4月 06 2012
破産しても支払義務が残る債権
一般的な認識だと、自己破産をすれば、全ての債権の請求からは解放されると考えられていますが、残念ながら一部の債権では支払義務が残るものがあります。
例えば、最も分かりやすいのが税金です。滞納した税金も債権の一つですが、この滞納税金に関しては破産をしても逃れることが出来ません。この辺はテレビドラマなどでも説明されていることがあるので、ご存知の人も多いかもしれません。
一方、あまり知られていないのが不法行為に基づく損害賠償請求権の一部が非免責債権(破産しても免責されない、ようするに支払義務が残ること)になっていることです。
これには2種類あって、一つは「悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権」です。この場合は、破産でも免責されないと法律で規定されています。
これは、悪意で不法行為を受けた被害者を守る為の規定です。もし、この債権を免責可能にしてしまうと、悪意で不法行為を他人に加えて、その後で破産すれば損害賠償から逃れられることになってしまいます。これでは、反社会的な行動を助長する恐れがあります。
もう一つは、「人の生命や身体に対して、故意または重過失による不法行為の損害賠償請求権」です。
故意または重過失とは、悪意よりも軽い意識で不法行為を加えたしまった場合でも、対象が人の生命・身体であれば、やはり破産しても免責は受けられませんよ、ということです。
これは、被害の対象が生命や身体の場合、ことの重大さを考慮して、例え悪意でなくても、故意・重過失であれば免責を許さないと法律で決めたものです。(この部分は、実は破産法が改正された時に新たに加えられたものです)
このように破産しても免責が受けられない債権というものがあります。今回取り上げなかった債権もありますので、知りたい方は専門家に、お聞き下さい。いずれにしても、破産すれば、どんな債権でも免責されるとは思わないでいて下さい。









