司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

7月 05 2010

シリーズ 多重債務からの脱出⑤ 住居費(前編)

 本日は出費の中で最も大きな割合を占める住居費について考えてみましょう。

 住居費は確かに大きな割合を占めているのですが、だからと言って無くす訳にもいきません。人は住むところは絶対に必要だからです。ここが住居費の難しいところです。

 住居費については2種類に分けて考えてみましょう。まず今回は、住宅ローンを組んで購入した場合を取り上げます。

住宅ローンで多重債務になるのに代表的なパターンが、いくつかあります。順番に紹介していきましょう。

 一つは、ステップ返済になっていた場合です。ステップ返済とは返済の途中(5年後が多い)から返済額が急激に上がるタイプのローンのことです。最初のうちは返せていても優遇期間が終了して返済額が上がった途端に行き詰まってしまうのです。

 二つ目は、ボーナス払いを利用していて、途中で会社の業績が落ち込んでボーナスが減らされ、毎月の返済は出来ていても年2回のボーナス返済が行き詰まってしまうパターンです。

 三つ目は、無理のない返済計画を立てていたにもかかわらず、リストラ・減俸などで給料が激減し返済が出来なくなってしまうパターンです。

 このようにローンが払えなくなってしまった場合に最もやってはいけないのがカードローンを借りて住宅ローンを返すことです。まさに多重債務の入り口になってしまいます。

では、どうしたら良いかと言うと、まずはローンの組み換え(リスケジュールと言います)を金融機関に頼んでみましょう。支払可能なレベルまで月の返済額が減るようにローンを組み替えてもらうのです。

この方法は特に住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)でローンを組んでいる人は絶対に試して欲しいことです。何故なら住宅金融支援機構はローンの組み換えに割と積極的に応じてくれるからです。(ローンの組み換えに関しては銀行よりもはるかに親切です)

ローンの組み換えをしても尚、払えなかったり、そもそも組み換えに応じてもらえなかった場合は、残念ですが売却を考えた方が良いでしょう。せっかく買ったマイホームですから未練があるのは充分に理解できます。しかし、売却時期が遅れてローンの未払いが貯まったりしたら余分な利息を取られて大きな損をしてしまいます。早い決断の方が傷が浅くて済みます。

売却してもローンが残ってしまう場合は、潔く専門家に相談しましょう。多くの場合は債務整理をすすめられると思いますが、私も同じアドバイスをするでしょう。残ローンを抱えたまま引越後の生活をするのは多重債務になり易いからです。

 あと話は変わりますが、これを読んでいるあなたが、もし問題なく住宅ローンを払えているとしたら、是非、アドバイスしたいことがあります。

それは、お金に余裕が出来たら何よりもまず、繰上返済に回すべきだということです。この世の中に繰上返済ほど有利な金融商品はありません。特に返済初期の頃の繰上返済というのは支払った額の何倍もの利息軽減効果があります。これだけ得であるにもかかわらず、繰上返済はノーリスクなのです。世の中にノーリスクハイリターンの商品は無いと良く言いますが、こと繰上返済に限っては存在するのです。これを使わない手はないと思います。

従って、住宅ローンを組んでいる家庭では株や投資信託など目もくれずに、まずは繰上返済に回すことを、おすすめします。

 では次回は、賃貸住居費について取り上げる予定です。