司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

個人再生

11月 17 2025

フラット35には必ず取り扱い銀行がある 個人再生㊼

住宅ローンを抱えた人が行う債務整理として最初に候補に挙がるのは住宅ローン特則付個人再生になります。この手続を行う場合、住宅ローンを取り扱っている金融機関に住宅ローン特則付個人再生を行う旨を連絡して、ローン契約書の写しをもらうことになります。

Q 住宅ローンのフラット35は、どこが取り扱っているのでしょうか?

A フラット35というローンを企画しているのは政府の機関である住宅金融支援機構です。元は住宅金融公庫と言う名称でした。ただし住宅金融支援機構は直接融資をする訳ではありません。民間の取り扱い銀行を別に決めて、そこが窓口となって融資をします。

Q では住宅ローン債権者は民間銀行になるのでしょうか?

A いいえ。住宅金融支援機構は、融資をした取り扱い銀行から住宅ローン債権を買い取ります。ですから債権者は住宅金融支援機構になります。このような仕組なので、利率や手数料などは最初に窓口になった取り扱い銀行によって異なります。

Q ならば住宅ローン特則付個人再生をする時に連絡するのは住宅金融支援機構になるのでしょうか?

A いいえ。一般的には窓口になっている取り扱い銀行に連絡します。取り扱い銀行は、住宅金融支援機構が債権者になった後でも窓口としての業務は続けているからです。

Q 住宅金融支援機構と昔の住宅金融公庫との違いは何でしょうか。名称が変わっただけなのですか?

A いいえ。融資の仕組自体が変わっています。住宅金融公庫の時代は政府系金融機関の一つであり、直接に融資をしていました。その後、「官から民へ」という構造改革の流れにのって独立行政法人である住宅金融支援機構に変わりました。その時から支援機構自体は融資をしないという仕組に変わったのです。

Q 住宅ローン特則付個人再生で最も多い住宅ローンはどこですか?

A やはりフラット35ですね。圧倒的に多いと思います。

Q なぜフラット35が多いのでしょうか?

A 審査基準が公にされていて他の銀行では借りることが難しい場合でも融資を受けられるケースが多いからではないでしょうか。あとは全期間固定金利になっていることも大きいと思います。

他には団信(団体信用生命保険)の加入が任意になっていることも理由に挙げられるでしょう。民間銀行の住宅ローンだと団信の加入が必須になっていることが多いのです。そうすると病気などの理由で保険に入れない人は民間の住宅ローンを受けられませんから。

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9月 11 2025

開始決定後に債権者が代位弁済された場合 個人再生㊻

Q 個人再生の開始決定とは?

A 個人再生の申立書類を裁判所に提出した後、最初の審査が行われます。個人再生の要件を満たしているかどうかこのまま個人再生の手続を進めて良いかどうかを調べる審査です。

その最初の審査を通過すると開始決定が出されます。開始決定が出されると、債権者一覧表が各債権者に郵送されて、修正があれば債権届が提出されます。

Q 代位弁済とは?

A 保証会社が付いている場合、債務者が払えなくなった時に保証会社が代わりに支払うことになり、これを代位弁済と言います。

代位弁済されると本来の債権者は債権者ではなくなり、新たに保証会社が債権者となります。つまり債権者の変更が行われるのです。

Q 個人再生の開始決定後に代位弁済されると、どうなりますか?

A 既に申し立ての段階で債権者一覧表は裁判所に出しているので、債権者の変更をしなくてはなりません。しかし個人再生のルールで「開始決定後は債権者一覧表の差し替えはできない」ことになっています。理由は、既に各債権者に郵送されているからです。

Q 個人再生の開始決定後に債権者を変更するには、どうしたら良いですか?

A 開始決定後の債権者一覧表の差し替えはできませんが、各債権者に対して異議を出すことはできます。ただし申立の時に一覧表の「異議の留保」の欄にチェックを入れておくことが条件です。

そこで元の債権者に対して「現在の債権額は、代位弁済されたため0円」という異議を出します。あるいは元の債権者が協力するなら、0円と言う債権届を裁判所に出してもらうのも良いでしょう。その上で、代位弁済した保証会社に連絡して、代位弁済した金額の債権届を新たに出してもらえば良いのです。

Q 個人再生では、なぜ債権届や異議などの複雑なルールがあるのでしょう?

