司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

遺言

12月 20 2024

自筆証書遺言を紛失してしまったら 遺言㉚

自筆証書遺言を紛失してしまった場合

実際にあった事例で、相続手続を一通り済ませたと思った数年後に故人の通帳が押し入れから見つかったということがありました。

ご主人の自筆証書遺言が残されていたケースで、家庭裁判所で検認をしてもらい、遺言の通りに相続手続を済ませていました。しかし、それから数年後に新たな通帳が見つかった時には、検認済みの自筆証書遺言は紛失していて見つからなかったのです。このような場合は、あきらめるしかないのでしょうか。

※自筆証書遺言は家庭裁判所で検認をしてもらわないと相続手続に使うことができません。(ただし法務局の遺言書保管制度を利用している場合は検認は不要です)

検認期日調書謄本とは

実は検認が済んでいれば自筆証書遺言の代わりになるものがあるのです。

それが検認期日調書謄本です。これは自筆証書遺言を家庭裁判所で検認すると、家庭裁判所に記録が残り、その記録の謄本をいつでも請求することができるのです。

そしてこの謄本は自筆証書遺言の原本と同じように相続手続に使うことができます。

検認期日調書謄本の内容

検認期日調書に記録されている内容は、「担当した裁判官の氏名、検認期日に出頭した相続人の氏名、裁判所で陳述した内容、遺言書の外観(封が空いていたとか、字がにじんでいたとか)」などです。

この検認期日調書と一緒に遺言書原本の写しも家庭裁判所に保管されます。

検認期日調書謄本で助かった事例

最初の事例ですが、相続人は故人の妻で自筆証書遺言の内容は「全財産を妻に相続させる」というものでした。子どもがいなかったので遺言が無ければ、妻と兄弟姉妹甥姪の遺産分割になります。兄弟姉妹甥姪の数が多かったので遺産分割がスムーズにいかない可能性がありました。ですから遺言による相続手続が必要だったのです。

検認期日調書謄本のおかげで自筆証書遺言を紛失しても、無事に後から見つかった通帳の口座の相続手続が済みました。本当に助かった事例でした。

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遺言

6月 25 2024

遺言執行者の不動産の売却 遺言㉙

相続財産に不動産がある場合

相続財産に不動産があると、複数の相続人が存在する時は相続が難しくなる場合があります。なぜなら不動産を相続人の共有にしたとしても、その不動産を利用しない相続人にとっては意味が無いからです。

このような時は通常は相続不動産を売却してから、売却代金を相続分で分配することになります。この方が公平に分配することができるからです。(その不動産に住み続ける相続人がいる場合は、この方法は選択できません)

相続不動産の売却には2段階の登記申請が必要

相続不動産を売却するためには、相続人の名義にしておく必要があります。これを相続登記と言います。たまに素人のサイトや動画で「相続登記をしないで売却した方が、登録免許税などの費用を節約できる。」などと説明しているものを見かけますが、これは法的に全くの間違いです。相続登記をしないで相続不動産を売却することはできません。

もしこれを真に受けて売買契約をしたら(まともな不動産業者ならば、そもそも契約を引き受けないと思いますが)、買主の名義にするために法務局に申請した時点で「相続登記がされていないので、この申請は受け付けられない」と言われて却下されるでしょう。

相続不動産の売却には通常は相続人全員の協力が必要

第一段階の相続登記は、法定相続分の登記ならば相続人のうちの一人から申請できます。しかし第二段階の売買の登記は、売主である相続人全員が参加しなくては出来ません。相続人のうち一人でも売却に協力しない人がいるできないのです。これを防ぐためには遺言が最も有効な解決手段です。

清算型遺言

遺言を残して、遺言の中で「売却して換金してから分配すること」を記載した上で、遺言執行者を指定しておくという方法があります。これを清算型遺言と言います。清算型遺言ならば、売却に協力しない相続人がいたとしても無視して売却を進めることができます。

清算型遺言が相続人の協力を必要としない根拠

なぜ通常はできないはずの不動産登記ができるのか、その根拠は以下の2つの先例の存在です。先例とは法務省民事局による通達や質疑応答のことを言います。先例は全国の法務局に対して効力を持ちます。

