司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

5月 16 2018

遺言⑪ トラブルになり易い事例(1)

5:20 PM 遺言

「なぜ、遺言を残す必要があるのか」と聞かれたら、私たち専門家の回答は「実際に遺言が無かったためにトラブルになった事例を見ているから」と答えるでしょう。

特に誤解されやすいのが、「財産が、それほど多くないから遺言なんて必要ない」という考え方です。しかし統計では、「1000万円以下の相続財産でも非常に高い割合で相続トラブルになっている」、という結果が出ています。

原因として挙げられているのは、相続財産が多い人の方が遺言などの生前対策を実行している場合が多いのでトラブルにならずに済んでいるが、財産が少ない人は何も対策をしていない場合が多いので実際に相続が始まると揉めることが多い、ということのようです。

では、どのようなケースで相続トラブルが発生しやすいのかを一つずつ紹介しましょう。まず一つ目は、「先に亡くなった子に孫がいる場合」です。

親が亡くなると配偶者と子が相続人となります。配偶者が先に亡くなっていれば、子の人数で均等に分割するのが法定相続のルールです。では、子が二人いて、一方の子が先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。

分かりやすくするために、父が先に亡くなっていて母の相続が発生したとします。二人の子は兄と弟で、弟が先に亡くなったと仮定しましょう。弟には子が一人いたとします(亡くなった親から見ると孫にあたります)。

この場合、母の法定相続人は兄と孫の二人になります。このように先に亡くなった弟の子が相続人となることを法律用語で代襲相続と言います。ではなぜ、このケースがトラブルになりやすいかというと、兄と孫の間にあまり面識が無い場合があるからです。

特に兄と弟が遠方に離れて住んでいた場合に起こりやすいトラブルです。兄からすると、ほとんど会ったことが無い孫と遺産分割協議をしなくてはなりません。兄が親の面倒を見ていた場合などは余分に欲しいという感情があることが多いので、特にトラブルになりやすいケースと言えます。

このような事態が想定される場合は、財産の額に関係なく遺言は残しておいた方が良いケースだと言えるでしょう。

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