9月 06 2017
出生から死亡までの戸籍(相続登記⑩)
ピンとこない出生から死亡までの戸籍
相続登記の必要書類の中で最も取得が大変なのが「出生から死亡までの戸籍」です。
相続を経験されたことが無い方は、言葉を聞いてもピンとこないかもしれません。
相続以外で「出生から死亡までの戸籍」を取得することは、まず無いからです。
銀行でもよく聞かれるのが、「お客様に戸籍や除籍の取り寄せをお願いすると、間違っていることがよくある」とのことです。
被相続人が死亡する直前に入っていた戸籍と相続人の現在戸籍の2通だけ持ってこられる方が多いそうです。
専門家の立場からしても、「出生から死亡までの戸籍」について説明するのは非常に大変です。
大半の人にとっては初めての経験なので、「戸籍の取得」と聞くと、普段、目にしている現在戸籍のことだと思ってしまうからです。
さかのぼるのは大変な昔の戸籍
戦後は「結婚」「引越による転籍」などで新しい戸籍に移ります。
(近隣の引越の場合は移らないこともありますが。)
また、戸籍法の改正があった場合も、新しい戸籍が作成されます。
戸籍法の改正は戦後を通じて数回あります。
そして新しい戸籍が作成されるたびに、その人の出生から死亡までの戸籍の数は増えていきます。
複数の結婚や引越による転籍を経験している人は、戸籍の数もかなり多くなりますね。
また戦前は、今とは全く違う「家督相続」によって戸籍が作られていますので、見慣れていないと、どこに何が書いてあるのかも分からない様式になっています。
戦前は、筆頭者ではなく戸主を中心に戸籍が作られていて、結婚しても戸籍を離れません。
一つの戸籍に何組もの家族が記載されることになり、ページ数も多くなっています。
また、昔は今よりも養子に出されたり、養子を迎えたりすることも多く、関係性が複雑になっています。
しかも、戸籍が機械化されたのは最近のことなので、少し古い戸籍になると手書きで書かれています。
これがときに達筆すぎて大変に読みにくい場合があります。
専門家は見慣れていますから何とか読み解くことが出来ますが、初めてだと相当に苦労するでしょう。
甥姪(おいめい)の戸籍は特に注意
日本は高齢化が進んでいますから、戦前生まれの方も、まだ多く生存しています。それらの方が亡くなった時、戦前までの戸籍を全て取得しなくてはいけません。私の経験では、平均して5~6通は取得していることが多いです。
亡くなった方に子供がいなかった場合は、より取得する戸籍の数が多くなります。
現在は、医療制度が発達していますから、高齢で亡くなる方が多くなりましたね。
その場合、両親や兄弟姉妹も高齢ですから、既に亡くなっていることが多くなります。
そうすると、亡くなった人に子供がいない場合は甥姪が相続人になりますね。
実際そういうケースが増えています。当然、必要な戸籍も膨大になります。
甥姪の数が20名以上になることもありますよ。
そうすると戸籍の数も3ケタにまで増える可能性もあります。
相続人が甥姪の場合
が全て必要になります。
揃えるには1か月以上かかることもあるでしょう。
特に遠方の場合は、出向くことはなかなかできないでしょうから、郵送で請求することになります。
このように「出生から死亡までの戸籍」を取得するのは、かなり大変な作業になります。少なくとも、普段目にしている現在戸籍(一番新しい戸籍)を取得するのとは訳が違う、と言うことは覚えておきたいですね。












