司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

11月 13 2017

死後離縁

5:10 PM その他

死後離縁って、聞いたことありますか?
恐らく、ほとんどの人が聞いたことがないと思います。
死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなったとき、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には、亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。

この説明を聞いても、あまりピンとこないかもしれません。
こういう状況になる人は、多くはありませんから。
しかし、本人たちにとってみれば、とても重要な問題であることが多いです。
一度は親族になったものを、くつがえすほどの思いとは、どういうものなのでしょうか。

死後離縁は、実務上は圧倒的に養親が亡くなって養子の方から申し立てる場合が多いです。
養子からみて養親の家族と折り合いが悪いというケースが良くあるパターンです。
財産の問題、借金の問題、あるいは人間関係にいたるまで、離縁したくなる理由はさまざまです。

死後離縁の手続は、まずは家庭裁判所に申立をして許可をもらいます。
その後、市区町村役場に家裁の許可を証する書面を持参して、離縁の届出をすることによって成立します。家裁と役所の2段階になる訳です。

書面を提出すれば、それで離縁が完了するのかというと、そう簡単ではないのです。
死後離縁は必ず認められる訳ではありません。
家裁に正当な理由があると認めてもらう必要があります。

特に注意が必要なのが、そこそこの財産を養親から相続した場合や、養親が亡くなる前に一定の財産を贈与してもらった場合などです。

相続や贈与で財産をもらった後の死後離縁は認められにくい傾向があります。養子縁組をする大きな理由の一つに「養親が亡くなった後の祭祀(注)を養子が引き継ぐ」というのがありますので、「財産をもらったのなら養親が死んだ後の祭祀を養子が行うべき」、と家裁が考えるからです。
(注)祖先を祭ること

死後離縁を考えているのならば、養親からなるべく財産はもらわないように注意しましょう。
もし既にもらってしまったならば,家裁を納得させるだけの理由が必要になると覚えておきましょう。
例えば、養親の家族から大きな嫌がらせを受けたとかいう理由はありそうですね。

死後離縁の他の記事をご覧になりたい方は以下をクリック

死後離縁②