司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 21 2026

根抵当権の場合、返済が終わっても銀行から抹消の書類が届かない

Q 抵当権が付いている借金の返済が終わったら、どうなりますか?

A 不動産が借金の担保になっている場合、返済が滞った時に競売にかけるために不動産に抵当権を付けます。抵当権を付けた時に借りた借金を返済し終わったら、実質的に抵当権は不要になりますが、登記簿に記載された抵当権は勝手には消えてくれません。登記簿に記載されたままだと借金が残っているように見えますから、通常は司法書士に抵当権抹消登記を依頼して削除してもらいます。

Q 抹消の時に必要な書類はどうなりますか?

A 通常は返済が終了した時点で銀行から郵送されてきます。登記原因証明情報や代理権限証書などが中に入っています。案内文には「お近くの司法書士に同封の書類を持参して抹消登記を依頼してください」と書かれていることが多いですね。

Q 返済が終了したのに抹消の書類が届きません。なぜでしょうか?

A 恐らく不動産に付いているのが抵当権ではなく根抵当権である可能性が高いです。根抵当権とは主に事業者向けの担保制度で、一度不動産に付けると極度額の範囲名で何度でも借入が可能になっている特殊な抵当権です。

Q なぜ根抵当権だと銀行から書類が届かないのでしょうか?

A 根抵当権の場合、最初に借りた借金を返済し終わっても、同じ根抵当権で新たに借り入れを起こすことができます。裏を返せば常に新たな借り入れが発生する可能性があるので、一つの返済が終わっても抹消する理由にならないのです。ですから銀行も返済が終了しただけでは抹消の書類を郵送することはありません。

Q では根抵当権を抹消したい場合は、どうすれば良いのでしょうか?

A 銀行に対して「もう新たな借入はしないから根抵当権を抹消したい」と伝える必要があります。ただし銀行も商売なので事業が順調ならば新たな貸付をしたいので、「いざと言う時のために根抵当権は残しておいた方がいいですよ」と言われる可能性はあります。

Q では根抵当権の抹消に銀行が応じるのは、どんな時ですか?

A 一つは事業を止める時、次は事業主が亡くなって相続が発生した時です。
事業主が亡くなっても他の人が事業を継ぐ場合は、根抵当権の債務者を変更して続ける場合もあります。

Q 根抵当権の抹消はしなくてはいけないのですか?

A 新たな借入が発生しないならば、必ずするべきです。なぜなら、売却をしようと思ったら根抵当権の抹消は絶対に必要になるからです。いずれしなければならない登記なので、早めにしておいた方が良いでしょう。

1月 15 2026

相続登記の後の根抵当権抹消 相続登記㊷

Q 根抵当権と抵当権の違いは何ですか?

A 根抵当権は主に事業者が所有している不動産に付けられているもので、設定した極度額の範囲内ならば何度でも借りられるようにした特殊な抵当権のことです。事業者は仕事の都合で何度も借りたり返済したりを繰り返すので、返済する度に抵当権を抹消して、再び借りる時にまた抵当権を設定していると手間も費用もかかります。そのために考え出された仕組みです。

Q 相続不動産に根抵当権が付いていることがあるのですか?

A はい、あります。未払いの場合は抹消することはできません。根抵当権が付いた不動産を相続することになりますね。被相続人が返済し終わっている場合は相続登記以外に根抵当権の抹消登記を申請することになります。

Q 根抵当権抹消の注意事項はありますか?

A 抵当権抹消の場合だと登記原因が「債権放棄」となっている場合がありますが、根抵当権抹消の場合は「債権放棄」が原因だと、別に根抵当権確定の登記が必要になります。

Q 根抵当権確定の登記とは何ですか?

A 根抵当権は何度も貸し借りができる仕組みなので、特定の借入が無くなっても効果が無くなりません。再び借り入れるかもしれないからです。そこで「債権放棄」で特定の借入が無くなったとしても、根抵当権を抹消するためには、もう二度と根抵当権付きの借入は起こしませんという確約が必要になります。その確約に当たるのが根抵当権確定の登記になります。

Q 根抵当権抹消のためには必ず確定の登記が必要なのですか?

