司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

7月 13 2012

キャッシングとショッピング

クレジットには一般的にショッピングとキャッシングの両方の機能があります(一部、キャッシングのみ、とかショッピングのみ、といったカードもあります)。そこで、たまに勘違いされている人がいるので説明をしておきますが、いわゆる任意整理とか過払金返還請求が出来るのはキャッシングの取引です。

何故かと言うと、ショッピングには、そもそも、利息制限法の適用が無いからです。しかし、人は不思議なもので、キャッシングだと、ものすごい高い利息でも借りる人が必ずいるのに(だからこそ、利息制限法が必要なのですが)、ショッピングでは特に利息を制限していなくても、高い利息を取ると利用する人が勝手にいなくなります。ようするに、ショッピングの利息は制限しなくても、自由競争にしておけば、そんなに高くならないのです。事実、利息制限の無いショッピングの方が、利息制限のあるキャッシングよりも、ほとんどの場合、利率が低いのです。

従って、ショッピングで借金を膨らませてしまった人は、返せなくなった場合、自己破産か個人再生を検討することになります。これ以外には法的には解決方法はありません。

ところが、最近の過払金請求の流行によって、何でも任意整理で解決するという錯覚を持ってしまった人が、かなりの割合で存在します。この人達を説得するのが結構、大変なのです。

貸金業法が改正されて、利率も下がり、過払金請求は年を追うごとに減少しています。ということは、任意整理で解決できる人の数も減少しているということです。もはや、司法書士や弁護士に任意整理を頼めば、借金の問題は、ほとんど解決するという時代は過去のものとなりました。

しかし残念ながら、一般の人の意識はそう簡単には変わりません。まだ、昔の感覚を引きずってしまっている人が多勢います。もちろん、今でも任意整理で解決できる人はいます。過払金が戻ってくる人もいます。しかし、明らかに割合が低くなっているのです。

実は、過払金請求が流行る前の、ほんの7~8年前には借金の整理と言えば、8割ほどは自己破産という時代がありました。その頃は、皆さん、わりと覚悟が出来ていた人が多かったように思います。しかし、今は、任意整理で解決すると思い込んでいる人が多いので、いざ、「あなたの場合は、破産か再生になります」と言うと、なかなか納得されない場合が多くなっています。

しかし、借金は放っておいても、なくなる訳ではなく、むしろ、返済が苦しいからこそ相談に来られている訳ですから、時間を空ければ、かえって金額が増えてしまうことが多いです。法律専門家に「破産か再生しかない」と言われたら、大抵の場合それは正しい判断でしょうから(よほどいい加減な法律家に当たらない限り)、覚悟を決めて頂くのが、結局、一番の解決方法になると思っています。