A 個人再生では「支払額の元となる債権額は、債権者と債務者が双方納得した金額で決める」という考え方があります。ですから債権者側からは債権届、債務者側からは異議という、双方から裁判所に修正を求める方法が認められているのです。このようなやり方にすると、後に債権額でトラブルがあった時に「あの時、修正を求めなかった方が悪い」ということになります。

Q 個人再生手続の途中で代位弁済が行われた時の、最も良い方法は何ですか?

A 最も良いのは、代位弁済が終了するまで個人再生の申立をしないことです。そうすれば債権者は保証会社で確定しますので、債権者の変更をする必要が無くなります。ただし代位弁済終了まで申立を待てない事情がある場合があります。

Q 保証会社の代位弁済終了まで個人再生の申立を待てないのは、どんな時ですか?

A それは他の債権者から裁判に訴えられている時、あるいは近いうちに訴えられそうな時です。例えばフクホーなどの債権者は、司法書士や弁護士が受任通知を出すと、割とすぐに訴えてきます。このような時は申立を急ぐ必要がありますので、代位弁済が終了するまで待っていられないのです。

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7月 30 2025

保険は名義人の財産とみなされる 個人再生㊺

間違えやすい保険の財産価値

積立型の保険契約は、自己破産や個人再生を行う時に財産価値として計上するかどうかが大きな問題になることが多いです。理由は自己破産の場合は同時廃止になるかどうか、個人再生の場合は支払額がいくらになるかに影響するからです。

※自己破産の同時廃止とは短期間で費用が安い手続のことです

保険については、名義人が誰かを把握していないことがある

保険は、契約者(名義人)と保険料を支払っている人が異なっていることが割と多いのが特徴です。しかも、異なっていることに契約者が気付いていない場合もあります。これは非常に大きな問題になることがあるので注意が必要です。

トラブルになりやすいケース

典型的なケースが、親が保険料を支払っていて子が契約者になっている場合です。子が借金の相談に来た時に、保険の契約者を聞いても「知らない」とか、「親が払ってるから恐らく親でしょう」とか答えることがあります。

しかし、保険の契約書を確認すると子が契約者になっていることが発覚することがあり、これは珍しいことではありません。

保険は契約者の財産とみなされる

このようなケースでは、保険の積立金は『契約者』の財産とみなされます。保険料の支払者ではありません。理由は解約した時に契約者に対して返金されるからです。これを専門用語で解約返戻金と言います。すると先ほどの事例だと子の財産となるわけです。例え解約していなくても、破産や再生を申し立てる時点で解約したとしたら、戻ってくる予定の金額が財産とされます。保険会社に解約返戻金証明書を請求すると、保険を継続中でも金額が書かれた証明書を送ってきます。

保険の継続年数が長いと予想以上に高額になっていることがある

親が払っているので全く意識していなくて、解約返戻金証明書を見たら、とんでもない高額になっていて驚いたというケースがあるのです。長期間払っていると結構な金額になっていても、おかしくありません。そして問題は自己破産や個人再生をする場合は、これが債務者本人の財産だとみなされることです。

自己破産の場合は管財事件になる

自己破産の場合は通常、債務者の財産が40万円を超えると管財事件になります。管財事件になると債務者の財産は換価されて債権者に分配されます。つまり先ほどの事例で言うと、財産の合計額が40万円を超えていると、保険は強制解約されて解約金は債権者に支払われることになります。

個人再生の場合は清算価値に加算されて支払額に影響する

個人再生の場合はもう少し複雑で、債務者の財産のことを清算価値と呼びます。この清算価値の合計が「100万円」または「債務総額の5分の1」のどちらよりも多かった場合は、清算価値が個人再生の支払額となるというルールがあります。

例えば、債務総額が600万円で清算価値が150万円だった場合、債務総額の5分の1は120万円で、清算価値は100万円と120万円のどちらよりも多いので、支払額は清算価値である150万円になるというわけです。

保険の解約返戻金が高額だと個人再生ができないこともある

このように保険の解約返戻金は清算価値に影響を与え、清算価値は支払額に影響を与えます。つまり保険の解約返戻金が予想以上に高額だった場合、支払額が分割しても支払えない金額になる可能性があるということです。そのような場合は個人再生をあきらめざるを得ないこともあります。

