもしれません。

    これを防ぐ為には、少し遠方の事務所を選ばれると良いでしょう。実際に、こういう理由で他の県から来られる人も珍しくありません。もちろん、あまり遠すぎるのも大変ですから、せいぜい隣の県くらいが、いいんじゃないでしょうか。

    過払金請求は、医者などと違って何回も通う必要はありません。1回の面談で手続に入れることが、ほとんどです。家族にナイショの人は、手続が終わった後に、もう一度、事務所に書類を取りに来ることがあるくらいです。ですから、多少、遠方でも充分、依頼はできると思います。

    今回で、過払金請求をためらっている人への私なりの回答は全てになります。参考にして頂けたでしょうか。

    12月 27 2012

    過払金請求への道④

    今回は、④「広告では戻ってくるようなことを言ってるけど、そんなにうまい話はないと思う。どうせ請求したって少ししか戻ってこないだろう。やっても無駄だ。」と考えて、ためらっている人についてです。

    私は本来、過払金請求を奨励する立場ですが、それでも非常に慎重で良い態度だと思っています。何故なら、こういう人は年をとっても「おれおれ詐欺」などには、だまされにくいだろうと思いますから。うますぎる広告や、センセーショナルな宣伝には警戒心を持つのは基本的には良いことです。

    ただ、過払金については、私の長い経験上(過払金請求が今ほど盛んになる前から私は引き受けています)、慎重な態度の人ほど驚くほど大きな金額になっていることが多いという特徴があります。これは考えてみれば納得できることで、慎重な人ほど返済に遅れることなく真面目に、きちんきちんと返済しているからです。

    その全く逆の現象として、「自分は過払いになっているはずだから、一刻も早く回収してくれ。」と強く主張してくる人に限って、取引履歴を取り寄せてみると過払いにすらなっていなかったり、あるいは過払金の額が非常に少なかったりする傾向があります。(これは本当のことです。同業の司法書士や弁護士にも確認したことがありますが、この点については皆さん同意してくれました)

    このことから、慎重で過払金の金額を疑っているような人ほど、本人がびっくりするような大きな金額が戻ってくる可能性があるので、やってみるべきだということです。少なくとも、すぐにはやらなくても、過払金の額を確かめることは最低でもやった方が良いでしょう。

    12月 19 2012

    過払金請求への道③

    今回は、③「もう返し終わって、せいせいしている。二度と思い出したくない。だから、やらない。」という理由で過払請求をためらっている人についてです。

    このように考える人は比較的、郊外や郡部に住んでいる人に多い傾向があります。私の事務所の受任エリアで言うと、三河や岐阜県、三重県などが当てはまります。(もちろん、これらの地域の中にも、全くこのように考えない人もいます。あくまで比較の問題です)

    実は③と④の人は、一見、違う考えのように見えますが、同じ部分も多いのです。③のように考えている人も、いざ取引履歴が開示されて正確な過払金の額が分かると、「やっぱり、やってもらおうか」と考えが変わる場合も少なくありません。ようするに、本当にどの位、戻ってくるかの具体的なイメージが出来ていないために、今までのサラ金とのつきあいの悪いイメージが先行してしまい、ためらってしまうのでしょう。

    あと、①の人との共通点もあります。過払金が発生している人は、それなりに長くサラ金と取引を続けてきたわけですから。嫌なことも経験しています。苦しい時に厳しい取立てを受けたこともあるでしょう。たぶん、過払金請求をすることで、以前に経験した苦しいイメージが浮かんできてしまうのが嫌なのだと思います。

    この点は、①の時にも説明しましたが、全く心配はいりません。司法書士が過払金請求を引き受けた場合、サラ金との交渉は全て司法書士が相手になります。これを破るとサラ金は違法行為になってしまうため、まず破りません。従って、依頼人はサラ金とは離れた立場になりますから、心配するような問題は起こらないのです。むしろ、苦しい取引をしてきた人こそ、その分を取り戻すために、過払金請求をするべきだと私は思っています。

    他にも、サラ金とヤミ金を勘違いしていて、それでためらっている人もいます。これは、非常にもったいないことです。何故なら、サラ金とヤミ金は全く違うからです。

    確かに一般の人から見たらサラ金も充分に強引でしつこい取立てをしますので、同じように感じてしまうのかもしれません。しかし、ヤミ金と比べたら、取立ての苛酷さは比較になりません。よくテレビなどでヤミ金の取立てのひどい状況をドキュメンタリーで写したりしていますので、それを見ると、こんなところには二度とかかわりたくないと思ってしまうのも無理はありません。

    ヤミ金とは刑事罰になる利息を取っている業者であって、ようは犯罪者なのです。一方、サラ金は民事裁判で無効になる利息を取っているだけで、犯罪者ではありません。ヤミ金は金を貸しただけで警察につかまりますが、サラ金は金を貸しただけでは警察につかまりません。

