司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

7月 19 2011

臨時ニュース 平成23年7月14日最高裁判決

最近、取引の途中で空白期間のある場合で、新しい最高裁判決が出ましたので紹介したいと思います。

この判決は相手がプロミスだったのですが、途中に最短でも約1年6ヶ月の空白期間がある取引が対象になりました。そこで契約書に自動更新規定があるから、この取引は一連一体で計算すべきと債務者側は主張していて、この主張が退けられたのです(要は裁判に負けたのです)。

最高裁ですから、判決は確定して全国に影響を与えることになります。今後は契約書に自動更新規定があることを理由に取引の一連一体を主張することは出来なくなります。

それよりも、より大きな影響を与えそうなのは取引の空白期間の長さです。今後は、1年6ヶ月以上の空白期間のある取引は分断された別の取引だと判断されるケースが増えるだろうと予想されます。

実は、判決では1年6ヶ月以上の取引がダメだと言っている訳ではありません。契約書の自動更新規定だけで一連計算を認める訳にはいかないから、第一取引の長さとか、空白時の業者と債務者の接触状況とか、空白期間の長さとか、契約書の返還の有無とか、以前の判決でも指摘された色々な条件を吟味した上で判断しろと言っています。だから、厳密には、この判決で1年6ヶ月以上が一律に認められないと言っている訳ではないのです。

しかし、残念ながら、理屈どおりには受け取られないのが裁判です。恐らく今後の下級審(最高裁以外の裁判所のこと)の判断は、1年6ヶ月以上の空白期間に対しては非常に厳しいものになるでしょう。