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11月 26 2024

悪意の不法行為債権を個人再生するとどうなるのか 個人再生㊹

悪意の不法行為債権

悪意で加えた不法行為による損害賠償債権は免責されないのが原則です。

例えば詐欺をした結果、被害者から訴えられて損害賠償が確定した場合、その賠償金が破産や再生で免責されたら理不尽だと思いますよね。法律も同じように考えていて、免責はされません。

悪意の不法行為債権を個人再生にするとどうなるか

ただし悪意の不法行為債権を個人再生した場合は、特殊な取り扱いになります。

具体的には、手続期間中は他の借金と同様の取り扱いになるのです。

例えば、悪意の不法行為債権が200万円で他の借金が3件で300万円(1件100万円)、合計で500万円を個人再生した場合を考えてみましょう。

まず通常通り合計金額が5分の1に減額されて、100万円を3年の分割払いになります。(悪意の不法行為債権は40万円に、その他は各20万円に減額されます。)

「あれ免責されないんじゃなかったの」と思われた方、ちょっと待ってください。これで終わりじゃありません。

手続が終わった後で残金が一括払いになる

無事に3年間の分割で5分の1を支払い終わった後、通常の借金である300万円の残額合計240万円は免責されて支払義務はありません。

しかし悪意の不法行為債権である200万円の残額、160万円は免責されません。5分の4の残金は一括で支払う義務を負います。

支払を遅らせることはできるが……

個人再生は減額したあと分割で支払うという手続なので、このような特殊な取り扱いになります。一部の支払いを遅らせることができますが、最終的には悪意の不法行為債権は全額支払義務を負います。

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11月 18 2024

メルカリのクレジットカードはメルペイが発行 個人再生㊸

メルカリのクレジットカード

メルカリを利用している人はかなりの数になると思います。そのメルカリのクレジットカードサービスを「メルカード」と言います。

非常に間違えやすいのですが、何とメルカードと言う名前の会社がメルカリ以外にも存在します。トラブルになる可能性があるので、今回取り上げました。

カード名と同じ会社がある

カード名と同じ「メルカード」という会社があり、多くはクレジット会社ではなく、メルカリとも全く無関係です。メルカードとはスペイン語で「市場」と言う意味で普通名詞なので、複数の業態で使われているようです。市場と言う意味から、食料品関係の業者の名前に多いようです。

メルカリのカードはメルペイが発行

ではメルカリのメルカードはどこなのかと言うと、メルペイが発行しています。メルカリのメルカードが未払いになった時の窓口はメルペイになる訳です。

またメルペイは受任通知を受け取ると、提携している弁護士事務所に業務委託することが多いようです。

メルカードという名称は変更した方が良いのでは

このように同じ名前の会社があるために極めて紛らわしいことになっているメルカードですが、名称は変更した方が良いのではないかと思います。多分、最初に決めた人は、メルカリのカードだから合成してメルカードと単純に決めたのではないかと思いますが、調べてみるとスペイン語の普通名詞なので他にも使われている可能性が高い名称です。

誤解を招くのを防ぐためにも、メルペイカードなどにした方が良いのではないかと個人的には思いますね。

個人再生で債権者を間違えると大変

なぜ今回、この記事を個人再生で取り上げたかと言うと、万が一、異なる債権者を債権者一覧表に記載して開始決定が出てしまうと、開始決定が出た後では債権者一覧表の変更ができないからです。この場合、何とかする方法として考えられるのは、異議申述期間に「債権者ではないので債務額は0円」という異議を出して反論が無ければ0円で確定する、という回りくどい方法を取るしかないでしょう。

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10月 26 2023

1500万円以上の個人再生は非常にお得 個人再生㊷

個人再生における借金の減額

個人再生は借金の総額を裁判所の手続によって減額させる手続です。

原則として債務残高が500万円以上の場合は5分の1に、債務残高が500万円以内の場合は100万円に、減額されます。(ただし、債務者の財産が多い場合は、それ以上払うことになる場合があります。)

