司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

12月 05 2011

臨時ニュース 平成23年12月1日最高裁判決

3:59 PM 過払金請求

最近の過払金訴訟で貸金業者側がしてきた主要な反論が二つあります。

一つは、取引の途中で空白期間があった場合の取引の分断の主張、もう一つは、悪意受益者の利息に対して、当時は悪意だと考えていなかった特段の事情があるから、やむを得ない為に利息は支払わないという主張です。

上記2大反論のうち、悪意受益者の利息について、この度、最高裁判所が決着をつけました。結論から言うと、貸金業者は、きちんとした法定書面を交付していない場合、悪意ではないと考える特段の事情は存在しない。故に過払金に対する5%の利息は認められる、というものです。

この判決によって、今まで利息に関して、さんざん抵抗してきた業者も今後は支払う方向に向かっていくものと思われます。(もちろん、経営悪化の為に支払能力が無い業者は話が別です。こればかりは、どんな有利な判決が出ようと、どうしようもありません)

しかし、楽観は禁物です。今よりは支払いが良くなるとは思いますが、この判決だけで全ての利息が取れるようになるとは限りません。

例えば、今回は、きちんとした法定書面が交付されていない場合は利息は支払わなくてはならないと判決では言っていますが、裏を返せば、きちんとした法定書面が出ていた場合は支払わなくても良いという解釈も可能な訳です。(この反論は今後、予想されます)

法定書面には2種類あって、17条書面(契約書面)・18条書面(受取書面)がそれにあたります。法律では、これらの書面に返済期間と返済回数の記載が義務付けられていますが、実際には、これらの記載がされるようになったのは、ここ数年のことなのです。

従って、これらの記載がされる前に過払金が発生している取引ならば恐らく問題は無いと思われますが、これらの記載がされるようになった後に過払金が発生する取引の場合は業者の抵抗が予想される訳です。

まだ100%こちらの主張が通ると言う訳ではありませんが、今までよりは格段に良くなったことは確かです。貸金業者との争いは少しずつ前進する積み重ねの歴史でした。一朝一夕に事が進む訳ではありません。今回は素直に喜んで、利息の請求に努めていきましょう。