8月 20 2012
破産や再生における自動車の取り扱い
近年、最高裁で妙な判決が出て自己破産や個人再生の実務が混乱しているのをご存知でしょうか。それは、「車検証の名義がローン会社になっていない場合は、例え破産や再生を申し立てられたとしても、ローン会社は対抗要件を備えていないので、車を引き上げることが出来ない」というものです。
この判決は今までの破産や再生の実務に大きな影響を与えています。一見、「車が引き上げられなくなったのだから、債務者にとってラッキーではないか」という印象を持たれるかもしれませんが、残念ながら良いことばかりではありません。
それまでは、車の現在時価(申立をする時の売買価格)とローンの残債を比較してローン残高が多ければ、その車は無価値として申し立てることが出来ました。車が引き上げられた場合、ローン会社は換金してローンに充当してしまいますから、当然の結果です。
しかし、上記の最高裁判決が出てからは、そうはいかなくなりました。何しろローン会社は引き上げて換金することが出来なくなってしまったので、その代わり、車の時価はまるまる財産として計上しなくてはならなくなったのです。
これは結構、大問題で、例えば車の時価が安ければ良いのですが、仮に車の時価が50万円だったとすると、自己破産同時廃止の財産基準は40万円ですから、これだけで同時廃止が不可能になってしまいます。(管財事件に移行して申立費用が跳ね上がります)
個人再生においても、車の時価がそのまま清算価値に含まれますので、支払額が高額になる可能性が高まります。
7年以上経っている国産車は、高級車を除いては無価値と判断されますので、上記の最高裁判決は、むしろ良いことの方が多いでしょう。しかし、あまり年数が経っていない車の場合、申立にかなりの影響を及ぼすことになるでしょう。
もちろん、車を手放さずにすむのは良いことかもしれませんが、時価によっては良いことばかりではないことも知っておいて下さい。









