5月 15 2017
法定相続情報証明制度の使い方(預貯金の相続③)
2017年5月29日から全国の法務局において「法定相続情報証明制度」という新しい制度が始まります。
この制度の仕組みについてご説明します。
法定相続情報証明制度の概略
法定相続人を特定するための戸籍・除籍等と、法定相続人の一覧図を法務局に提出すると、法務局が公的な認証文を付けて法定相続人の情報を記録した証明書を発行してくれる、というものです。
提出した戸籍や除籍の原本は返してくれます。
この証明書は複数枚取ることができますので、そのメリットはあります。
今まで、不動産や預貯金の相続手続の際に、不動産屋と銀行それぞれに対して大量の戸籍や除籍を持参していました。
銀行は、複数の口座を持っている人も多いですよね。
やったことがある人はおわかりだと思いますが、相続手続きは、なかなか面倒です。
今回の法定相続人情報証明書の添付によって戸籍や除籍の代用にする、という活用の仕方が考えられています。
ただ、懸念もあります。
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法務局と銀行の双方に手続をすることになるので、2度手間になる
最初から戸籍を銀行に持参した方が早い
などの意見が聞かれていて、実際にどれほど利用されるかは未知数です。
また、注意点もあります。
法定相続人情報証明書が証明してくれるのは、あくまで法定相続人の情報だけです。
一般的に行われる遺産分割後の相続情報は記載されません。
ということは、不動産や銀行で手続きをする際に、結局、法定相続人情報証明書だけでは、足りずに、遺産分割協議書や遺言書なども銀行に添付する必要があるわけです。
法務局が考えるほど便利ではないという意見もあるのは、これが理由です。
法定相続人情報証制度の使い方
では、まったく役に立たないのかと言うと、そういうわけではありません。
たとえば、以下のような使い方が考えられます。
- 預貯金の相続で最も大変な戸籍・除籍の収集の部分を専門家に依頼する
- 法務局に法定相続情報として登録してもらい、その後は、相続人本人が法務局から証明書を取得する
- 相続人が自分で相続手続を進めて行く
というようなケースでしょうか。これなら現実的な使い方だと思います。
今のところは、色々と不便な点も指摘されている法定相続情報証明制度ですが、今後、改善されていき、より便利になっていく可能性はあります。
今後の推移を見守りながら、また改善があったら報告したいと思います。












