司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

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1月 13 2025

相続対策で養子縁組をすると死後離縁は難しい 死後離縁③

相続対策における養子縁組

相続税がかからない相続財産の基準として基礎控除があります。基礎控除は「3000万円+法定相続人の数×600万円」で算出できます。この式を見ると、法定相続人の数が多い方が基礎控除の金額は大きくなることが分かります。

このことに気付いた方は「養子縁組をして法定相続人の数を増やせば、相続税を減らせる」と考える場合もあるのです。

相続対策の養子縁組は死後離縁が難しくなる

相続対策の養子縁組は「相続税を払うくらいならば、ある程度の金額を養子に払った方がマシ」という考えで行われるケースが多いです。従って、相続発生時に、いくらかの財産を受け取っていることが多いことになります。

死後離縁は、実務上は養親が亡くなった後で養子が離縁するケースがほとんどです。ただし養親から相続財産を受け取っている場合は許可されないことが多いです。相続対策で養子縁組をした場合は、この許可されない条件に当てはまっていると考えられます。

相続対策での養子縁組は事前によく検討するべき

相続対策で養子になってみたところ「養親が亡くなった後で、養親の親族の扶養義務や祭祀が煩わしくなったので離縁したい」と思っても、死後離縁を家庭裁判所が認めてくれなくて困っているという人は珍しくありません。

家裁が離縁を認めてくれない限り、その人は養子であり続けることになるので、養子縁組をするかどうかは先のことも考えた上で決めた方が良いでしょう。

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死後離縁のページにリンク(相続)

11月 09 2022

エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)の依頼を受ける行為は司法書士規定違反の恐れ

エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)とは

EAJは、「立会無し。遠方でも休日でも決済できる」のを売りにして急速に不動産業界でシェアを伸ばしてきた会社です。しかし、かねてからこの手法には「司法書士の規定違反になるのでは?」「これ放置されていて大丈夫なの?」という疑問が多くの司法書士から寄せられてきました。

特に問題とされているのが、司法書士が登記案件を受託するごとに「システム利用料」と称する1件あたりの料金をEAJ社に支払っていることをEAJ側が認めていることです。なぜ問題かというと、司法書士は依頼を受けるために代わりに対価を支払ってはならない(いわゆるキックバックの禁止)という決まりがあるからです。

日本司法書士会連合会の見解

「これは禁止されているキックバックではないのか」と懸念を感じている東京司法書士会から、司法書士を統括する団体である日本司法書士会連合会宛に「連合会の見解はどうなっているか」との問い合わせがあり、それに対する回答を下記に紹介します。

「司法書士による「システム利用料」の支払いに関する照会について」
株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン(以下「EAJ」という。)に対して司法書士から支払われる「システム利用料」が、司法書士が受託する業務に応じて支払われるものであるなら、その司法書士の行為は貴見のとおりと考えます。当該司法書士は、EAJが介することによって業務の依頼を受けているのであって、EAJに登録していなければ、依頼を受けることがないのであるなら、「システム利用料」は実質的に業務依頼に対する対価と見られるからです。
     日本司法書士連合会  常務理事 長田 弘子

これを見る限り、連合会は規則違反の可能性が高いとみなしている訳ですから、今後、仕事欲しさにEAJに登録する司法書士は、いつ懲戒請求を出されてもおかしくない、ということになります。ならば不動産所有者の方もEAJと取引した場合、自分が依頼した司法書士が懲戒されるかもしれないということは分かっておいた方が良いでしょう。

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10月 18 2022

戸籍の附票とは? 相続登記(29)

戸籍の附票とは

戸籍は聞いたことがあるし実際に取得したことがあっても、戸籍の附票になると「何それ」「聞いたことが無い」という人が途端に増えます。一般の人には、あまりなじみがない書類かもしれません。

戸籍の附票を一言で言うと、「戸籍に記載されている人の住所を表したもの」です。

住民票と何が違うのか

通常は住所の証明がしたい時は住民票を取得するでしょう。住民票なら何度も取ったことがあるという人が多いと思います。では住所を表す戸籍の附票が、住民票と何が違うのかをご説明しましょう。

戸籍の附票とは、「本籍に入籍した時から除籍した時までの住所の移り変わりが全て記載されている証明書」なのです。例えば生まれてから一度も本籍を変えなかった場合、生まれてから亡くなるまでの住所が全て記載されていることになります。

一方、住民票は原則として現住所を証明する書類です。「従前の住所」という項目に一つ前の住所が載っていることも多いですが、そこまでです。それ以上前の住所になると住民票では調べることができません。

戸籍の附票の使いみち

では戸籍の附票は、どんな時に使うのかというと、不動産の登記事項証明書に記載された所有者(登記名義人と言います)の住所が現住所と異なっていた場合です。

相続でも売買でも贈与でも所有権の移転(名義人の変更)をする時には、登記名義人が間違いなくそこに住んでいたことがある、と証明しなければなりません。現住所と一致していれば簡単ですが、旧法では罰則がありませんでしたので、住所が変わっても放置していることが多く、かなり昔の住所のままになっていることが珍しくなかったのです。
※新しい法律では住所変更の際は住所変更登記をしないと罰則があります。