A いいえ。抹消登記の登記原因が「根抵当権の放棄」または「根抵当権の解除」ならば確定の登記は不要です。根抵当権そのものを無くすという意味だから確定が不要になるのです。

Q それらの登記原因にするように銀行に伝えるべきですか?

A 通常は相続が発生していて事業を継続する気が無いないならば、銀行が用意する登記原因証明情報の登記原因は何も言わなくても「根抵当権の放棄」または「根抵当権の解除」になっています。

Q 根抵当権の抹消はしなくてはいけないのですか?

A 根抵当権の抹消はした方が良いです。もし売却をしようと思ったら根抵当権の抹消は絶対に必要になるからです。買主の立場になってみると、根抵当権が付いたままの不動産は買わないですよね。不動産業者からも買主に融資する銀行からも絶対に抹消するように言われます。いずれしなければならい登記なので、早めにしておいた方が良いでしょう。

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12月 23 2025

小規模宅地の特例を利用する時は、すぐに売却してはいけない 遺産整理(遺産承継)㉝

Q 小規模宅地の特例とは何ですか?

A 相続不動産について相続税の計算をする時、要件に当てはまれば「小規模宅地の特例」と言う制度を使うことができます。小規模宅地の特例を使うと、不動産評価額が8割減になるという大幅な相続税の減税につながります。当てはまる場合は必ず使うべきです。

Q 小規模宅地の特例を使う時には、すぐに売却してはいけないのですか?

A 小規模宅地の特例を使う場合は様々な要件がありますが、その中でも間違えやすいのが売却時期です。不動産の相続に当たって売却して換金するというのは頻繁に行われることですが、うっかり売却時期を間違えると小規模宅地の特例の要件を満たさなくなり大きな損失を被ることになります。

Q では小規模宅地の特例の要件を満たす売却時期とはいつですか?

A 被相続人の居住用宅地、つまり自宅不動産の場合、原則として「相続開始時から相続税申告期限まで保有していること」という要件があります。相続税の申告期限は、相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内です。そのため、相続開始から10ヶ月以内に売却してしまった場合、要件をクリアしていないことになってしまうため、小規模宅地の特例の適用を受けることができなくなってしまいます。

Q では売却先を探すことも、しばらくはできないのですか?

A いいえ。売却先を探すことは問題ありません。買主を決めても売却さえ相続税申告期限まで待っていれば、この要件は満たします。不動産会社にも、このことは詳しく伝えておいた方が良いでしょう。

Q 売却時期さえ注意すれば良いのでしょうか?

A いいえ。小規模宅地の特例の要件は他にもあります。全て説明すると長くなりますので、今回は省略します。

Q やはり相続税の申告は専門家に任せた方が良いのでしょうか?

A そう思います。特に相続税は専門的な部分が多く、知らないまま申告して実は損をしているケースが多いと聞きます。余分に払った相続税金額が、税理士報酬よりも高額であったということも珍しくありません。(税務署は多く払った場合は絶対に教えてくれません。自分で気付かなければ、そのままです)

一方、本来の納税額よりも少なく申告してしまうと後から追徴課税を税務署から請求されます。追徴課税は本来の税率よりも高くなりますので、無理に自分でやろうとするとリスクが高い申告だと思います。

Q 税理士はどうやって探したら良いのでしょうか?

A 相続手続を司法書士に依頼した場合は、一般的に提携している税理士を紹介してくれます。実は相続税申告は全ての税理士が行っている訳ではない特殊な手続です。相続税申告をほとんど経験してない税理士も珍しくありません。しかし、相続手続を扱っている司法書士と提携している税理士は相続税申告の経験が豊富である場合がほとんどです。経験の浅い税理士に当たるリスクは少ないと思います。

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12月 19 2025

長期相続登記等未了土地の法定相続人情報 相続登記㊶

Q 長期相続登記等未了土地とは何ですか?

