8月 29 2016
受託者になる場合に注意すること(家族信託(民事信託)⑧)
受託者は、信託の目的に従い、信託財産について名義人として管理・運用・処分することが出来るという大きな権限が与えられることになっています。
その反面、様々な義務や責任があります。
受託者を引き受ける人(法人でも受託者になれます)は、事前にこれらの義務や責任を知っておく必要があるでしょう。
受託者の義務
- 善管注意義務
受託者の主な義務としては、信託財産については、自分の財産を管理する程度の注意では足りません。
より高度な(善良な管理者としての)注意義務を負うという善管注意義務/があります。
自分のものでない財産を預かっているわけですから、より注意が必要というわけです。
- 報告義務 帳簿等の作成義務
また、委託者及び受益者に対して信託の事務処理の状況を報告する報告義務、信託財産について帳簿等を作成して保管しなければいけない帳簿等の作成義務などがあります。
受託者として名義人になったからといって、何でも好き勝手に行えるわけではありません。
受託者の責任
- 損失の補てんと現状の回復
更に受託者の責任としては、受託者としての任務を怠った場合に責任が生じます。
任務を怠ったことにより、信託財産に損失が生じた場合にはその損失の補填を、変更が生じた場合には、原状の回復を受託者の責任によって行う必要があります。
受託者は、とても責任が重いのです。
受託者の候補者になった場合には、このような義務や責任について認識したうえで引き受けるかどうかを検討したほうがよいでしょう。
信託監督人とは?
これだけ大きな義務と責任があるのならば、信用のおける司法書士や弁護士に受託者を頼みたいという意見も当然あるでしょう。
しかし、信託の規定により司法書士や弁護士は受託者になることが出来ません。
どうしても受託者に対して不安が残る場合は、司法書士や弁護士を「信託監督人」に指定することが出来ます。
信託監督人は受託者を監督して定期的に報告を受け取ったり、場合によっては調査したりすることが可能です。
信託監督人を置くことによって、受託者の不安をいくらか解消することが期待できるでしょう。












