1月 19 2022
5年経過後の支払督促は時効が成立する 時効(99)
支払督促と時効の関係
支払督促は簡易裁判所に申し立てられる請求の手続きで、民事訴訟よりも簡単に裁判をすることができます。その分、民事訴訟の判決よりも効果は弱い部分があります。
具体的には、債務者が民事訴訟に対して何も反論しないで放置した時は、時効による反論ができなくなる危険がありますが、支払督促を放置した時は時効で解決できる可能性が高いです。
※民事訴訟の場合でも、判決が確定するまでは時効による反論は可能です。重要なことなので覚えておきましょう。
5年以内の支払督促は時効がリセットされる
最後の取引から5年以内に簡易裁判所に支払督促を申し立てられた場合、消滅時効の期間はリセットされて振り出しに戻ります。更に支払督促後は時効の期間が10年に延長されます。
これは時効になっているかどうかを検討する時に、とても重要なことなので覚えておきましょう。
5年経過後の支払督促は時効が成立する(重要)
では最後の取引から5年以上経ってから支払督促が申し立てられた時は、どうなるのでしょうか。これは経験上、結構あるケースなので、ここから先はとても重要です。
結論から言うと、5年経過した後なら時効は成立します。ただし、法的にきちんと反論しなくてはいけません。
仮執行宣言が出された後でも大丈夫なのか
支払督促は放置すると仮執行宣言が出されます。仮執行宣言が出されると、債権者はいつでも差押をすることが可能になり、債務者はとても危険な状態になります。
しかし、この状態になっても、法的に正しい反論をすれば時効で解決することは可能です。
支払督促には既判力が無い
支払督促には「既判力が無い」という大きな特徴があります。既判力とは、「その後の同じ裁判を許さない決まり」と考えれば良いでしょう。
負けたからと言って何度も同じ裁判をして、そのうち勝つだろうという手段が認められたらキリがありません。従って通常の民事訴訟では、いったん判決が確定したら、同じ当事者で同じ内容なら2度と裁判を受け付けない、というルールがあります。これを既判力と言います。
そして支払督促の場合は、この既判力が無いのです。
支払督促に既判力が無いと、どうなるか
既判力が無いということは、5年以上経って時効期間が経過していれば、例え支払督促の手続が終了した後でも、もう一度、正しい時効の主張をすれば、ひっくり返すことができる、ということになります。
事実、私の事務所では、半分あきらめていた債務者からの相談で、同様のケースで時効により解決した事例が複数あります。
差押をされても大丈夫
確定した判決による差押は、後でひっくり返すのは困難です。しかし、5年経過後の支払督促(仮執行宣言付支払督促)による差押の場合は解決できる可能性が高いです。これには気づいていない事務所もたまにあるので注意が必要です。
具体的な解決法としては、「請求異議の訴え」があります。これは差押の元になっている請求が間違っているので、審査のやり直しを求めるものです。ただし民事訴訟の確定判決の場合は既判力がありますので出来ません。しかし、支払督促の場合は既判力がありませんので、「請求異議の訴え」ができるのです。
過去に支払督促を出されていても、あきらめていはいけません
このように最後の取引から5年経過後の支払督促の場合は、時効で解決できる可能性が高いです。あきらめないで専門家に相談しましょう。
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