A 長期間、遺産分割協議や相続登記が放置されていて現在の所有者が登記簿からは不明になっている土地が数多くあります。その中で法務局が法定相続人に相続登記をするように促す通知を出した土地を長期相続登記等未了土地と言います。
長期相続登記等未了土地は登記簿に付記登記として記載されますので、登記簿を確認すれば分かるようになっています。

Q 確か相続登記が義務化されたと思ったのですが、今後は解消していくのでは?

A 今後は少しずつ解消していくでしょう。しかし全国には非常に多くの長期相続登記等未了土地が存在するので、解消を促進するために新たに設けられたのが法定相続人情報と言う制度です。

Q 法定相続人情報とは法定相続情報一覧図のことでしょうか?

A いいえ違います。名称が似ているので勘違いする人も多いと思いますが、全く異なる制度です(もう少し区別しやすい名称にした方が良いように個人的には思いますが)。

Q では法定相続人情報とは、どんな制度なのですか?

A 法定相続人情報とは、長期相続登記等未了土地に指定されて通知が出された土地については、法務局が亡くなっている登記名義人の戸籍等を調べて法定相続人の関係図を作成してくれるという非常にありがたい制度です。
通常は相続関係図は相続人が自分で戸籍等の調査をして作成するか、司法書士に依頼して作成してもらうかになります。しかし、長期相続登記等未了土地の通知をもらった場合には、その必要が無くなるわけです。

Q では法定相続人情報を取得するには、どうすれば良いのでしょうか?

A 法定相続人情報の依頼書を法務局に提出して取得することができます。費用は無料です。しかも管轄ではない法務局で取得することも可能になっています。ここまで優遇するのは役所では珍しいですね。その位、所有者が不明の土地を無くすことが重要な課題になっているということでしょう。

Q 他にも長期相続登記等未了土地の相続登記で優遇されていることはありますか?

A はい、あります。上記に添付した登記簿の写真を見て頂くと、長期相続登記等未了土地の付記登記に「作成番号」と言う記載が見つかります。相続登記をする時に、この作成番号を法務局に提供すると何と通常は必要な戸籍や住民票などの書類は不要になるのです。これは大きな優遇措置ですね。

Q 長期相続登記等未了土地の相続登記の流れを教えてもらえますか?

A はい。順番に流れを説明しましょう。
①法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届く。

(法定相続人が複数の場合は任意の一人に届きます)
②法務局に依頼書を提出して法定相続人情報を取得する。
③法務局で該当する土地の登記事項証明書を取得する。
(司法書士に依頼するとオンラインで登記情報を取得します)
④取得した法定相続人情報で、他の法定相続人を確認する。
⑤法定相続人全員の遺産分割協議で、土地を相続する相続人を決める。

(複数で共有にするのも可能ですが、売却の時に不利になる可能性があります。
分配したい場合は一人に名義を変更して、売却してから分配する方法がオススメです)
⑥登記申請の必要書類の収集と作成をする。

(作成番号を提供すれば、一定の戸籍・住民票は省略可能です)
⑦不動産を管轄する法務局に相続登記を申請する。

(相続登記は管轄外の申請はできません)

Q 流れは分かりました。自分でもできますか?

A 長期相続登記等未了土地の相続は放置している間に相続人が増えていくパターンがほとんどなので、法定相続人が通常の場合よりも多くなるのが一般的です。すると戸籍や住民票以外にも必要となる書類も多く準備も大変になります。慣れている司法書士がやっても「大変だ」と思うケースも珍しくありません。ましてや一般の人がやり遂げるのは相当に厳しいと思います。法務局から通知が届いたら、相続登記に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。

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12月 11 2025

父と母の数次相続の注意点 相続登記㊵

父と母の数次相続になるケースは相続登記では珍しくありません。例えば父名義の不動産があり、父が先に亡くなって相続登記を放置していたら、次に母が亡くなったというケースです。

この場合、1回の登記申請で処理することができる場合があります。ただし遺産分割協議書には注意が必要なので、この事例で説明しましょう。子どもはAとB二人とします。

Q まずAが不動産を全て相続する場合はどうなりますか?

