2月 07 2024
葬祭費、埋葬料は受け取っても相続放棄できる 相続放棄㉒
葬祭費と埋葬料の違い
いずれも遺族に支払われる費用ですが、葬祭費は個人事業主などが加入する国民健康保険加入者へ、埋葬料はサラリーマンなどの健康保険加入者への支払いになります。
葬祭費と埋葬料は相続財産になるのか
葬祭費と埋葬料は被相続人の財産ではなく、相続人の財産と考えられています。相続財産ではない以上、受け取っても相続放棄はできます。この相談は割と多いので覚えておくと良いでしょう。
未支給年金も受け取れる
以前のブログでも取り上げましたが、老齢年金や障害年金の未支給分も相続財産ではないとされています。
未支給年金を具体的に説明すると、例えば2月分と3月分の年金を4月15日に支給予定であったが、4月5日に死亡したとします。この時、本来は支給すべき2月分と3月分の年金が支給されていない状態となります。このような年金のことを未支給年金と呼びます。
被相続人は2月と3月は生きていたのですから、一見、未支給年金は相続財産であるかのように思えます(私も最初聞いた時は、そのように思いました)。
しかし、この問題については最高裁判所の判断が出ていて、「未支給年金は相続財産として扱わない」ということになっています。国税庁も「未支給年金は相続税の課税対象にならない」と発信しています。従って、未支給年金を受け取っても相続放棄はできます。
生命保険は受け取れるか
生命保険についても、よく質問されます。契約者と被保険者が被相続人で、受取人が相続人という一般的なパターンの場合、死亡保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産とされます。従って、死亡保険金を受け取っても相続放棄は可能です。
この理屈だと保険金には相続税がかからないように思えますが、それだと相続税を逃れるために多額の生命保険を掛ける人が出てきてしまうので、税法では一定額を超える死亡保険金に対しては相続税をかけることにしています。
葬儀費用を相続財産から払えるのか
悩ましい問題として故人の葬儀費用を故人の財産から払っても良いのか、というのがあります。これについては裁判所は、「葬儀代が不相当な額ではなく、社会通念上相当な範囲であれば、相続放棄をすることは可能」と言っています。
しかし、「社会通念上相当な範囲」というのが具体的にどの程度の額なのかは、はっきりと明言されていないため、いくらまでなら許されるのかは判然としません。それこそ裁判官個人のその時の裁量(個人的な見解)で決められてしまう可能性が大きいです。
故に、あまり大丈夫とは思わない方が良いというのが専門家としての意見になります。
どうしても故人の財産から出すというのならば、その時の世間の相場よりも確実に安いと言い切れる額に留めておくべきでしょう。
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