司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

6月 07 2017

遺言がある?ない?探す方法(遺言の検索の話)遺産整理⑧ 

家族が亡くなって、相続手続を考えたとき、誰もが思い浮かべるのが、
「ひょっとして遺言が書かれているんじゃないか」という疑問でしょう。
見つからないままになってしまったら、遺言を残した人としては、非常に悲しいでしょうね。
ただ、事前には内緒にしておきたいという思いがあったりすると、身内の誰かに「遺言はここにあるよ」と伝えておくのは、難しい場合もあるのでしょう。

自筆証書遺言を探す

もし書かれた遺言が自筆証書遺言ならば、どうやって探すのでしょうか。

  1. 相続人で徹底的に家探しをする
  2. 銀行に行って被相続人名義の貸金庫が無いかを調べてみる

この2つの方法になります。
貸金庫に遺言が入っていた、というのは良くあるケースです。
たまに、封筒に入っていなかったり、封がしてなかったりしてちょっと困ったことになる場合もありますが……。

公正証書遺言を探す

公正証書遺言ならば確実に探す方法があります。
それが遺言の検索です。
公正証書遺言が書かれた可能性が少しでもあるならば、必ず試してみるべき方法です。
公正証書かどうかがわからないけれど、遺言を残した可能性がありそうなら、調べてみてもいいかもしれません。

公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場に保管してありますので、検索をすることが可能です。
検索だけならば料金は無料です。
見つかった後、謄本の請求をする時は有料です。

どこの公証役場で作ったのか分からない、という心配をされる方もいるでしょう。
でも心配はいりません。
どこの公証役場であっても、平成元年以降に作成された公正証書遺言は全国対応で探してくれます。
従って、検索を希望する方は近くの公証役場へ行けば良いのです。また、忙しい方は専門家に代理を頼むことも可能です。

公正証書遺言の意外な禁止事項

一つ注意して頂きたいのは、遺言者が生存中に将来の相続人(推定相続人と言います)が検索することは禁止されているということです。
従って、遺言の検索には、遺言者が死亡した事実を記載した戸籍の提出が義務付けられています。
例えば、親が生きている最中に、子供が遺言の有無を確認することは出来ない、ということです。
ちょっと、意外な感じがしますか?
検索くらいはいいじゃないかとも、思いますよね。
事前に遺言がわかっていた方が、心構えもできますし。
ともかく現状は、ダメということです。
例えば、本人が認知症になってしまって、成年後見人が事前に検索する、ということも、認められていません。
個人情報保護と関係があるのでしょうか。

遺言を残す立場から考えた場合、自筆証書遺言の場合は「相続人に見つけてもらえない」というリスクがありますが、公正証書遺言ならば検索によって調べる方法があるので見つけてもらえる可能性が大きい、ということは覚えておきましょう。

遺言についてもう少し知りたくなった方はこちらをどうぞ