  1. 登記研究質疑応答822・189頁
  2. 「清算型遺贈の旨がある遺言に基づき、遺言執行が不動産を売却して、買主名義に所有権移転登記を申請する場合には、その前提となる相続登記については登記実務上、中間省略できないものであって遺言執行者は相続人の法定代理人として、単独で相続登記申請が可能である」

  3. 昭和52年2月5日民三第773号回答
  4. 遺言執行者の単独申請により被相続人名義から相続人名義に相続による所有権移転登記を経由した上で、遺言執行者と買主との共同申請により相続人名義から買主名義への所有権移転登記をすべきである」

先例により遺言執行者の単独申請が可能

上記の先例により清算型遺言の場合には、不動産登記に相続人の協力は不要で、相続登記は遺言執行者が単独で申請することができ、売買登記は遺言執行者と買主で申請することができます。

これは遺言の内容を実現することが遺言執行者の仕事であり、清算型遺言の場合は不動産を売却して分配するまでが仕事に含まれると考えられるからです。

相続不動産の売却についての結論

今回ご紹介したようなルールがある以上、不動産を売却して相続人に分配する時には、しっかりとその旨を遺言に残しておくことが重要です。よく覚えておきましょう。

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遺言

3月 06 2024

遺言執行者の通知義務 遺言㉘

遺言執行者の通知

旧民法では遺言執行者が法定相続人に通知をすることは義務ではありませんでした。しかし、それでは法定相続人の知らないところで勝手に遺言執行が進んでしまうという懸念があり、改正民法では遺言執行者の通知は義務となりました。

就任承諾通知義務

遺言執行者は遺言書に記載されている場合が多いと思います。(家庭裁判所で選任される場合もある)。しかし遺言書に記載があれば自動的に就任するわけではありません。なぜなら遺言書に書く時に、就任の意向を確認する必要が無いからです。遺言書を開封して始めて、自分が遺言執行者にされていることを知ったというケースもあります。

ですから遺言執行者は遺言に記載されていても拒否する権利があります。裏を返せば、就任を承諾して始めて遺言執行者になるのです。故に、就任を承諾したかどうかは法定相続人にとって重要な情報になります。従って、就任を承諾したという事実を法定相続人に通知することが、改正民法では義務化されました。

遺言内容開示義務

また法定相続人は遺言書の内容を知る権利があると考えられ、遺言執行者には遺言書の内容を通知する義務も設けられました。
これは主に遺留分請求を迅速にするためというのが理由の一つだと考えられます。しかし改正民法では、遺留分の無い兄弟姉妹甥姪に対しても通知義務が課されています。通知の方法としては、遺言書の写しをそのまま添付すれば良いとされています。

財産目録開示義務

次に相続財産の開示義務があります。相続財産の目録を作って、それを法定相続人に通知する義務です。私が遺言執行者の実務をやっていて個人的に最も抵抗があるのが、この財産目録の通知義務です。しかし法律で義務付けられているので、やらない訳にはいきません。

なぜ抵抗があるかと言うと、送られた相続人から苦情が寄せられることがあるからです。遺言で指定されていない相続人の立場からすると、「自分がもらえない財産の詳細なんて見たくもない」というのが本音でしょう。

他には、予想よりも多い財産が書かれていた場合、「本当に本人が書いたのか」、「認知症になっていて誘導して書かせたんじゃないのか」などのクレームになり易く、弁護士に駆け込んで大掛かりな争いに発展してしまうこともあります。個人的には財産目録を通知することによって、争いの種をまいているのではないかと思うことがあります。

終了報告義務

遺言執行者は遺言の執行が終了したら終了報告をする義務があります。

このように改正民法では遺言執行者に対して様々な通知報告義務を課しています。一般の方で遺言執行者に指定された場合は、注意してください。もし通知義務に違反した場合、損害賠償責任を負わせられる可能性もありますので覚えておきましょう。

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遺言

10月 30 2023

遺言書保管制度における通知の運用の変更 遺言㉗ 

遺言書保管制度とは

遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局が預かってくれる制度です。この制度では遺言者が亡くなった時に、あらかじめ指定していた人に法務局から通知を送ってもらうことができます。今回、この通知制度に変更がありましたので、お知らせします。

遺言書保管制度における通知

遺言書保管制度における指定者への通知制度は、指定できる対象が「遺言者の推定相続人、受遺者等、遺言執行者等のうち1人」に限定されていました。

ところがこの度、法務省から通知制度の運用変更の知らせがありました。具体的には、令和5年10月から「通知の対象は上記の者に限定せず、また通知できる人数も3人までに拡大する」ということです。