個人再生では債務残高が多いほど、お得になる

個人再生は区切りになる金額があり、第一の区切りは上記に示した500万円ですが、第二の区切りが1500万円で第三の区切りが3000万円になります。

500万円から1500万円は5分の1に減額されますが、1500万円を超えると何と一律300万円まで減額されます。例えば、2000万円でも2500万円でも3000万円でも、個人再生が認可されれば支払額は300万円になるのです。減額幅が大きく、お得感がありますよね。

1500万円以上の個人再生はお得だけど審査は大変

ただし、個人再生は基本的に3年分割なので、300万円だと毎月8万円以上の支払いが必要です。裁判所も8万円以上の支払能力があるかを審査してきますので、「支払えそうにない」と判断されたら認可してくれません。お得であっても審査を通すハードルは低くありません。

3000万円以上の個人再生は10分の1に

3000万円を超えると一律300万円ではなくなり、支払額は10分の1になります。これでも充分お得です。しかし、支払額は300万円を超えますので、審査のハードルはより上がることになります。

尚、個人再生は借金の総額5000万円が上限です。それを超えると利用することができません。(昔は3000万円までしか使えませんでしたが、途中から5000万円にアップしました)

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4月 03 2020

楽天カードの個人再生は要注意 個人再生(41)

小規模個人再生とは

個人再生には大きく分けて2種類の手続があります。小規模個人再生と給与所得者再生です。個人再生の恐らく9割近くが小規模個人再生で、給与所得者再生の件数は非常に少ないです。給与所得者再生はやったことが無いという事務所も少なくありません。

なぜ小規模個人再生の方が多いのか

小規模個人再生の方が圧倒的に多い理由としては2つあると私は思います。
一つは、認可決定後の債務者の支払総額が、小規模個人再生の方が安くなることが多いからです。債務者の負担が軽くなる可能性が高いということです。
もう一つは、書類の数が小規模個人再生の方が少ないので時間が短縮できる、という点です。給与所得者再生の方が手間がかかるのです。

ならば全員が小規模個人再生を選択するのでは?

メリットの多い小規模個人再生ですが、一つだけデメリットがあります。それが書面決議です。書面決議を避けるために給与所得者再生を選択する場合があるのです。

書面決議とは

小規模個人再生だけにある制度です。
裁判所が審査を終えてOKを出した後に、全ての債権者に再生計画案と投票用紙を配ります。この投票用紙には、「この再生計画案に反対の方のみ裁判所に提出してください」と書かれています。
そして、債権総額の過半数の反対が出たら、例え裁判所の審査が通っていても「不認可」になってしまうのです。

※他にも「債権者の頭数の半数以上の反対で不認可になる」という規定がありますが、実務上はほとんど無いので無視して良いでしょう。

書面決議での不認可は、どのくらいあるのか

書面決議における不認可の割合は現実には、それほど多くありません。一説には5%以下とも言われています。しかしゼロではありませんから気になる人はいるでしょう。ちなみに私の事務所では開業17年になりますが、書面決議での不認可は1件のみです。

どういう場合に不認可になるのか

一般的には、日本政策金融公庫とか信用保証協会などの公的な性格の強い金融機関が反対を出すことが多いと言われてきました。しかし、最近ではこれらの金融機関でも個人再生に協力的になってきて、反対しない場合も増えてきているようです。

楽天カードに要注意

今までは、消費者金融やクレジット会社は書面決議で反対することはほとんどありませんでした。損得を合理的に考えれば、個人再生をつぶして債務者に破産されたら損になってしまうからです。
しかし最近、要注意の会社が出てきました。楽天カードです。楽天カードは1社で債権総額の過半数を取っている場合、反対してくる可能性が高いのです。

楽天カードの実際の事例

私の事務所で実際にあった事例です。(書面決議で否決された唯一の事例です)
債権総額が4社で590万くらいありました。その中に楽天銀行と楽天カードがありました。楽天銀行が200万、楽天カードが100万ほどでした。
楽天銀行の保証会社が楽天カードになっていたので、債務整理を開始したら楽天銀行の債務は代位弁済で楽天カードに移りました(保証会社が代わりに払うことを代位弁済と言います)。
代位弁済により楽天カードの債権額が300万円ほどになってしまい、過半数を超えてしまいました。この状態で書面決議になってしまい、反対は楽天カード1社でしたが、小規模個人再生は不認可となってしまいました。

