司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 11 2025

開始決定後に債権者が代位弁済された場合 個人再生㊻

10:23 AM 個人再生

Q 個人再生の開始決定とは?

A 個人再生の申立書類を裁判所に提出した後、最初の審査が行われます。個人再生の要件を満たしているかどうかこのまま個人再生の手続を進めて良いかどうかを調べる審査です。

その最初の審査を通過すると開始決定が出されます。開始決定が出されると、債権者一覧表が各債権者に郵送されて、修正があれば債権届が提出されます。

Q 代位弁済とは?

A 保証会社が付いている場合、債務者が払えなくなった時に保証会社が代わりに支払うことになり、これを代位弁済と言います。

代位弁済されると本来の債権者は債権者ではなくなり、新たに保証会社が債権者となります。つまり債権者の変更が行われるのです。

Q 個人再生の開始決定後に代位弁済されると、どうなりますか?

A 既に申し立ての段階で債権者一覧表は裁判所に出しているので、債権者の変更をしなくてはなりません。しかし個人再生のルールで「開始決定後は債権者一覧表の差し替えはできない」ことになっています。理由は、既に各債権者に郵送されているからです。

Q 個人再生の開始決定後に債権者を変更するには、どうしたら良いですか?

A 開始決定後の債権者一覧表の差し替えはできませんが、各債権者に対して異議を出すことはできます。ただし申立の時に一覧表の「異議の留保」の欄にチェックを入れておくことが条件です。

そこで元の債権者に対して「現在の債権額は、代位弁済されたため0円」という異議を出します。あるいは元の債権者が協力するなら、0円と言う債権届を裁判所に出してもらうのも良いでしょう。その上で、代位弁済した保証会社に連絡して、代位弁済した金額の債権届を新たに出してもらえば良いのです。

Q 個人再生では、なぜ債権届や異議などの複雑なルールがあるのでしょう?

A 個人再生では「支払額の元となる債権額は、債権者と債務者が双方納得した金額で決める」という考え方があります。ですから債権者側からは債権届、債務者側からは異議という、双方から裁判所に修正を求める方法が認められているのです。このようなやり方にすると、後に債権額でトラブルがあった時に「あの時、修正を求めなかった方が悪い」ということになります。

Q 個人再生手続の途中で代位弁済が行われた時の、最も良い方法は何ですか?

A 最も良いのは、代位弁済が終了するまで個人再生の申立をしないことです。そうすれば債権者は保証会社で確定しますので、債権者の変更をする必要が無くなります。ただし代位弁済終了まで申立を待てない事情がある場合があります。

Q 保証会社の代位弁済終了まで個人再生の申立を待てないのは、どんな時ですか?

A それは他の債権者から裁判に訴えられている時、あるいは近いうちに訴えられそうな時です。例えばフクホーなどの債権者は、司法書士や弁護士が受任通知を出すと、割とすぐに訴えてきます。このような時は申立を急ぐ必要がありますので、代位弁済が終了するまで待っていられないのです。

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