8月 23 2013
自己破産解決事例⑤
浪費による借入が多かったので、開始決定が出るまでに時間がかかったケースです。
Eさん、男性、30代
借入先8社、借入総額約500万円
以前、勤めていた会社は残業や休日出勤が非常に多く、会社の空気が断れる雰囲気ではなかった為、毎日のようにストレスがたまって、そのうち体の調子が悪くなるようになりました。
それで医者にみてもらったら、「うつ病」と診断されました。それでも会社には行っていましたが、そのうち、ストレス解消のためならと思い、買い物に行って必要以上に物を買ったり、飲みに行ったり、カラオケに行ったりを頻繁にするようになりました。
そんなことを続けていると、お金が足りなくなって借金をするようになりました。その頃は、仕事が忙しすぎるくらいだったので、返済の心配はあまりしませんでした。しかし、途中から、体調の悪化が激しくなり、仕事に支障をきたすくらいになってしまいました。このままではマズイと思い、会社を退職しました。
すると、当然ですが借金の返済が苦しくなり、返済の為に借金をするようになりました。ストレスが無くなったので浪費は一旦おさまったのですが、生活はむしろ苦しくなりました。それで、次の会社を探して就職しました。
しかし、前の会社に比べて給料が下がってしまったので、思ったよりも借金が減りません。借金返済のことを考えていたら再び「うつ病」の症状が出てきたので、これは何とかしないとマズイと思い、司法書士に相談することにしました。
相談すると、「あなたの場合、自己破産が適切でしょう」と言われ、一瞬悩みましたが、「うつ病」を抱えた状況では、とにかく借金を無くさないとどうにもならないなと考え破産を決意しました。その後、手続をしてもらいましたが、浪費で使ったお金が結構あったので、裁判所の審査期間は通常よりも結構、時間がかかってしまいました。
それでも司法書士さんの助けもあって、無事に手続を終えることが出来ました。今では決断して良かったと思っています。
○司法書士からのコメント○
破産原因に浪費がある人は結構います。むしろ、全く浪費が含まれていない人の方が珍しいかもしれません。それでも、ほとんどの場合、破産の審査は通ります。浪費といっても、借金の大部分が浪費とかでない限り、結構、裁判所は認めてくれるものなのです。
しかし、Eさんの場合は借金のかなりの部分が浪費で占められていました。これが裁判所の審査に影響して、開始決定が出るまでに、かなり時間がかかりました。具体的には、申立をしてから開始決定が出るまで5ヶ月近くかかりました。
個人再生ならば借金の原因は関係ありませんので、こんなことは起こらないのですが、Eさんの場合、再就職の会社で給料が下がってしまったので、個人再生を使えませんでした。何とか破産で審査を通すしかありません。
それで、病院から診断書をもらって、「うつ病」が原因で浪費になったのだから、情状酌量をして欲しいと裁判所に訴えました。そもそも、無茶な残業や休日出勤をさせていた会社が「うつ病」の原因なのだから、Eさんはむしろ被害者であるということも強調しました。その辺りが功を奏したのでしょうか、時間はかかりましたが、開始決定を得て手続を進めていくことが出来ました。
最近は破産手続が厳しくなる傾向があります。今回のケースも5年前ならば、問題なく通ったケースだと思います。破産は最後の手段ですから、あまり厳しくしてしまうのは問題のように思いますが、裁判所がそういう扱いをしている以上、プロとしては対応していくしかありません。今回のようなケースだと、「どこの事務所に行っても同じ」ということにはならない可能性が高いと思います。やはり、ある程度の経験が必要なケースもあるということです。