給与所得者再生には書面決議が無い

上記の事例で不認可となった後、私は給与所得者再生で申し立てをしました。理由は、給与所得者再生には書面決議が無いからです。裁判所の審査を通れば認可決定が出ます。
給与所得者再生には、支払総額が小規模よりも高くなることが多いとか、手続に時間がかかるとかのデメリットも多いのですが、「書面決議が無い」というメリットがあるのです。
小規模個人再生の不認可率がかなり低いので、あまり使われることが無い給与所得者再生ですが、今後は、楽天カードが過半数の金額を占める可能性がある場合は給与所得者再生を使っていく必要があるでしょう。

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5月 16 2019

過去に自己破産した後の個人再生は可能か? 個人再生(40)

自己破産の後の個人再生

結論から言うと可能です。個人再生は自己破産のような期間の制限がありません。例え自己破産の翌年であっても制度上は可能です。実際に私の事務所でも何回か経験があります。

何故、自己破産の後でも個人再生はできるのか

個人再生は、書面決議という手続によって、債権者の意見を聞く機会を設けているからです。気に入らなければ債権者は書面決議で反対することが可能です。裏を返せば、債権者が書面決議で賛成したならば、裁判所が止める必要は無いという考え方になっているのです。

自己破産の後でも書面決議は通るのか

通常の書面決議は95%以上の確率で通ります。しかし、自己破産の後の場合は若干、確率が下がるのは覚悟した方が良いでしょう。特に自己破産の時と同じ業者がいた場合は、その業者は反対してくる確率が高いかもしれません。
しかし、書面決議は債権者の数の半数以上、債権額の過半数を超えた反対が無い限り、個人再生が認められます。従って、全体としては審査が通ることの方が多いでしょう。

自己破産の後の時は再生委員は付くのか

最近の名古屋地裁の傾向として、個人再生の再生委員は圧倒的に付かないことの方が多くなりました。これは費用の面でも時間の面でも非常に助かります(再生委員が付かない方が費用も安く時間も短い)。
再生委員は裁判所が「この債務者は注意が必要」と考えた時に付く傾向がありますので、過去に自己破産をした債務者の場合は付く可能性が高そうに思えます。
私も、自己破産後の債務者の申立の時は、「今度は再生委員が付くかもしれない」と覚悟するのですが、幸いなことに今のところ付いていません。

では自己破産の後でも全く同じなのか

自己破産の後の個人再生の流れが、通常と全く同じかと言うと、それはやはり違います。
今のところ再生委員が付いたことはありませんが、その代わりに、裁判官による1対1の呼び出しがあります。
これは自己破産の後でなくても、複雑な事例の時は何回か経験があります。
「裁判官による呼出なんて緊張する。再生委員の方がマシなんじゃないか」と思う人がいるかもしれませんが、それは誤解です。経験上、絶対に裁判官による呼出の方がマシです。
まず、裁判官による呼出は裁判費用が通常と同じです。再生委員は裁判費用が10万円近く高くなりますから、これは大きな差です。また、裁判官の呼出は1回で終わることがほとんどです。再生委員の場合、2回・3回と続くことが珍しくありません。
ですから、裁判官による呼出になった場合は、「再生委員が付かなくて良かった。ラッキーだ。」と思うのが正解でしょう。

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個人再生

12月 06 2017

どうしても自己破産したくない人へ 個人再生(39) 

多くの人が、借金で困った時に、一度は頭をよぎるのが自己破産だろうと思います。法律が改正され利率が下がった為、以前に比べて過払金で何とかなる人は、右肩下がりで減少しており、最近では自己破産が増加傾向にあります。しかし、自己破産以外にも個人再生という債務整理の手段があることは、あまり知られていません。これは非常にもったいないことだと私は思います。

自己破産には様々な制約があります。例えば以下のようなものです。

(1)「同時廃止」と「管財事件」という2種類があり、管財事件に回されると裁判所に払う費用(弁護士・司法書士費用とは別です)だけで40万近くかかります。また、破産管財人が選任されて、管財人によって細かい財産調査を受けることになり、期間も長くなります。一方、同時廃止の場合は、裁判所に払う費用は通常5万円以下で、破産管財人も選任されません。