このような場合、登記されている住所が出てくるまで遡る必要があります。そのために戸籍の附票を取得して昔の住所を調べることが多くなります。

戸籍の附票の保存期間

以前は戸籍の附票の保存期間が非常に短く、除籍されてから5年でした。しかし、あまりにも期間が短いために、長期間登記されずに放置されているケースで住所が調査できないという事例が続出して問題になりました。それを受けて現在では保存期間が150年に延長されています(住民票も同様に延長されています)。

5年から150年とは随分と極端な延長ですが、150年という期間は戸籍の保存期間に合わせた改正となっています。今後は長い間、未登記で放置されている登記名義人の住所が調べやすくなるでしょう。
※既に廃棄されてしまったものは元には戻らないので、その影響は残るとは思います。

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相続登記

4月 14 2020

死後離縁で必要な書類 死後離縁②

死後離縁とは

死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなったとき、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には、亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。

亡くなった後で、縁を切りたいという理由は様々ですが、お話を伺うと、「縁を切りたいのも、わかります。」という場合が多いです。
今回の記事では、死後離縁に必要な書類についてお話します。

死後離縁の審判書

家庭裁判所に死後離縁の申し立てをして審査で認められた場合、審判書という書類が家庭裁判所から届きます。これは家裁の裁判官が死後離縁の申立に問題が無いと認めてくれた証拠になります。

死後離縁の確定証明書

もう一つ重要な書類として、家庭裁判所が発行する確定証明書があります。これは審判書の内容が確定したこと(覆されないこと)を証明する書類になります。注意すべきなのは、確定証明書は自動的に届くものではないということです。
審判書を受け取った後に死後離縁の申請者自身が新たに確定証明書の申請を家庭裁判書にしなければなりません。

二つの書類を持参して役所に行く

審判書と確定証明書がそろっても、まだ終わりではありません。
次に本籍地のある役所に二つの書類と一緒に離縁したことを申請します。この申請が終わって初めて戸籍の記載が変更になり離縁が公式に記録されることになるのです。

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死後離縁①

7月 09 2018

相続法改正 相続はどう変わるのか?

相続に関する民法の改正案が7月6日に参議院で可決し成立しました。これで以前から取り上げていた相続法の改正が現実化したことになります(まだ施行はされていません)。

では今回、改正になったポイントをあげていきたいと思います。

(1)配偶者が自宅に住み続けられるようにする配偶者居住権の新設

(2)遺産分割前でも被相続人の預貯金を引き出せるようにする制度の新設

(3)自筆証書遺言の要件の緩和と、遺言を法務局に預けられるようにする制度の新設

(4)被相続人の介護などをした親族が、相続人に金銭を請求できるようにする制度の新設

などです。

詳しい内容については相続登記⑭で解説していますので、そちらをご覧ください

https://www.hashiho.com/inherit/journal/archives/1054

相続全般について、より詳しく知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/

4月 18 2018

相続税⑬ 相続開始前3年以内の贈与は無かったことに

相続税を少しでも減らそうと思って生前贈与を考える人は多いと思います。しかし、ちょっと待ってください。実は、相続開始前3年以内の贈与は税法上、無かったことにされてしまいます。詳しく説明しましょう。

例えば、高齢になり相続税が気になってきた人が対策として子供に生前贈与を始めたとします。しかし残念なことに、その人が生前贈与を始めて3年後に亡くなってしまいました。するとどうなるかと言うと、3年分の生前贈与した金額は全て相続財産に含めて計算することになります。つまり、生前贈与した事実は、相続税の計算上は無かったことにされてしまうのです。(仮に生前贈与が5年続いていた場合は、3年分だけが相続税の計算になります)

しかし、この制度には例外があります。それは、「相続人ではない人への贈与には適用されない」ということです。
この例外を使った最も良く行わる対策が、「孫への生前贈与」です。

孫は子供が生存している限り相続人ではありませんから、孫への贈与は制度の対象外になり、例え亡くなる3年前以内であっても贈与として認められます。仮に亡くなる1日前の贈与であっても大丈夫なのです。

ただし、孫への贈与であっても相続税として計算されてしまう場合が2つあります。これは間違えやすいので是非、覚えておいて下さい。

一つ目は、「遺言で孫を相続人にしていた場合」です。
遺言を書いて、孫にも財産の一部を相続させると記載されていた場合、孫は相続人と同等の権利を持っていますので、相続人として扱われます。

二つ目は、贈与した人を被保険者、受取人を孫にしていた場合の生命保険に入っていた時です。この場合も相続人として扱われます。

尚、生前贈与は贈与する人が認知症になっていた場合は使うことが出来ませんので注意が必要です。従って、相続税の対策よりも認知症対策の方が緊急性・重要性が高いと言えます。認知症対策として法的な有効な手段としては家族信託があります。

