司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

相続登記(名義変更)

11月 13 2025

不動産登記の検索用情報の申出 相続登記㊴

Q 不動産登記の検索用情報の申出とは何ですか?

A 令和7年4月21日から、法務局が所有者の住基ネット情報(住民票の情報のこと)を検索するために、不動産所有者から氏名・住所・生年月日等を検索するための情報を不動産所有権の保存または移転登記の申請の際に、あらかじめ申し出る(申請書に記載する)ことです。

Q 不動産登記の検索用情報の申出は何のために行われるのですか?

A 令和8年4月1日から、不動産の所有者は、住所または氏名の変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられます。

一方、この義務の負担軽減のため所有者が変更登記の申請をしなくても、住民票の住所氏名が変更された時に登記官が住基ネット情報を検索し、これに基づいて職権で登記を行うことができるようになります。これを「スマート変更登記」と呼びます。このために検索証情報の申出が必要になるのです。

Q 住所氏名の変更登記を勝手に法務局が行ってくれるようになるのですか?

A はい、法務局が職権で行います。ですから、法務局が住基ネットを検索するためだけでなく、職権で変更したことを本人に知らせるためにも、検索用情報の申出は必要になります。

Q 不動産登記申請の時に申し出る検索用情報とは具体的に、どのようなものですか?

A 具体的には、「氏名のふりがな・生年月日・メールアドレス」になります。

Q メールアドレスは、ほとんど使ったことが無いのですが、絶対に必要なのでしょうか?

A 絶対ではありません。最近はラインの普及などでメールを使わない人も増えていますよね。従ってメールアドレスの項目には「なし」と書くことが認められています。他に数多く届く迷惑メールと区別できなくなるという理由で「拒否」と書くことも可能です。

Q メールアドレスを書かなかった場合は、法務局は住所変更登記をしてくれないのでしょうか?

A いいえ。法務局は住所変更登記をしてくれます。法務局の住所変更登記実施は「所有者がどこにいるか分からない」という空家問題の解決のために設けられた制度だからです。ただしメールアドレスの申出が無かった場合は、法務局が郵送により所有者に知らせることになります。

個人的には、法務局から郵便で届いた方が、迷惑メールと区別がつかないメールで届くよりも安心できるとは思っています。(法務局としては、郵送料がかかるのでメールにして欲しいというのが本音だと思いますが)

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相続登記

10月 17 2025

田舎の不動産の相続における滅失登記 相続登記㊳

Q 田舎の不動産の相続における注意事項は何かありますか?

A 山林や農地などを相続された場合、登記簿に記載されている建物が、とっくに取り壊されていて存在していないというケースに出くわすことがあります。相続人が都会に住んでいたりすると、現地を見に行ったりすることが無いので、相続の相談に行って始めて気付くということは珍しくありません。

Q 取り壊されているのに、何か問題があるのですか?

A 問題あります。登記簿と言う公式な表示に「建物がある」と記載されたままになっている訳ですから、売買したり贈与したり、新しく建物を建てたりする時に支障が出る可能性があります。

Q こういう場合は、どうすれば良いのですか?

A 建物を解体しても登記簿は自動的には抹消されません。建物についての滅失登記と言うものを申請しなければなりません。特定の建物の登記簿の表記を無くしてしまう登記になります。

Q その滅失登記というのは司法書士に頼むのですか?

A いいえ。建物滅失登記は表題部の登記なので、取り扱うのは土地家屋調査士になります。ただし司法書士に相続登記や贈与登記などを依頼していれば、通常は依頼した司法書士と提携している土地家屋調査士を紹介してもらえます。新たに探す必要はありません。

Q 滅失登記とは初めて聞きました。それは相続登記をしてから行うものなのでしょうか?

A いいえ。滅失登記は相続登記を省略して行うことが可能です。相続した建物が既に取り壊されていたら、いきなり滅失登記をして構いません。この辺りは建物の売買や贈与とは異なります。相続した建物の売買や贈与の場合は必ず相続登記をしてから行う必要があります。あと建物を取り壊す場合でも、土地については通常どおり相続登記をしなければなりません。

Q 他に滅失登記が必要になる場面はありますか?

他に滅失登記が登場する代表的なケースとしては、不動産を売却する時に更地にしてから売る場合です。更地にするということは、既に存在している古い建物を解体するわけですから、その建物の登記を抹消する必要があるからです。

Q 更地にしてから売るのは良く聞きます。滅失登記が必要なのですか?