法務省としては、遺言書保管制度の利用を少しでも増やしたいと願ってのことなのでしょう。今回の運用の変更は、より使いやすくなる方向の変更なので、司法書士としても素直に歓迎したいと思います。

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遺言書保険制度のページ

11月 29 2022

遺言は思いついたら、すぐに書こう 遺言㉖

相談の翌日に危篤

こんな事例が実際にありました。
遺言の相談を受けて公正証書遺言を作成することになり、公証人に出張に来てもらうことになりました。公証人との連絡も取り、「あまり体調が良くないので急いで欲しい」と伝えて、無理を言って翌日に日程を組んでもらいました。

すると、その晩に体調が更に悪化して、なんと翌朝には亡くなってしまったのです。昼頃に公証人に、その旨を連絡してキャンセルしてもらいました。

自筆証書も難しかった

それなら自筆証書遺言を相談当日に書けば良かったのでは、と思った方もいるかもしれません。実は当日も手が思うように動かず自筆はかなり難しい状態でした。だからこそ公正証書遺言を急いだのです。

正解は早く書いておくこと

この事例で分かる教訓は、「遺言は、できるだけ早く書いておくこと」です。人間は、いつ何が起こるか分かりません。この時も医者も含めて当日に亡くなるとは思っていませんでした。結果的に最後の意思を残すことができなかったのです。

途中で気が変わったら

「早く書いてしまって途中で気が変わったら、どうするのか」を心配される方がいます。しかし、その心配は杞憂です。なぜなら遺言は何回書いても問題ないからです。毎年、新しい遺言を書くことを決めて実行している方もいます。

「2度目の遺言を書くと最初の遺言を取り消さなくてはいけない」、と思っている方がいますが違います。2度目の遺言を書いたら、何もしなくても最初の遺言は無効になります。「遺言は複数ある場合、日付が新しいものが有効である」というルールがあるからです。仮に3通、4通あっても日付が最も新しいものだけが有効です。このルールがあるから日付の書かれていない遺言は無効なのです。

このように何度でも書き直せるのが遺言の特徴なので、思い立ったら出来るだけ早く書きましょう。また、遺言の書き方には、いくつかルールがあります。ルール通りに書かないと、せっかく書いた遺言が無効になってしまうことも珍しくありません。実際に、亡くなられた後で相続人が持参した遺言が無効だったというケースは、いくつか経験があります。ですから遺言を書く時は、一度は専門家に相談した方が良いでしょう。

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遺言

2月 18 2022

遺言による「相続」と「遺贈」の違い 遺言(25)

遺贈とは

相続は聞いたことがあっても、遺贈は聞いたことが無いという人は珍しくないでしょう。まずは遺贈について簡単に説明しましょう。

遺言で渡す相手が法定相続人であった場合、「相続させる」と言う表記になります。しかし、この表記は法定相続人でなければ使うことができません。法定相続人でない人に相続させることはできないからです。

では法定相続人以外の相手に遺言で渡す時はどうするのかと言うと、この時に「遺贈する」という表記を使うのです。

※会社経営者などは、別の事情からあえて「遺贈する」を使うこともあります。

遺贈は税金面で不利になる

遺贈は相続に比べて、相続税や不動産の登録免許税などが高くなることが多いです。ですから、法定相続人に渡す場合は表記を「相続させる」と書くように気を付けましょう。

たまに相続の相談で自筆証書遺言を持ち込まれて、家裁で開いてみたら「〇〇に譲る」と書いてあって、トラブルになる場合があります。

「譲る」というのは一般的に遺贈と解釈されることが多いので、〇〇が法定相続人の場合に税金面で不利になる可能性があるからです。(法定相続人に遺贈するのも法的には有効です)

このようなことを防ぐためにも、遺言を書く時は専門家に相談するのが良いでしょう。

複雑な事例

以下のような相談がありました。
遺言希望者は80代の女性で、ご主人は既に亡くなられています。こちらの女性はとても80代には見えないほど、お元気な様子でした。

お話を聞くと、ちょっと複雑な相談で、子どもがいなくて兄弟姉妹がAさん、Bさん、Cさんの3人いるのですが、うちBさん、Cさん2人が既に亡くなられているようでした。Bさん、Cさんには、それぞれ2人と4人の甥姪がいて、法定相続人は合計で7人と言うことになります。(ご存命のAさんにも甥姪が4人います。)

