11月 30 2022
第三者からの情報取得手続 強制執行(差押)③
債務名義を取ったのに相手の財産が不明
債権回収のあるあるに、裁判をやって判決や仮執行宣言付支払督促を取ったのに、相手の財産が分からなくて回収することができない、というのがあります。この悩みは決して珍しいことではなく、このことが理由で回収をあきらめるケースもあるのです。
民事執行法の改正
上記のような理不尽な状態を解消するために民事執行法が改正されて、新たに「第三者からの情報取得手続」が制度化されました。これによって、今までよりは債務者の不明な財産を調査しやすくなりました。
第三者からの情報取得手続を利用できる場合
第三者からの情報取得手続を利用するためには債務名義を取得している必要があります。債務名義については今までのブログで説明していますので省略します。あと以下の2つの条件のどちらかを満たしている必要があります。
- 強制執行を行ったが完全な弁済を受けられなかったこと
例えば、100万円の請求で強制執行を行ったが50万円しか回収できなかったようなケースです。
- 知っている財産に対して強制執行をしても完全な弁済を得られないこと
この条件には全く財産を知らない場合も含まれます。強制執行をしても全額の回収ができないことが最初から分かっている場合のことです。
第三者からの情報取得手続で取得できる情報とは
この制度で取得できる情報は以下の4つです。
- 法務局から不動産の情報
- 金融機関から支店や口座や残高の情報
- 証券会社から株式の情報
- 市町村から勤務先の情報です。
このうち4の勤務先情報については請求権の種類に制限があります。具体的には養育費の請求権と、生命や身体の侵害による損害賠償請求権に限られています。
また不動産と勤務先の情報取得については、財産開示手続をしてからでないと利用できません。財産開示手続については長くなりますので詳細は省きます。利用しにくい制度で、実際にあまり使われていないということだけ覚えておいて頂ければ良いでしょう。
預貯金情報の取得
この制度で最も利用価値が高く利用機会が多いと思われるのは、金融機関から得られる預貯金情報です。ただし、この制度を利用するためには最低でも銀行名は特定する必要があります。銀行名が分からない場合は、債務者が使っていそうな銀行を複数指定して申し立てをすることになるでしょう。
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