A 注意すべきは、父が亡くなった時に存命だった母は既に亡くなっていることです。この場合、AとBは本人の立場と、母の相続人という立場の両方で遺産分割協議書に署名押印することになります。協議書にも、そのことが分かるような書き方をしなければなりません。

Q ではAとBが法定相続をする場合は、どうなりますか?

A この場合、法定相続なんだから遺産分割協議書は不要だろうと勘違いしがちです。しかし遺産分割協議書は必要になります。

Q なぜ法定相続なのに遺産分割協議書が必要なのでしょうか?

A 落ち着いて考えると分かるのですが、父の相続の時点では母が存命なので母も法定相続人になります。従って、AとB本人と、母の相続人の立場のAとBで、「母は除外してAとBに相続させる」という遺産分割協議書を作る必要があるのです。こうすることで1回の申請でAとBに相続させることができます。

このように数次相続の登記はかなり複雑で専門知識が必要になります。司法書士に依頼されるのが得策だと思います。

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相続登記

11月 21 2025

愛知銀行と中京銀行の合併 遺産整理(遺産承継)㉜

愛知県で遺産承継業務をしていると、愛知銀行や中京銀行に手続に行くことは多いです。この二つが合併して名称が変わりましたので、このことについて書きたいと思います。

Q 愛知銀行とは、どんな銀行ですか?

A 名古屋市中区に本店がある地方銀行。愛知県、岐阜県、三重県、静岡県西部(浜松市)などが主な営業エリアです。地方銀行の中では老舗で愛知県内のシェアは三菱UFJ銀行、名古屋銀行についで3位。同じ愛知県の愛知信用金庫とは無関係の別会社です。

Q 中京銀行とは、どんな銀行ですか?

A 元々は三重県で創業された銀行で、途中で名古屋市に本店を移転しました。その影響で名古屋の地方銀行としては珍しく、関西にもいくつか店舗があります。その反面、愛知県三河地方の店舗は少なく、岐阜県の店舗は現在はありません。

Q 愛知銀行と中京銀行は無くなったのですか?

A 愛知銀行と中京銀行は経営統合して新しく「あいち銀行」となりました。組織としては存続していますが、愛知銀行や中京銀行という名称は無くなりました。この経営統合により愛知県の地方銀行では最大となりました。東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)では、十六銀行・百五銀行に次いで3位となります。

Q 愛知銀行と中京銀行が経営統合して困ったことはありませんか?

A 被相続人(故人)が愛知銀行の通帳を持っている場合は、名称がひらがなに変わっただけなので分かり易いと思います。しかし被相続人が中京銀行の通帳を持っている場合は、どこに相続手続に行ったら良いか分からないという相続人がいました。

Q 他にも注意点はありませんか?

A 愛知銀行と中京銀行で支店がものすごく近くに設置されている場合があります。この場合は非常に近い場所に「あいち銀行」が二つ存在することになり、支店名も似たような名称になっていることがあり、経営統合前の古い通帳を持って手続に行く時は分かりにくいと思います。このような場合、目安としては旧中京銀行は「〇〇中央支店」となっているケースが多いです。

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11月 17 2025

三菱UFJ銀行は残高証明書の費用を被相続人の口座から差し引いてくれる 遺産整理(遺産承継)㉛

Q 残高証明書とは何ですか?

A 銀行の預貯金や投資信託などの残高を証明してくれる書類です。残高は変動するので、証明して欲しい日付を特定して請求します。相続手続の場合は、被相続人の死亡日を特定日付にして発行してもらうことが多いです。

Q なぜ残高証明の日付を死亡日にすることが多いのでしょうか?

A 相続税の申告で使う場合、被相続人の死亡日の残高証明書が必要になるからです。相続税がかかるかどうか調べる時も、死亡日の残高証明書を取りますね。

Q では残高証明書は必ず死亡日で取得するのでしょうか?