    これは大きな違いです。ところが、テレビなどでヤミ金の取立てシーンなどが放映されると、つい自分が借りているところも似たようなところじゃないかと思ってしまったりするのです。

    これまで説明したとおり、サラ金に対して過払金請求をすることは、一般の人が思っているよりも安全です。あと、サラ金を嫌がったり怖がったりして、そのために真面目に返してきた人ほど過払金が発生しているものです。一度、やってみた人は、みなさんが、「やっぱり、やってよかった」と言います。まだ、ためらっている人は、このブログを読んで、一歩を踏み出してみて下さい。

    12月 13 2012

    過払金返還請求への道②

    前回の続きで、②「広告では違法利息だと言ってるけど、自分は困っている時に借りたので、今さら返してなんて悪い気がする」という気持ちがあるため、過払請求をためらっている人についての話です。

    いかにも心優しく真面目な日本人に、ありがちな話で、私も電話口で、このようなことを言われたことがあります。普段の生活で正直で真面目なことは確かに良いことです。きっと、とても人当たりのいい、良い人なんでしょう。

    しかし、ものは考えようです。違法利息というのは誰かが勝手に言い出したことではなく、最高裁判所が認めているわけです。ということは、そもそも消費者金融やクレジット会社は不当な利益を得ていたことになります。困っている時に借りた人にとっては神様のように見えたかもしれませんが、実は貸金業者は親切で貸した訳ではありません。貸すことによって、違法利息も含めた大きな利益が得られることが分かっているからこそ貸したのです。

    その証拠に、貸金業法が改正されて利率が下がったら途端に貸し渋りが起きています。現在は、新規に貸してくれと頼んでも断られるケースが増えています。彼等もビジネスですから、利益が出ないと分かったら、そう簡単には貸さないのです。

    この事実を知れば、貸金業者に過払請求をすることに遠慮はいらないことに気付いてもらえるのではないでしょうか。彼らは、あなたが困っているから貸したのではありません(もちろん、口では困っているから貸したようなことを言うかもしれませんが)。この先、何年間も高い利息を支払い続けてくれることを期待して貸したのです。その結果として過払金が発生しているにすぎません。

    ですから、過払請求をためらう必要は無いのです。貸金業者は違法利息であることを隠して、あなたからの支払いを受け取り続けてきたのです。ただ、それを返して欲しいと言っているだけなのですから。

    真面目なのは確かに素晴らしいことですが、度を越えると、「お人よし」になってしまいます。不当な行いをしている業者に対して、こらしめるというのも真面目さの一つだと思います。過払請求をしないというのは、業者の不当な行いを認めてしまったことにならないでしょうか。これが私の答えです。皆さんは、どう思われるでしょうか。

    次回は③についてです。

    12月 04 2012

    過払金返還請求への道①

    最近では、すっかり有名になった過払金返還請求ですが、まだ、請求をためらっている人達がいます。これらの人達は恐らく、次のようなことが不安なのではないかと思います。

    「サラ金に対して過払金なんて請求して、本当に大丈夫なの? あとで何か問題が起こらない。」・・・①

    「広告では違法利息だと言ってるけど、自分は困っている時に借りたので、今さら返してなんて悪い気がする」・・・②

    「もう返し終わって、せいせいしている。二度と思い出したくない。だから、やらない。」・・・③

    「広告では戻ってくるようなことを言っているけど、そんなにうまい話はないと思う。どうせ請求したって、少ししか戻ってこないだろう。やっても無駄だ。」・・・④

    「家族にナイショでずっと借りていた。ずっと借りていたので、ひょっとしたら過払いになっているかも。興味はあるんだけど、家族にばれるのが怖くて踏み切れない。」・・・⑤

    ざっと、こんなところでしょうか。では、この疑問や不安に一つずつ答えていきたいと思います。

    ①への回答
    一般の人にとって、サラ金はやっぱり怖いというイメージがあります。昔に比べれば、だいぶ薄まっていると思いますが、まだ一部の人の頭の中には「サラ金からお金を取り戻すなんて、とんでもない。何かされたらどうするの」という心配があるようです。(私も同窓会の席で自分の仕事を話したら、友人から「お前、そんな仕事してて何かされない。」と真顔で言われました。やはりこれが一般的な感覚なんでしょう)

    しかし、結論から言うと、10年近く債務整理の仕事をしていて今のところ一度も怖い目にあったことはありません。もちろん依頼人が過払金請求をした結果、怖い目にあったという話も聞いたことがありません。この点に関しては、安心して頂いていいのではないでしょうか。

    特に最近は貸金業法が改正されて、より監督が厳しくなっています。貸金業者と依頼人との間に何かトラブルが起こって、それを監督官庁に報告されたら、下手をすると貸金業者は営業停止処分になる可能性があります。そんなリスクのある行動を取ることは考えにくいですね。

    次回は②について回答いたします。

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