司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

7月 18 2017

信託のメリットとは家族信託 ( 民事信託 23 )

家族信託で良く聞く質問に、「仕組みが複雑で分かりにくい」、「結局、何がメリットなの」というものがあります。
家族信託には様々なメリットがありますが、「仕組みが複雑だから」という理由で選択肢からはずしてしまうのは、もったいないことです。

確かに仕組みは複雑で、全て理解するには高度な専門知識が必要です。
しかし、利用する為には複雑な専門知識は必要ありません。
どういうことができて、どのようなメリットがあるのかだけ分かっていれば充分です。

例えば、自動車や家電はものすごく複雑で高度な知識によって作られていますが、それらを利用する人は高度な知識など無くても普通に使っていますよね。
使う側にとって、仕組みをすべて理解する必要は無いのです。
使い方さえ分かっていればそれで良いということです。

では家族信託にはどのようなメリットがあるのでしょう。これから具体的にいくつかご紹介しましょう。

家族信託の4つのメリット

  • 一つの契約で、いくつもの手続を含めることが出来るので、結果として割安である
  • 家族信託契約には、

      将来の認知症対策としての任意後見的な内容
      公正証書遺言としての財産の引継
      見守契約としての内容
      足腰が不自由になった時の為の財産管理としての内容
      自分が亡くなった後の死後事務委任としての内容

    を全て含めて契約することが可能です。

    もし家族信託を使わない場合は、上記の内容はそれぞれ別の契約になり、契約ごとに料金が発生します。
    結果として、一つにまとめられる家族信託の方が割安という場合が多いのです。

  • アパートなどの名義を変えているのに贈与税を発生させないことが出来る
  • アパートなどの賃貸物件を持っている方は税金対策に熱心な方が多いと思います。
    そのような方にとって、賃貸物件の引継は重大な関心事でしょう。
    この誰もが悩む問題を家族信託が解決してくれる可能性があります。

    家族信託では、委託者兼受益者にすれば、名義を変えても贈与税が発生しません。
    (将来の相続税の対象にはなります。)
    委託者が亡くなった後の財産の引継を受託者にしておけば、遺言と同様の効果も期待できます。

  • 遺言と同じ効果があるが、遺言よりも親が納得しやすい
  • 家族信託は、契約の中で遺言と同様の効果を持たせることが可能です。
    にもかかわらず、「遺言よりも親が納得してくれる」という声が多数届いています。
    恐らく遺言より「死」を直接的に感じない方が多いのでしょう。
    どちらかと言うと生命保険のようなビジネスライクな感じが受け入れやすいのかもしれません。

  • 遺言のように変更される心配が無い
  • 遺言の特徴として、「何度でも書いた本人が書き直すことが出来る」というものがあります。
    例え公正証書で遺言を作成したとしても、その後に自筆で遺言を書いて貸金庫にしまっておいたら、後で書かれた自筆の遺言の方が効力を持ちます。
    家族からしたら、いつ遺言を新しく書かれたかが分からないことになります。
    (遺言を残す人にとっては、変更の選択肢があるのはメリットになる場合があります。)
    一方、家族信託で遺言と同様の効力を持たせた場合、信託契約の変更には双方の同意が必要なので、知らないところで勝手に変更される心配がありません。

    代表的なメリットをいくつかあげましたが、家族信託のメリットはこれだけではありません。他にも知りたい方は是非、事務所までご相談ください。

    家族信託についてもう少し詳しく知りたい方はこちら