A はい。古い建物を解体して更地にしてから売るのは都会でもよくありますね。その時に滅失登記の申請をしなければなりません。通常は不動産仲介業者が提携している土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士の費用は売買代金から差し引く形で支払われることが多いですね。

Q 滅失登記をしないで放置したら、どうなりますか?

A 10万円以下の過料という罰則がありますので放置はオススメしません。他にも存在していない建物に対して固定資産税が請求されるリスクもあります。滅失登記は必ず行うように気を付けましょう。

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相続登記

9月 25 2025

遺産分割協議におけるマンションの書き方 相続登記㊲

Q 遺産分割協議書で不動産を書く時、不動産の住所を書くのでしょうか?

A いいえ。遺産分割協議書に不動産を書く時は登記事項証明書(登記簿)に書かれている通りに書かなければなりません。
土地は「所在・地番・地目・地積」、建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」と結構複雑で長い表記となります。

Q マンションの場合も一戸建と同じように書くのでしょうか?

A いいえ。マンションは登記では区分建物と言われ、「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」に分かれていて、一戸建よりももっと長くて複雑な表記になります。正確に書くのは、なかなか大変です。(敷地権付区分建物の場合は更に敷地権の表示が追加で記載されます。)

Q 登記事項証明書で一棟の建物の表示を見ると非常に長いのですが、これを全て遺産分割協議書に書くのですか?

A 確かに長いですね。特に床面積が各階ごとに書かれているので、階数が多いマンションだとすごい量になってしまいます。

そこで、とっておきの方法があります。それは一棟の建物の表示で「建物の名称(マンション名)」が登記事項証明書に書かれている時は、建物の名称を遺産分割協議書に記載すれば「構造と床面積」の記載を省略できる、というルールです。

Q 専有部分の建物の表示の構造と床面積は省略できないのでしょうか?

A 残念ながらできません。専有部分の建物の表示に書かれている構造と床面積は全て記載してください。

Q なぜ遺産分割協議書における不動産の書き方は、このように複雑で長いのですか?

A 不動産は登記事項証明書(登記簿)によって管理されているからです。不動産の表記が登記事項証明書の表記と一致して始めて、不動産が特定されたことになります。遺産分割協議書だけでなく売買契約書などの法的な書面で不動産を特定する場合は、登記事項証明書の表記を使うということを覚えておきましょう。

Q 登記事項証明書の不動産の所在地番と住所は異なるのですか?

A 異なることが多いです。不動産の所在地番を決めているのは法務局であり、住所は市区町村役場です。最初は所在地番しかなく後から住所ができました。人口が増えて住居が増えたため所在地番だけでは郵便配達などに不都合が生じるようになり、より細かい住所を設けるようになったと言われています。ただし所在地番と住所が同じところもあります。

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相続登記

8月 29 2025

調停調書に確定証明書は必要か? 相続登記㊱

遺産分割調停と審判

遺産分割協議が話し合いでまとまらない時、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。遺産分割調停で法定相続人の合意がとれたら調停調書が発行されます。一方、遺産分割調停でも決着が付かなかったら、裁判官による遺産分割審判で決定されます。

判決や審判の場合、登記申請するには確定証明書が必要

裁判の結果が判決や審判の場合は、登記申請をする時に判決書や審判書だけでなく、確定証明書も必要です。なぜかと言うと、判決や審判の場合は裁判官が決定しているので、決定に不満がある当事者が異議を出せる期間を設けているからです。

もし異議が出されていた場合、判決書や審判書があっても決着はまだ付いていないことになります。確定証明書は「異議が出てない」ことを証明する書類なのです。

調停で決着がついた場合、確定証明書は必要か?

一方、遺産分割調停で決着が付いた後で相続登記を法務局に申し立てる場合、遺産分割協議書の代わりに調停調書が必要書類になります。しかし確定証明書は必要ありません。

この理由は、調停の場合は当事者の話し合いで決着が付いているので、調停で終わっているならば当事者全員の合意が取れていることが前提だからです。従って異議を出せる期間は設けられておらず、確定証明書も不要ということです。

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相続登記

7月 16 2025

京都市の評価証明書 相続登記㉟

評価額明細は市区町村によって違う

固定資産税は市区町村が徴収する税金です。ですからその根拠となる固定資産評価額も市区町村が決定します。従って、毎年郵送されてくる固定資産税評価額明細も市区町村によって異なるのです。