複雑なのはここからで遺言で渡したいのは、存命しているAさんの甥姪4人と、亡くなられたBさんの甥姪2人ということでした。Cさんの4人の甥姪には疎遠なので渡したくないとの希望です。
一般の方が自力で書くと間違えやすい事例だと思います。

相続と遺贈が混じることになる

ここで注意すべきなのは渡したい相手に法定相続人と、法定相続人ではない人が混ざっているというところです。

亡くなられたご兄弟の甥姪2人は法定相続人ですから「相続」と言う表記になりますが、ご存命の兄弟の甥姪4人は現時点では法定相続人ではないので「遺贈」という表記になります。

更に予備的遺言を書いておくべき

気を付けたいのは、今回のような場合、もしご存命の兄弟が遺言者よりも先に亡くなった場合(年齢が近いので充分可能性があります)、その瞬間に甥姪が法定相続人になるということです。

遺言を書き直して「遺贈」を「相続」に修正するという方法もありますが、その時に遺言者が認知症になっていたら、書き直すことはできません。

このようなことを防ぐために予備的遺言を書いておく方法があります。
予備的遺言とは、「もし〇〇が先に亡くなったら、~する」という文言を遺言に入れておく方法です。

今回のケースだと「もし〇〇(存命の兄弟)が遺言者よりも先に亡くなったら、甥姪に相続させる」となるでしょうか。
このような方法を一般の方が気付くのは、なかなか難しいでしょう。遺言を正確に書くのは意外に大変なのです。

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遺言

10月 06 2020

遺言が無くてトラブルになりやすい事例(6) 遺言(24)

今回は、遺言が無いためにトラブルになりやすい事例の六つ目のお話です。

会社を経営している方が事業の承継を考えている場合、遺言が無いと承継がうまくいかない可能性があります。

会社経営者ならば、いつかは誰かに会社を継いでもらおうと考えていることでしょう。もし何も対策を取らずに亡くなった場合、株式などが法定相続分で相続されて分散してしまい、その後の経営に支障が出ることが考えられます。

遺言で指定しておくことで、後継者に株式を集中して相続させることが可能になります。スムーズに承継されるように、後継者には遺言についてある程度の情報は伝えておいた方が良いでしょう。

株式だけでなく会社で活用している不動産なども、後継者に相続されるように遺言に書いておくべきでしょう。

相続トラブルで会社の信用が落ちるようなことは絶対に避けるべきです。そのためにも、事業承継のための遺言は公正証書遺言で残した方が良いでしょう。会社の資産の承継ですから、より公的な証明力の強い形式で作成すべきです。

他にも注意点としては、遺言執行者は必ず決めておくべきです。会社の承継に関する遺言ですから、利害関係人が個人よりも多くなるので、第三者を遺言執行者に指定して公平さを出しておく方がトラブルが少なくなるでしょう。
会社の承継の場合、できれば遺言執行者は専門家を指定しておいた方が良いでしょう。利害関係人から遺言執行について質問を受けた時に法的な回答ができる方が望ましいからです。

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遺言

10月 06 2020

遺言が無くてトラブルになりやすい事例 (5) 遺言(23)

今回は、遺言が無いためにトラブルになりやすい事例の五つ目のお話です。

遺産分割で大変なことになるケースとして、特定の相続人が音信不通の場合があります。

例えば、兄弟が複数いて一人がとても素行が悪く、途中で家を飛び出してから音信不通でどこにいるかも分からない、というようなケースです。

この場合、遺言が残されていないと大変困ったことが起こります。
音信不通の子どもも法定相続人の一人なので、その子を抜きにして遺産分割協議を行うことはできません。仮にその子を除いた協議書を作っても相続手続には使えません。
従って、探し出す必要がでてきます。

仮に見つかっても、相当に相続人同士の仲が悪くなっていることが考えられます。飛び出した子が法定相続分の取得をきっちりと主張してきた場合、「今さら何を言ってるのか」と他の相続人は考えるでしょうから、遺産分割協議は相当に揉めるでしょう。家庭裁判所に持ち込まれるかもしれません。

