11月
29
2022
相談の翌日に危篤
こんな事例が実際にありました。
遺言の相談を受けて公正証書遺言を作成することになり、公証人に出張に来てもらうことになりました。公証人との連絡も取り、「あまり体調が良くないので急いで欲しい」と伝えて、無理を言って翌日に日程を組んでもらいました。
すると、その晩に体調が更に悪化して、なんと翌朝には亡くなってしまったのです。昼頃に公証人に、その旨を連絡してキャンセルしてもらいました。
自筆証書も難しかった
それなら自筆証書遺言を相談当日に書けば良かったのでは、と思った方もいるかもしれません。実は当日も手が思うように動かず自筆はかなり難しい状態でした。だからこそ公正証書遺言を急いだのです。
正解は早く書いておくこと
この事例で分かる教訓は、「遺言は、できるだけ早く書いておくこと」です。人間は、いつ何が起こるか分かりません。この時も医者も含めて当日に亡くなるとは思っていませんでした。結果的に最後の意思を残すことができなかったのです。
途中で気が変わったら
「早く書いてしまって途中で気が変わったら、どうするのか」を心配される方がいます。しかし、その心配は杞憂です。なぜなら遺言は何回書いても問題ないからです。毎年、新しい遺言を書くことを決めて実行している方もいます。
「2度目の遺言を書くと最初の遺言を取り消さなくてはいけない」、と思っている方がいますが違います。2度目の遺言を書いたら、何もしなくても最初の遺言は無効になります。「遺言は複数ある場合、日付が新しいものが有効である」というルールがあるからです。仮に3通、4通あっても日付が最も新しいものだけが有効です。このルールがあるから日付の書かれていない遺言は無効なのです。
このように何度でも書き直せるのが遺言の特徴なので、思い立ったら出来るだけ早く書きましょう。また、遺言の書き方には、いくつかルールがあります。ルール通りに書かないと、せっかく書いた遺言が無効になってしまうことも珍しくありません。実際に、亡くなられた後で相続人が持参した遺言が無効だったというケースは、いくつか経験があります。ですから遺言を書く時は、一度は専門家に相談した方が良いでしょう。
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11月
18
2022
国土利用計画法の届出とは
一定の面積以上の土地取引においては、国土利用計画法の届出が義務付けられていることをご存知でしょうか。結構知らない方も多いと思いますので簡単に説明したいと思います。
一定面積とは
法律で定められている一定面積とは、市街化区域は2000㎡以上、市街化区域以外の都市計画区域は5000㎡以上、都市計画区域外は10000㎡以上と、かなり広い土地になります。都会では少ないかもしれませんが、地方の山林などは当てはまるケースも多くなるでしょう。
該当する取引とは
届出に該当する取引は主に売買です。法律では「対価の伴う契約による取引」となっています。ということは贈与は対価を伴わないので除外されることになります。他に相続の場合も届出は不要です。
届出の期間
届出の期間は「契約締結日を含めて2週間以内」とされています。届出人は譲受人なので、売買の場合は買主が届ける義務があります。よく間違えるのが登記完了日から2週間以内だと思っている場合です。あくまで契約締結日からなので注意してください。
届出先
届出先は、土地の所在する市町村の国土利用計画法担当窓口になります。
審査
審査される内容は「土地の利用目的」です。利用目的が適切かどうかを判断され、不適切と判断された場合は利用目的の変更の勧告を受けることがあります。
罰則
期限内に届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合には罰則があります。刑事罰なので結構重いですから注意が必要です。罰則の内容は「6ヶ月以内の懲役または100万円以下の罰金」です。
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11月
09
2022
エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)とは
EAJは、「立会無し。遠方でも休日でも決済できる」のを売りにして急速に不動産業界でシェアを伸ばしてきた会社です。しかし、かねてからこの手法には「司法書士の規定違反になるのでは?」「これ放置されていて大丈夫なの?」という疑問が多くの司法書士から寄せられてきました。
特に問題とされているのが、司法書士が登記案件を受託するごとに「システム利用料」と称する1件あたりの料金をEAJ社に支払っていることをEAJ側が認めていることです。なぜ問題かというと、司法書士は依頼を受けるために代わりに対価を支払ってはならない(いわゆるキックバックの禁止)という決まりがあるからです。
日本司法書士会連合会の見解
「これは禁止されているキックバックではないのか」と懸念を感じている東京司法書士会から、司法書士を統括する団体である日本司法書士会連合会宛に「連合会の見解はどうなっているか」との問い合わせがあり、それに対する回答を下記に紹介します。
「司法書士による「システム利用料」の支払いに関する照会について」
株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン(以下「EAJ」という。)に対して司法書士から支払われる「システム利用料」が、司法書士が受託する業務に応じて支払われるものであるなら、その司法書士の行為は貴見のとおりと考えます。当該司法書士は、EAJが介することによって業務の依頼を受けているのであって、EAJに登録していなければ、依頼を受けることがないのであるなら、「システム利用料」は実質的に業務依頼に対する対価と見られるからです。
日本司法書士連合会 常務理事 長田 弘子
これを見る限り、連合会は規則違反の可能性が高いとみなしている訳ですから、今後、仕事欲しさにEAJに登録する司法書士は、いつ懲戒請求を出されてもおかしくない、ということになります。ならば不動産所有者の方もEAJと取引した場合、自分が依頼した司法書士が懲戒されるかもしれないということは分かっておいた方が良いでしょう。
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