名古屋市の場合は「価格」と記載される

名古屋市の評価額明細の場合、その年度の固定資産評価額は「価格」と記載された欄に書かれている金額になります。他にもたくさん欄がありますので、始めて見る方は、どこに評価額が書かれているのか分からないと質問される場合は多いです。

例えば名古屋市の場合は共有持分がある場合でも合計の評価額が書かれていますから、自分の持分の価格が知りたい場合は、評価額に持分割合をかけることになります。

京都市の場合は「当該年度価格」と記載される

京都市の評価額明細を見ると「価格」という表記が見当たらなかったので、「あれ」と思って役所に問い合わせると、「当該年度価格」と言う項目が名古屋市で言う「価格」に当たるのだということが分かりました。このように市区町村によって評価明細の書き方が異なるという実体験になりました。

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相続登記

4月 07 2025

建物のみの買戻特約の抹消 相続登記㉞

マンションの買戻特約の注意点

マンションの登記事項証明書(登記簿)を見ると、たまに買戻特約が「建物のみに関する」付記登記として記載されている場合があります。「建物のみに関する」付記登記とは一体何なのでしょうか。これを理解するには、まずマンションの登記の特殊性から説明する必要があります。

敷地権付区分建物

現在のマンションの登記のことを敷地権付区分建物の登記と言います。通常、日本の不動産登記は土地と建物は別々になっていて、一戸建てを売却する場合、土地と建物の両方の登記の名義を変更しなければなりません(更地にして売る場合は別です)。

ところがマンションの登記の場合は土地と建物が一体になっていて、建物の登記の名義を変えれば土地の名義も一緒に変わるようになっています。この仕組みを専門用語で敷地権付区分建物の登記と言います。

以前は無かった敷地権付区分建物の制度

とても便利な敷地権付区分建物の制度ですが昭和59年から始まったもので、比較的新しいものです。ですからマンションでも敷地権付区分建物になっていない登記もまだまだ多くあります。

敷地権付区分建物になる前は、マンションであっても土地と建物の登記が別々で、売却する場合は土地と建物それぞれの名義を変更する必要がありました。そしてこのような古いマンションに買戻特約を付ける時も土地と建物それぞれに買戻特約の登記が付けられていたのです。

買戻特約が付いた古いマンションの登記に問題が発生

昭和59年から敷地権付区分建物の登記が始まって以降、それ以前の古いマンションの登記で、土地と建物が一体化されたものもあります。そうなると困ったことが起こりました。一体化以降は、建物に買戻特約が付いていると自動的に土地にも効果が及びます。

ところが古いマンションの場合、元々土地にも買戻特約が付いているため、土地の買戻特約が二重に付いていることになってしまうのです。よって、この問題を解決するために一つの手段が取られるようになりました。

買戻特約の二重登記問題を解決するための手段

古いマンションの買戻特約の登記が、一体化以降は土地について二重になってしまう問題を解決するために、「建物のみの買戻特約の登記」が考え出されました。

これは、買戻特約が付いている古いマンションが敷地権付区分建物で一体化された時に、建物の登記には「建物のみに関する」付記登記が書かれることになったのです。この付記登記が書かれることによって、一体化した後でも建物の買戻特約については土地には効果が及ばないことになりました。土地には一体化前から元々買戻特約が付いているので二重になることは無くなったのです。

古いマンションの買戻特約の抹消

従って古いマンションの買戻特約を抹消する場合は注意しなければなりません。なぜなら一体化する前の土地の部分に買戻特約が付いてことを忘れがちだからです。
一体化以降は建物の登記に敷地権として土地も書かれているので、マンションの場合は建物の登記だけを見る習慣が根付いています。

しかし、「建物のみに関する」付記登記が付いている時は、土地の登記に単独で付いている買戻特約も抹消しないと、そのまま残ってしまい売却の時に問題になってしまいます。
従って、古いマンションの「建物のみに関する」買戻特約の登記を見つけたら、必ず土地の買戻特約の登記も抹消する必要があることを覚えておきましょう。

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相続登記

3月 31 2025

買戻特約抹消登記が単独申請可能に 相続登記㉝

買戻特約とは

買戻特約は一般的には不動産の売買と一緒に付けられます。買戻権者は住宅供給公社や日本住宅公団(現在のUR)などの公的な機関であることが多いです。公的な機関の場合、購入の際に条件が付けられていることが多く、例えば「一定期間の転売の禁止、居住用以外の用途での使用禁止」などです。