(2)上記のような理由で同時廃止を望む債務者が多いのですが、裁判所は同時廃止をなかなか認めない傾向があります。特に最近はその傾向が強くなっています。

(3)同時廃止にする為には、手持ちの財産総額(現金・預貯金・保険・車・退職金の一部・不動産など)が40万円以内であることが最低の条件になっています。また、浪費・ギャンブルなどが借金の大半を占めている場合も認められないケースが多いです。

(4)過去に自営業や会社の経営者になっていた場合も、同時廃止が認められないことが多いです。現在、自営業や経営者の場合は、ほとんどが認められません。

(5)同時廃止であっても、裁判所に債務者が呼び出され、裁判官と面談することが2回もあります。(1回ですむこともたまにありますが、最近は少ないです)

これらの理由により、自己破産は使いにくい制度になっているのが実情です。他にも「イメージが悪い」というのも、自己破産を避けたい大きな理由の一つになるでしょう。

これに対して個人再生は現在、非常に使いやすい制度になっており、お薦めです。具体的に説明すると以下のとおりです。

(1)個人再生とは、借金を5分の1、または100万円まで強制的に減額して、無利息3年36回払いで毎月支払っていくという非常にお得な制度です。

(2)裁判所に支払う費用は通常5万円以下です。たまに(1割くらい)、これ以上になる場合がありますが、それでも15万円以下です。最近は、高額になるケースが減少傾向です。自己破産は高額になるケースが増加傾向なので、逆になっています。

(3)通常は、債務者が裁判所に呼び出さることは1回もありません。書類の提出だけで進行していきます。たまに(1割以下)、呼び出されることがありますが、非常に少ないです。

(4)借金の原因は問われません。全額ギャンブルや投資の損失などでも借金を減らすが出来ます。

(5)同時廃止のような手持ちの財産制限がありません。財産を換金する必要もありません。ただ減額した借金の額と財産総額を比べて、財産総額の方が高かった場合は、分割払いの支払いが多くなることはあります。

(6)住宅ローンがある人は、住宅ローンをそのまま払い続けながら、他の借金だけを減らすことが可能です。ようするに、住宅を失わずに借金を大幅に減らすことが出来るのです。これは、個人再生だけに認められている大きなメリットです。

このように個人再生は自己破産にはないメリットがたくさんあります。しかし、比較的新しい制度なので、経験している専門家が少なく、自己破産ほど知られていません。丁度、医療で言えば、最新の治療法のようなものだと思って頂けると近いと思います。「最新の治療法を使えば、今まで救えなかった人も救えるようになる」というイメージです。

専門家も、自分があまり経験していない制度はすすめにくいという事情もあるでしょう。しかし、債務者にはそんな事情は関係ありません。

「専門家に相談に行ったら、自己破産をすすめられた。しかし、どうしても破産は嫌だったので、セカンドオピニオンを聞くつもりで、他の事務所の無料相談を受けてみた」。このような方が私の事務所にはよく訪れます。そして、個人再生の話を聞くと、「そんな方法があったんですか、全然教えてもらえなかった。」と言って、驚かれる方が多いです。

どうしても自己破産が嫌な人は、一度、個人再生で解決できないかを検討してみることを強くおすすめします。

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4月 11 2017

無職だと個人再生は出来ないのか?  個人再生(38) 

原則としては、個人再生は定期収入があることが条件になっています。減額した後の借金を3年の分割払いで支払っていくことが前提の手続だからです。しかし、無職の人でも個人再生が可能な場合があります。現実に、私が取り扱った依頼で、無職の時に相談を受けて個人再生の認可をもらった事例が複数あります。

もちろん無条件で認可をもらえる訳ではありません。無職で認可を得るには、2~3カ月以内に就職する予定があり、給料の額もだいたい分かっている場合に限ります。

逆に言えば、上の条件を満たしていれば、個人再生をあきらめる必要はありません。他の事務所で「出来ない」と言われて私の事務所に来て、条件を満たしていることが分かったので手続をして、無事に認可を得たケースが現実にあります。

個人再生の場合、全体の件数が少ないので(自己破産の10分の1程度)、慣れていない専門家も結構います。相談の時に経験の少ない専門家に当たると、上記の事例のように、可能なのに不可能と判断されてしまう可能性もあります。

無職でも就職予定がはっきりしているのなら、個人再生を検討する余地はありますので、知っておいて下さい。

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