A いいえ。遺産分割協議で使用する時は最新の日付の残高証明書を取ります。遺産分割で対象になるのは現在の財産だからです。遺産分割で揉めた時の家庭裁判所の遺産分割調停でも提出するのは最新の日付の残高証明書になります。

Q 相続手続と一緒に残高証明書を取得する時は、費用は被相続人の預貯金から差し引いてもらえますか?

A ほとんどの場合、いいえです。残高証明書の取得手数料は、ほとんどの金融機関で別払いになります。同時に相続手続をしていることを理由に、被相続人(故人)の預貯金口座から差し引くようにお願いしても、ほとんど断られます。

Q 被相続人の預貯金から差し引いてくれる銀行はないのでしょうか?

A 私の知る限り三菱UFJ銀行だけは被相続人の預貯金から差し引いてくれます。わざわざ窓口に行って支払う必要もなく、振り込む必要も無いので非常にありがたいです。是非、他の銀行も見習って差し引けるようにして欲しいところです。

Q 相続センターがある場合でも差し引いてくれないのですか?

A はい。ほとんどの銀行では相続センターが設けられている場合でも、残高証明書については各支店での取り扱いになっています。相続手続とは別に支店窓口での申請や支払いになるケースが多いのです。

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11月 14 2025

相続手続依頼書に代表者以外の署名押印が必要か? 遺産整理(遺産承継)㉚

Q 相続手続依頼書とは何ですか?

A 銀行の相続手続をする時に銀行から渡される最も一般的な書類です。必要事項を書き込んで署名押印して、戸籍や印鑑証明書などと一緒に提出します。

Q 相続人全員の署名押印が必要なのでしょうか?

A いいえ。もちろん相続人全員の署名押印をして提出しても構いません。ただし司法書士が相続手続の依頼を受けた場合は、相続手続依頼書に署名押印するのは司法書士のみなのが原則です。そうでなければ司法書士が依頼を受ける意味が無いからです。

Q なぜ相続手続依頼書には司法書士の署名押印のみで良いのでしょうか?

A それは添付書類として相続人全員からの司法書士に対する委任状も銀行に提出するからです。委任状には署名と実印による押印がされていて、印鑑証明書も添付されます。これならば相続手続依頼書に署名押印する必要はなくなります。

Q それでも相続手続依頼書に相続人全員の署名押印を求めてくる銀行があるのですか?

A はい、ありました。しかも相続センター経由でのことでした。正直、信じられませんでしたね。実印で署名押印した委任状が提出されていて印鑑証明書まであるのに、更に相続手続依頼書の署名押印まで求めてくるなんて非常識にもほどがあるからです。

Q その銀行での手続は最終的にどうなったのでしょうか?

A 粘り強く反論した結果、上層部に回されて、最終的には「印鑑証明書付の委任状が提出されているならば、相続人全員の署名押印は不要」という当たり前の結論に落ち着きました。それはそうでしょう。理屈で考えたら必ず、そういう結論になりますから。

Q 迷惑な話ですね。何故そんなことが起こったのでしょうか?

A ここで最も大きな問題は、この勘違いが相続センター経由で起こったことです。相続センターは、このような基本的な間違いが起こらないように相続に詳しい社員が集められているはずだからです。恐らく、たまたま実務に詳しくない担当者に当たってしまったということなのでしょう。

Q そんな社員がいたら相続センターを作った意味が無いのでは?

はい、私もそう思います。相続の実務に詳しくない社員は、そもそも相続センターにいてはいけないはずです。これが支店レベルで起こった事ならば「まあ運が悪かった」と思えないこともないですが、相続センターで起こったことならば見逃せません。しっかり反省して二度と起こらないようにして頂きたいですね。

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11月 13 2025

不動産登記の検索用情報の申出 相続登記㊴

Q 不動産登記の検索用情報の申出とは何ですか?

A 令和7年4月21日から、法務局が所有者の住基ネット情報(住民票の情報のこと)を検索するために、不動産所有者から氏名・住所・生年月日等を検索するための情報を不動産所有権の保存または移転登記の申請の際に、あらかじめ申し出る(申請書に記載する)ことです。

Q 不動産登記の検索用情報の申出は何のために行われるのですか?

