司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

11月 19 2007

時効について

 今回は時効についての、お話です。債務整理で注意しなければならない時効は二つあります。

一つは残っている借金の時効、二つ目は過払金請求権の時効です。それぞれについてコメントしましょう。

まず、残っている借金(利息制限法の利率に引き直しても、残っている場合のことです)は、いつから消滅するのでしょうか。これは相手方が貸金業者の場合は5年で消滅時効にかかると法律で決められています。相手方が一般人の場合は10年なのですが、貸金業者との取引は通常よりも短い時効期間となっているのです。

では、5年経てば、どんな場合でも時効により消滅するのでしょうか。残念ながら、いくつかの条件を満たす必要があります。

その条件とは、①5年の間、一度も返済していない。もちろん借りてもいない。(たとえ、10円でも本人の意思で返済した事実があっったら条件を満たしません)②5年の間、貸金業者から訴訟をされたり、裁判所からの支払督促を受けていない。(裁判所を通さない、ただの貸金業者からの請求は含まれません)

以上のような条件を満たして5年経っていれば、借金は時効により消滅している可能性が高いでしょう。しかし、時効には最後に、もう一つ忘れてはならない大事なことがあります。

それは、本人が時効を援用する(法律用語で「本人が時効だから払わないと相手方に主張する」ことを言います)必要があるのです。要は何も言わないで黙っていたら、借金を請求されても文句は言えないということです。5年経ったら自動的に消滅する訳ではありません。

次に過払金請求権の時効について考えてみましょう。過払金請求権が時効消滅する期間は10年です。

要は完済してから10年を超えてしまったら過払金の回収が出来なくなる可能性がある訳です。もし、もう少しで10年になりそうだと言う人がいたら、早急に専門家に相談に行くことを、おすすめします。

時効期間経過前に過払訴訟を提起すれば時効は中断されます。例え1日でも期間を超えていなければOKですから、ぎりぎりの人がいたら急いだ方が良いでしょう。