1月 17 2011
広告の変化
最近、地下鉄に乗ると気付くことがあります。以前に比べると大手の弁護士事務所や司法書士事務所の車内宙吊り広告が減ったなという印象です。予想通り、全国展開して大量の広告宣伝で債務者を集めていた事務所の化けの皮がはがれてきたようです。
このような大型事務所は、今回の武富士の倒産で相当なダメージを受けた可能性が高いと思われます。大型事務所は依頼者の数が多いですから大手の武富士相手の過払請求は相当な数に昇っていたことは間違いありません。それが今回の倒産で一気に回収不能になったのです。恐らく驚くような売上の減少にみまわれたのではないでしょうか。
効率だけを重視する方針の事務所にとって、最近の過払請求は以前ほど魅力的なものではなくなっています。相次ぐ貸金業者の経営悪化に伴い満額回収は日に日に難しくなっていますし、支払期日も延びる一方です。そればかりか、一度交わした支払いの約束を支払日直前になって、「やっぱり払えないので更に延期してくれ」と言ってくる業者まで現れる始末です。
ここ4~5年の間に経営効率のみで新たに参入してきた大型事務所は、もう撤退時期を考え始めているでしょう。既に撤退した事務所も少なくないと思います(だからこそ広告が減少している)。
おとなしく撤退している事務所は、まだ問題が少ないのですが、中には依頼者を抱えたまま事務所自体が破綻してしまったケースも出始めているようです。(私の地元の愛知県でも、そのような事務所が出現したという話を聞きました)
このような破綻事務所が出た場合、依頼人は依頼の途中で放り出されてしまうことになります。急いで他の事務所を探し回らなければなりません。代理人がいなくなってしまう訳ですから、ぼやぼやしていると貸金業者から取り立ての電話がかかってくる可能性があるからです。非常に悲惨な状況が出現することになります。
これだけ状況が変化して回収が以前よりも難しくなっている時に未だに大量の地下鉄広告とかテレビコマーシャルとかをやっている事務所は果たして経営状態は大丈夫なのでしょうか。宙吊り広告やコマーシャルはタダではありません。かなりの広告料がかかっているはずです。過払金の回収率が目だって減っている時に果たして広告料金を回収できているのでしょうか。私には、はなはだ疑問です。ひょっとしたら昔の広告料金を払う為に、新たな依頼者を新しい広告で強引に集めざるを得ないというような自転車操業に陥っていないとも限りません。(もし、そうだとしたら、依頼者と事務所、どちらが多重債務者か分からなくなりますね)
これから依頼を考えている人は、こういうことも頭の隅に置いておいた方が良いかもしれませんよ。