(マメ知識)
このケースで家庭裁判所の遺産分割調停に持ち込まれた場合、音信不通だった子の法定相続分が認められる可能性が高いです。経験上、昔の素行不良や音信不通の経緯などは、あまり考慮されないことが多いです。理不尽だと思われるかもしれませんが、家庭裁判所はできる限り法定相続分で分けようとする傾向があるということは覚えておいた方が良いでしょう

探しても見つからなかった場合はもっと大変です。家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てなければなりません。申立てには費用も時間もかかります。
その後、選任された財産管理人を含めて遺産分割協議を行います。この時、財産管理人は法的に不在者の法定相続分を主張する義務がありますので、間違いなく音信不通の子の法定相続分を主張します。法定相続分が確保できなければ協議書に印鑑は押さないという態度に出るでしょう。

このように音信不通の子が見つかっても見つからなくても、遺産分割は非常に大変なことになります。ですから、このようなケースでは必ず遺言を残しておくべきです。遺言があれば、音信不通の子を除いた状態で相続手続を進めていくことができます。残された相続人のためにも遺言を書いておきましょう。

(マメ知識)失踪宣告
映画やドラマなどにたまに登場する失踪宣告という制度があります。生死不明で音信不通の状態が7年以上続いた場合、失踪宣告を使うことによって、法的に死亡したとみなされる制度です。
音信不通が7年以上ならば不在者財産管理人ではなく失踪宣告を利用するのが一般的です。

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遺言

10月 06 2020

遺言が無くてトラブルになりやすい事例(4) 遺言(22)

今回は、遺言が無いためにトラブルになりやすい事例の四つ目のお話です。

割と良くあるケースで、持ち家があり、亡くなった人と同居していた相続人と別居の相続人がいる場合です。遺産分割で揉めることが多いケースです。

なぜ揉めることが多いかと言うと、同居の相続人は同じ家に住み続けたいが、別居の相続人は「家はいらないから相続分の金銭が欲しい」と言ってくる場合が多いからです。

特に不動産以外の預貯金財産があまり多くない場合には非常にトラブルになりやすいです。預貯金は簡単に分けられますが、不動産はそうはいかないからです。

預貯金が多ければ、不動産を誰か一人が相続しても、その分預貯金の相続を減らせば他の相続人は納得してくれるでしょう。しかし、遺産の大部分が不動産ということになると、不動産を売らない限り相続人全員に分配できないということが起こります。
こうなると今まで通り同じ家に住みたいという相続人と利害が対立しますので、なかなか遺産分割協議がまとまらなくなります。

同居している相続人に老後の介護などで世話になっている場合は、同居の相続人が同じ家に住み続けられるように遺言を残してあげるべきだと、私は個人的には思います。
一生懸命故人を介護していたのに、亡くなった途端に他の相続人から「家を売れ」と言われるのは、あまりにも可哀そうだと思うからです。

(マメ知識)配偶者居住権
相続法が改正されて新たに配偶者居住権という権利ができました。
これにより配偶者は相続が発生した後も住み慣れた家に住み続けられる可能性が高くなりました。ただし、この制度は配偶者だけに認められたものなので、同居の子については同様の問題が起こることになります。

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遺言

9月 18 2020

トラブルになり易い事例(3) 遺言(21)

最近、増えてきている事例で、同棲カップルで籍を入れていない場合、内縁の配偶者に財産を譲りたい時は遺言が絶対に必要です。

(マメ知識)内縁とは
同棲カップルのことを内縁関係と言います。籍を入れていないカップルのことですね。お互いのことを、「内縁の妻」「内縁の夫」と言うこともあります。法的には「特別縁故者」という呼び方をします。

日本の法律では、戸籍上の関係が無い場合、相続権はありません。どれだけ長期間一緒に暮らしていたとしても、考慮されることはありません。従って、内縁の妻(夫)に相続させようと思ったら、必ず遺言を残しておかなくてはなりません。

特に注意すべきなのは、片方の名義になっている家に同居して住んでいた場合です。もし遺言を残さずに名義人が亡くなってしまったら、名義人の相続人から「私が家を相続したから出て行ってくれ」と言われても、内縁の妻(夫)は拒否できないのです。

このようなことにならないように、同棲のカップルはある程度の年齢になったら必ず遺言を残すようにしましょう。どちらかに名義が集中している場合は片方だけでも構いませんが、名義が分散している場合はお互いに遺言を残した方が良いでしょう。

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