司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

6月 06 2008

シリーズ 特定調停⑤

 特定調停シリーズの最後になります。今回のテーマは「2回目以降の期日」です。

 第1回の期日が無事に切り抜けられたら、いよいよ業者との調停になります。しかし、あまり怖がる必要はありません。前回も話したとおり、調停で一番の難関は1回目の調停委員との面談ですから、これが通過できたら、2回目以降はスムーズに運ぶことがほとんどです。

 業者との調停では、建前は業者と申立人と調停委員の3者面談ということになっていますが、現実には9割がたの業者は裁判所に出てきません。では、どうやって進めるのかと言うと、調停室には電話が備え付けてあって、調停委員が申立人の目の前で、業者に電話をかけてくれます。後は調停委員に任せておけば、1回目の期日で確認した申立人の支払能力に合わせたプランで、分割払いの調停をまとめてくれます。(まともな調停委員に当たれば、このように進むはずです)

 ごくたまに調停に出てくる業者もいます。出てきたからと言って、調停の進み方に違いはありません。調停委員がまともであれば、業者と交渉して分割払いのプランをまとめてくれるでしょう。

 非常にまれですが、一部の大変わがままな業者が調停のルールに従うことを拒否する場合があります。調停は、あくまで話し合いが前提なので、強硬に拒否されると不成立となって、その業者に関しては元の状態に戻ってしまいます。

 こういう業者がいる場合、「17条決定」と言う方法で、裁判所の判断で調停の条件を決めてしまうことも出来ますが、業者が異議を出してきた場合は「17条決定」の効力も無くなってしまいます。

 しかし、実際にそのような場面に出くわしたら、「17条決定」を出してもらうように調停委員を説得しましょう。いざ、「17条決定」が出されると、異議を出さずに決定に従う業者も少なからずいるからです。最初からあきらめてはいけません。可能性がある限り、「17条決定」は出してもらいましょう。

 まあ、このような悪質な業者はごく一部です。大半の業者は調停のルールには従いますので、あまり心配しない方が良いでしょう。ただ、不動産担保を取られているような場合は、普段はルールに従う業者でも不動産担保を盾にして調停を蹴ってくることが多いので、気をつけましょう。

 最後に、もし調停の最中に過払いが発生していることが発覚した場合は、必ず調停調書(17条決定の場合は「調停に代わる決定書」)には、「債務無し」と記載してもらいましょう。

 この場合、あまり詳しくない調停委員に当たると「債権債務無し」と記載されるケースがあります。こう書かれてしまうと、後で過払請求をすることが出来なくなってしまいます。(過払請求権は債権になるので、債権が無いと書かれると過払いを放棄したとみなされてしまうのです) 後で気付いて泣かない為にも注意が必要です。