家族信託について詳しく知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/family/

4月 12 2018

相続税⑫ 他の相続人の為の不動産売却

こんな事例を考えてみましょう。

父が亡くなり母が不動産を相続しました。相続税がかかるケースで子供の納税資金が足りなかったために、母が不動産を売却して子供の納税資金を用意しました。

このケースで母は子供のために善意で行ったのでしょう。しかし、本来、子供が支払うべき納税資金を、母が自分の不動産を売却して支払うことになりますから、税務署からは贈与と認定される可能性が高いでしょう。贈与と認定されれば贈与税がかかることになります。

このように税金の世界では、「良かれ」と思って行ったことが悪い結果を生むことが少なくありません。何か思いついたら実行する前に、「それは法律ではどうなっているのか」を確かめることが重要です。

相続税の基礎控除について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/tax/

4月 05 2018

相続税⑪ 養子を取ると相続税は減税になるのか?

相続税の基礎控除は法定相続人の数が多いほど金額が大きくなります。とすると、養子を取ることによって、法定相続人の数を増やせば基礎控除が大きくなって、相続税が減額になるのではないか、と考える人がいても不思議ではありませんよね。

この考え方は正しい部分もあれば、間違っている部分もあります。詳しく説明しましょう。

まず、民法上の問題と相続税の問題は分けて考える必要があります。
民法上は養子は何人取っても構いません。人数に制限は無いのです。
しかし、相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の数には制限があります。具体的には、「実子がいる場合は一人まで」、「実子がいない場合は二人まで」と決まっています。

では、「上記の制限を守っていれば養子は必ず相続税の節税になるのか」、というと、そうとも言い切れません。
この問題を考える時に参考になるのが平成29年1月31日に出された以下の最高裁判決です。この判決文の中に「節税目的の養子縁組はただちに無効ではない」という記述があります。

この最高裁判決は誤解されていることが多いので注意が必要です。
最も良くある誤解は「最高裁が養子による節税を認めた」というものです。しかし、節税を努力されている方には残念ですが、この判決はそういう意味ではありません。

この最高裁判決は、「節税目的でなされた養子縁組であっても、民法上は無効にはならない」という意味なのです。ようは民法の話をしているのであって、税法の話をしているのではありません。

実際に国税庁の見解では、「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の数に含めることはできません」となっています。

この見解の意味は、「明らかに相続税の節税目的の為に養子を取った場合は、それは相続税の計算の際に法定相続人の数にカウントしませんよ」というものです。

では、どういう場合に「明らかに相続税の節税目的の為の養子」と判断されるのか、というと、これは実際に税務調査に来た時の職員の判断になると思われるので、はっきりしたことは言えません。まあ、「認められない可能性がある」、ということは覚えておいた方がよいでしょう。

相続税の基礎控除について知りたい方は以下をクリック

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3月 29 2018

相続税⑩ 知らなきゃ損する。後悔しないための生命保険利用法(2)

生命保険で注意すべき点の2つ目として、契約者と被保険者が別の場合に、契約者が先に死亡した場合があります。

例えば、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が夫の場合、契約者である夫が先に死亡した場合、被保険者はまだ生存していますので、保険金ではなく解約返戻金の問題になります。

この場合、例え保険が解約されなかったとしても、解約返戻金相当分が相続財産の対象となりますので注意が必要です。解約返戻金は保険金ではありませんので、生命保険の非課税措置はありません。その後、保険を解約するか継続するかは相続人が決めることになります。

仮に保険を継続する場合は、上記の例で言うと、新たな契約者を妻か子供、受取人を子供に変更するのが一般的です。

2月 20 2018

相続税⑨ 知らなきゃ損する。後悔しないための生命保険の利用法

生命保険を契約する際に、よほどの事情が無ければやってはいけない契約の仕方があります。今回は、その点についてご説明しましょう。

その契約の仕方とは、ずばり「契約者と被保険者を別人にすること」です。

具体的な事例で言うと、
例えば母を契約者、父を被保険者、子を受取人にして、父死亡の際に保険金がおりる契約をしたとしましょう。

この場合、父が死亡した時におりる保険金に贈与税がかかってしまうのです。何故なら生命保険は法的には、契約者から受取人への所得の移転と考えられているからです。

その点、契約者と被保険者が同一の場合は、所得の移転は贈与税ではなく相続税の対象とみなされますので、相続税の生命保険控除が利用できますし、仮に控除額を超えていても贈与税よりは低い税率ですみます。

ただし、契約者といっても名ばかりで、実際に保険料の負担をしていたのが契約者ではなかったりすると、後で税務署に指摘されることもあります。あくまで保険料の負担者がイコール契約者である場合に相続税の対象になるので注意しましょう。

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