これらに違反した場合は物件を買い戻すことができるように買戻特約が付けられているのです。期間は5年になっていることが一般的です。

買戻特約の抹消

買戻特約は登記事項証明書(登記簿)に登記されています。買取希望者が特約の存在に気付くようにしているのです。特約の登記が付いたまま買い取る人はいませんので、売却したい時は必ず買戻特約の登記は抹消しなくてはなりません。

買戻特約の抹消のタイミング①

買戻特約は一般の人はほとんど知りません。自分の不動産にそんな登記が付いていること自体を知らないケースが大半です。ですから買戻特約の抹消だけを依頼してくることはまずありません。

ではどういうタイミングで抹消の依頼が入るのかというと、まずは売却しようと思って不動産屋や司法書士などに相談に行った際に「買戻特約を抹消しないと売れません」と言われた時です。

買戻特約の抹消のタイミング②

もう一つ買戻特約を抹消するタイミングとしてよくあるのが、司法書士が相続登記の依頼を受けた時です。相続登記の相談を司法書士が受けると、買戻特約が付いていれば発見して「このままでは将来売る時に困るから、相続登記と一緒に買戻特約を抹消しておきましょう」と提案するのが普通です。

買戻特約の抹消は以前は大変だった

買戻特約の抹消登記は令和5年3月までは共同申請でなければできませんでした。不動産所有者と買戻特約を付けた公的機関の共同申請になる訳です。ところが買戻特約を付けた公的機関は組織変更などで変わってしまっているため、この手続はかなり手間がかかりました。

買戻特約の抹消が楽になった

令和5年4月から法律が改正されて、10年経過した買戻特約は単独で抹消できるようになりました。買戻特約は最近では付けられなくなったので、ほとんどがかなり古いです。ですから、この改正によって単独申請ができるようになった買戻特約は相当多いはずです。買戻特約の抹消は以前よりは楽にできるようになりました。

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相続登記

3月 03 2025

相続登記の共有持分の表記 相続登記㉜

不動産の共有持分とは

不動産には共有持分という概念があります。よくあるのが夫2分の1、妻2分の1のような持分ですね。この持分は不動産の区画のことではありません。ここからここまでが夫のもので、それ以外が妻のものだと誤解している人がいますが、そうではありません。不動産の持分とは目に見える区画を持ち合うことではなく、金銭的価値を持ち合っていると考えれば分かり易いでしょう。

ですから共有持分が具体化するのは不動産を換金した時です。換金して金銭的価値に変わった時に、それぞれの持分割合で分けることになります。

不動産の共有持分の贈与

実際に起こった事例で見てましょう。Aが2分の1、Bが2分の1と不動産を共有している場合に、Aが自分の持分2分の1を3分の1ずつBとCとDに生前贈与しました。全体で考えると2分の1×3分の1で、Aは6分の1ずつ3人に贈与したことになりますね。するとBの持分は自分の持分2分の1に贈与を受けた6分の1を加えることになりますから、合計で3分の2となります。

ただしこの段階で不動産登記簿に記載されるのはAから6分の1がBとCとDに贈与されたという部分だけで、Bの合計が3分の2になったとかは記載されません。贈与された結果トータルではどうなったのかは登記簿を見る人が自分で計算しなければなりません。これが登記簿を見る時の注意点です。

贈与した後、相続が発生した場合

上記の事例で Bが亡くなって相続が発生しました。Bの配偶者は先に亡くなっていて子はE一人だったので、Bの持分の合計3分の2をEが相続することになります。この時に登記簿の持分の表記はどうなるかが今回のテーマです。

まず相続でBの持分を全て受け取ることになるので合計が表記されることになります。その合計の表記は3分の2でしょうか、あるいは6分の4でしょうか。実務的にはどちらでも申請は可能です。しかし司法書士が申請した場合は6分の4と表記する可能性が高いと言えます。その方が好ましいからです。

なぜ6分の4の方が好ましいのか

相続発生前の登記簿の記載は、贈与を原因として「持分6分の1 B」「持分6分の1 C」「持分6分の1 D」と言う記載になっています。相続発生で新たに記載されるのはEの獲得した持分だけです。その場合、CとDの持分の分母は6ですから、Eの分母も6にそろえた方が圧倒的に見やすくなります。