A 令和8年4月1日から、不動産の所有者は、住所または氏名の変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられます。

一方、この義務の負担軽減のため所有者が変更登記の申請をしなくても、住民票の住所氏名が変更された時に登記官が住基ネット情報を検索し、これに基づいて職権で登記を行うことができるようになります。これを「スマート変更登記」と呼びます。このために検索証情報の申出が必要になるのです。

Q 住所氏名の変更登記を勝手に法務局が行ってくれるようになるのですか?

A はい、法務局が職権で行います。ですから、法務局が住基ネットを検索するためだけでなく、職権で変更したことを本人に知らせるためにも、検索用情報の申出は必要になります。

Q 不動産登記申請の時に申し出る検索用情報とは具体的に、どのようなものですか?

A 具体的には、「氏名のふりがな・生年月日・メールアドレス」になります。

Q メールアドレスは、ほとんど使ったことが無いのですが、絶対に必要なのでしょうか?

A 絶対ではありません。最近はラインの普及などでメールを使わない人も増えていますよね。従ってメールアドレスの項目には「なし」と書くことが認められています。他に数多く届く迷惑メールと区別できなくなるという理由で「拒否」と書くことも可能です。

Q メールアドレスを書かなかった場合は、法務局は住所変更登記をしてくれないのでしょうか?

A いいえ。法務局は住所変更登記をしてくれます。法務局の住所変更登記実施は「所有者がどこにいるか分からない」という空家問題の解決のために設けられた制度だからです。ただしメールアドレスの申出が無かった場合は、法務局が郵送により所有者に知らせることになります。

個人的には、法務局から郵便で届いた方が、迷惑メールと区別がつかないメールで届くよりも安心できるとは思っています。(法務局としては、郵送料がかかるのでメールにして欲しいというのが本音だと思いますが)

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11月 04 2025

三井住友信託銀行の残高証明書の取得 遺産整理(遺産承継)㉙

Q 三井住友信託銀行の相続手続は、どうなりますか?

A 最近の大手銀行と同様に基本的には相続センターでの一括管理になっています。相続センターと電話でやり取りしながら郵送による手続になりますね。一般的に信託銀行は、通常の銀行のように支店の数が多くないため遠方からの手続になる場合が多く、支店に出向く必要のない相続センターでの取り扱いは、ありがたいと言えるでしょう。

Q 残高証明書の取得も相続センターになるのでしょうか?

A 信託銀行は都会の繁華街にしか店舗が無いので、残高証明書取得のためだけに店舗に出向くことになると相続センターを作った意味が無くなるので、残高証明書も相続センター経由で取得できるところが多いです。三井住友信託銀行も相続センター経由で残高証明書を取得できます。

Q 相続センター経由での残高証明書の取得で何か注意点はありますか?

A あります。銀行によって取り扱いが分かれますが、残高証明書の発行手数料を相続する預貯金から差し引いてくれる銀行は特に問題は起こりません。しかし三井住友信託銀行のように発行手数料を相続財産とは別に請求するところは問題があります。

Q 発行手数料を相続財産とは別に請求されると何が問題なのでしょうか?

A 振り込みにより支払うことになるので別途、振込手数料がかかるからです。例えば三井住友信託銀行の場合だと残高証明書代200円を払うために、何と550円の振込手数料を余分に払うことになります。これは痛いですね。しかし、これを嫌がると数少ない支店に直接出向いて取得することになります。場所によっては往復の交通費の方が振込手数料よりも高くなることもあるでしょう。

Q 確かに振込手数料を払うのは避けたいですね。何とかならないのでしょうか?

A 実際に、相続する預貯金から差し引いてくれる銀行も数は少ないですが存在します。となると、事務的に不可能ではないということになります。この方が相続手続をする側からしたら絶対に便利でありがたいですよね。

恐らく推測ですが、今までのやり方を変える時に、一時的に大きな負担が発生するという事情があるのでしょう。しかし可能にしている銀行は、それをやり遂げたということになりますから、是非、全ての銀行が見習って欲しいと思います。

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