1月 13 2023
未成年の相続放棄 相続放棄⑰
借金の相続人が未成年だった場合
親が借金を残して亡くなった時、子どもが未成年だった場合はどうなるのでしょうか。まずは相続放棄を検討することになるでしょう。
しかし未成年の相続放棄は通常の相続放棄とは異なる点がいくつかあります。そこで今回は未成年の相続放棄について説明したいと思います。
親が法定代理人になれるとは限らない
未成年は法律行為を単独ですることはできません。法定代理人が必要になります。そして、通常は親が未成年の子の法定代理人になります。
しかし、相続放棄の場合は親が法定代理人になれるとは限りません。例えば以下のようなケースでは親が未成年の子の法定代理人になることができません。
・父と母と子1人の家族で、子が未成年のうちに父が亡くなった。この時に子だけが相続放棄をして、母が相続放棄をしない場合
このケースで母親が法定代理人になれない理由は、母と子の関係が利益相反になっているからです。
利益相反とは
利益相反について先ほどの例で説明しましょう。もし母親が子の法定代理人になったとすると、母親が子の相続権を故意に放棄させて、母親自身の相続分を増やそうとする恐れがあります。このように利害がぶつかる関係のことを法律用語で利益相反と呼びます。
ここで一つ次のような疑問が生まれます。「相続放棄をするからには借金の方が多いのだろう。だったら、母親が子の代理で相続放棄をしても母親の借金が増えるだけで利益相反にはならないのでは」という疑問です。
確かにこれは納得できる疑問ですが、利益相反には「実質ではなく外見で決める」というルールがあるのです。例え実質は借金であっても、外見上、子を代理することによって母親の相続分を増やしているのは間違いないので、法律上は禁止されているのです。
親が代理できる場合
では先ほどの例で母親が代理できるのは、どのような場合でしょうか。それは以下のような場合です。
・まず母親が相続放棄をして、それが終了してから子の相続放棄をする
母親が先に相続放棄をすれば相続人ではなくなります。その後なら利益相反にはなりません。
・母親と子が同時に相続放棄をする
相続放棄の申述書を母親と子が同時に家庭裁判所に出せば、利益相反の問題は起こりません。
親が離婚していた場合
先ほどの例で親が離婚していた場合は、どうなるのでしょう。これは、どちらの親が親権を持っているかで、やり方が変わります。
母親が親権を持っていた場合
離婚しているので母親は相続人ではありません。よって利益相反の問題は起こりません。親権に従って母親が子の法定代理人となって相続放棄をすることになります。
父親が親権を持っていた場合
これは少しややこしくなります。父親が親権を持っていた場合、亡くなったからと言って自動的に母親に親権が移ることはありません。
しかし、それだと未成年の子の代理人がいなくなってしまいます。このような時のために設けられた制度が「親権者変更の申立」です。この制度によって正式に親権者を母親に移してから母親が代理人になって子の相続放棄をします。
ただ、親権者の変更が必ず認められる訳ではありません。認められない場合は未成年後見人という制度があります。未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらって、子の代理人として相続放棄をすることになります。
相続放棄について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
↓
https://www.hashiho.com/inherit/renounce












