司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

12月 04 2015

特定調停①

債務整理の中で、あまり目立たない手続として特定調停があります。債務整理と言えば、自己破産、個人再生、任意整理、過払金返還請求が有名で、特定調停の存在自体を知らない人もいるかもしれません。では、何故、特定調停は、それほど知られていないのでしょうか。

その理由は、任意整理でカバーできるケースが多いからです。
任意整理とは、司法書士や弁護士が間に入って、債権者と分割払いの交渉をする手続です。決着すると和解契約書を交わして、契約書どおりの分割払いをしていくことになります。

一方、特定調停は、裁判所が間に入って、債権者と分割払いの交渉をする手続です。決着すると調停調書が発行されて、調書に書かれている通りの分割払いをしていくことになります。
いかがでしょう。似ていると思いませんか。

双方にあまり違いが無い場合、今まで司法書士や弁護士は任意整理を選択することがほとんどでした。それは、裁判所に申立をする必要が無いので、全て事務所で解決できるため、手間がかからなかったからです。確かに解決できるなら、その選択は間違いとは言えません。

しかし、最近では、必ずしも任意整理では解決できないケースも増えてきています。例えば以下のような事例です。

①そもそも分割払いに応じない。強硬に一括払いを主張してくる。何とか分割をお願いしても、2回とか3回とか、到底、支払えない回数を主張する。

②分割には応じてくれるが、将来利息の請求をしてくる。今までの任意整理では、将来利息は一切無しが常識でした。最近は、大手でも将来利息の請求は珍しくありません。

何故、このような事態になったのかと言いますと、過払金請求が激増したことが背景にあると言われています。
過払金請求が激増した結果(最近は減少傾向にあるようですが)、貸金業者の資金繰りが悪くなり、回収できるものは徹底的に回収するという姿勢に変化してきたのです。

実際に上記のような主張をされてしまうと任意整理では、どうすることも出来ません。何故なら任意整理とは、あくまで任意交渉であり法的な強制力はありません。実は先ほど取り上げた①や②の事例は、法的に見れば、貸金業者の方が正しいことになっているのです。

驚く方もいるかもしれませんが、貸金業者が司法書士や弁護士の任意交渉を断って民事訴訟に持ち込んだとしたら、裁判所は貸金業者の主張通りの判決を出します。法的には、請求金額を分割にする義務は貸金業者にはありません。

ようするに任意整理が成立するかどうかは、あくまで貸金業者次第なのです。業者が強硬な態度に出た場合、交渉は打ち切るしかありません。

そこで新たに注目を浴びてきたのが、今まで目立たなかった特定調停です。

特定調停の場合、裁判所が間に入っている為、任意整理よりも強制力があります。貸金業者も無視するわけにはいきません。また、特定調停では将来利息は付けないのが原則なので、この点でも、最近の任意整理よりも有利と言えます。

実際に任意整理ではまとまらなかった分割交渉が、特定調停ではまとまったという事例はあります。今後は徐々に特定調停が増えていくのではないかと個人的には思っています。