このような理由でプロである司法書士が申請した場合は、相続を原因として「持分6分の4 E」という記載にするのが通常のやり方になります。

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相続登記

1月 30 2025

被相続人の住所が変更されていた時 相続登記㉛

被相続人の住所が変わっていた時

登記簿に書かれた住所と現在の住所が変わっていた時、売買や贈与などの場合は住所変更登記を済ませてからでないと売買や贈与の登記はできません。しかし、相続登記は別です。被相続人(亡くなった人)の登記簿の住所と死亡時の住所が変わっていた時でも、住所変更登記は不要です。

住所をつなげる書面は必要

ただし相続登記であっても、住所が変わっていた時に何もしなくて良いわけではありません。登記簿の住所と死亡時の住所のつながりを証明する書面を提出する必要があります。通常は戸籍の附票などが、それに当たります。住所の変遷を記載した書面です。

町名地番変更証明書

引っ越しをしていなくても住所が変わる場合があります。例えば町名地番が行政の都合で変更になった場合です。引っ越していないんだから証明書は不要だろうと思われる人もいるかもしれませんが、残念ながら町名地番の変更でも証明書は必要です。

文字通り「町名地番変更証明書」という書類を役所で取得して相続登記の申請の時に提出する必要があります。名古屋市の場合、町名地番変更証明書は区役所の総務課で取得することができます。

住居表示実施の場合

「一丁目2番地」という住所が「一丁目2番3号」のように〇丁目〇番〇号と変わることを住居表示実施と言います。これも引っ越しをしていないのに住所が変わる場合に当たります。この時も「住居表示の変更証明書」という書面を役所で取得してから相続登記を申請することになります。

行政区画の変更

一方、隣接する市町村に合併されたり、政令指定都市になり新たに区ができたり、区の分割により住んでいる地域が別の区となった時などは行政区画の変更と言い取り扱いが異なります。これらの事例(行政区画)で住居表示の変更がなければ、変更証明書の提出は不要です。理由は行政区画の変更は公知の事実と考えられているからです。公知の事実とは公に広く知られている事実という意味です。

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相続登記

1月 24 2025

査定価格と実際の売却価格は違う 相続登記㉚

相続不動産の査定

相続した不動産を売却したいと思った時、まずは不動産業者に査定をしてもらいます。自分が相続した不動産がいくらくらいになるのか、相続人なら誰もが興味を持つでしょう。

ご存知ない方も意外に多いですが、不動産の査定は無料で行っている業者が圧倒的に多いです。地方だと費用がかかる場合もあるようですが、都会の不動産業者はほぼ無料だと考えて間違いないでしょう。よって不動産の査定は複数の不動産業者に依頼される方が多いです。実はここで注意して頂きたいことがあります。

査定価格についての誤解

不動産関連の仕事をしている方を除いたら、不動産の売買に関わるケースはそんなに多くないでしょう。ほとんどの方が不動産売買については素人だろうと思います。そして素人の方がよく誤解しやすいのが、「査定価格を高く出してきた不動産業者に頼めば高く売ってくれるだろう」というイメージです。このイメージで依頼して失敗してしまうケースがあるのです。

査定価格と実際に売れる価格は違う

まず知っておいてもらいたいのが査定価格どおりに売れなくても、基本的に不動産業者に責任は無いということです。
不動産売買は買手次第なので、どんな買手が見つかるかを事前に正確に予測するのは困難です。「この位の価格で売れると思っていましたけど、売りに出したら見つかりませんでした」と言われて、当初の価格を下げることになったという事例は珍しくありません。

一般の方は「査定価格が売れる価格」と思ってしまいがちですが、査定価格には何の保証もありません。査定価格と売れる価格は違うということを覚えておきましょう。

やたらと高い査定は注意した方がよい

このように査定価格には保証はないので、契約を取るために、やたらと高い査定額を提示する不動産業者もあります。周辺の取引事例を参考にして現実的な査定額を提示した誠実な不動産業者が、「査定額が低い」と思われて契約してもらえないということも珍しくありません。

それで高い査定額の業者と契約したら「買手が見つからないから下げてください」と1~2週間くらいで言って来て、結果的に現実的な業者の査定額よりも低い価格で成約したということもあるのです。

不動産業者には査定額の根拠を聞こう

失敗しないためには、不動産業者に査定額を出してもらったら、なぜその査定額になったのかという根拠を説明してもらいましょう。きちんとした査定額を出してくれたかどうかを判断するためです。
この時に査定の根拠の説明が要領を得なかったり、難解な言葉を使って分かりにくかったりする不動産業者は、不当に高い査定額を出している不誠実な業者かもしれませんので注意が必要です。

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