4月 09 2010
最近の任意整理事情
本日は法定利息に引き直し計算をした後に債務が残ってしまった場合の、最近の業者の対応について話したいと思います。
これについては、正直言って、各社とも相当に厳しい対応をしてきているというのが実情です。
背景には、今年の6月に完全施行される改正貸金業法に向けて貸金業者が経営の見直しを図っているという点があります。特に業者が神経をとがらせているのが、貸付を年収の3分の1に規制する「総量規制」です。
更に大量に発生している過払金請求が業者の経営を悪化させていますので、業者に余裕がなくなっているのも大きな原因でしょう。(だからと言って、過払金請求は正当な権利ですから、遠慮する必要はありませんが)。
最近の状況で特徴的なのは、過払請求の時にも指摘しましたが、以前は中堅・小規模業者に限られていた厳しい対応が、ついに主要業者にも波及してきたことです。主要業者は抱えている契約者の数が多いですから、影響が非常に大きいのです。
例えば、最近、問題になっているのが、「債務が残って分割払いになる時、将来利息のカットに応じない」というケースが目立ってきていることです。武富士・アイフルなどが最近、これを主張してきて、なかなか和解がまとまらなくなっています。
「将来利息カット」と聞いても何のことか分からない人もいるかもしれませんので説明しましょう。将来利息とは分割の和解を結んだ後で支払われる分割金に対して付けられる利息のことです。
今までは任意整理の際には将来利息のカットは暗黙の了解事項として業者は応じていました。従って、任意整理を専門家に頼むと分割金には利息が付かず、法定利息に引き直した金額を、そのまま分割回数で割った金額を払えば良かったのです。
ところが最近は主要業者でも武富士やアイフルは「分割の時は将来利息を付けろ」と言ってきます。プロミスも同じことを言ってきますが、ここは何ヶ月か粘っていると担当部署が変更になって、最終的には将来利息カットを認めてくれるようです。(それにしても以前に比べて交渉に時間がかかります)。
一般の人は、この話を聞くと、「専門家なんだから何とかならないのか」と思うかもしれません。しかし、この点に関しては業者が譲らない限り、どんな腕利きの専門家でも、どうしようもありません。何故ならば、法的には将来利息は付けなければならないものだからです。要するに、もし業者が裁判に訴えたら裁判所は業者の言い分を認めることになります。
では、何故、今まで業者は将来利息を付けない和解に応じていたかと言うと、余裕があったからです。経営に余裕があったので、やろうと思えばできたけれど、あえてやらなかった、ということになります。
しかし、最初に説明したように貸金業法の改正と、相次ぐ過払金請求の為に業者には昔の余裕が無くなりました。そこで、起こってきたのが将来利息カットには応じないという業者の態度です。
こうなってくると、法的には業者の言い分を否定することは出来ない訳ですから、債務が残った場合の選択は二つしかありません。一つは何としても一括で払う方法。もう一つは将来利息を付けてでも分割にする方法です。
一括で払うには、他の業者で過払金があれば、それを使います。それが無ければ親族に援助を頼むか、頼める親族がいない場合は一括で払えるまでお金を貯めるしかありません。
過払金で他の債務が返済できる場合は割と問題無いのですが、残った債務を過払金では支払えない場合は以前に比べて難しい状況になってきていることは事実です。
では次回は久しぶりに前のシリーズ「司法書士事務所の見分け方」の続きになります。









