12月 08 2009
臨時ニュース 武富士の貸出ストップと最近の過払事情
ご無沙汰しておりました。年末にかけて大変、忙しかったので、しばらくブログをサボっておりました。定期的に読んで頂いていた方には申し訳ありません。
さて本日は重要なニュースが飛び込んできたので、こちらから。
先月くらいから武富士が貸出を事実上ストップしているという情報が入ってきました。自社でかかえる優良顧客に対しても貸出を抑えているそうです。理由は格付けを下げられた為に資金繰りが苦しくなり、とにかく手持ちの現金を確保することに専念しているということです。アイフルのような私的整理に進む可能性も否定できなくなってきました。(好意的に見れば、そうならない為に貸出を抑えたという見方もできますが)
いずれにしても、武富士と言えば、かつては業界トップに君臨した貸金業者です。(ちなみにアイフルもトップになったことがありますね)。まさに貸金業界総崩れの様相を呈してきました。
このような状況をふまえて最近の過払金事情を説明しましょう。
今年の夏頃から業者の過払金の支払いが急激に(本当に急激に)悪化しました。今までは支払いの遅れや減額は中堅業者に留まっていたのですが、それが主要業者(武富士、アコム、アイフル、プロミス)にも一気に広がってきたのです。これらの業者は顧客の数が中堅業者とは桁違いなので、与える影響は甚大です。具体的には以下のような悪影響が出てきています。
まず、訴訟をせずに任意での返還請求に応じる確率が極端に減りました。例え応じても、かなりの減額を覚悟しなければなりません。あるいは希望額を取れたとしても、かなり遅い支払期日になってしまいます(武富士は今、平均で半年後くらいになってきています)。それでも、一括で支払ってくれば良い方で、分割払いを要求されることも珍しくありません。(債務者の支払いではありませんので勘違いしないで下さいね。貸金業者が過払金を支払うのに分割にしてくれと言ってくるのですよ)
従って、現状では満額取ろうと思ったら、9割以上の確率で訴訟になります。だから裁判所が、かつてないほどに混雑しています。今まで訴訟前に終わっていた案件が、ことごとく訴訟になってしまうのですから無理もありません。裁判所が混雑すると裁判期日が後ろに押されていきますから、こちらの方も遅くなっていきます。まさに踏んだり蹴ったりの状況です。(そんな訳で私も毎日のように、どこかの裁判所に顔を出しています。だから忙しかったんですね)
今までスピードを売りにしていた事務所は、かなりの痛手を受けているのではないでしょうか。もし、現在でもスピードを売りにしていたとしたら、それは満額回収していない可能性が高いですから、よく説明を聞いた方が良いでしょう。
どうやら、過払バブルと呼ばれた時期も終わりに近づいたようです。少なくとも、大型事務所が新人弁護士や新人司法書士を、たくさん雇ってベルトコンベアーのようにマニュアル通りの対応で大量に迅速に処理するというビジネスモデルは、もう成立しないように思います。(このモデルが成立する為には、各事件が簡単に早く解決できるというのが絶対条件ですから)。
今後、大型事務所は債務整理から手を引き始めるのではないでしょうか。顧客集めの為にかけた大量の広告費(TVコマーシャルや電車広告など)は、手間がかかるようになったら回収するのが難しくなります。こういうコストは大型事務所ほど大きな負担になって跳ね返ってきます。「環境が激変した時は大きなものほど対応が遅い」のは良く言われることです。
また、依頼者の側から見た場合、今後は「早く回収したいならば減額もやむを得ない」という覚悟は必要だと思います。依頼する時に、その辺りの説明は事務所に、しっかり聞きましょう。









