司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

4月 18 2018

相続税⑬ 相続開始前3年以内の贈与は無かったことに

6:10 PM その他

相続税を少しでも減らそうと思って生前贈与を考える人は多いと思います。しかし、ちょっと待ってください。実は、相続開始前3年以内の贈与は税法上、無かったことにされてしまいます。詳しく説明しましょう。

例えば、高齢になり相続税が気になってきた人が対策として子供に生前贈与を始めたとします。しかし残念なことに、その人が生前贈与を始めて3年後に亡くなってしまいました。するとどうなるかと言うと、3年分の生前贈与した金額は全て相続財産に含めて計算することになります。つまり、生前贈与した事実は、相続税の計算上は無かったことにされてしまうのです。(仮に生前贈与が5年続いていた場合は、3年分だけが相続税の計算になります)

しかし、この制度には例外があります。それは、「相続人ではない人への贈与には適用されない」ということです。
この例外を使った最も良く行わる対策が、「孫への生前贈与」です。

孫は子供が生存している限り相続人ではありませんから、孫への贈与は制度の対象外になり、例え亡くなる3年前以内であっても贈与として認められます。仮に亡くなる1日前の贈与であっても大丈夫なのです。

ただし、孫への贈与であっても相続税として計算されてしまう場合が2つあります。これは間違えやすいので是非、覚えておいて下さい。

一つ目は、「遺言で孫を相続人にしていた場合」です。
遺言を書いて、孫にも財産の一部を相続させると記載されていた場合、孫は相続人と同等の権利を持っていますので、相続人として扱われます。

二つ目は、贈与した人を被保険者、受取人を孫にしていた場合の生命保険に入っていた時です。この場合も相続人として扱われます。

尚、生前贈与は贈与する人が認知症になっていた場合は使うことが出来ませんので注意が必要です。従って、相続税の対策よりも認知症対策の方が緊急性・重要性が高いと言えます。認知症対策として法的な有効な手段としては家族信託があります。

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