司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 04 2023

亡くなった親族の税金の通知が届いたら 相続放棄⑱

5:23 PM 相続放棄

亡くなった親族の税金の通知

亡くなった親族名義の税金の通知が役所から届くことがあります。だいたい2つのパターンがあって一つは住民税などの未払い分の請求、もう一つは固定資産税の今後の支払い先を決める通知です。

未払いの税金があるということは、生活が苦しかったことが想像されます。従って他にも借金がある可能性を考えるべきでしょう。気になる場合は相続放棄を検討するケースです。

一方、固定資産税の支払先を決める通知ですが、他にも優先順位の高い相続人がいたにもかかわらず届いた場合は注意が必要です。なぜなら通常は相続する不動産を相続しなかったことになるからです。恐らく優先順位の高い相続人が相続放棄を既にしている可能性が高いでしょう。そして相続放棄をしたということは不動産価値を上回る借金があったと考えるのが自然でしょう。これも相続放棄を検討する有力なケースです。

注意すべきは兄弟姉妹や甥姪

上記のようなケースで注意すべきなのは、亡くなった親族から見て兄弟姉妹や甥姪に通知が届いた場合です。この場合ほとんど連絡を取っていなくて、亡くなった親族の状況がまるで分らないというケースが珍しくないからです。
特に警戒すべきなのは子供がいるのに届いた場合です。子供は法定相続の第一順位ですから、順当に相続すれば兄弟姉妹や甥姪に通知が届くことはありません。届いた時点で、「借金の方が多くて子供が相続放棄をしたのだろう」と考えるべきでしょう。

離婚した親が亡くなった場合も注意

例えば、離婚後に母親に引き取られて暮らしていた時に、父親が亡くなって子供に通知が届くケースも要注意です。
離婚していると疎遠になって相手の状況が全く分からないということも珍しくありません(実際にそのような相談は少なくないです)。特に離婚の原因が借金だったりすると危険性は一気に増します。
親が離婚していても親子関係は切れません。離れてしまった親が借金を残して亡くなった時には子供が相続してしまう危険性があるのです。この場合も相続放棄を検討すべきでしょう。

相続放棄はいつまでにすべきか

相続放棄は3ヶ月以内とされています。しかし上記のようなケースだと、亡くなった親族の財産状況は分からないことが多いです。離れて暮らしている場合、家庭裁判所は割と広く期間を考えてくれる傾向があります(もちろん、きちんとした説明を裁判所にしていく必要はありますが)。
このような場合、税金の通知に記載されている日付から3ヶ月以内ならば認められる可能性が高いと思います。

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