司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 18 2013

相続分に関する最高裁判決の矛盾

5:16 PM その他

婚外子の相続に関する最高裁判決が出ました。結果は、「婚外子の相続分を嫡出子の半分としている民法の規定は違憲」というものです。まあ最高裁の判決である以上、この方向で民法が改正されてしまうのは避けられないのでしょうが、私は個人的には、この判決には大いに疑問を持っています。(嫡出子とは法律婚のもとで出来た子供のことです)

そもそも相続分に関して、憲法が言うところの平等の価値観を当てはまるのは矛盾しているだろうと考えるからです。

相続とは本来、不平等が容認されている制度です。それが証拠に遺言というシステムが広く普及していて、法律もそれを認めています。アメリカ・イギリスなどは日本よりも遺言の力が強く、遺言が残された場合、それが何よりも優先されます。まさに遺言絶対主義です。

日本では、遺留分という制度があるため、遺言の力はアメリカ・イギリスほどではありませんが、それでも民法の規定を大きく変更して、財産を特定の個人に多く分配する、あるいは全く血のつながりがないものにさえ渡すことができるようになっています。これは、一見、不平等に見えますよね。でも、当たり前のように容認されています。

これは、そもそも相続財産というのは、もともと亡くなった人が築き上げた財産であり、それを財産を築いた本人がどのように分配しようと勝手だという考えが、多くの人に共通認識としてあるからです。極端なことを言えば、自分の代で財産を全部使ってしまったところで、相続人が文句を言える筋合いのものではありません。

従って、最初から「平等の分配」という価値観には、なじまないのが相続という制度だと、私は考えています。

そこで今回の問題を検証してみると、日本では法律婚を重視する政策をずっととってきていて社会的にもすっかり定着しています。だからこそ、「できちゃった婚」というのが最近流行っている訳です。日本の若い人が法律婚を重視しているからこそ、みんな子供が出来たら結婚しようとする訳です。

ならば社会的にも定着している法律婚を優先しようとする今までの民法の規定は、私には実に納得のいくものであり、当然だと感じます。むしろ婚外子がゼロではかわいそうだから、婚外子に対して配慮した結果、「婚外子の相続分は2分の1」の規定が作られたのだと思ってます。従って、これは差別ではなく、むしろ配慮の結果なのです。

私は最高裁の裁判官は一体何を考えているんだとあきれています。彼らは、日本に婚外子を増やしたいのでしょうか。それが幸せな社会とでも考えているのでしょうか。今回の判決によって、婚外子と嫡出子の相続分を同じにしたことにより、今まで「できちゃった婚」をしていた人達が、「じゃあもう子供が出来たって無理して結婚しなくてもいいや」となる可能性は否定できないと思います。こんなことが果たして子供にとって良いことでしょうか。

実際に相続分を同じにしている欧米諸国では、すさまじい勢いで婚外子が増えています。子供全体の3割とか4割に達している国もあるようです。こんな状況を日本国民は本当に望んでいるのでしょうか。私には悪い見本に思えます。日本のエリートは欧米かぶれが多くて、何でもかんでも欧米と同じにすることが良いと考えている連中が大勢います。今回の判決文にも、国際社会の要請に合わせるという理由が書かれています。実際には、それ以外の理由は見当たらないと言っても過言ではありません。

戦後教育を受けていると、まるで、どんな場合でも平等は何より優先されるべきだという考えに染まりやすくなります。エリートと呼ばれる人達は戦後教育を最も真面目に覚えこんだ人達ですから、より強い影響を受けています。しかし人間社会は複雑です。どんなに正しそうに見えることでも、「時と場合による」という常識を忘れてはいけないと思います。常識は残念ながら学校の勉強だけでは身につきません。きっと今回の判決を書いた人達は、その常識が欠けていたのだと思わざるを得ません。

婚外子が増えすぎた国では、今ようやく問題意識が出てきています。何とかしなくてはと考え始めています。そりゃあそうでしょう。両親が結婚していない子供が半分近くになってきたら、「このままでは、やばい」と思わない方がおかしいでしょう。

かつて「資本家を無くし、全ての労働者を平等に」と叫んで国を作った人達が世界中にたくさんありました。一見、理想のように見えたそれらの国は、時間が経つにつれて問題が噴出して、ついにはほとんどがつぶれてしまいました。その国にいた労働者達は、とても不幸な暮らしをしていたことが今では分かっています。労働者達は、みんな等しく不幸だったのです。こんな平等望みますか。そう、共産主義国家のことです。

今回の判決が、日本に不幸な子供たちを増やすことになりはしないか、今はそれが非常に心配です。