司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 26 2008

シリーズ 各業者の対応③

4:17 PM 任意整理

 今回はアコムについてです。

 アコムは主要な消費者金融の中ではプロミスと並んで銀行と密接につながっています。アコムの提携先銀行はメガバンクの一つ三菱東京UFJ銀行です。いずれは銀行に吸収されるのでは、という噂も流れているくらいです。

例えば、キャッシュワン(三菱東京UFJ系列のローン会社)のカードローンを借りると保証会社がたいていアコムになっています。キャッシュワンの審査も事実上アコムのノウハウで行っているという噂です。

 この銀行との提携がアコムの長所であると同時に短所にもなっています。長所の部分は、法律違反に関して他の消費者金融よりも気を使っていることです。従って、武富士やアイフルに比べると強引な手法は少ないと言えるでしょう。まあ、一見、優等生に見える部分があります。(本当に優等生とは、もちろん思っていません。あくまで比較の問題です)

一方、短所と思える部分は、法律を前面に出して徹底的に争ってくる場合があることです。違法な手段というのは借りてる債務者にとっては、やっかいなものでしょうけど、法律家にとっては攻撃しやすいとも言えます。しかしながら、アコムは法律を盾にして正当性を主張してくることが多いので、やっかいで手ごわいのです。逆に法律で勝ち目が無いと分かった時には、ウソみたいに素直に従ってくることもあります。

 取引履歴の開示に関しては、まあ早い方でしょう。そんなに待たされることはありません。長期間の取引の場合でも、ほとんど開示されます。ごまかしについても、あまり心配する必要は無いでしょう。

 分割払いの交渉は、本人の支払能力さえ充分ならば、割とスムーズに決着できます。この点は評価できると思います。債務が残る場合は、ありがたい業者です。

 過払いが発生している場合は、先ほども触れたように、法律で争う余地が有る場合と無い場合で極端に態度が違います。争う余地が無い場合は非常に素直に支払ってきます。入金も早い方です。しかしながら、争う余地がある場合(最近では、途中で長い空白期間がある取引の場合など)は、途端に徹底的に争ってきて場合によっては弁護士をつけてくることもあります。法律で業者が勝てる可能性があると判断した時のアコムは、正直、武富士よりもやっかいです。この辺が銀行的と言われる所以です。

従って、過払請求をする場合は注意した方が良いでしょう。ケースによっては思わぬ抵抗にあうかもしれません。

 あと、アコムで注意したいのは、取引期間が長くて過払いになっている人に対して、積極的に利息無しの分割払いの和解を勧めていることです。過払いになっていることに気付かない人が、この誘いにのってしまい、中には「アコムは苦しい自分に有利な条件を出してくれて親切な会社だなぁ」などと思っている人までいるのです。

他の会社の取立てがきつくて相談に来て、取引履歴を取り寄せてみたらアコムもしっかり過払いだったなんてことが良くあります。今、このブログを読んでいる人で「あ、私もその和解結んじゃった。もう手遅れなのかな」と思った人は、あきらめないで下さい。和解契約書に印鑑を押した後でも過払請求は出来ます。実際に過払請求をしても、和解を結んだことを理由にしてアコムが過払請求を拒否することはありません。アコムにしてみれば、「あ、ばれちゃったか」という感じなのでしょう。

 アコムについては、この位にしておきましょう。次回はプロミスを取り上げます。