司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

3月 08 2011

過払金の相続

8:06 PM 過払金請求

 最近、立て続けに過払金の相続の依頼がありましたので、本日は、この話題を取り上げようと思います。

 高齢の両親が消費者金融やクレジットカードから、かなり長期間の借入をしていて、過払金が発生している可能性が極めて高い場合に、ご両親が亡くなると過払金の相続の問題が発生します。

過払金は相続財産に含まれますので、相続人が複数いる場合は、

1 相続人全員から請求して後ほど相続分に応じて分配する。(専門家に依頼する場合は全員と面談し、委任状も全員からもらう必要があります)

2 遺産分割や相続放棄をしてもらい、誰か一人を相続人に決めて、その相続人から請求する

の二通りの方法があります。

ちなみに過払金の金額を確かめる為の取引履歴の開示のみだったら、たとえ相続人が複数であったとしても相続人のうちの誰か一人から請求することは可能です。(要は遺産分割の前に金額を確かめることは可能ということです)

生前、貸金業者からの催促の電話が、よく家にかかってきた場合などは同居の家族も苦労している訳ですから、故人の過払金を請求する権利はあるように思います。

一方、生前は全く借金があることなど知らず、亡くなってからカードや明細書が見つかって驚いて相談に来られる方もいます。こういう場合、そもそも何社から借りていたのか、過去に完済している業者があるのかなどの重要な情報が分からなくなっている場合があるので注意が必要です。

残高がある場合は、相続人であることが証明できれば情報機関に問い合わせれば、ほとんどのケースで解決しますが、完済している場合には情報機関にも情報が残っていない可能性があるので、やっかいです。この場合は故人の机や書棚をひっくり返して探すしかないでしょう。完済しているケースは一般的に過払金の金額が大きくなるので、面倒がらずに探した方が良いと思います。

特に完済している場合は完済から10年で時効により回収できなくなってしまいますから、どうせ相続財産など無いと考えて遺産分割もやらずに放っておいたような人は、見覚えがある場合は探してみるべきでしょう。ひょっとしたら驚くような過払金が眠っているかもしれません。

相続人の一人から過払金を請求する場合は、かなり詳細な相続証明書類が要求されるのが普通です。請求された側の貸金業者の立場からすれば、間違った人に支払ったら大変なトラブルになってしまいますから、まあ、これは仕方がないでしょう。

例を挙げると、被相続人(亡くなった人のこと)の死亡を証明する書類、被相続人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍(これが人によっては大変な分量になります。特に住所を転々と移動していた人は遠方の役所に請求を出す必要がありますので非常に大きな手間になります)、遺産分割協議書、相続放棄証明書(家庭裁判所で取得します)などです。正直、素人が正確に集めようとすると、かなり面倒だと思います。ですから、ほとんどのケースで相続関係書類は司法書士・弁護士の仕事になっています。(不動産の相続が絡む時は、圧倒的に司法書士の仕事になることが多いです)

 では次回は、クレジットカードのマンスリークリアについてです。